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民放テレビ局・ラジオ局女性割合調査報告(2025/12/12)

日本民間放送労働組合連合会 女性協議会

はじめに

 民放労連では、2017年度から民放各社の意思決定層における女性割合を継続的に調査しており、今回が7回目となります。また、民放連・新聞協会への申し入れや厚生労働省での記者会見、署名活動などを通じて、女性割合30%の早期達成と、偏った意思決定体制がリスクを高めることを訴えてきました。
 2024年末以降のフジテレビ事案では、性暴力・セクハラ問題の放置・隠蔽に象徴されるガバナンス不全と、それに伴う経営・信頼の失墜が明らかとなりました。その背景には、民放労連が以前から警鐘を鳴らしていた意思決定層の同質性があったといえます。フジテレビは2025年6月に経営層を刷新し、リスク管理・コンプライアンス・人権尊重の体制強化に加え、意思決定層の女性割合3割以上を規定に明記し実現しました。
 この事案は、閉鎖的な組織文化(いわゆるオールドボーイズクラブ)が社員の権利保護やリスク管理を損なう可能性があることを示しました。企業は危機顕在化前に体制を整備し、多様な意思決定体制を構築することが重要です。今後、民間放送業界で同様の問題を再発させないためにも、女性登用の推進やリスク管理・コンプライアンス・人権尊重の強化が求められます。民放労連は、これらの取り組みを後押しするため、引き続き調査と提言を進めていく方針です。

※民放労連によるメディアで意思決定層の女性割合を3割以上にすることを求める活動
2021年2月 厚労省での記者会見
https://www.minpororen.jp/?p=1749
2025年3月 フジテレビ問題を受けた署名活動、キイ局5社、民放連、新聞協会に署名手交 https://www.minpororen.jp/?p=2898
https://www.change.org/women30formedia

そのほか、年2回民放連に、年1回総務省に、各種要請の申し入れをしています。

主な調査結果

▶️フジテレビ、FMHで女性役員3割超! (2025年夏)

 フジテレビ及びFMHでは、「フジテレビ問題」のあとに、取締役会規定で原則として取締役の女性の比率が30%以上となるように取締役候補者を選定することを定め、2025年夏の株主総会で女性役員が3割以上を実現した。「フジテレビ問題」を踏まえ、意思決定者の同質性のリスクを軽減するための取り組みと見られる。規定に明記することで持続性を担保した。その他のキイ局では依然として3割を下回っている。
 今回を含め7回の調査で、キイ局における女性役員割合は徐々に上昇してきた。在京キイ局のテレビ社では、役員98名中女性は20名(20.4%)、ホールディングスの役員66名中女性は16名(24.2%)となっている。政府が掲げる3割に届いているのは1社のみであり、本来50%を目指すべきであるので、キイ局全体での女性登用は依然として課題があると言える。

▶️女性役員不在が多数 全国テレビ局の62.2%・ラジオ局の69.4%でゼロ(2024年度)

 2024年度時点で、全国のテレビ局の約6割(62.2%)、ラジオ局の約7割(69.4%)において、女性役員が1人もいない状況が確認された。
 女性役員の全国平均割合は、テレビ局3.6%、ラジオ局4.0%と、引き続き極めて低い水準にある。

▶️キイ局賃金格差 女性の給与は男性の8割(2024年度)

 2024年度の調査によると、キイ局における女性正社員の給与は男性の約8割にとどまっている。キイ局の正社員人事制度自体には男女差はなく、2024年に改正された育児・介護休業法により、妊娠・出産や育児休業を理由とする不利益取扱いは法的に禁止されている。
 一方で、民放労連は、昇進や評価において男女間で差が生じている可能性があると推測しており、給与格差の背景には制度以外の要因が影響していることが示唆される。

▶️キイ局では徐々に女性登用が進展するも、コンテンツ制作部門の意思決定層は、女性21.7%(2024年度)

 2024年度時点の調査によると、キイ局のコンテンツ制作部門における意思決定層(報道、制作、情報制作、スポーツ、編成の局長相当)の総数23名のうち、女性は5名であり、女性割合は21.7%であった。
 キイ局が制作する全国ネット番組は、地域系列局を通じて全国に放送されており、コンテンツが視聴者に与える影響は大きい。そのため、制作部門の責任者における男女比は、組織の意思決定やコンテンツ内容の多様性に直結する重要な指標である。 現状の21.7%では目標とされる30%を下回っており、理想的には50%程度の女性登用が望ましいと考えられる。

