声明・報告

『宣言~あらゆるハラスメントを許さない・見過ごさない・隠蔽しない~』

『宣言~あらゆるハラスメントを許さない・見過ごさない・隠蔽しない~』

いま、女性たちが声をあげ始めています。

その声は、女性だから、弱い立場だからと不当に貶められてきた自分自身への、また仲間たちへの卑劣な「ハラスメント」に対する怒り。
ソーシャルメディアからはじまった小さな声は、「#Me Too」運動として、瞬く間に、全世界に広がりを見せています。

その声は、職場で、学校で、地域で、家庭においても、時に無視され、周囲の人間関係を忖度し、「空気を読め」と圧力をかけられ、言いたくても言えなかった心の叫びです。

この春、私たち民間放送局に働く者にとって看過できないハラスメント事案が、明るみになりました。
当時の財務省事務次官による女性記者に対するセクシャル・ハラスメントです。
さらに、麻生太郎財務大臣は、このハラスメントを認めようともしないどころか、女性の人権を蔑むような、新たなハラスメント発言を口にしました。

日頃、男女平等や人権の大切さを訴え、「ハラスメント」被害に苦しむ女性や社会的弱者の声なき声に耳を傾け、彼らたちの心の叫びを代弁してきたはずの私たちの、まさに足元で引き起こされたこの問題に、放送人として真正面から向き合わなければなりません。

たとえ相手が、取材対象であっても、スポンサーであっても、自らへのハラスメントは、すべての女性たち、すべての社会的弱者たちへのハラスメントであると受け止め、自らが先頭に立って、ハラスメントに立ち向かうこと。それが私たち公共の放送に携わる者にとっての矜持だと考えます。その勇気を後ろから支えてくれるのが労働組合です。

民放労連は、4月18日に「財務次官セクハラ疑惑と政府の対応に強く抗議する」声明を発表、同月25日には民放連へ「セクハラ問題で緊急の申し入れ」をし、さらに5月17日には、全日本テレビ番組製作者連盟へも「ハラスメント根絶に向けた要請書」を提出しました。

折りしも、国際労働機関(ILO)は今月8日、職場での暴力や性的な嫌がらせなどのハラスメントを防止する条約の制定を求める報告書を採択しました。
制定されれば、ハラスメントに対する法的規制としては、初の国際基準となります。

ここ熊本で開催された、民放労連女性協議会「全国女性のつどい」に参加した私たちは、ILOでのハラスメント防止条約が早急に採択されることを強く求めるとともに、私たちの身近にある、あらゆるハラスメントを許さない・見過ごさない・隠蔽しないことを、宣言します。

2018年6月23日

民放労連女性協議会 『民放労連全国女性のつどいIN熊本』参加者一同

「第55回 民放労連全国女性のつどい in 熊本」 アピール

「第55回 民放労連全国女性のつどい in 熊本」 アピール

「復興に向かう熊本の姿を見てほしい。私たちが抱える職場の問題を共有し、明日からの生きる糧としてもらえれば」。野口昌子実行委員長の開会挨拶で口火を切った、第五十五回民放労連全国女性のつどい。今年は、2年前震災の被害に遭った熊本市内で開催され、子ども5名を含む総勢113名が参加しました。

スローガンは「幸せになるモン!火の国で燃やせ 働く女性の底力~1人のためにできること」。

長時間労働に起因する過労死や自殺が社会問題化する中、政府が最重要法案と位置づけている「働き方改革法案」は、与党の“数の力”で、先月衆議院を通過しました。労働者保護のための「働き方」改革ではなく、企業主体の「働かせ方」改革に過ぎない「高度プロフェッショナル制度」。法案作成の根拠となるはずの厚労省の調査には不適切なデータ処理が散見され、充分な審議が尽くされたとはとても言えません。
また、まさに私たちの足元で起きたと言える、当時の財務省次官による女性記者へのセクシャル・ハラスメントは、その後の麻生太郎財務大臣による女性の人権軽視ともとれる発言も含め、放送人として、決して看過できるものではありません。

全体会では、齋田公生書記長が「未来について学べる勉強会。将来に向けて、少しでも役に立つ形で持ち帰ってほしい」と挨拶。RBCビジョン労組の照喜納萌子さんは、女性契約社員の雇い止めを、組合の団結力で会社に撤回させた成果について報告しました。

