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メディアで働く女性のための緊急電話相談結果【プレスリリース】

報道機関各位
2018年7月1日
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メディアで働く女性のための緊急セクハラ110番を実施
~女性弁護士らによる電話相談~
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メディア業界の労働組合でつくる日本マスコミ文化情報労組会議(略称:MIC、議長:小林基秀新聞労連中央執行委員長、*参照)は、女性弁護士グループ「日本労働弁護団・女性労働プロジェクトチーム(PT)」(代表 長谷川悠美弁護士)の協力のもと、メディアで働く女性のための緊急セクハラ110番を実施しました。相談は、女性弁護士10人、臨床心理士1人、MIC加盟の新聞労連・出版労連・民放労連・全印総連(印刷)の各単一産業別組合の担当者6人が応じました。
その結果、メディアで働く女性労働者から、職場でのセクハラ被害や事業者がセクハラ被害に対応しない実態などについて相談がありました。電話相談の概要は次の通りです。

◆実施日:2018年7月1日(日)午前10時~午後3時に実施
◆実施場所:新聞労連書記局(文京区本郷2-17-17井門本郷ビル6階)
◆対象者:メディア・マスコミで働く女性
◆目的:①全国のメディア・マスコミ業界で働く女性のセクハラ被害の実態を把握
②個別被害の解決につなげる

◆相談事例
事例① 新聞・通信社 女性
記者同士が集まる酒席で、同業他社の男性記者から身体接触があったり、性的冗談やからかいなど
のセクハラ行為を受けたりした。同業記者男性は相談者を含めて複数の女性記者に対して、頻繁に
同様のセクハラ行為を繰り返している。加害男性記者がセクハラをする相手は年齢が若い女性記者
ばかり。上司に相談したいが、面倒くさがられて仕事が任されなくなるのではないかという懸念や
加害男性記者からの報復の懸念があり、会社に相談できない。「自分がなめられているから被害に
遭うのかもしれない」と自分の能力の低さを責めている。同業他社からのセクハラについて対処方
法を教えて欲しい。また社内でも結婚や性的指向について、上司から言われ不快な思いをしている。

事例② 出版 女性(非正規)
職場の雰囲気がおかしいと思っていたところ、上司から仕事を辞めることを勧奨された。職場内で、
職場の男性との性的関係やその内容についてばらされ、自分の知らないところで噂になっていたこ
とを辞める時に知った。ショックを受けた。悔しい。

事例③ 放送 女性
職場の男性から一方的に好意を告げる膨大な数のメールが送られるなどのセクハラを繰り返し受け
た上に、性的関係を強要された。会社に相談したが、対応してくれなかった。その後、精神的ダメ
ージを受けたことで、会社に行けず病気になって休職に追い込まれ、辞めざるを得なくなった。
会社には女性蔑視の風土を変えてほしい。自分と同じようなことを繰り返さないでほしいので、
こういう事例があることを社会に知ってもらいたい。

事例④ 放送 女性
同僚たちとの酒席で、参加者から性的な辱めを受け、拒否したところ、さらに同僚男性から胸を触
られ、必死でその場から逃げた。後日、加害男性に謝罪を求めたところ、「酒席の場のこと」とし
て取り合ってもらえなかった。さらに、加害男性本人が、胸を触ったことを吹聴した。それにより
行為が周知され、加害男性は上司から注意を受けたようだが、相談者自身も「冗談が通じない人間」
として取り扱われ、不利益を被った。メディア業界ではセクハラが当たり前のこととしてまかり通
っていることを世の中に知ってほしい。

*新聞労連、民放労連、出版労連、全印総連、広告労協、映演労連、映演共闘、音楽ユニオン、電産労
の九つの産業別労働組合がつくる団体。

『宣言~あらゆるハラスメントを許さない・見過ごさない・隠蔽しない~』

『宣言~あらゆるハラスメントを許さない・見過ごさない・隠蔽しない~』

いま、女性たちが声をあげ始めています。

その声は、女性だから、弱い立場だからと不当に貶められてきた自分自身への、また仲間たちへの卑劣な「ハラスメント」に対する怒り。
ソーシャルメディアからはじまった小さな声は、「#Me Too」運動として、瞬く間に、全世界に広がりを見せています。