メディアにおける女性登用の必要性

■意思決定の偏りによる企業リスク
 意思決定層の偏りは、いわゆる「同質性のリスク」として指摘されている。具体的には、意思決定の偏向、イノベーションの停滞、集団浅慮(groupthink)、組織の適応力低下が生じやすく、これにより重大な意思決定ミスや不祥事が発生する可能性がある。

■メディア企業のジェンダー不平等と情報受け手への影響
 2020年に閣議決定された男女共同参画基本計画第10分野では、「メディア等からの情報が子供をはじめ様々な世代に対して固定的な性別役割分担意識等を植え付けず、また、押し付けないようなものとなるためには、メディア分野の経営層や管理職において性別による偏りがないことが重要である。このため、メディア分野等における意思決定過程への女性の参画拡大を促進する。」という記載がある(内閣府, 2020)。また、ハラスメントやコンプライアンスに関する社内方針や文化も、メディアコンテンツを通じて視聴者に影響を与える可能性がある。

■放送産業のイノベーション促進における多様性の重要性
 経済産業省は、女性登用を含む「ダイバーシティ経営」を、自由な発想の創出、生産性向上、自社の競争力強化につながる経営手法として位置付けている(経産省, 2021)。さらに、ダイバーシティ経営を実施している企業は、そうでない企業と比較して経営成果が良好であることが示されている。また、放送の受け手の半数が女性であることを踏まえると、女性の意思決定層への登用は、民放をはじめとする放送産業におけるイノベーション促進および経営課題の解決に寄与する可能性が高い。

提言:数値目標設定と具体的な計画立案の必要性

 今回の調査では、キイ局において女性役員割合に改善がみられた。それは大きく評価できるものだ。しかし、全国的な進展は遅れている。令和のこの時代に、全国の民放テレビ局の62.2%、民放ラジオ局の69.4%で女性役員が一人もいないのである。この状況下では、政府が定める指導的地位に占める女性の30%達成は非常に困難であると考えられる。
 これを踏まえ、民放連および各民放企業は、現状調査と原因分析を実施し、数値目標の明確化および具体的な計画を策定し発表すること、確実な実行を行うことが必要である。放送局のサービス提供先である視聴者・聴取者の半分は女性である。放送局の意思決定層への女性登用は、業界のイノベーション促進やリスク管理の向上にも寄与する。

女性役員・管理職割合の長期的変化

調査詳細

■調査概要
・調査の目的
全国・在京・在阪の民放テレビ局の社員および意思決定層の女性比率を調査し、男女比という点でダイバーシティの実現度を明らかにする。
・調査対象
全国の民放テレビ局127社 民放ラジオ局98社(テレビ放送兼営31社、ラジオ単営67社) 民放連の役員
・調査期間
2024年 4 月~ 2025年 3 月の任意の時点
2025年7月1日時点(キイ局、ホールディングス社の役員のみ)
・調査方法
民放労連が独自に調査した。一部発表があるものについては、各社のHPで発表されている人的資本開示、行動計画、厚労省の「女性の活躍推進企業データベース」、就職情報サイトのデータを参照した。

■調査項目

  1. 【速報】2025年夏発表の在京民放テレビ局役員およびホールディングス役員女性割合
  2. 2024年度 在京・在阪の民放テレビ局女性割合
  3. 2024年度 在京・在阪の民放ラジオ局女性割合
  4. 2024年度 全国の民放テレビ局の女性役員割合
  5. 2024年度 全国の民放ラジオ局の女性役員割合
  6. 日本民間放送連盟の女性役員割合

■(参考)過去の調査データ
2018年4月発表 在京テレビ局調査
2020年3月発表 在京・在阪テレビ局調査
2021年5月発表 全国テレビ調査
2021年7月発表 全国ラジオ調査
2022年7月発表 全国テレビ・ラジオ調査
2023年11月発表 全国テレビ・ラジオ調査 リリース版

1. 2025年夏発表の在京民放テレビ局役員およびホールディングス役員女性割合

 2025年夏に発表された在京キイ局テレビ社・在京キイ局ホールディングス社の役員人事は、全局で女性役員が任命された。

【在京テレビ局の女性役員数(2025年7月1日時点)】

【在京テレビ局ホールディングスの女性役員数(2025年7月1日時点)】

※「役員」に監査役は含めた。顧問、執行役員、補欠監査は含めていない。

2.2024年度 在京・在阪の民放テレビ局女性割合

 在京、在阪の民放テレビ局に関して、社員、役員、局長、管理職、新卒採用の女性割合、男女間賃金格差を調査した。また、コンテンツ制作部門の社員女性割合と局長(または室長などセクションでの最高責任者、原則1名)の意思決定者の性別を調査した。調査したコンテンツ制作部門は、報道部門、制作部門、情報制作部門、スポーツ部門。編成テーブルを作成する部門として、在京のみ編成部門の調査を加えた。

