民放労連は、全国の放送局や放送関連プロダクションなど約110組合・約6,200名が加盟している労働組合です。
民放労連では放送局で働くすべての人の賃金や労働条件の改善を最大のテーマとして取り組んでいます。
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投稿者「minpororen」のアーカイブ
よみうりテレビサービス見せしめ不当解雇撤回を求める決議(2024/1/27)
よみうりテレビサービスは、2020年1月17日、自社の無期雇用のA組合員が職場である読売テレビに出社するところを待ち構え、入館証を取り上げて自宅待機命令通知書を突きつけ、A組合員が私物を持ち出す時間さえも与えず社外に追い出した。すぐに近畿地区労働組合に加入し、労働組合は解雇撤回を求め幾度も団体交渉を申し入れたが、会社は応えず、自宅待機を延長し、2月14日に一方的に解雇通知書を送りつけ解雇した。
会社が出してきた解雇理由証明書には解雇理由が7項目記載されている。しかし、いずれも具体的事実が証明されているものはなく、解雇に値するものでもない。そもそも解雇前にA組合員に意見を聴く機会も与えず、一方的に社内での行動を問題視した質問状を送りつけ、自宅待機を命じた経緯にも問題がある。その後、会社は解雇理由の後付けを繰り返し、「適応障害」を発症したA組合員のメンタルケア担当者に秘密録音を命じ、その会話内容から当時の交渉委員長は自身への脅迫と捉え刑事告訴したと判明した。さらには、職場のデスクに保存していた個人名義の診断書を勝手に持ち出し裁判の証拠として提出するという暴挙まで行った。
また、およそ2年ぶりに開かれた団体交渉では、マイナンバーカードなどの私物返還を求めたが、会社は何ら具体的な回答をせず不当労働行為を続けている。裁判にも真摯に向き合わず、時間を引き延ばしているだけである。労働組合は再三にわたってA組合員の解雇撤回を申し入れている。
民放労連第138回臨時大会の名において、改めて、A組合員の解雇撤回を強く求めるものである。
右、決議する。
2024年1月27日
日本民間放送労働組合連合会第138回臨時大会
株式会社よみうりテレビサービス 代表取締役社長 米倉 敬太 殿
民放労連第138回臨時大会アピール(2024/1/27)
2024年の元日、能登半島をはじめ北陸地方を最大震度7の地震が襲い、4万棟を超える住宅が被害を受け、1万人以上が寒さの中で厳しい避難生活を余儀なくされています。被災者の皆さんに、1日も早く平穏な生活が戻ることを願うとともに、被災地で復旧作業や被災者支援に当たっている方々に最大限の敬意を表します。そして、民放労連第138回臨時大会に参加した私たちは、被災地の情報流通に携わっている仲間の皆さんに心から労いを申し上げます。
この大会で、私たちは民放労連鹿児島ビジョン労組を新しく仲間として迎えました。激動する放送業界の中、会社の将来に不安を感じた労働者が生活の向上をめざすために労働組合が必要だとの結論に達し、労組結成に至りました。全国の民放労連の仲間たちと共に、安心して働ける未来をともに創り上げていきましょう。
今春闘においては、物価上昇を超える賃上げを目指してたたかうことが求められています。経済界と労働組合の代表が話し合う「労使フォーラム」では、デフレを脱却して、賃金や物価が安定して上がる社会に向け、労使がそろって賃上げを唱えました。働く者の生活改善は、もはや社会的な重要課題となっています。討論の中でも「ベアを獲るまで頑張ろう」と積極的な意見も出ているので、民放労連も規模別や地域ごとのつながりを生かして情報交換を密にし、すべての単組で物価上昇をカバーできるベースアップを始め、不満と不安を解消・軽減できる回答が勝ち取れるよう、力を合わせて行きましょう。
また、討論の中では年末闘争で13年ぶりの越年闘争となったテレビ神奈川労組から報告があり、民放労連の仲間からの激励文がとても励みになっていると発言がありました。他にも、京都放送労組からは、70歳までの雇用延長の協約を労使で結んでいながら65歳で雇い止めを行おうとしている会社に対する抗議文の要請もありました。各単組においても、いつ自分たちの身に起きてもおかしくない自分ごととしてとらえ、民放労連として共にたたかうことの意義を改めて考える必要があります。
放送業界も大きな変革を迫られています。なかなか進まない女性管理職・役員登用などジェンダーバランスの改善が急がれます。また、今大会の討論の中でも議題に上がった55歳以上の役職定年制度、再雇用制度の賃金格差の問題など、労働者を取り巻く環境は大きな変化を迎えています。今こそ労使で10年後、20年後のあるべき姿を描き、そのためにどう変革していくのかを真剣に協議し、次代の魅力ある放送・コンテンツ産業を切り拓いて行きましょう。
性暴力やハラスメントなど、人権を侵害する攻撃とたたかっている仲間がいます。私たちは、よみうりテレビサービス争議の当該組合員と、報道記者への性暴力に対する国家賠償請求訴訟の原告を支え、勝利の日までともにたたかうことを誓います。
民放労連は、放送業界で働くすべての組合員が今後も最大限力を発揮できるような環境整備、さらには生活水準や待遇を向上させられるよう、これからも時代の先頭に立って放送・コンテンツ産業の将来を切り拓く取り組みを展開していきます。力を合わせて2024春闘をたたかっていきましょう!