その声は、職場で、学校で、地域で、家庭においても、時に無視され、周囲の人間関係を忖度し、「空気を読め」と圧力をかけられ、言いたくても言えなかった心の叫びです。

この春、私たち民間放送局に働く者にとって看過できないハラスメント事案が、明るみになりました。
当時の財務省事務次官による女性記者に対するセクシャル・ハラスメントです。
さらに、麻生太郎財務大臣は、このハラスメントを認めようともしないどころか、女性の人権を蔑むような、新たなハラスメント発言を口にしました。

日頃、男女平等や人権の大切さを訴え、「ハラスメント」被害に苦しむ女性や社会的弱者の声なき声に耳を傾け、彼らたちの心の叫びを代弁してきたはずの私たちの、まさに足元で引き起こされたこの問題に、放送人として真正面から向き合わなければなりません。

たとえ相手が、取材対象であっても、スポンサーであっても、自らへのハラスメントは、すべての女性たち、すべての社会的弱者たちへのハラスメントであると受け止め、自らが先頭に立って、ハラスメントに立ち向かうこと。それが私たち公共の放送に携わる者にとっての矜持だと考えます。その勇気を後ろから支えてくれるのが労働組合です。

民放労連は、4月18日に「財務次官セクハラ疑惑と政府の対応に強く抗議する」声明を発表、同月25日には民放連へ「セクハラ問題で緊急の申し入れ」をし、さらに5月17日には、全日本テレビ番組製作者連盟へも「ハラスメント根絶に向けた要請書」を提出しました。

折りしも、国際労働機関(ILO)は今月8日、職場での暴力や性的な嫌がらせなどのハラスメントを防止する条約の制定を求める報告書を採択しました。
制定されれば、ハラスメントに対する法的規制としては、初の国際基準となります。

ここ熊本で開催された、民放労連女性協議会「全国女性のつどい」に参加した私たちは、ILOでのハラスメント防止条約が早急に採択されることを強く求めるとともに、私たちの身近にある、あらゆるハラスメントを許さない・見過ごさない・隠蔽しないことを、宣言します。

2018年6月23日

民放労連女性協議会 『民放労連全国女性のつどいIN熊本』参加者一同

「第55回 民放労連全国女性のつどい in 熊本」 アピール

「第55回 民放労連全国女性のつどい in 熊本」 アピール

「復興に向かう熊本の姿を見てほしい。私たちが抱える職場の問題を共有し、明日からの生きる糧としてもらえれば」。野口昌子実行委員長の開会挨拶で口火を切った、第五十五回民放労連全国女性のつどい。今年は、2年前震災の被害に遭った熊本市内で開催され、子ども5名を含む総勢113名が参加しました。

スローガンは「幸せになるモン!火の国で燃やせ 働く女性の底力~1人のためにできること」。

長時間労働に起因する過労死や自殺が社会問題化する中、政府が最重要法案と位置づけている「働き方改革法案」は、与党の“数の力”で、先月衆議院を通過しました。労働者保護のための「働き方」改革ではなく、企業主体の「働かせ方」改革に過ぎない「高度プロフェッショナル制度」。法案作成の根拠となるはずの厚労省の調査には不適切なデータ処理が散見され、充分な審議が尽くされたとはとても言えません。
また、まさに私たちの足元で起きたと言える、当時の財務省次官による女性記者へのセクシャル・ハラスメントは、その後の麻生太郎財務大臣による女性の人権軽視ともとれる発言も含め、放送人として、決して看過できるものではありません。

全体会では、齋田公生書記長が「未来について学べる勉強会。将来に向けて、少しでも役に立つ形で持ち帰ってほしい」と挨拶。RBCビジョン労組の照喜納萌子さんは、女性契約社員の雇い止めを、組合の団結力で会社に撤回させた成果について報告しました。