基調講演のテーマは、「赤ちゃんポストはそれでも必要です~子どもは未来の宝~」。元慈恵病院・看護部長の田尻由貴子さんが、命の教育の大切さを訴えました。設置から11年で137人の子どもが預けられた赤ちゃんポスト。年々、その数が減る一方で、子どもの遺棄や虐待が増えている現状からは、若年妊娠や貧困など、様々な社会的問題が浮き彫りとなっています。
「相手を責めずに、耳を傾け寄り添う」という田尻さんの信念は、報道に携わる私たちにとっても、胸に響く言葉と言えるでしょう。

講演後には、2つの震災を体験したママ防災士のワークショップや、7男3女を持つお母さんの子育て術、専門医による漢方講座、ファイナンシャルプランナーが指南するライフプラン、私らしい働き方改革、そしてハラスメントについてなど、6つの分科会に分かれ、活発な議論が交わされました。

明日2日目は、熊本地震被災地をめぐる2つのツアーが予定されています。

復興に向けて力強く歩みを進めるここ火の国・熊本で、あらゆる差別やハラスメントを許さない底力を燃やし、一人のために何ができるかを、参加した皆さんと考え分かち合うことを誓い、「女性のつどい」のアピールとします。

2018年6月23日 第55回 民放労連全国女性のつどい in 熊本

「働き方」関連法案強行採決抗議 委員長談話(2018年5月25日)

民放労連委員長談話

「働き方改革」関連法案の「強行採決」に抗議する

2018年5月25日

日本民間放送労働組合連合会

中央執行委員長 赤塚 オホロ

 

過労死や過労自殺が大きな社会問題となり、長時間労働改善が急務となっているなか、安倍晋三首相と政府与党が今国会での最重要課題と位置付ける「働き方」に関する関連法案が本日、衆議院厚生労働委員会で、与党などの賛成多数で可決された。

そもそもこの法案は2015年4月に「労働基準法等改正案」として提案されて以降、根強い反対意見もあって一度も審議されることなく2年以上継続審議とされ、昨年の衆議院解散により審議未了で廃案となったものである。それが今国会で最重要法案の一つとされ「働き方改革関連法案」として再度提案されたが、法案作成にあたって厚生労働省が提出していた資料に不適切なデータが使用されていたことが判明して「裁量労働制の適用範囲拡大」が法案から削除されるなど、検討段階から問題を抱えていたいわくつきの法案である。

さらにこの法案の目玉である「高度プロフェッショナル制度(残業代ゼロ制度)」については、専門性、年収要件、本人同意などさまざまな適用条件が付けられているが反対の声は根強く、この制度を今国会で何としても成立させたい政府は一部野党の意見を採り入れて「制度適用後も撤回できる」と修正し、制度の適用と撤回は労働者個人の自由意思に委ねられているとの印象を与えようとしているが、使用者に比べて圧倒的に弱い立場に置かれているのが労働者であることを考慮すれば、実効性に乏しいと言わざるを得ない。

「高度プロフェッショナル制度」は、すべての労働時間規制を撤廃し、企業の残業代支払い義務を免除するものであり、たとえ導入当初に高い適用条件を付けていたとしても、今後経済界の意向を受けて条件が引下げられる可能性は非常に高い。何より2015年に塩崎前厚生労働大臣が経済界との懇談で「小さく産んで、大きく育てる」と発言したことを忘れてはならない。

連合の神津里季生会長も「過労死、過労自殺の温床になる」と発言するなど、多くの労働者や労働組合などの団体が強い反対の声を上げているにもかかわらず、政府・与党が国会内の「数の力」で強引に法案採決を行ったことに対し、私たちは強い怒りをもって抗議する。

以 上

規制改革推進会議へ「通信と放送の融合の下での放送のあり方について」に関し意見提出(2018年5月17日)

規制改革推進会議「投資等ワーキンググループ」に対する民放労連の意見

2018 年5 月17 日

日本民間放送労働組合連合会
中央執行委員会

 

私たち民放労連は、全国のラジオ局、テレビ局とその関連会社などで働く労働者で組織す
る、放送産業で唯一の産業別労働組合の連合体で、約9000 人を組織しています。現在、貴
会議で議論されている「通信と放送の融合のもとでの放送のあり方について」に関して、以
下のとおり意見を述べます。