2024年1月27日
日本民間放送労働組合連合会第138回臨時大会
民放テレビ局・ラジオ局女性割合調査報告(2023/11/7)
民放労連女性協議会
■調査概要
・調査の目的
全国・在京・在阪の民放テレビ局の社員および意思決定層の女性比率を調査し、男女比という点でダイバーシティの実現度を明らかにする。
・調査対象
全国の民放テレビ局127社 民放ラジオ局98社(テレビ放送兼営31社、ラジオ単営67社) 民放連の役員
・調査期間
2022年 4 月~ 2023年 3 月の任意の時点
・調査方法
民放労連が独自に調査した。一部発表があるものについては、各社のHPで発表されている人的資本開示、行動計画、厚労省の「女性の活躍推進企業データベース」、就職サイトのデータを参照した。
■過去の調査データ
2018年4月発表 在京テレビ局調査
2020年3月発表 在京・在阪テレビ局調査
2021年5月発表 全国テレビ調査
2021年7月発表 全国ラジオ調査
2022年7月発表 全国テレビ・ラジオ調査
調査項目
- 2022年度 在京・在阪の民放テレビ局女性割合
- 2022年度 在京・在阪の民放ラジオ局女性割合
- 2022年度 全国の民放テレビ局の女性役員割合
- 2022年度 全国の民放ラジオ局の女性役員割合
- 2023年夏発表の在京民放テレビ局役員およびホールディングス役員女性割合
- 民放連の女性役員割合
1.2022年度 在京・在阪の民放テレビ局女性割合
在京、在阪の民放テレビ局に関して、社員、役員、局長、管理職、新卒採用の女性割合、男女間賃金格差を調査した。また、コンテンツ制作部門の社員女性割合と局長(または室長などセクションでの最高責任者、原則1名)の意思決定者の性別を調査した。調査したコンテンツ制作部門は、報道部門、制作部門、情報制作部門、スポーツ部門。今回、編成テーブルを作成する部門として、在京のみ編成部門の調査を加えた。
■主な調査結果
【在京局】
・全国に放送するコンテンツを制作する影響の大きさから、在京キイ局の平均値を算出し、分析した。
・在京キイ局の平均女性割合、社員の25.4%に対して、役員の8.3%、局長の16.8%、管理職の18.1%、コンテンツ制作・編成部門の社員の20.3%に対して、コンテンツ制作・編成部門の局長(相当)の8.0%(27ポスト中女性2名)。
・社員の割合も意思決定層も3割に届いていない。社員の割合に対して意思決定層の割合が低い。
・社員女性割合はキイ局平均25.4%だが、新卒採用では50%近い局が見られ、現在の新卒者が定年まで勤め続けたとしたら37年後には5割に届くと予想される。
・女性役員について、調査開始以降初めて全局で女性役員ゼロ%を脱したものの、テレビ朝日で4名、ほかは1~2名であり、キイ局の平均は8.3%と低い。
・コンテンツ制作・編成部門の調査では、TBSテレビの情報制作局長、フジテレビの編成センター室長に女性が就任した。調査開始以降前回調査まで、全局で女性ゼロだった。2023年夏の人事異動では、フジテレビで女性報道局長が誕生している。
・コンテンツ制作部門の社員女性割合は、2割程度と低いが、スポーツ部門の平均が13.5%と特に低い。
・在京キイ局の女性局長は13名おり、局は以下の通りだった。
人事局、総務局・・・各2名、
総務人事局、ビジネスプロデュース局、メディアビジネス局、配信ビジネス局、ネットワーク局、広報局、国際局、編成考査局、情報制作局・・・各1名
・男女間賃金格差について、男性を100としたところ平均81.0%という結果だった。うち、正規雇用労働者は平均82.1%、非正規雇用労働者については、各社ばらつきが大きかった。
【在阪局】
・社員女性割合は平均23.3%だが、新卒採用では37.9%と3割を超えている。
・女性役員について、3局で0名。
・女性局長について、調査開始以降初めて全局で女性局長ゼロ%を脱した。
・局長女性割合15.7%、管理職女性割合13.1%と、3割には届いていない。
・コンテンツ制作部門の調査では、全局で女性局長ゼロだった。