基調講演のテーマは、「赤ちゃんポストはそれでも必要です~子どもは未来の宝~」。元慈恵病院・看護部長の田尻由貴子さんが、命の教育の大切さを訴えました。設置から11年で137人の子どもが預けられた赤ちゃんポスト。年々、その数が減る一方で、子どもの遺棄や虐待が増えている現状からは、若年妊娠や貧困など、様々な社会的問題が浮き彫りとなっています。
「相手を責めずに、耳を傾け寄り添う」という田尻さんの信念は、報道に携わる私たちにとっても、胸に響く言葉と言えるでしょう。

講演後には、2つの震災を体験したママ防災士のワークショップや、7男3女を持つお母さんの子育て術、専門医による漢方講座、ファイナンシャルプランナーが指南するライフプラン、私らしい働き方改革、そしてハラスメントについてなど、6つの分科会に分かれ、活発な議論が交わされました。

明日2日目は、熊本地震被災地をめぐる2つのツアーが予定されています。

復興に向けて力強く歩みを進めるここ火の国・熊本で、あらゆる差別やハラスメントを許さない底力を燃やし、一人のために何ができるかを、参加した皆さんと考え分かち合うことを誓い、「女性のつどい」のアピールとします。

2018年6月23日 第55回 民放労連全国女性のつどい in 熊本

「働き方」関連法案強行採決抗議 委員長談話(2018年5月25日)

民放労連委員長談話

「働き方改革」関連法案の「強行採決」に抗議する

2018年5月25日

日本民間放送労働組合連合会

中央執行委員長 赤塚 オホロ

 

過労死や過労自殺が大きな社会問題となり、長時間労働改善が急務となっているなか、安倍晋三首相と政府与党が今国会での最重要課題と位置付ける「働き方」に関する関連法案が本日、衆議院厚生労働委員会で、与党などの賛成多数で可決された。

そもそもこの法案は2015年4月に「労働基準法等改正案」として提案されて以降、根強い反対意見もあって一度も審議されることなく2年以上継続審議とされ、昨年の衆議院解散により審議未了で廃案となったものである。それが今国会で最重要法案の一つとされ「働き方改革関連法案」として再度提案されたが、法案作成にあたって厚生労働省が提出していた資料に不適切なデータが使用されていたことが判明して「裁量労働制の適用範囲拡大」が法案から削除されるなど、検討段階から問題を抱えていたいわくつきの法案である。

さらにこの法案の目玉である「高度プロフェッショナル制度(残業代ゼロ制度)」については、専門性、年収要件、本人同意などさまざまな適用条件が付けられているが反対の声は根強く、この制度を今国会で何としても成立させたい政府は一部野党の意見を採り入れて「制度適用後も撤回できる」と修正し、制度の適用と撤回は労働者個人の自由意思に委ねられているとの印象を与えようとしているが、使用者に比べて圧倒的に弱い立場に置かれているのが労働者であることを考慮すれば、実効性に乏しいと言わざるを得ない。

「高度プロフェッショナル制度」は、すべての労働時間規制を撤廃し、企業の残業代支払い義務を免除するものであり、たとえ導入当初に高い適用条件を付けていたとしても、今後経済界の意向を受けて条件が引下げられる可能性は非常に高い。何より2015年に塩崎前厚生労働大臣が経済界との懇談で「小さく産んで、大きく育てる」と発言したことを忘れてはならない。

連合の神津里季生会長も「過労死、過労自殺の温床になる」と発言するなど、多くの労働者や労働組合などの団体が強い反対の声を上げているにもかかわらず、政府・与党が国会内の「数の力」で強引に法案採決を行ったことに対し、私たちは強い怒りをもって抗議する。

以 上

規制改革推進会議へ「通信と放送の融合の下での放送のあり方について」に関し意見提出(2018年5月17日)

規制改革推進会議「投資等ワーキンググループ」に対する民放労連の意見

2018 年5 月17 日

日本民間放送労働組合連合会
中央執行委員会

 