(1)豊かな番組の再生産のために十分な還元を

放送番組は、多数の労働者がそれぞれに創意工夫をこらして作り上げるもので、私たちは
これまで一貫して「人と番組を大切にする」ことを各方面に求めてきました。
ところが、多くの放送の現場では番組制作費の削減がおこなわれる一方で、クオリティー
の維持・向上や創意工夫が求められて長時間労働が常態化し、さらには下請・孫請けなど重
層的産業構造の中で働く低賃金・不安定雇用の労働者が多数を占めるようになっています。
私たちは放送局の正社員以外の労働者を「構内労働者」と呼んで、労働組合への加入を呼び
かけるとともに、その賃金・労働条件の改善と番組制作費の回復を経営者たちに求めてきま
した。
現に、民放194 社の決算は、売上が5 年連続増収の2 兆2501 億円、当期利益は前年度を
上回り、各企業の内部留保も過去最高の2 兆7 千億円を上回ることは確実と見られていま
す。こうした資金を番組制作費や放送の現場で働く労働者により多く還元することで、視聴
者の「知る権利」に奉仕する豊かな放送番組を制作することができるはずです。
実際には、劣悪な労働環境というイメージのために、放送局や番組制作会社は労働者の確
保に難渋しているのが現状です。番組制作の現場に十分な見返りがないという状態をこのま
ま放置すれば、放送産業はますます人材が枯渇して、制作スキルやノウハウの継承・発展が
いよいよ困難になるでしょう。そのように荒廃した現場からはどのようなビジネスモデルも
成立しない、と私たちは断言します。

(2)放送における言論・表現の自由の保障を

放送法は第3条で「放送番組編集の自由」を掲げています。これは日本国憲法第21条が
「一切の表現の自由」を保障していることに直結しているものです。このため、放送の政治
的公平などを定めた放送法第4条は、放送事業者が自律的に遵守すべき倫理規定だと、研究
者の間では解釈されてきました。
ところが政府は、番組全体の内容を見て判断するというこれまでの見解に変更はないとし
ながらも、「極端な場合は個別の番組だけでも政治的公平を判断できる」との政府統一見解
をまとめ、逸脱している場合には放送電波の運用停止を命じることも可能だとしています。
これは、放送に対する政治的圧力以外の何ものでもありません。
このような政府と放送局の不健全な関係は、政府・総務省が放送免許の許認可権を直接把
握していることに起因するものです。ほとんどの先進諸国では独立行政委員会による間接規
制にしていることからすれば、日本の放送制度は異例と言うほかありません。
私たちは「国家権力からの独立と放送の自由を保障するため、放送制度・放送行政を抜本
的に見直し、政府から独立した、放送を所管する行政委員会の設置」の要求を長年の運動方
針としてきました。放送制度の見直しが議論されるのであれば、国際的にも異例である直接
免許制の再検討がまず議論されなければならないと、私たちは考えます。

(3)「電波の有効活用」のためには国民的な議論を

放送用の電波は、多数の人々に、同時に、瞬時に情報を伝達することができる、社会的に
有益なツールです。周波数帯の割り当ては、国際的な取り決めに従って、各国で厳格なルー
ルの下に運用されています。こうして割り当てられた電波は、言うまでもなく「国民の共有
財産」です。
すべての視聴者に受信機の買い替えを迫った地上テレビ放送のデジタル化から、まだ数年
しか経過していません。また、AMラジオのFM補完放送も、各地で始まっています。この
ような状況下では、拙速な電波利用の見直しによって視聴者・リスナーに無用の混乱を招か
ないことが求められます。
今年は高画質放送の4K・8Kが衛星放送でスタートしますが、今後の技術革新によりこ
れらの放送を地上波でも、ということになれば、地上波デジタル化の時と同じくテレビの買
い替えを国民に迫ることになるばかりでなく、新たな周波数帯の確保をしなければならなく
なり、それこそ「電波の有効活用」の観点から疑問を感じざるを得ません。
自衛隊や在日米軍が優先的に利用している周波数帯など、十分に情報公開されていない電
波利用の実態もあります。「電波の有効活用」を掲げるのであれば、こうしたさまざまな電
波利用の実態を明らかにして、総合的なプランを構築するために、国民各層の意見を反映で
きる幅広い議論の場を設けることから始めるべきではないでしょうか。

以 上

全日本テレビ番組製作社連盟(ATP)に「ハラスメント」根絶に向けた要請を提出(2018年5月17日)

2018年5月17日

一般社団法人全日本テレビ番組製作社連盟
理事長 倉内 均 殿

日本民間放送労働組合連合会
中央執行委員長 赤塚オホロ

「ハラスメント」根絶に向けた要請

財務省事務次官によるテレビ朝日女性記者へのセクシャル・ハラスメントがあったとして、大きな社会問題となっています。アメリカでのハリウッド女優などに対するセクシャル・ハラスメントが、ソーシャルメディアで「#Me Too」として全世界に広がりを見せていることからも、私たちはジャーナリズムに携わる労働者として看過できません。そして、今回の問題に限らず、民放産業内でも職場や仕事先でセクハラ、パワハラ、マタハラなどで心身に大きな影響を受けて、休職や退職に追い込まれている例があります。