・コンテンツ制作部門の社員女性割合は、2割程度と低いが、スポーツ部門の平均が8.5%と特に低い。朝日放送のスポーツ部門の女性社員は0名だった。
・男女間賃金格差について、男性を100としたところ平均76.1%という結果だった。うち、正規雇用労働者は平均79.4%非正規雇用労働者がさらに低かった。
■データについての注釈
・「役員」に監査役は含む、顧問、執行役員は含めなかった。
・「局長」には、会社の直下にある室長、事務局長、部長は含めなかった。
・コンテンツ制作・編成部門の社員数については、主に現場で制作する部署を調査対象とし、管理部門を除いた。兼務者、嘱託社員も含めた。
・コンテンツ制作・編成部門の「局長」は、局長または室長などセクションでの最高責任者、原則1名の意思決定者の性別を調査した。
・「管理職」は、各局が公開しているデータを収集したため、管理職の定義は局ごとに定めたもの。
【在京の民放テレビ局女性割合】

【在阪の民放テレビ局女性割合】

2. 2022年度 在京・在阪の民放ラジオ局女性割合
■主な調査結果
・在京局(7社)中 女性役員ゼロは5社、女性ライン管理職ゼロは3社だった。
・在阪局(5社)中 女性役員ゼロは3社、女性ライン管理職ゼロは1社だった。
■データについての注釈
・「ライン管理職」は局長と部長と支社長。出向先は除いた。
【在京の民放ラジオ局女性割合】

【在阪の民放ラジオ局女性割合】

3. 2022年度 全国の民放テレビ局の女性役員割合
■主な調査結果
・127社の役員総数 1793名 女性役員総数 57名(前回比+15) 女性役員割合の平均 3.0% (前回2.2%)
・女性会長 1社(岐阜放送) 女性社長 2社(新潟テレビ21、石川テレビ)
・女性役員数(127社中)
0名 81社(全体の63.8%)前回-11社
1名 39社 前回+9社
2名 5社 前回+2社
3名 0社 前回と同じ
4名 2社 前回+2社
5名以上 0社 前回と同じ
■データについての注釈
・「役員」に監査役は含む、顧問、執行役員は含めなかった。
【全国の民放テレビ局127社の女性役員割合】


4. 2022年度 全国の民放ラジオ局の女性役員割合
■主な調査結果
・98社の役員総数 1051名 女性役員総数 33名(昨年比+1) 女性役員割合の平均 3.3%
・女性会長 2社(岐阜放送、広島エフエム)、女性社長 2社(ニッポン放送、エフエム石川)
女性役員数(98社中)
0名 71社(全体の72.4%) 前回-1社
1名 21社 前回と同じ
2名 6社 前回+2社
3名以上 0社 前回➖1社
(ラジオ・テレビ兼営社 31 社。赤字で表示。)
■データについての注釈
・「役員」に監査役は含む、顧問、執行役員は含めなかった。
【全国の民放ラジオ局98社の女性役員割合】



5. 2023年夏発表の在京民放テレビ局役員およびホールディングス役員女性割合
2023年夏に発表された在京民放各社の役員人事も、全局で女性役員が任命された。一方、今回初めて調査を行った在京キー局ホールディングス社役員の女性割合の調査では、日テレHDで女性役員がゼロだった。
在京テレビ局の女性役員数(2023年7月1日時点)
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テレビ局ホールディングスの女性役員数(2023年7月1日時点)
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※「役員」に監査役は含めた。顧問、執行役員、補欠監査は含めていない。
6. 民放連の女性役員割合
民放連役員数40名中女性役員0名。2022年6月更新 2年任期。
問い合わせ先: 民放労連 03-3355-0461 info@minpororen.jp
「民放テレビ・ラジオ局女性割合調査報告」リリースのお知らせ(2023/11/7)
報道機関各位
民放労連女性協議会
【2022年度データ】
全国のテレビ局の 63.8% 、ラジオ局の 72.4% で女性役員ゼロ!