【在京テレビ局女性割合】

(参考 2022年度調査結果)

【主な調査結果】

◆  全国放送コンテンツ制作の影響の大きさを踏まえ、在京キイ局5社の平均値で分析。
◆  在京キイ局の平均女性割合
社員:27.6%(日本テレビを除く4局平均) 役員:14.6% 局長:15.0% 管理職:19.1%
コンテンツ制作・編成部門
社員:18.3% 局長(相当):21.7%(23ポスト中女性5名)
◆  男女間賃金格差(正規雇用)

  • キイ局5社平均:82.2%(男性100%に対する女性比率)
  • 前回調査:82.1%(ほぼ変化なし)
  • キイ局正社員の人事制度自体には男女差はなく、育児・介護休業法(2024年改正)で妊娠・出産・育児休業による不利益取扱いは禁止されている。
  • 民放労連は、昇進・評価で男女差が生じている可能性を指摘しており、賃金格差には制度以外の要因が影響していると考えられる。
  • 参考:一般労働者の男女間賃金格差(厚労省「令和5年版働く女性の実情」):74.8%

◆  新卒採用における女性割合:47.2%と高水準

◆  コンテンツ部門の責任者における女性割合

  • 報道局長:5名中3名が女性
  • TBSではコンテンツ3部門で女性局長
  • 日本テレビとテレビ朝日では全体で女性局長ゼロ

◆  コンテンツ制作部門の社員女性割合

  • 全体:約2割
  • スポーツ部門:平均13.1%と特に低い
  • 東京MX、NHK(全国)のデータも参考として掲載した。

【在阪テレビ局女性割合】


(参考 2022年度調査結果)


【主な調査結果】

・社員女性割合は平均24.2%だが、新卒採用は平均41.0%と4割を超えている。
・女性役員について、1局(毎日放送)で0名。
・局長女性割合10.5%、管理職女性割合15.1%と、3割に届いていない。
・コンテンツ制作部門の調査では、前回に続き全局で全局で女性局長ゼロだった。
・コンテンツ制作部門の社員女性割合は、2割程度と低い。
・男女間賃金格差について、平均74.6%という結果だった。うち、正規雇用労働者は平均79.1%非正規雇用労働者が53.1%だった。

※以下に、本データに関する補足事項を示す。
・「役員」に監査役は含む、顧問、執行役員は含めなかった。
・「局長」には、会社の直下にある室長、事務局長、部長は含めなかった。
・コンテンツ制作・編成部門の社員数については、主に現場で制作する部署を調査対象とし、管理部門を除いた。兼務者、嘱託社員も含めた。
・コンテンツ制作・編成部門の「局長」は、局長または室長などセクションでの最高責任者、原則1名の意思決定者の性別を調査した。

3. 2024年度 在京・在阪の民放ラジオ局女性割合

【在京の民放ラジオ局女性割合】


【在阪の民放ラジオ局女性割合】


■主な調査結果

・在京局(7社)中 女性役員ゼロは5社、女性ライン管理職ゼロは3社だった。
・在阪局(5社)中 女性役員ゼロは3社、女性ライン管理職ゼロは1社だった。
これは、昨年の調査と全く同じ結果。

■データについての注釈

・「ライン管理職」は局長と部長と支社長。出向先は除いた。

4. 2024年度 全国の民放テレビ局の女性役員割合

【全国の民放テレビ局127社の女性役員割合】


■主な調査結果

・127社の役員総数 1708名 女性役員総数 62名(前回比+5) 女性役員割合の平均 3.3% (前回3.0%)
・女性会長1社(岐阜放送) 女性社長4社(テレビ岩手、新潟テレビ21、MXテレビ、長崎文化放送)
・女性役員数(127社中)

 0名 79社(全体の62.2%)前回-2社 
 1名 39社     前回+0社
 2名  6社    前回+1社
 3名  2社    前回+2社
 4名  0社       前回-2社
 5名以上  1社   前回+1社

■データについての注釈

・「役員」に監査役は含む、顧問、執行役員は含めなかった。

5. 2024年度 全国の民放ラジオ局の女性役員割合

【全国の民放ラジオ局98社の女性役員割合】


■主な調査結果

女性役員数(98社中)

