【民放労連声明】「共謀罪」の国会提出は断念すべきだ

【民放労連声明】

「共謀罪」の国会提出は断念すべきだ

 2017年2月10日

日本民間放送労働組合連合会

中央執行委員長 赤塚 オホロ

 

過去三回国会に提出され、廃案となった「共謀罪」関連法案が、「テロ等準備罪」と名称を変えて、国会に提出されるという見通しが報じられている。安倍首相は、この法律の成立なしに「東京オリンピックは開催できない」とまで強弁し、今国会での成立に意欲的だと伝えられる。

「共謀罪」は、具体的な犯罪の実行があり、被害があって初めて処罰の対象にされるという「近代刑法の原則」から逸脱した考え方に基づくものであり、「共謀」の立証のために捜査機関による会話の盗聴やメールのチェックなど、プライバシーを侵し平穏な市民生活を脅かす捜査の拡大が危惧されている。政府は、対象となる犯罪を減らし、また適用されるのは組織犯罪集団やテロの可能性のある集団に絞ると説明しているが、その「集団」の定義はあいまいで、政府や捜査当局の意向次第で、労働組合や市民団体、政党にまで広げられる恐れがぬぐえない。国家権力による市民の監視や思想の取り締まりに濫用が及ばない保証がどこにあるだろうか。

この法案はまさに「平成の治安維持法」と呼ばれているように、一般社会におけるコミュニケーション全般を取り締まることになる、危険極まりない法案と言うほかない。

日常的な取材・報道活動、労働組合の活動にも深刻な影響をもたらすこの法案を、私たち放送で働く者は絶対に認めるわけにいかない。

この法案をめぐっては、法務大臣が国会での議論を回避しようとする質問封じの文書を配布し、厳しい批判を受けてすぐに撤回するなど、すでに民主主義の原則をないがしろにするような事態も起きている。国会でのまともな審議に耐えられない法案であることは、過去三回も廃案となっていることからも明白だ。私たちは、政府が「共謀罪」関連法案の国会提出を断念すべきであることを強く訴える。

以 上