私たち民放労連は、運動方針で「あらゆる性差別やハラスメントに反対し、職場での周知徹底と研修を求め、相談窓口の設置と相談者の側に立った具体的な救済措置」を経営者に要求しています。これは、放送で働くすべての労働者と、その労働者が働くすべての職場や場所が対象です。そして相談者のプライバシー保護はもとより、その相談事案に対する最大限の救済措置を求めているものです。

各社では法令に則り、相談窓口の設置と担当者を配置しているものと考えますが、各種ハラスメントは被害者と加害者で意識の違いが大きく、相談窓口担当者の意識の違いもその後の対応に大きく影響します。相談窓口担当者には兼務・兼任が多い現状を考えると、日々の仕事の忙しさの中でハラスメントに対する教育と研修、そして相談者への対応がおざなりになっていないでしょうか。

今回の事例を、個人的な問題あるいは個別の放送局の問題だと矮小化するのではなく、民放産業全体で取り組まねばならない重要な課題であると捉え、個人の尊厳を著しく傷つける行為である各種ハラスメントに対し、番組制作会社各社を束ねる貴連盟が強いリーダシップを発揮して、ハラスメント根絶に向けて取り組まれるようお願いいたします。

以 上

民放連へ「セクハラ問題」で緊急の申し入れ(2018年4月25日)

2018年4月25日

一般社団法人日本民間放送連盟

会長 井上 弘 殿

日本民間放送労働組合連合会

中央執行委員長 赤塚オホロ

 

「ハラスメント」根絶に向けた緊急申し入れ

 

財務省事務次官によるテレビ朝日女性記者へのセクシャル・ハラスメントがあったとして、大きな社会問題となっています。アメリカでのハリウッド女優などに対するセクシャル・ハラスメントが、ソーシャルメディアで「#Me Too」として全世界に広がりを見せていることからも、私たちはジャーナリズムに携わる労働者として看過できません。そして、今回の問題に限らず、民放産業内でも職場や仕事先でセクハラ、パワハラ、マタハラなどで心身に大きな影響を受けて、休職や退職に追い込まれている例があります。

 

私たち民放労連は、運動方針で「あらゆる性差別やハラスメントに反対し、職場での周知徹底と研修を求め、相談窓口の設置と相談者の側に立った具体的な救済措置」を経営者に要求しています。これは、放送で働くすべての労働者と、その労働者が働くすべての職場や場所が対象です。そして相談者のプライバシー保護はもとより、その相談事案に対する最大限の救済措置を求めているものです。

 

各社では法令に則り、相談窓口の設置と担当者を配置しているものと考えますが、各種ハラスメントは被害者と加害者で意識の違いが大きく、相談窓口担当者の意識の違いもその後の対応に大きく影響します。相談窓口担当者には兼務・兼任が多い現状を考えると、日々の仕事の忙しさの中でハラスメントに対する教育と研修、そして相談者への対応がおざなりになっていないでしょうか。

 

今回の事例を、個人的な問題あるいは個別の放送局の問題だと矮小化するのではなく、民放産業全体で取り組まねばならない重要な課題であると捉え、個人の尊厳を著しく傷つける行為である各種ハラスメントに対し、民間放送各社を束ねる貴連盟が強いリーダシップを発揮して、ハラスメント根絶に向けて取り組まれるよう強く申し入れます。

 

 

以 上

規制改革推進会議「通信と放送の融合の下での放送のあり方について」に対する民放労連委員長談話

規制改革推進会議「通信と放送の融合の下での放送のあり方について」

に対する民放労連委員長談話

 

2018年4月20日

日本民間放送労働組合連合会

中央執行委員長 赤塚 オホロ

 

政府の規制改革推進会議は、安倍首相も出席した4月16日の会合で放送制度の見直しを議論し、その中で今後の課題として「通信・放送の融合によるビジネスモデル」「多様で良質なコンテンツの提供」「電波の有効利用に向けた制度のあり方」を掲げ、第三次答申に向けて検討を進めていくことを表明した。この席では、政治的公平などを規定した放送法4条をはじめとする放送特有の規制の撤廃などは議論されなかったと報じられている。

視聴者にも大きな影響を及ぼしかねない問題について拙速な議論とならなかったことはひとまず評価したい。しかし、議論の方向性としては、相変わらず産業振興の側面ばかりが強調されていて、放送の社会的効用や公共的価値に関する論点が欠如していることが強く懸念される。放送法の目的にあるとおり、健全な民主主義の発達に資するために、私たち放送に働く者はこれまで努力を積み重ねてきた自負がある。こうした取り組みがまったく考慮されないような政策論議は、到底受け入れられない。