 0名 68社(全体の69.4%) 前回-3社
 1名 20社  前回-1社
 2名  9社   前回+3社
 3名以上 1社 前回+1社

■データについての注釈

・「役員」に監査役は含む、顧問、執行役員は含めなかった。
・ラジオ・テレビ兼営社 31 社。赤字で表示。

6. 日本民間放送連盟の女性役員割合

民放連役員割合は6.7%(45名中女性役員3名)
2024年6月更新 2年任期。

「民放連・緊急人権アクション」を発表
 2025年5月 22 日に、ジェンダー平等推進のプロジェクトが発足すると発表があった。民放労連は以前より、民放連にジェンダー関連のプロジェクトを作って対策を講じることを提言していた。
 民放連は発表の中で、「民放業界における男性優位の構造を改革するための提言を行うことを目的とする。プロジェクトの委員構成は、ジェンダーバランスに配慮するとともに、 テレビキー局や準キー局だけではなく、ローカル局、ラジオ局からの参加を得て、多様性を重視したものとし、外部専門家の助言を得て提言をとりまとめる」としている。

お問い合わせ 民放労連
info@minpororen.jp 03-6659-9241

「民放テレビ・ラジオ局女性割合調査報告」リリースのお知らせ(2025/12/12)

報道機関各位

民放労連女性協議会

 日頃より、日本民間放送労働組合連合会(以下、民放労連)の活動にご理解・ご協力をいただき、ありがとうございます。「民放テレビ局・ラジオ局女性割合調査報告」をリリースしました。

 民放労連では、2017年度から民放各社の意思決定層における女性割合を継続的に調査しており、今回が7回目となります。また、民放連・新聞協会への申し入れや厚生労働省での記者会見、署名活動などを通じて、女性割合30%の早期達成と、偏った意思決定体制がリスクを高めることを訴えてきました。
 2024年末以降のフジテレビ事案では、性暴力・セクハラ問題の放置・隠蔽に象徴されるガバナンス不全と、それに伴う経営・信頼の失墜が明らかとなりました。その背景には、民放労連が以前から警鐘を鳴らしていた意思決定層の同質性があったといえます。フジテレビは2025年6月に経営層を刷新し、リスク管理・コンプライアンス・人権尊重の体制強化に加え、意思決定層の女性割合3割以上を規定に明記し実現しました。
 この事案は、閉鎖的な組織文化(いわゆるオールドボーイズクラブ)が社員の権利保護やリスク管理を損なう可能性があることを示しました。企業は危機顕在化前に体制を整備し、多様な意思決定体制を構築することが重要です。今後、民間放送業界で同様の問題を再発させないためにも、女性登用の推進やリスク管理・コンプライアンス・人権尊重の強化が求められます。民放労連は、これらの取り組みを後押しするため、引き続き調査と提言を進めていく方針です。

調査結果全文
https://www.minpororen.jp/?p=2957

主な調査結果は、下記のとおりです。

  • フジテレビ、FMHで女性役員3割超! (2025年夏)
  • キイ局の女性役員割合平均は14.6% (2024年度)
  • 女性役員不在! 全国テレビ局の62.2%・ラジオ局の69.4%でゼロ(2024年度)
  • キイ局賃金格差 女性の給与は男性の8割(2024年度)
  • キイ局コンテンツ制作部門の意思決定層、女性21.7%(2024年度)

お問い合わせ 民放労連
info@minpororen.jp 03-6659-9241

「セクハラ番組」訴訟原告を支援し、安全な番組制作環境の確立をめざす決議(2025/8/14)

 人々を楽しませるはずのテレビ番組で、人権が損なわれるようなことは、決してあってはならない。
 ローカルテレビ局が制作したレギュラー放送のバラエティ番組で進行役を務めたフリーランスのアナウンサーが、レギュラー出演していた有名タレントらからの性的な言動、そしてその様子を面白おかしく編集したものが放送され続けたため、心身に不調をきたして番組を降板した。フリーアナウンサーは、仕事を失うおそれがあることから、番組内では性的言動をかわすようにして、出演業務を全うすべく、視聴者にはそれとわからないように、気丈にふるまっていた。
 アナウンサーは2022年2月に「放送倫理・番組向上機構(BPO)」の放送人権委員会に人権侵害救済を申し立てたが、いやがっていたとは気がつかなかった、などという放送局側の抗弁により「人権侵害があったとは認められない」および「放送倫理上の問題があるとまでは言えない」と放送人権委員会は決定した。アナウンサーは放送スタッフユニオンに加入して、2024年7月にテレビ局と団体交渉を行ってセクシュアルハラスメントの調査と謝罪を求めたが、テレビ局は改めて調査を行うことはなく、セクハラの事実を認めようとしなかった。
 フリーアナウンサーは、PTSD(心的外傷後ストレス障害)の症状を含む重いうつ病と診断され、治療に専念しているため定職に就くことができない。今でもフラッシュバックに悩まされることもあり、将来の生活のめども立たない状態に置かれている。それでも、自らの尊厳の回復と業界の因習が改善され同じように苦しむ人がこれ以上増えないことを願い、2025年6月、テレビ局を相手に損害賠償を求める裁判を起こした。
 意に反した性的なからかいは「性暴力」に相当し、尊厳を傷つける人権侵害に他ならない。私たちは、裁判闘争に立ち上がったアナウンサーの勇気に、心から敬意を表する。アナウンサーのたたかいに賛同する有識者の皆さんなどにより、「原告を支える会(仮称)」の立ち上げも進められている。
 私たちは、匿名でたたかうアナウンサーを物心両面で支援するとともに、番組制作現場から性暴力の危険を根絶し、安心して安全に働ける労働環境を確立するように、力を合わせて奮闘していく決意を、ここに表明する。