全国の平均女性役員割合 テレビ局 3.0% 、ラジオ局 3.3%
在京キイ局の男女間賃金格差平均 81.0%
(男性を 100% としたときの女性の賃金)
【2023年夏】在京キイテレビ局の女性役員は 99名中10名 に
日頃より、日本民間放送労働組合連合会(以下、民放労連)の活動にご理解・ご協力をいただき、ありがとうございます。
「民放テレビ局・ラジオ局女性割合調査報告」をリリースしましたのでお知らせします。(リンク)民放労連は民放連に対して、民放連および加盟社の意思決定者への女性登用を訴えてきましたが、僅かな改善は見られるものの、「民放の女性役員を3割に」にはほど遠い結果です。
全国のテレビ局・ラジオ局・在阪テレビ局は依然6割以上の社で女性役員ゼロ
6割以上 女性役員ゼロ

これまで5回の調査を行ってきた在京テレビ局は、2017年度に7社中5社(日本テレビ、テレビ朝日、テレビ東京、フジテレビ、NHK)で役員女性ゼロから始まり、今回の調査ではじめて全局に女性役員がいる状態になりました。一方、在阪テレビ局の60.0%、全国のテレビ局の63.8%、全国のラジオ局の72.4%で女性役員がゼロであり、これまで3回の調査では僅かな改善しか見られませんでした。また、在京キイテレビ局においても、2022年度の調査で、役員110名中女性9名(8.2%)、2023年度の調査で役員99名中女性10名(10.1%)と、3割にはまだ大きな隔たりがあります。
在京キイテレビ局の役員110名中、女性は9名
女性は9名


人事制度に男女差が無いテレビ局正社員でも、女性の賃金は男性の約8割!
女性活躍推進法改正に基づき、2022年7月から常時雇用労働者301人以上の事業主を対象に、男女間賃金格差の開示が義務付けらました。男性を100とした男女間賃金格差は、在京キイテレビ局で平均81.0%、在阪テレビ局で平均76.1%、正社員についても在京キイテレビ局平均82.1%、在阪テレビ局平均79.4%の格差があるという結果でした。登用の差や出産育児での時短やブランクがあるのではないかと推察されますが、人事制度に男女の差がない正社員の格差は、予想以上に大きいものでした。
目標設定と具体的な計画立案を!
今回の調査では、民放の調査結果では、1年前と比較して、民放の女性役員の登用状況が微増に留まっていることが数値上明らかになりました。
2020年に閣議決定された第5次男女共同参画基本計画には、「2020年代の可能な限り早期に指導的地位に占める女性の割合が30%程度となるよう目指して取組を進める。」とされています。各社、日本のジェンダーギャップ指数125位の低さについて報道していますが、自社の足元を見直すべきなのではないでしょうか。民放各社や民放連が、現状を直視して自主的に数値的目標を掲げ、目標達成のための具体的な計画を立て、実行しないことには、意思決定層に女性を増やすことはできません。
放送局で働く人の偏りは視聴者の意識に影響!
