民放テレビ・ラジオ局の女性割合調査 結果報告(2022/7/14)

2022年7月14日

報道機関各位

民放労連女性協議会

【速報】 在京テレビ全局に女性役員が任命されました!

【調査結果】全国民放テレビ局の72.4%女性役員ゼロ  
全国民放ラジオ局の73.5%女性役員ゼロ
在京・在阪民放テレビ局で制作部門のトップに女性ゼロ

 日頃より、日本民間放送労働組合連合会(以下、民放労連)の活動にご理解・ご協力をいただき、ありがとうございます。
 民放労連では、2018年から民放の女性割合調査発表を行い、日本民間放送連盟(以下民放連)に民放連および加盟社の意思決定者への女性登用を訴えてきました。最新の調査結果についてお知らせいたします。 
 調査の詳細は別紙「民放テレビ局・ラジオ局女性割合調査報告」をご参照ください。

【速報】在京テレビ全局に女性役員が任命 民放連役員は女性ゼロ
今回の調査対象期間では在京テレビで女性役員ゼロの局がありましたが、2022年6月に発表された在京民放各社の役員人事では、それまで女性役員がゼロだった局に女性役員が誕生し、在京テレビ全局に女性役員がいることになりました。まだ割合としては十分とは言えませんが、女性役員ゼロの状態を脱したことは大きな一歩です。今後もより積極的に女性役員割合を増やすことを期待します。

在京テレビ局の女性役員数(2022年7月1日時点)

※「役員」に監査役は含む、顧問、執行役員は含めない。

また、民放連の役員の更新は2年ごとで今年更新でしたが、2022年6月に発表された民放連の理事40名中女性はゼロでした。

調査結果概要
■1年前の調査からの改善が見られなかった。
 2021年4月から2022年3月の任意の時点を調査対象とした今回の調査では、1年前の調査と比較して、全国で女性役員数は全国のテレビ局で2名、ラジオ局で3名増えました。しかし、女性役員ゼロの会社は全国のテレビ局で1社増加、ラジオ局では増減なしでした。依然として7割以上の会社で役員がゼロ役員割合の平均はテレビが2.2%、ラジオが3.3%と、低い水準でした。

全国民放テレビ局調査

全国民放ラジオ局調査

■在京・在阪の民放テレビ局のコンテンツ制作部門のトップに女性はゼロ!
 在京・在阪のテレビ局で、コンテンツ制作部門の最高責任者(報道局、情報制作局、制作局、スポーツ局の局長相当)に1年前の前回調査同様、女性は1人もいませんでした。(今回初めてスポーツ部門についても調査しました。)

目標設定と具体的な計画を立てることが必要。
 7月13日に世界経済フォーラムから発表されたジェンダーギャップ指数によれば、2022年の日本の総合スコアは0.650(前回は0.655)、順位は146か国中116位(前回は156か国中120位)でした。依然として先進国の中で最低レベルであり、1年前から進展はほぼないと言える結果です。今回の民放の調査結果も同様に、1年前と比較して、民放の女性役員の登用状況が変わっていないことが数値上明らかになりました。2020年に閣議決定された第5次男女共同参画基本計画には、「2020年代の可能な限り早期に指導的地位に占める女性の割合が30%程度となるよう目指して取組を進める。」とされています。各社、日本のジェンダーギャップ指数の低さについて報道していますが、自社の足元を見直すべきなのではないでしょうか。民放各社や民放連が、現状を直視して自主的に数値的目標を掲げ、目標達成のための具体的な計画を立て、実行しないことには、意思決定層に女性を増やすことはできません。

 また、第5次男女共同参画基本計画第10分野「教育・メディア等を通じた意識改革、理解の促進」には、「メディア等からの情報が子供をはじめ様々な世代に対して固定的な性別役割分担意識等を植え付けず、また、押し付けないようなものとなるためには、メディア分野の経営層や管理職において性別による偏りがないことが重要である。このため、メディア分野等における意思決定過程への女性の参画拡大を促進する。」という記載があります。メディアは、発信する報道内容やコンテンツを通して人々の意識に大きな影響力をもっており、意思決定者に偏りがあることは悪い影響がある一方で、もし改善された場合、社会に与える好影響は小さくないと期待されます。

 また、女性登用は企業の業績にも良い影響があると言われています。経産省は女性登用を含む『ダイバーシティ経営』を「自由な発想が生まれ、生産性を向上し、自社の競争力強化につながる、といった一連の流れを生み出しうる経営」と位置づけており、ダイバーシティ経営をしている企業は、そうでない企業と比べて経営成果が良いという調査結果も発表しています。イノベーションを促進する女性登用は、ビジネスモデルの転換期に立たされている民放の経営課題の解決に寄与するのではないでしょうか。

今後も民放労連では、全国の民放テレビ局・ラジオ局の意思決定者への女性登用を訴えていく予定です。是非、テレビ・ラジオを含む報道各社での報道をお願いいたします。

問い合わせ先: 民放労連 info@minpororen.jp

<これまでの調査結果>
2021/7/20 全国・在京・在阪 民放ラジオ局の女性割合調査 結果報告
2021/5/24 全国・在京・在阪 民放テレビ局の女性割合調査 結果報告
2020/3/6 メディア女性管理職割合調査の結果について
2019/10 在京テレビ局女性割合調査報告

<女性登用についての要請>
2022/4/11 業界団体への申し入れ(民放連)
2022/3/28 業界団体への要請
2021/2/10会見 日本外国特派員協会(FCCJ)
2021/2/9会見 厚労省
2020/12/1 業界団体への要請