民放労連第140回臨時大会アピール(2025年1月25日)

 新たな春を迎え、民放労連第140回臨時大会を開催した。本年は、戦後80年、阪神淡路大震災から30 年、そして能登半島地震から 1 年という節目の年である。放送業界の労働組合として、これらの出来事を振り返り、犠牲者への哀悼を捧げるとともに、未来への決意を新たにする年としなければならない。

 戦後80年、日本は平和と民主主義の理念のもと復興を遂げてきた。しかし、世界情勢は再び混迷を深めている。今年、トランプ氏が再びアメリカ大統領に就任したことは、国際的な緊張と不確実性を高める要因となっている。国際的な安全保障への影響が予見される中、メディアとしての役割を果たし、安心して生きられる環境を守るための活動を強化する必要がある。
 また、阪神淡路大震災から30年を迎え、震災で失われた命とその後の復興に尽力した全ての人々に敬意を表する。さらに昨年の能登半島地震は、災害対応の重要性とコミュニティの支え合いの力を改めて教える出来事となった。災害への備えと復興支援の強化、人々の生活基盤を守るための取り組みを今後も続ける必要がある。

 2024年春闘では、記録的な円安と物価高の中でベースアップや賃金引き上げを勝ち取るという成果を上げた。しかし、格差の拡大や雇用の多様化など、労働環境の課題は依然として山積している。特に若年層や非正規労働者を含むすべての働き手の生活向上を目指し、さらなる団結と行動が求められる。
 一方、中居正広氏を巡るトラブルは、単にフジテレビだけに留まる話ではなく、放送業界全体が直面している深刻な課題である。放送業界で働く人々の権利とメディアの倫理が厳しく問われる出来事となった。この問題を単なるスキャンダルとして捉えるのではなく、労働者が安心して働ける職場環境を作るための契機とし、信頼されるメディアを目指すために透明性と公平性を求める声を上げ、業界全体の改善に取り組む。
 民放労連が支援する「国会議員公設秘書による埼玉県報道記者への性暴力事件」に関する国家賠償請求訴訟は、権力と個人の権利の在り方を改めて浮き彫りにした。このような事件を通じて、労働組合は個人の尊厳を守り、権力の暴走を監視するという社会的責任を果たし続ける必要がある。

 職場には、自分が我慢すれば波風立たず業務が進行すると、自身を押さえ込んでいる人がいるのではないか。声をあげづらい環境を見直し、弱者が声をより一層あげやすくし、せっかくあげてくれた声を大事にし、連携をして闘っていくのが組合の存在意義だ。労働組合は非正規・正規にかかわらず、全ての労働者が安心して普通に業務に臨み、自発的にやりがいを持って働ける環境を整えるために全力を尽くす。

 私たちは「壁に立ち向かう卵」として団結し、平和で公正な社会の実現に向けた歩みを止めないことを戦後80年という節目に改めて誓う。次の世代により良い未来を手渡すため、誰もが尊厳を持ち安心して働ける社会を共に築いていこう。

2025年1月25日
日本民間放送労働組合連合会第140回臨時大会