私たち民放労連は、全国のラジオ局、テレビ局とその関連会社などで働く労働者で組織す
る、放送産業で唯一の産業別労働組合の連合体で、約9000 人を組織しています。現在、貴
会議で議論されている「通信と放送の融合のもとでの放送のあり方について」に関して、以
下のとおり意見を述べます。

(1)豊かな番組の再生産のために十分な還元を

放送番組は、多数の労働者がそれぞれに創意工夫をこらして作り上げるもので、私たちは
これまで一貫して「人と番組を大切にする」ことを各方面に求めてきました。
ところが、多くの放送の現場では番組制作費の削減がおこなわれる一方で、クオリティー
の維持・向上や創意工夫が求められて長時間労働が常態化し、さらには下請・孫請けなど重
層的産業構造の中で働く低賃金・不安定雇用の労働者が多数を占めるようになっています。
私たちは放送局の正社員以外の労働者を「構内労働者」と呼んで、労働組合への加入を呼び
かけるとともに、その賃金・労働条件の改善と番組制作費の回復を経営者たちに求めてきま
した。
現に、民放194 社の決算は、売上が5 年連続増収の2 兆2501 億円、当期利益は前年度を
上回り、各企業の内部留保も過去最高の2 兆7 千億円を上回ることは確実と見られていま
す。こうした資金を番組制作費や放送の現場で働く労働者により多く還元することで、視聴
者の「知る権利」に奉仕する豊かな放送番組を制作することができるはずです。
実際には、劣悪な労働環境というイメージのために、放送局や番組制作会社は労働者の確
保に難渋しているのが現状です。番組制作の現場に十分な見返りがないという状態をこのま
ま放置すれば、放送産業はますます人材が枯渇して、制作スキルやノウハウの継承・発展が
いよいよ困難になるでしょう。そのように荒廃した現場からはどのようなビジネスモデルも
成立しない、と私たちは断言します。

(2)放送における言論・表現の自由の保障を

放送法は第3条で「放送番組編集の自由」を掲げています。これは日本国憲法第21条が
「一切の表現の自由」を保障していることに直結しているものです。このため、放送の政治
的公平などを定めた放送法第4条は、放送事業者が自律的に遵守すべき倫理規定だと、研究
者の間では解釈されてきました。
ところが政府は、番組全体の内容を見て判断するというこれまでの見解に変更はないとし
ながらも、「極端な場合は個別の番組だけでも政治的公平を判断できる」との政府統一見解
をまとめ、逸脱している場合には放送電波の運用停止を命じることも可能だとしています。
これは、放送に対する政治的圧力以外の何ものでもありません。
このような政府と放送局の不健全な関係は、政府・総務省が放送免許の許認可権を直接把
握していることに起因するものです。ほとんどの先進諸国では独立行政委員会による間接規
制にしていることからすれば、日本の放送制度は異例と言うほかありません。
私たちは「国家権力からの独立と放送の自由を保障するため、放送制度・放送行政を抜本
的に見直し、政府から独立した、放送を所管する行政委員会の設置」の要求を長年の運動方
針としてきました。放送制度の見直しが議論されるのであれば、国際的にも異例である直接
免許制の再検討がまず議論されなければならないと、私たちは考えます。

(3)「電波の有効活用」のためには国民的な議論を

放送用の電波は、多数の人々に、同時に、瞬時に情報を伝達することができる、社会的に
有益なツールです。周波数帯の割り当ては、国際的な取り決めに従って、各国で厳格なルー
ルの下に運用されています。こうして割り当てられた電波は、言うまでもなく「国民の共有
財産」です。
すべての視聴者に受信機の買い替えを迫った地上テレビ放送のデジタル化から、まだ数年
しか経過していません。また、AMラジオのFM補完放送も、各地で始まっています。この
ような状況下では、拙速な電波利用の見直しによって視聴者・リスナーに無用の混乱を招か
ないことが求められます。
今年は高画質放送の4K・8Kが衛星放送でスタートしますが、今後の技術革新によりこ
れらの放送を地上波でも、ということになれば、地上波デジタル化の時と同じくテレビの買
い替えを国民に迫ることになるばかりでなく、新たな周波数帯の確保をしなければならなく
なり、それこそ「電波の有効活用」の観点から疑問を感じざるを得ません。
自衛隊や在日米軍が優先的に利用している周波数帯など、十分に情報公開されていない電
波利用の実態もあります。「電波の有効活用」を掲げるのであれば、こうしたさまざまな電
波利用の実態を明らかにして、総合的なプランを構築するために、国民各層の意見を反映で
きる幅広い議論の場を設けることから始めるべきではないでしょうか。

