民放労連第130回臨時大会 大会アピール(2020年1月26日)

 東京オリンピックまで半年を切った。先週末には、全国114のテレビ局が一体となり、特別番組が放送された。大きな期待とともに誘致された東京五輪。運営・準備において懸念される点はあれど、東京五輪が日本に多くの感動や元気をもたらしてくれることを強く望む。
 その一方でオリンピックに向けてのお祭りムードが、今の日本が取り組むべき問題を先送りにしていることの「言い訳」になっていないだろうか。皆が一体となって五輪を盛り上げることは素晴らしい。しかし「今やるべきこと」は何なのかをしっかりと見据え、その課題のために一体になろう。そんな思いを胸に我々はここ両国に集まった。

 年末闘争の報告では、経営陣による業績不振を理由とした厳しい回答と不況宣伝に対峙していくことの重要性を複数組合が訴えた。テレビ北海道労組は会社の不誠実で不当な対応に立ち向かうために労働委員会に相談することを決めた。長崎放送労組は会社からの誠意なき回答に対して大規模ストでの組合員の団結を示した。また、朝日放送ラジオ・スタッフユニオンからは、解雇争議の経過報告がなされ、会社設立38年になる日本テレビグループのバップでは危機感を抱く仲間たちが組合を立ち上げ、我々の仲間に加わった。

 人が集まり、その人を「優れた人材」に育て上げられる職場環境をつくりだそう。そのためには我々労働者が雇用形態の違いを乗り越えて団結することが必要である。昨年、施行された「改正」労基法では時間外上限規制と有給休暇の取得義務化が実施された。我々の労働環境は本当に改善されているのか。「働き方」は改革されているのか。法令を守るべき管理監督者、経営者への忖度はいらない。真の「改革」を進めよう。

 「同一労働同一賃金」が大企業ではこの4月から、そして中小企業でも来年4月から義務付けられる。法律が施行される今こそ、格差を解消し、安心して働くことのできる環境をつくるため、そして将来の放送業が魅力ある業界であり続けるために、我々は一層団結していこう。

 安倍首相が年頭の記者会見で述べた「改憲への揺るぎなき思い」とは裏腹に、改憲を支持しない層が、支持派を大きく上回る世論調査の結果もある。安倍首相は曲解や歪曲を改め、拙速な改憲論議をやめるべきた。また、「公益」というあいまいな基準を口実に「表現の自由」を制限する「検閲ドミノ」を許してはならない。

 MICの行ったセクハラアンケートでは、相談窓口での不適切な対応による二次被害が明らかになった。女性協の調査では在京民放テレビ局の報道・情報番組の最高責任者に女性がいないことが改めて分かった。これを当たり前と捉えてはならない。ジェンダーバランスやジェンダー意識を改善し、信頼されるメディアとしての地位を守ろう。

 そのシンボルといえる首里城を失った沖縄では、辺野古の埋め立てをめぐる「民意の踏みにじり」が続いている。昨年2月の県民投票では圧倒的多数の埋め立て反対票が集まった。この結果を無視して工事を強行する政府の対応を我々は断じて許さない。

 10年後の放送を魅力ある産業にしていくためにも、目先の利益ばかりを追求する経営者を許してはならない。積み上げられた内部留保をヒトとモノへの投資のために活用するのは「今」だ。未来を担っていく労働者のために強い意志をもって声を上げよう。すべての放送労働者の団結により、労働組合の社会的な使命を果たすとともに、賃上げと労働環境改善で放送の未来をつくろう!

2020年1月26日
日本民間放送労働組合連合会 第130回臨時大会