そもそも「投資等ワーキンググループ」という経済的価値を追求するための作業部会では、先に指摘したような放送の公共性に基づいた議論を期待できるはずもない。放送制度の見直しを検討するのであれば、産業界だけではなく国民各層の意見を幅広く反映できるよう、もっとオープンな枠組みで一から議論をやり直すべきだ。

 

以 上

声明「財務次官セクハラ疑惑と政府の対応に強く抗議する」

財務次官セクハラ疑惑と政府の対応に強く抗議する

 

2018年4月18日

 民放労連女性協議会

 日本民間放送労働組合連合会

 

週刊誌の報道に端を発した財務省・福田淳一事務次官による女性記者へのセクシャル・ハラスメント疑惑に関し、麻生太郎財務大臣並びに財務省は女性の人権を軽視し、報道機関への圧力ともとれる対応を続けている。民放労連女性協と民放労連は、財務省の対応に強く抗議する。また、各メディア企業に対しては、被害者保護のためにあらゆる対策を講じるよう求める。

 

一、福田次官、麻生大臣、財務省の対応について

財務省が顧問契約を結ぶ弁護士事務所に被害者本人から名乗り出るよう求めている点について、強く抗議する。「調査協力要請」は記者に求められる取材源の秘匿の観点からも到底応じられるものではない。さらに、名乗りでるという行為は、取材者としての立場を揺るがすものである上、プライバシーが保証されるのかも明確ではない。これは、セクハラの二次被害を生み出すとともに、報道機関への圧力・攻撃になる。

麻生大臣は、福田次官のセクハラ疑惑が報道された当初、調査をしないという方針を示した。その後も、被害者女性が名乗り出ない限り事実認定が難しいとの考えを示すなど、セクハラ被害を真剣に受け止めない態度を続けており、到底看過できるものではない。このような姿勢は、被害者があたかも加害者であるかのように扱う風潮を助長し、被害者の立場を著しく貶めるものである。

「女性活躍」を掲げてきた安倍政権であるはずなのに、一連の政府の対応を見ると「女性の人権」を軽んじているようにしか見えない。「女性活躍」をうたう政権として、その基盤となる「女性の人権」に真摯に向き合う事が求められている。政府はまず、福田次官への事情聴取・事実確認を行い、さらに、同様のセクハラが他の省庁でも行われていないか徹底的に調べるべきである。

 

一、報道機関である企業の取るべき対応について

私たちは、セクハラへの徹底した対策を各社に要求する。放送局の現場で働く多くの女性は、取材先や、制作現場内での関係悪化をおそれ、セクハラに相当する発言や行動が繰り返されてもうまく受け流す事を暗に求められてきた。たとえ屈辱的な思いをしても誰にも相談できないのが実態だ。この問題はこれ以上放置してはいけない。記者やディレクター、スタッフ、そして出演者らが受けるセクハラは後を絶たないのに、被害を受けたと安心して訴え出られるような環境も整っていない。このような歪みを是正しなければ、健全な取材活動、制作活動は難しくなる。

決して、被害を訴え出た側が責められるようなことになってはならない。「それくらい我慢するべきだ」「しょうがない」など個々人に負担を強いる指示や黙認は、セクハラを傍観し、容認する態度であり、到底許されない。

視聴者の半数は女性である。本来、伝え手である記者やディレクター、スタッフ、出演者は受け手と同じ比率で女性がいるべきであるが、現段階では二割程度にとどまっており、現場を指揮する意思決定層に至ってはほとんど女性がいない現実がある。本件のような問題に際して「現場に女性を出すな」といった安易な対応は、取ってはならない。

 

 

以 上

 

「放送制度改革」に対する民放労連の声明 (2018年3月27日)

「放送制度改革」に対する民放労連の声明

 

2018年3月27日

日本民間放送労働組合連合会

 中央執行委員会

 

安倍政権が検討しているという「放送制度改革」の方針案が明らかになった、と報道された。放送法4条の「番組編集準則」を撤廃し、インターネットと放送の規制を一本化して新規参入を促す内容で、安倍晋三首相は今年になって「放送事業の在り方の大胆な見直しが必要」と繰り返し発言し、内閣府の規制改革推進会議などで検討を進めているという。