以 上

全日本テレビ番組製作社連盟(ATP)に「ハラスメント」根絶に向けた要請を提出(2018年5月17日)

2018年5月17日

一般社団法人全日本テレビ番組製作社連盟
理事長 倉内 均 殿

日本民間放送労働組合連合会
中央執行委員長 赤塚オホロ

「ハラスメント」根絶に向けた要請

財務省事務次官によるテレビ朝日女性記者へのセクシャル・ハラスメントがあったとして、大きな社会問題となっています。アメリカでのハリウッド女優などに対するセクシャル・ハラスメントが、ソーシャルメディアで「#Me Too」として全世界に広がりを見せていることからも、私たちはジャーナリズムに携わる労働者として看過できません。そして、今回の問題に限らず、民放産業内でも職場や仕事先でセクハラ、パワハラ、マタハラなどで心身に大きな影響を受けて、休職や退職に追い込まれている例があります。

私たち民放労連は、運動方針で「あらゆる性差別やハラスメントに反対し、職場での周知徹底と研修を求め、相談窓口の設置と相談者の側に立った具体的な救済措置」を経営者に要求しています。これは、放送で働くすべての労働者と、その労働者が働くすべての職場や場所が対象です。そして相談者のプライバシー保護はもとより、その相談事案に対する最大限の救済措置を求めているものです。

各社では法令に則り、相談窓口の設置と担当者を配置しているものと考えますが、各種ハラスメントは被害者と加害者で意識の違いが大きく、相談窓口担当者の意識の違いもその後の対応に大きく影響します。相談窓口担当者には兼務・兼任が多い現状を考えると、日々の仕事の忙しさの中でハラスメントに対する教育と研修、そして相談者への対応がおざなりになっていないでしょうか。

今回の事例を、個人的な問題あるいは個別の放送局の問題だと矮小化するのではなく、民放産業全体で取り組まねばならない重要な課題であると捉え、個人の尊厳を著しく傷つける行為である各種ハラスメントに対し、番組制作会社各社を束ねる貴連盟が強いリーダシップを発揮して、ハラスメント根絶に向けて取り組まれるようお願いいたします。

以 上

民放連へ「セクハラ問題」で緊急の申し入れ(2018年4月25日)

2018年4月25日

一般社団法人日本民間放送連盟

会長 井上 弘 殿

日本民間放送労働組合連合会

中央執行委員長 赤塚オホロ

 

「ハラスメント」根絶に向けた緊急申し入れ

 

財務省事務次官によるテレビ朝日女性記者へのセクシャル・ハラスメントがあったとして、大きな社会問題となっています。アメリカでのハリウッド女優などに対するセクシャル・ハラスメントが、ソーシャルメディアで「#Me Too」として全世界に広がりを見せていることからも、私たちはジャーナリズムに携わる労働者として看過できません。そして、今回の問題に限らず、民放産業内でも職場や仕事先でセクハラ、パワハラ、マタハラなどで心身に大きな影響を受けて、休職や退職に追い込まれている例があります。

 

私たち民放労連は、運動方針で「あらゆる性差別やハラスメントに反対し、職場での周知徹底と研修を求め、相談窓口の設置と相談者の側に立った具体的な救済措置」を経営者に要求しています。これは、放送で働くすべての労働者と、その労働者が働くすべての職場や場所が対象です。そして相談者のプライバシー保護はもとより、その相談事案に対する最大限の救済措置を求めているものです。

