民放労連第131回定期大会アピール(2020年7月25日)

 新型コロナウイルス感染拡大の不安が払拭されないことから、私たちは緊急避難的措置として民放労連第131回定期大会をリモート会議の形式で開催した。あくまでも緊急措置であり、大会運営上でのさまざまな問題や課題があったが、今後の新しい民放労連運動の可能性のひとつが示される大会となった。
 新型コロナウイルスでは、民放産業も大きな影響を受けているとの報告が相次いだ。昨年から続くスポット不況、そして今回の新型コロナ禍に対し、民放産業の経営者はどのような対策を考え、放送の将来像を描いているのだろうか。民放経営者は、放送の将来を明るく確かなものとし、誰もが憧れる魅力的な放送産業としていく義務がある。今こそ、これまで私たちの努力で積み上げてきた内部留保を、放送の将来のために使うべき時ではないのか。そういう決断ができる経営者を期待する。
 朝日放送ラジオ・スタッフユニオン争議は、会社側が大阪府労委での労働者側勝利命令を不服とし、場所を中労委に移して第1回調査が行われた。また、テレビ北海道労組の不当労働行為申し立てでも第1回調査が行われ、北海道労働委員会からは即日組合側の主張を採り入れた和解案が提示された。両争議とも今後の展開は予断を許さないが、早期解決に向けて民放労連全体で支援し、困っている仲間に寄り添おう。
いわゆる同一労働同一賃金を定めた「働き方改革関連法」が4月から施行された。四国放送労組や京都放送労組では、社員と同等の制度適用や手当支給など、不合理な格差を大幅に改善させている。先行する単組の成果を民放労連全体に広げ、働きがいのある産業にしなくてはならない。
 さらに、安心して働ける放送業界とするために、依然としてなくならない各種ハラスメントの根絶を進めて行く必要がある。民放における男性中心の職場環境を改めるためにもジェンダーバランスを改善し、他者を敬う社内風土を培い、ハラスメントの被害者も加害者も出ない職場を作ろう。
 6月7日の沖縄県議選では、辺野古埋め立て反対の民意が重ねて示された。その5日後、沖縄防衛局は辺野古の埋め立て工事を再開した。政府には沖縄県民の民意を無視し続けることをやめ、その声に真摯に耳を傾けることを求める。
 憲法「改正」に向けた国民投票法の改正論議は次の国会に先送りされた。実際に国民投票が行われれば、資金力のある与党側の圧勝は確実とみる識者もいる。私たちは平和と民主主義を守るため、改憲発議を食い止める取り組みを続けていこう。
 2021年は民放ラジオ放送開始70年、2023年には民放テレビ放送開始70年、そして民放労連結成70周年を迎える。その節目の時までに、私たちの放送産業をどのような姿に変えることができるのか。次の大きな節目である100周年に向けて、魅力と活力溢れる産業となり、その日を迎えるためにも、私たちは「いのちと健康」「雇用と生活」を守って厳しい今を乗り越え、魅力ある放送を創り出そう!

2020年7月25日
日本民間放送労働組合連合会 第131回定期大会