番組編集準則は「番組の公序良俗」「事実を曲げないこと」「政治的公平」「多角的報道」を放送事業者に求めているものだが、放送の自律に基づく倫理規定として運用されるのならば、視聴者に対する放送倫理の表明として認められるものだ。しかし、これまで自民党政権は、放送内容に介入するために放送法4条を法規範として持ち出し、放送局に対して番組内容に関する行政指導をしばしば行ってきた。

憲法違反の疑いの強いこのような行政指導に放送局が従わざるを得なかったのは、放送免許が政府による直接免許制とされ、政府に睨まれると停波の危険があるからだ。このように電波法と結び付けた直接免許制こそ、一刻も早く改められるべきであり、独立行政委員会制度の創設など、国際社会で一般的な間接免許制に向けた議論を始めるのが先決だと私たちは考える。

一昨年の国会で行われた、当時の高市早苗総務相の「停波発言」を受けて政府が閣議決定した放送の政治的公平に関する「政府統一見解」で、現政権は、放送内容の政治的公平性を政府が判断することの正当性を改めて主張した。昨年11月に国連人権理事会から放送法4条見直しの勧告も出されていたが、これについては今月、日本政府としては「受け入れない」との態度を表明している。このようなこれまでの政府の姿勢とはまったく異なる方針案が唐突に示されたことに、驚きを禁じ得ない。総務省の検討会などでもこれほど大きな放送制度改革が議論された形跡はなく、政策の整合性の観点から強い疑問を持たざるを得ない。

約30年前に放送の公正原則を廃止した米国では、政治的な党派色を強めた番組が増え、社会の分断を助長したという指摘もある。今回の政府方針案には、情報流通の中心にインターネットを置いて、放送の社会的影響力を低下させようという狙いもあるのではないか。産業振興の色合いも強く、放送の社会的使命を軽視している様子もうかがえる。私たち放送で働く者が、放送倫理に基づく番組づくりで視聴者から信頼を得ようとしてきたこれまでの努力をないがしろにするかのような提案には、断固として反対をしていく。

放送は国民の知る権利に応える機関として、この国の民主主義の基盤の一翼を担ってきた。政府はまず、方針案決定に至る過程について、国民各層への説明責任を果たすべきではないか。

以 上

民放労連と映演共闘が民放連に申し入れ 2018年3月9日

2018年3月8日

一般社団法人 日本民間放送連盟

会長 井上 弘 殿

日本民間放送労働組合連合会

中央執行委員長 赤塚オホロ

 

申し入れ書

 

私たち民放労連は1月末、第126回臨時大会を開催し「いのちと健康、雇用と生活を守る18春闘!」をスローガンに、2018年春闘に臨むことを決定しました。加盟各組合では2月28日を中心に民放各社に対して要求を提出し、今春闘を開始しました。

 

今春闘をめぐっては、安倍首相は政労使会議の場で5年連続となる賃上げ要請を行い、「3%」という具体的な数値目標まで示しています。安倍首相がいくら「名目賃金は上昇している」と宣伝しても、実質賃金が低下している状況では消費拡大につながらず、さまざまな企業優遇施策で生み出された利益のほとんどは内部留保に回されているという現状に対する苛立ちが、「3%」という数値になったのだと考えます。

日本経済の回復のためには個人消費の拡大が不可欠であり、個人消費を活性化させるためには、物価や社会保障費の上昇を上回る「大幅な賃上げしかない」という認識は、政府はもとより、いまや社会一般に広がっています。

とりわけ、貯蓄に回りやすいと指摘される一時金よりも、ベースアップによる月例賃金の引き上げこそが、経済の活性化につながりやすいことは多くの経済学者や経済アナリストも主張しているところです。

 

2016年度の民放193社の売り上げは2兆3637億円となり、経常利益は7年ぶりに減益となりましたがそれでも1825億円を確保していますし、内部留保額も過去最高に迫るほど順調に増加しています。また貴連盟の民放連研究所による2017年度の見通しも微減ながらもほぼ前年度並みと推計しており、2018年度については微増の予測としています。

また、先月発表された電通の「日本の広告費」によると、2017年の総広告費は6年連続のプラス成長で、6兆円台に回復した2014年から3年連続での6兆円台となっています。マスコミ4媒体での広告費では、他の媒体が低下しているなか、ラジオ、テレビともに前年並みを維持していることからも、依然として広告主からの期待は大きいものがあると考えます。

貴連盟としても10年後、20年後の放送の未来が光り輝くものとなり、視聴者・リスナー、そして広告主にとって魅力ある媒体として存在していくために、加盟事業社に対して、「人と番組を大切にする」施策の推進を促すよう求めます。

 