男女共同参画基本計画第10分野に、「教育・メディア等を通じた意識改革、理解の促進」には、「メディア等からの情報が子供をはじめ様々な世代に対して固定的な性別役割分担意識等を植え付けず、また、押し付けないようなものとなるためには、メディア分野の経営層や管理職において性別による偏りがないことが重要である。このため、メディア分野等における意思決定過程への女性の参画拡大を促進する。」という記載があります。放送局の働き方や働く人の人員構成は、発信する報道内容やコンテンツを通して人々の意識に大きな影響力があり、それが政策や制度にも反映されます。在京キイ局のコンテンツ制作・編成部門の局長相当25ポスト中女性は2名でした。意思決定者に偏りがあることはコンテンツの偏りへのつながりが懸念される一方で、もし改善された場合、社会に与える好影響は決して小さくないと期待されます。
在京キイ局のコンテンツ制作・編成部門の局長相当
25ポスト中女性は2名

放送産業の発展のためには多様性が必要
経産省は⼥性登⽤を含む『ダイバーシティ経営』を「⾃由な発想が⽣まれ、⽣産性を向上し、⾃社の競争⼒強化につながる、といった⼀連の流れを⽣み出しうる経営」と位置づけており、ダイバーシティ経営をしている企業は、そうでない企業と⽐べて経営成果が良いという調査結果を発表しています。放送の受取り⼿の半数が⼥性です。イノベーションを促進する⼥性登⽤は、ビジネスモデルの転換期に⽴たされている⺠放の経営課題の解決に⼤きく寄与するのではないでしょうか。
今後も⺠放労連では、全国の⺠放テレビ局・ラジオ局の意思決定層への⼥性登⽤を訴えていく予定です。是⾮、テレビ・ラジオを含む報道各社での報道をお願いいたします。
問い合わせ先: ⺠放労連 03-3355-0461 info@minpororen.jp
よみうりテレビサービス見せしめ不当解雇撤回を求める決議(2023/8/7)
よみうりテレビサービスは、2020年1月17日、自社の無期雇用のA組合員が職場である読売テレビに出社するところを待ち構え、入館証を取り上げて自宅待機命令通知書を突きつけ、A組合員が私物を持ち出す時間さえも与えず社外に追い出した。すぐに近畿地区労働組合に加入し、労働組合は解雇撤回を求め幾度も団体交渉を申し入れたが、会社は応えず、自宅待機を延長し、2月14日に一方的に解雇通知書を送りつけ解雇した。
会社が出してきた解雇理由証明書には解雇理由が7項目記載されている。しかし、いずれも具体的事実が証明されているものはなく、解雇に値するものでもない。そもそも解雇前にA組合員に意見を聴く機会も与えず、一方的に社内での行動を問題視した質問状を送りつけ、自宅待機を命じた経緯にも問題がある。よみうりテレビサービスは裁判で解雇理由の証拠を提示したが、それは本人に許可を得ず秘密裏に録音されたもので、正当な証拠とは言い難いものである。執拗に個人のプライバシーに踏み込んだり、不当な手段での解雇理由の立証など、会社役員が全員交代した現在も誠実な態度も示さず、裁判にも真摯に向き合わず、時間を引き延ばしているだけである。労働組合は再三にわたってA組合員の解雇撤回を申し入れている。解決に向け行動しなければならないのは、よみうりテレビサービスの経営陣である。
民放労連第137回定期大会の名において、改めて、A組合員の解雇撤回を強く求めるものである。
右、決議する。
2023年8月7日
日本民間放送労働組合連合会 第137回定期大会
株式会社よみうりテレビサービス 代表取締役社長 米倉 敬太 殿
民放労連第137回定期大会アピール(2023/8/7)
最高気温が連日35度を超える酷暑が続く東京で、結成70周年を迎えた民放労連の第137回定期大会がハイブリッドで開催された。
ロシアとウクライナの戦争が長期化し、原油高を引き金とした物価高が続いている。急激な物価上昇に対応するためにも賃上げの流れを止めてはいけない。
春闘では京都放送労組の43年連続ベア獲得をはじめ、全体で40組合がベアを獲得している。今後も生活を守り、より魅力的な会社と職場にするためにも賃上げやさまざまな制度を勝ち取れるよう、年末闘争、来春闘へ向けてこれまで以上に手を携えていく必要がある。
今大会では、多くの組合からの発言を促すために「規模別分散会」がおこなわれ、現状でそれぞれが抱える問題や課題などについて意見交換がおこなわれた。
