民放労連第132回臨時大会「争議の解決に向けABCが誠実に取り組むよう求める決議」(2021年1月31日)

 ABCラジオニュースを長年支え続けた派遣スタッフ5人が、解雇されてから間もなく3年が経つ。落ち度もないのに職を奪われ、話し合いまで拒絶され続けた5人がこの間、経済的に精神的にいかに苦難を強いられてきたかは、容易に察しがつく。
 
 大阪府労働委員会が組合側全面勝利の命令を下したのは当然である。さらに中央労働委員会においてもABCの主張に正当性は見られない。こうした負い目があるからこそABCは、中労委の勧めに従い、和解協議に応じたのではないか。
 協議はヤマ場に差し掛かった。コロナ禍にも関わらず中労委は期日を延期せず、組合員とその家族の新たな出発のために懸命に動いている。社会秩序に大きな影響を与える放送局としての矜持があるのなら、速やかに己の非を認め、全精力を解決のために傾注してもらいたい。
 5人との争議の裏でABCは昨年春、契約社員1名を不当に解雇した。この事案は4度の団交と労働審判を経て、約半年で和解が成立したと聞く。組合差別が憲法で保障された労働基本権を侵害していることを強く指摘しておく。

 確かに昨年からABCの対応が軟化し始めたことは評価に値する。しかし、その一方で巨額損失事件や幹部社員のインサイダー取引と、不祥事が収束しない。ABCは、解雇した組合員のみならず、視聴者・リスナーから親しまれる番組作りのため日夜奮闘するすべての構内労働者の顔に泥を塗っている。弱者いじめにすぎない争議を社内から一掃し、真に健全な企業体質に生まれ変わることこそが、ABCの利益となるはずだ。
 今回、リモート開催の第132回臨時大会に全国から参加し、心をひとつにする我々は、ABCに対し、今こそ争議の解決に向けて邁進するよう、強く、切に要求する。

 右、決議する。

2021年1月31日
日本民間放送労働組合連合会 第132回臨時大会

朝日放送グループホールディングス 代表取締役社長 沖中進 殿
朝日放送ラジオ 代表取締役社長 岩田潤 殿