今後も引き続き、民間放送各社を束ねる貴連盟と民放労働者を代表する唯一の産別労働組合である民放労連が、意見の相違を率直に認めつつも、これからの放送のあり方について、胸襟を開いて具体的な協議を深めることこそが、民放産業全体の発展のために極めて重要であると考えます。

こうした立場から以下に述べる民放労連の今春闘方針における3つの重点課題を真摯に受け止めていただき、併せて加盟各社に対して労使交渉で「誠意ある対応をとる」ことをご指示いただくよう申し入れます。

 

1.賃金要求「4つの柱」を追求し、すべての労働者の「賃金の底上げ」を実現する

賃金は日々の生活を営む上で必要な生活給であり、月例賃金はもちろん、賃金の後払いである一時金もすべて生活給です。さらに結婚や子育てなど家庭と家族のライフプランに合わせた生活レベルにするためにも、生計費の増加に見合う賃上げは絶対に必要ですしその賃上げ額は、物価などの経済情勢と社会保険制度や税制度、年金制度などの社会情勢を加味する必要があり、定期昇給だけで事足りるものではありません。

私たち民放労連は2018春闘において、ベースアップによる月例賃金の大幅アップ、前半年収の大幅増、初任給のアップ、「企業内最低賃金協定」締結を、賃金要求の四つの柱と位置付けて取り組むことを決定しています。

月例賃金については、物価の上昇や社会保険料の値上げなどによる家計負担を解消するため、昨年に引き続き「誰でも2万円以上」の賃上げを統一要求基準としました。

また「前半年収」については、引き続き民放労連の年収平均がピークだった2001年の水準への回復を長期的には追求しつつ、まずは世界同時不況が発生した2008年以前の半年収に戻すことを今春闘ではめざすことにしています。

「初任給アップ」については、最低賃金保障の底上げにもつながることから、引き続き「25万円以上への引き上げ」を求めることとしました。また初任給のアップは、放送をめざす若者たちが、放送の未来に希望を見出すことに直結するものと考えています。

「企業内最低賃金協定」締結の要求は、放送で働く労働者の「貧困と格差の是正」を求めて、2003年から民放労連の統一要求として掲げてきました。現在では、民放労連に加盟する労働組合がある独立U8局で労働協約が結ばれ、系列局系放送局では北陸放送や北日本放送のほか、ラジオ単営社のラジオ関西を合わせて11組合で締結されています。雇用形態の違いがあっても、放送労働者が仕事に誇りを持ち、生活の安定を図っていくにあたって、労使双方に大きなメリットがあるものと確信しています。そのためにも私たち民放労連の加盟組合は、まずは各社が直接雇用する労働者を対象とする「企業内最低賃金協定」締結とともに、「時給1500円以上、月額25万円以上」を要求し、引き上げを求めていく方針です。

 

2.雇用を破壊する労働法制改悪に反対し、人間らしい働き方を実現する

今次の通常国会で議論されている政府提出の「働き方関連法案」において、「裁量労働制の適用範囲拡大」が削除されました。これは、裁量労働制を「改正」するにあたり厚生労働省から提出されたデータが不適切な内容であり、経営者に都合よく改ざんあるいはねつ造された疑いまで出てきたからに他なりません。しかもこのデータは「高度プロフェッショナル制度」の法案作成にも利用されており、間違ったデータに基づいて作られた法案に正当性がないことは明白です。

放送が未来にわたって、視聴者・リスナーから信頼されるメディアとして発展していくためには、放送で働く労働者の権利と自由が保障され、生活を充実したものにするための雇用の安定と長時間労働が解消されていく必要があります。そのためにも放送産業に蔓延している長時間過重労働を撲滅していくことが求められています。

失った命は二度と戻りませんし、損なった健康は元通りにならないことを念頭に「いのちと健康」の観点から、業務の効率化やノー残業デー、消灯時間を決めるなどの小手先の対応で職場や個人に責任を押し付けるのではなく、人員の手当てや業務量の削減をするなどの抜本的な解決策を求めます。

また社員の長時間労働是正のために、安易に外注や外部委託などで立場の弱いプロダクションや派遣労働者に仕事を付け回すのではなく、すべての労働者が健康に働くことができる労働環境を整備させることが重要です。さらに労働時間が曖昧になりやすく、結果としてサービス残業の温床となる裁量労働制の導入にも反対します。

先にも述べましたが、労働者を労働基準法の枠外に置く「高度プロフェッショナル制度」や、ほとんどの営業職に適用することが可能となる企画業務型裁量労働制の適用範囲拡大、労働者の生活を根底から破壊する「解雇の金銭解決制度」など、労働法制の改悪には反対していきます。