2025年8月14日
日本民間放送労働組合連合会 第141回定期大会

国会議員公設秘書による報道記者への性暴力 勝訴判決が確定(2025/5/9)

2025年5月9日
日本民間放送労働組合連合会
中央執行委員会

 国会議員公設秘書が取材活動中の報道記者に対して性暴力を行ったことに対する国家賠償請求訴訟において、期限までに国側が控訴せず、4月24日の東京地裁判決が確定しました。一連の性暴力が公設秘書の職務行為だったと認め、国が原告に440万円を支払うことを命じる勝訴判決でした。
 ジェンダー平等や取材・報道の自由を求めてたたかい抜いた原告と弁護団に、改めて敬意を表します。そして、早くから支援に駆けつけた全国各地の皆さんや、力強く支援していただいた日本マスコミ文化情報労組会議(MIC)に結集する仲間たちに、心から感謝申し上げます。 
 裁判での国側の主張は、原告に対する二次加害とも言える時代錯誤のもので、裁判の終結間際には「被害者が抵抗し尽くしたことを証明できていない」などと、原告の尊厳を傷つける主張まで出してきました。こうした主張が司法によって完全に退けられ、それが確定したことは大きな意義があると思います。
 かねてより、メディアで働く女性は、取材の現場などでハラスメントを受けるなど身に危険を感じることが少なくないという訴えが、労働組合に多数寄せられています。そうした訴えはプライベートの問題だと片付けられてきたケースが少なくありませんでしたが、今回の判決により、それが私たちの職務に深くかかわっている問題だと、認識を改める必要があります。
 私たちは、判決確定で、原告がその尊厳を取り戻すとともに、国がハラスメントのない社会を作るための政策を推進することを強く求めます。それにより、現場で働く人たちの安全がより守られるようになることを望みます。

以 上

国会議員公設秘書による報道記者への性暴力 国賠訴訟判決を受けて(2025/4/25)

2025年4月25日
日本民間放送労働組合連合会
中央執行委員会

 国会議員公設秘書が取材活動中の報道記者に対して性暴力を行ったことに対する国家賠償請求訴訟が、4月24日に判決を迎えました。
 二次加害のおそれもある中で、国を相手に訴訟を起こし、ジェンダー平等や取材・報道の自由をめぐる社会的な課題に向けて、身をもって挑んだ原告に、最大限の敬意を表します。そして、ともにこの裁判をたたかった弁護団、早くから支援に駆けつけた全国各地の皆さん、そしてこれまで力強く支援していただいたMIC(日本マスコミ文化情報労組会議)に結集する仲間たちに、心から労いの言葉をかけたいと思います。
 判決は、公設秘書の職務行為だったと認め、国が原告に440万円を支払うことを命じる勝訴判決でした。原告の訴えを聞き届け、「個人的な付き合いだった」という国側の主張を明確に退けました。
 事件は2020年3月、上田清司参議院議員の当時の公設秘書が、取材活動中の民放労連放送スタッフユニオンの組合員である報道記者に対して、情報提供をほのめかして会食の席に呼びだし、性加害に及んだものでした。組合員は警察に被害届を提出し、公設秘書は書類送検されましたが、その直後に自死したため、不起訴処分とされました。それから3年後の2023年3月8日、公設秘書の行為は公務員の職権濫用だとして、国家賠償を求める訴訟を起こしたものです。
 裁判で国側は、公設秘書と記者とは「個人的なつきあい」だったとして職務権限を否定し、全面的に争いました。国側の主張は、原告に対する二次加害とも言えるような時代錯誤のもので、裁判の終結間際には「被害者が抵抗し尽くしたことを証明できていない」などと、原告の尊厳を傷つける主張まで出してきました。原告側は、取材の機会につけこんで行われるハラスメントや性暴力は、民主主義社会に不可欠な取材・報道の自由を侵害するもので、記者としてのキャリアと人間としての尊厳を根底から奪う「差別と暴力」であることを強く訴えました。
 この裁判で司法が、国会議員秘書が記者と会食することを業務と認め、そのうえで起きた性暴力だったと判断したことは大きな成果です。判決は、今回の性暴力を「当時の準強制わいせつ罪・準強制性交罪に相当する行為」と認定し、国に損害賠償を命じました。かねてより、メディアで働く女性は、職場でハラスメントを受けるなど身に危険を感じることが少なくないという訴えが、労働組合には多数寄せられていましたが、それをプライベートの問題だと片付けられてきたケースが少なくありませんでした。
 私たちは、今回の判決で原告がその尊厳を取り戻すこと、また報道の現場で働く人たちの安全がより守られるようになることを望みます。