若手の離職に関してはどの分散会でも問題とされ、賃上げだけではなく魅力ある産業にする必要性が報告された。またコロナ禍で広がったリモートワークや在宅勤務での長時間かつ拘束的な働き方に対する「つながらない権利」の必要性の報告など、今後の取り組みに生かせる情報交換となった。
民放労連内の2つの争議について、早期解決に向けた支援要請がなされた。ひとつは関東地連での「議員秘書による取材活動中の記者に対する性暴力事件」、もうひとつは近畿地連での「よみうりテレビサービス見せしめ解雇争議」で、特に「よみうりテレビサービスでの解雇争議」では、これまでの3年にわたる会社側による人権無視の対応が繰り返されている事に対する悲痛な訴えが、大会参加者の心を打った。
争議が長引けば当事者の心身ともに消耗が激しくなることは明らかであり、一刻も早く争議解決させるためにも、民放労連全体で取り組む事を確認した。
減少し続ける労働組合と組合員数を改善させるためには、民放労連の本部・地連・単組の将来に向けた組織のあり方について検討する必要があるとの認識で、「組織財政検討委員会」が設置され、これまでの検討結果と今後の方針についての報告がなされた。
組織や活動をコンパクト化することで体制の強化と、「いまの時代に合った労働組合活動」を目指し、本部・地連・単組の役割分担と活動の棚卸しによる効率化を基にした会費設定と予算配分の見直しを進めていることが報告された。
民放労連は、今年70周年の節目を迎えたが、放送業界をとりまく環境は厳しさを増している。70年に渡って先輩が築き上げてきた放送業界への信頼を守り抜き、すべての争議解決と労働者の生活向上・待遇改善を進めていこう。
2023年8月7日
日本民間放送労働組合連合会 第137回定期大会
政府による放送への圧力を排するために独立行政委員会の設置を求める(2023年3月10日)
2023年3月10日
日本民間放送労働組合連合会
安倍政権当時の2014年から2015年にかけて、放送法における「政治的公平」の解釈をめぐって、官邸から総務省に対して法解釈の変更を迫っていた事実を記載した文書が国会で公表され、総務省はこれが同省の行政文書であることを認めました。当時総務相だった高市早苗経済安全保障担当相は「ねつ造文書だ」として内容を否定していますが、総務省側に直接働きかけたとされる礒崎陽輔首相補佐官(当時)は事実関係をおおむね認めています。
2016年2月、当時の高市総務相の「一つの番組でも著しく政治的公平に違反した放送局には電波法に基づく停波を命じることができる」とした趣旨の国会答弁。さらには、総務省の「個別の番組について政府が政治的公平性を判断できる」との政府統一見解の背景に、首相官邸側から放送法解釈変更を迫る執拗な圧力があったことが、このほど明らかになったことになります。
放送法は第3条で、放送番組について「何人からも干渉され、又は規律されることがない」とする「放送番組編集の自由」を掲げています。このため放送の「政治的公平」などを定めた放送法第4条は、放送事業者が自律的に遵守すべき倫理規定だと一般的に解釈されてきました。
諸外国の放送行政では、政府とは一線を画した独立行政委員会による間接規制が通例となっています。政府が放送局の免許を直接掌握し、電波の停止命令を出すこともできるとする日本の放送制度は、国際的に異例と言うほかありません。そもそも政府が放送内容に立ち入って政治的公平性を判断すること自体が憲法・放送法に違反していると考えます。
私たち民放労連は、「国家権力からの独立と放送の自由を保障するため、放送制度・放送行政を抜本的に見直し、政府から独立した、放送を所管する行政委員会の設置」との要求を運動方針に掲げています。放送制度の改革をめぐっては、政府による放送への不当な圧力を排するために、この直接免許制の見直し、独立行政委員会の設置の検討が最優先であるべきです。
国連の自由権規約委員会も昨年11月、日本の放送制度について「放送・免許付与当局の独立性を確保するために必要なあらゆる措置を講じること」などとする総括所見を公表し、日本政府に勧告しています。今こそ、放送行政における独立行政委員会の設置を真剣に検討すべきだと私たちは考えます。
以 上
よみうりテレビサービス不当解雇撤回を求める決議(2023年1月29日)