貴連盟は、「極めて公共性が高い」民間放送の事業者の団体として、雇用のありかたを根本から破壊するこれら労働法制の改悪には断固として反対し、放送で働くすべての労働者の生活と雇用の安定、改善につながる真の法改正を求めて、毅然たる姿勢を表明されるよう強く望みます。

また、通算五年以上有期契約で働いた労働者が求めれば無期雇用に転換できることになった労働契約法と、有期の派遣労働者は三年を超えて同じ職場で働くことができなくなった労働者派遣法の適用を控え、立法趣旨を遵守して雇い止めすることがないよう要請します。

人間らしい働き方を実現するために労働者の権利を守り、私たち労働者を犠牲にするような法制度や企業内制度の改悪には毅然とした姿勢でたたかいます。

私たち民放労連では、放送の信頼性を高めるためにも、放送局構内で働くすべての労働者が、安心して働くことができ、安定した生活を営むことができる労働条件への改善こそ、放送が未来にわたって視聴者・リスナーから信頼されるメディアとして発展していくための重要な要素だと考えています。

 

3.平和と言論・表現の自由を守り、職場と生活(くらし)に憲法を活かす

安倍首相と政府は「特定秘密保護法」「安保関連法」「テロ等準備罪(共謀罪)」と矢継ぎ早に数の論理で法案を成立させ、そして大義なき解散総選挙の結果、憲法改正の発議要件である衆参両院での総議員の3分の2を確保した自民党と改憲勢力は、戦争ができる国づくりを着実に進めています。

国際NGO組織の「国境なき記者団」の報道の自由度ランキングでは2011年には11位だった順位が、年々順位を下げて2016年には七二位まで低下し、2017年も回復の兆しはありません。海外から見ても報道に対する政府の圧力強化と、それに伴う報道への信頼の低下を読み取ることができます。

市民のためのジャーナリズムであるとの原点に立ち返り、言論・表現の自由を守り、取材・報道を制限し、市民の知る権利を奪うことにつながる「特定秘密保護法」と、戦争への道を開く「安保法制(戦争法)」、思想信条の自由を奪うことにつながる「テロ等準備罪(共謀罪)」の廃止運動に全力で取り組みます。

過去の戦争に加担せざるを得なかったことへの反省から、戦後のマスコミの原点となった「二度と戦争のためにペンやマイク、カメラをとらない」との決意を、いま一度新たにし、国民の知る権利と報道の自由を守り抜くためにも、貴連盟が指導力を発揮してジャーナリズムの先頭に立たれることを強く期待します。

 

――― 総務省申し入れに関連して ―――――――――――――――

「改正放送法」と「放送コンテンツの製作取引適正化ガイドライン」について

2014年の改正放送法により、放送局の事業再編を推進するような環境が整備されました。これまでの総務省への問い質しでは「事業再編、基盤強化は放送局独自の判断であり、総務省が推し進めるものではない」と述べていますが、このような規制緩和は、とくにローカル放送局の番組制作機能を縮小させることにつながり、地域におけるローカル放送局の存在意義を大きく損なう恐れが強まることを意味します。そのような状況に陥れば、民放系列ネットワーク全体の総合力を低下させ、放送の社会的使命を十分果たせなくなる恐れもあると憂慮しています。

貴連盟としても、地域に密着した多様な放送のあり方を堅持していく立場から、「改正放送法」には、安易に再編を推進することのないよう、毅然として対応されるよう求めます。

さらに「放送コンテンツの製作取引適正化ガイドライン」の遵守状況についても問い質しをおこない、公正取引委員会のフォローアップ調査結果ではガイドライン自体の認知度は高い水準で推移して改善の兆しも見られるものの、依然として調査対象社の約3割(複数該当含む)で事前協議もない優越的地位の濫用が指摘され、なかでも採算確保が困難となる買いたたきが半分を占めています。公正取引委員会は「法律に違反する行為には、厳正に対処していく」としていますし、総務省も「優越的地位の濫用は、総務省としても問題があると考えている。下請法に違反する行為を周知していく」と述べています。

プロダクションが、発注元である放送局に番組制作取引において対等な立場で交渉することはきわめて困難です。このような関係を改善させていくためにも私たち民放労連では、すべての放送労働者の労働組合への加入を働きかけています。同時に貴連盟としても、放送産業の未来のために、すべての放送労働者が人間らしく働き、生活していくことができるよう、放送局が率先してプロダクションや関連会社との公正・公平関係を築くよう指導力を発揮されることを求めます。

 

以上