以 上

フジテレビの経営体制刷新に関する民放労連委員長談話(2025年3月28日)

2025年3月28日
日本民間放送労働組合連合会
中央執行委員長 岸田花子

 民放労連とMIC(日本マスコミ文化情報労組会議)が呼びかけた「メディアの女性役員比率を3割に」のインターネット署名が、フジテレビで実現しました。署名にご協力いただいたみなさまに、心から感謝申し上げます。

 民放労連は、フジテレビをはじめ、キイ局と民放連に署名を手交しながら、メディアの意思決定層のジェンダー平等が必要な理由について説明して参りました。高齢の男性が大多数であるオールドボーイズクラブの意思決定には同質性のリスクがあり、閉鎖的で、新しい視点や意見を取り入れることが難しい傾向があり、柔軟に働きにくいことや、ハラスメント、反対意見が言いにくい空気につながります。ことメディアではさらに、ニュース項目の選択の偏り、差別・ステレオタイプの表現につながる恐れがあることを指摘しました。
 私たちの署名の思いを受け止めていただき、フジテレビが他局に先駆けていち早く女性役員3割以上を達成したことを、素晴らしいこととして受け止めています。これまで女性役員割合の調査をして遅々として進まなかった様子を見てきましたが、ここまで急激な変化があったことに、驚きを隠せません。

 しかし、これは最初の一歩に過ぎません。ここからが本当に重要な部分です。
 フジテレビには、役員の多様性をコンプライアンス、ガバナンスの向上につなげ、人権侵害がないようにすること、フジテレビで働く全ての人が働きやすい職場にすることを望みます。さらに、取締役の多様性をイノベーションにつなげ、企業価値を高めることを期待しています。また、執行役員、局長、部長、などすべての役職での女性3割を実現し、それを持続することによって、恒久的にジェンダー平等に取り組み続けることを望みます。
 新しい役員には、オールドボーイズクラブの価値観を壊し、企業文化を変えることを期待します。具体的には、役員の働き方を含めた業界での働き方、評価軸を新しい時代にあったものに変えるよう尽力してほしいです。それは必ず企業価値を高めることにつながります。周りに同調しすぎることなく、率直な意見交換ができる取締役会を実現していただきたいです。

 民放労連では引き続き、女性の役員比率向上に向けた取り組みを続け、他メディアにも早急に女性役員3割の実現を求めていきます。

民放労連第140回臨時大会アピール(2025年1月25日)

 新たな春を迎え、民放労連第140回臨時大会を開催した。本年は、戦後80年、阪神淡路大震災から30 年、そして能登半島地震から 1 年という節目の年である。放送業界の労働組合として、これらの出来事を振り返り、犠牲者への哀悼を捧げるとともに、未来への決意を新たにする年としなければならない。

 戦後80年、日本は平和と民主主義の理念のもと復興を遂げてきた。しかし、世界情勢は再び混迷を深めている。今年、トランプ氏が再びアメリカ大統領に就任したことは、国際的な緊張と不確実性を高める要因となっている。国際的な安全保障への影響が予見される中、メディアとしての役割を果たし、安心して生きられる環境を守るための活動を強化する必要がある。
 また、阪神淡路大震災から30年を迎え、震災で失われた命とその後の復興に尽力した全ての人々に敬意を表する。さらに昨年の能登半島地震は、災害対応の重要性とコミュニティの支え合いの力を改めて教える出来事となった。災害への備えと復興支援の強化、人々の生活基盤を守るための取り組みを今後も続ける必要がある。