よみうりテレビサービスは、2020年1月17日、自社の無期雇用のA組合員が職場である読売テレビに出社するところを待ち構え、入館証を取り上げて自宅待機命令通知書を突きつけ、A組合員が私物を持ち出す時間さえも与えず社外に追い出した。すぐに近畿地区労働組合に加入し、労働組合は解雇撤回を求め幾度も団体交渉を申し入れたが、会社は応えず、自宅待機を延長し、2月14日に一方的に解雇通知書を送りつけ解雇した。
会社が出してきた解雇理由証明書には解雇理由が7項目記載されている。しかし、いずれも具体的事実が証明されているものはなく、解雇に値するものでもない。そもそも解雇前にA組合員に意見を聴く機会も与えず、一方的にA組合員の行動を問題視した質問状を送りつけ、自宅待機を命じた経緯にも問題がある。解雇理由の詳細を明確にするのは、A組合員の解雇を決定したよみうりテレビサービスの社会的な責任であるが、3年が経とうとする今も詳細を明らかにしようとせず、会社役員が全員交代した現在も誠実な態度も示さず、裁判にも真摯に向き合わず、時間を引き延ばしているだけである。労働組合は再三にわたってA組合員の解雇撤回を申し入れている。解決に向け行動しなければならないのは、よみうりテレビサービスの経営陣である。
民放労連第136回臨時大会の名において、改めて、A組合員の解雇撤回を強く求めるものである。
右、決議する。
2023年1月29日
日本民間放送労働組合連合会第136回臨時大会
株式会社よみうりテレビサービス代表取締役社長 原 俊一郎 殿
民放労連第136回臨時大会アピール(2023年1月29日)
過去最高の感染者数を出している第8波がようやく収まりつつある中、今回は現地とリモートでの参加によるハイブリッドで臨時大会が開かれました。
コロナの収束は未だに見通せていませんが、すでに世界ではコロナ前の日常を取り戻すべく動いていることから、日本もその動きに合わせた形でコロナの感染症レベル緩和を検討しています。一方で、緩和による医療態勢への危惧や経済回復にともなう物価の高騰など、日常生活に対する不安は高まるばかりです。これら危惧や不安を解消していくためにも、日々のニュースや情報番組などを通して全国の視聴者・リスナーに、安心と安全に対する正しい情報を発信することがますます重要となっています。
大会の議論では、最初によみうりテレビサービスでの解雇争議支援の訴えについて、当事者の体調や意見を踏まえた上での取り組みの一つとして、SNSやネットの活用の提案や意見が多く出され、労連全体で早期解決に向けての方法が議論されました。
また、春闘に関してのアンケートの結果からは、経営規模や年代に関係なく物価上昇で生活が苦しくなる中、春闘でどうベースアップを勝ち取るのか、特に若手の賃金や働きがいに対する不満に対してどう取り組むのかが大きな課題として浮かび上がっています。大会でも、統一要求やベア獲得の取り組み、諸要求などについての発言が相次ぎました。
政府は「インフレ率を超える賃上げ」を要請し、経済界も「物価高に負けない賃金引上げ」を容認しています。民放産業の経営者の頑ななベアゼロ姿勢を打ち破るためにも、民放労連の規模別や地域ごとのつながりを生かして情報交換を密にし、すべての単組で物価上昇をカバーできるベースアップを始め、不満と不安を解消・軽減できる回答が勝ち取れるよう、力を合わせて行きましょう。
放送業界を取り巻く環境は、かつてないほど激しく変化しています。YouTubeやネットフリックス、Amazonプライム、TikTokをはじめとしたネット系のコンテンツなども、そのビジネスモデルを変化させながらシェア争いを繰り広げています。
放送業界も大きな変革を迫られています。女性管理職・役員登用などジェンダーバランスの改善も急務ですし、男性の育休取得の推進も法整備が進められています。こうした現実から目を背けず、今こそ労使で10年後、20年後のあるべき姿を描き、そのためにどう変革していくのかを真剣に協議し、次代の魅力ある放送・コンテンツ産業を切り拓いて行きましょう。
民放労連は、組織財政検討委員会を立ち上げ、将来の民放労連のあるべき姿を見据えた改革の検討を始めると提起しました。検討委員会での議論を踏まえながら、放送業界で働くすべての組合員が今後も最大限力を発揮できるような環境整備、さらには生活水準や待遇を向上させられるよう、これからも時代の先頭に立って放送・コンテンツ産業の将来を切り拓く取り組みを展開していきます。力を合わせて頑張っていきましょう!
2023年1月29日
日本民間放送労働組合連合会第136回臨時大会