 2024年春闘では、記録的な円安と物価高の中でベースアップや賃金引き上げを勝ち取るという成果を上げた。しかし、格差の拡大や雇用の多様化など、労働環境の課題は依然として山積している。特に若年層や非正規労働者を含むすべての働き手の生活向上を目指し、さらなる団結と行動が求められる。
 一方、中居正広氏を巡るトラブルは、単にフジテレビだけに留まる話ではなく、放送業界全体が直面している深刻な課題である。放送業界で働く人々の権利とメディアの倫理が厳しく問われる出来事となった。この問題を単なるスキャンダルとして捉えるのではなく、労働者が安心して働ける職場環境を作るための契機とし、信頼されるメディアを目指すために透明性と公平性を求める声を上げ、業界全体の改善に取り組む。
 民放労連が支援する「国会議員公設秘書による埼玉県報道記者への性暴力事件」に関する国家賠償請求訴訟は、権力と個人の権利の在り方を改めて浮き彫りにした。このような事件を通じて、労働組合は個人の尊厳を守り、権力の暴走を監視するという社会的責任を果たし続ける必要がある。

 職場には、自分が我慢すれば波風立たず業務が進行すると、自身を押さえ込んでいる人がいるのではないか。声をあげづらい環境を見直し、弱者が声をより一層あげやすくし、せっかくあげてくれた声を大事にし、連携をして闘っていくのが組合の存在意義だ。労働組合は非正規・正規にかかわらず、全ての労働者が安心して普通に業務に臨み、自発的にやりがいを持って働ける環境を整えるために全力を尽くす。

 私たちは「壁に立ち向かう卵」として団結し、平和で公正な社会の実現に向けた歩みを止めないことを戦後80年という節目に改めて誓う。次の世代により良い未来を手渡すため、誰もが尊厳を持ち安心して働ける社会を共に築いていこう。

2025年1月25日
日本民間放送労働組合連合会第140回臨時大会

「安心して働ける環境の実現をすべての放送局に求めます」民放労連委員長談話(2025年1月8日)

2025年1月8日
日本民間放送労働組合連合会
中央執行委員長 岸田花子

2024年12月の各週刊誌報道およびフジテレビの声明を踏まえて、事実関係の真偽について言及する立場にはありませんが、民放労連として放送業界におけるコンプライアンスの徹底と働くすべての人々の人権を守る必要性をあらためて強く訴える必要があると認識しています。そこで民放各社に対して、ジェンダー平等と内部通報者の保護を確保するため、ガバナンスをより強化した組織全体の改善を求めます。

民放労連は、すべての労働者が安心して働ける環境を実現するため、以下の取り組みをすべての放送局に求めます。

人権問題への積極的な対応
性的被害やハラスメントの申し立てについて、公正かつ迅速な調査を行い、被害者の回復と権利保護を最優先とした対応を徹底すること。

安全で平等な職場文化の醸成
飲み会や会食への参加を強制されるような状況を排除し、あらゆる職場環境でジェンダーギャップのない相互の尊重を徹底する文化を育むこと。すべての労働者が対等に働ける職場を実現するため、ジェンダー視点を取り入れた制度改革や教育プログラムを積極的に導入すること。

コンプライアンスの徹底
職場内でのハラスメントを根絶するための具体的な行動指針を策定し、法令遵守の精神を基盤とした安全な労働環境を確保すること。

信頼できる内部通報体制の構築と通報者の保護
内部通報者が報復を恐れることなく声を上げられるよう通報体制を整備し、通報者の権利を保護する明確な仕組みを確立すること。

信頼回復のための情報公開
被害者のプライバシーを最大限に尊重しつつ、調査結果や再発防止策を社会に明確に示すことで、業界全体の信頼回復に努めること。

以上について、民放各社に改善を求めていくとともに、民放労連ではすべての労働者が安心して相談できる場としての機能を強化し、コンプライアンスの遵守、人権の保護、ジェンダー平等の推進に全力で取り組んでまいります。

よみうりテレビサービス見せしめ不当解雇撤回を求める決議(2024/7/27)

 よみうりテレビサービスは、2020年1月17日、A組合員が職場である読売テレビに出社するところを待ち構え、入館証を取り上げて自宅待機命令通知書を突きつけ、A組合員が私物を持ち出すことも許さず社外に追い出した。
 会社は労働組合との団体交渉も開かないまま、2月14日に一方的に解雇通知書を送り付け解雇した。
 会社の解雇通知書では「関係者を脅迫する発言をおこなった」こと、読売テレビ番組の「リハーサル現場に立ち入ったこと」などが解雇の主な理由になっていた。
 脅迫したとされる件について、会社は「適応障害・うつ状態」を発症した組合員のメンタルケア担当者に相談内容の秘密録音を命じ、その会話内容から当時の交渉委員長が自身への脅迫と捉え解雇理由としたと判明した。さらに交渉委員長はこの件で被害届を提出しA組合員を刑事告訴してきた。当然不起訴となったが解雇してからもさらに追い詰めてくる非道な行為である。
 2022年3月、よみうりテレビサービス、読売テレビ、読売テレビ社員2人、以上4組を大阪地裁に訴え、裁判で争っていく中、解雇理由であるリハーサル現場立ち入り問題は、会社に有給休暇を申請し許可され、見学許可の手続きも不備がなかったため、その後の解雇理由証明書では内容を変更し、さらに他の解雇理由を後から作り出すばかりである。
 また、「適応障害・うつ状態」が業務上の起因ではないとするために、A組合員が職場のデスクに保存していた個人名義の診断書を、会社は勝手に持ち出し裁判の証拠として提出するという暴挙を行った。
 一人の労働者を見せしめに解雇するため恥も外聞も投げ捨て、メンタルケア担当者の秘密録音、交渉委員長からの告訴、個人情報を勝手に持ち出し公表するなど、個人のプライバシーを侵害し、人権を無視した対応を続けるよみうりテレビサービスの解雇の正当性はひとつもない。よみうりテレビサービスは誠実な態度で早急に解決に向けて行動しなければならない。

 民放労連第139回定期大会の名において、改めて、A組合員の解雇撤回を強く求めるものである。
右、決議する。


2024年7月27日
日本民間放送労働組合連合会第139回定期大会


株式会社よみうりテレビサービス 代表取締役社長 米倉敬太 殿

民放労連第139回定期大会アピール(2024/7/27)

 2024年7月27日。パリのセーヌ川を舞台に行われた33回目のオリンピックの開会式が日本時間の未明に放送された。その数時間後、ここ日本の神戸の地で民放労連第139回定期大会も幕を開けた。視聴者の大きな関心事である日本選手らの活躍をテレビ・ラジオで伝えることは、民間放送の大きな使命の一つである。選手たちだけでなく、現地で取材する仲間や、日本の地で時差と戦いながら中継やニュースの現場で尽力する仲間たちにも、大きなエールを送りたい。
 「平和の祭典」であるはずのオリンピックの熱狂の一方、世界情勢は混迷の中にある。ロシアのウクライナ侵攻から約2年半、イスラエルによるガザ地区攻撃から9か月となるが、いずれも解決の目処は立っていない。銃撃されたトランプが大統領になれば、日米関係に新たな緊張を与える可能性もある。今こそ私たちメディアは、戦禍の悲劇が二度と繰り返されないよう、8月の原爆・終戦にまつわる時期のみならず、絶えず平和へのメッセージを伝え続け、権力に忍び寄る戦争の誘惑を監視する責任がある。
 村上春樹は、2009年にイスラエルの文学賞を受賞した際のスピーチで次のような言葉を残している。「高く強固な壁とそれに打ち砕かれる卵があるなら、私は常に卵の側に立つ」。「壁」は時に戦争を生み出してしまうシステム(体制)、「卵」はユニークでかけがえのない魂を持つ私たち一人ひとりのメタファーだと村上は説明している。そして、「卵」が「壁」に勝てるとしたら、お互いを信じ、魂を寄せ合わせることが必要だとも。
 労働組合とはまさに、小さな卵たちが巨大な壁に立ち向かうための団結そのものと言えるだろう。性暴力と不当解雇に関する継続中の2つの争議については、総力をあげ闘っていくことは必然である。今年の春闘では、日本社会全体の賃上げの流れも影響し、ベアや一時金について昨年以上の大きな成果を獲得した。しかし、記録的円安と物価高は落ち着く兆しがなく、来年以降もこの歩みを止めずにさらなる成果につなげていくことが必須である。他社からの情報が交渉にいかされるケースも多く、我々が団結することの意義は依然として大きい。
 一方で、新しい人事制度の導入や、若手に比重をかけた賃金アップ、雇用形態の多様化などにより、私たち放送業界の労働者全員が一枚岩としてたたかうことが難しい局面も生まれている。放送業界を支える構内スタッフの待遇は依然として厳しいままである。また、コロナ禍を経た社会のリモート対応により、地連を中心とした地域ごとのつながりの良い部分を残しながら、規模や業態の近い全国各地の単組の団結を強めることのメリットも見えてきた。若い世代の組合活動への理解を進め、新しい世代と共に、新たな労働問題にも対応できるよう民放労連を進化させることは、今を担う我々世代の責任である。
 今月、民放労連本部と関東地連の書記局は、それぞれ50年・48年の長きにわたり居を構えた四谷の地を離れ、両国に新たな事務所を共同で構えるという歴史的一歩を踏み出した。これからの将来も、豊かな放送文化が守られ、放送業界が魅力的な職場であり続けられるよう、「労働組合とはこういうもの」という固定観念から脱却し、皆で団結し未来を見据えて歩み続けよう。

2024年7月27日
日本民間放送労働組合連合会第139回定期大会