 

各社では法令に則り、相談窓口の設置と担当者を配置しているものと考えますが、各種ハラスメントは被害者と加害者で意識の違いが大きく、相談窓口担当者の意識の違いもその後の対応に大きく影響します。相談窓口担当者には兼務・兼任が多い現状を考えると、日々の仕事の忙しさの中でハラスメントに対する教育と研修、そして相談者への対応がおざなりになっていないでしょうか。

 

今回の事例を、個人的な問題あるいは個別の放送局の問題だと矮小化するのではなく、民放産業全体で取り組まねばならない重要な課題であると捉え、個人の尊厳を著しく傷つける行為である各種ハラスメントに対し、民間放送各社を束ねる貴連盟が強いリーダシップを発揮して、ハラスメント根絶に向けて取り組まれるよう強く申し入れます。

 

 

以 上

規制改革推進会議「通信と放送の融合の下での放送のあり方について」に対する民放労連委員長談話

規制改革推進会議「通信と放送の融合の下での放送のあり方について」

に対する民放労連委員長談話

 

2018年4月20日

日本民間放送労働組合連合会

中央執行委員長 赤塚 オホロ

 

政府の規制改革推進会議は、安倍首相も出席した4月16日の会合で放送制度の見直しを議論し、その中で今後の課題として「通信・放送の融合によるビジネスモデル」「多様で良質なコンテンツの提供」「電波の有効利用に向けた制度のあり方」を掲げ、第三次答申に向けて検討を進めていくことを表明した。この席では、政治的公平などを規定した放送法4条をはじめとする放送特有の規制の撤廃などは議論されなかったと報じられている。

視聴者にも大きな影響を及ぼしかねない問題について拙速な議論とならなかったことはひとまず評価したい。しかし、議論の方向性としては、相変わらず産業振興の側面ばかりが強調されていて、放送の社会的効用や公共的価値に関する論点が欠如していることが強く懸念される。放送法の目的にあるとおり、健全な民主主義の発達に資するために、私たち放送に働く者はこれまで努力を積み重ねてきた自負がある。こうした取り組みがまったく考慮されないような政策論議は、到底受け入れられない。

そもそも「投資等ワーキンググループ」という経済的価値を追求するための作業部会では、先に指摘したような放送の公共性に基づいた議論を期待できるはずもない。放送制度の見直しを検討するのであれば、産業界だけではなく国民各層の意見を幅広く反映できるよう、もっとオープンな枠組みで一から議論をやり直すべきだ。

 

以 上

声明「財務次官セクハラ疑惑と政府の対応に強く抗議する」

財務次官セクハラ疑惑と政府の対応に強く抗議する

 

2018年4月18日

 民放労連女性協議会

 日本民間放送労働組合連合会

 

週刊誌の報道に端を発した財務省・福田淳一事務次官による女性記者へのセクシャル・ハラスメント疑惑に関し、麻生太郎財務大臣並びに財務省は女性の人権を軽視し、報道機関への圧力ともとれる対応を続けている。民放労連女性協と民放労連は、財務省の対応に強く抗議する。また、各メディア企業に対しては、被害者保護のためにあらゆる対策を講じるよう求める。

 

一、福田次官、麻生大臣、財務省の対応について

財務省が顧問契約を結ぶ弁護士事務所に被害者本人から名乗り出るよう求めている点について、強く抗議する。「調査協力要請」は記者に求められる取材源の秘匿の観点からも到底応じられるものではない。さらに、名乗りでるという行為は、取材者としての立場を揺るがすものである上、プライバシーが保証されるのかも明確ではない。これは、セクハラの二次被害を生み出すとともに、報道機関への圧力・攻撃になる。

麻生大臣は、福田次官のセクハラ疑惑が報道された当初、調査をしないという方針を示した。その後も、被害者女性が名乗り出ない限り事実認定が難しいとの考えを示すなど、セクハラ被害を真剣に受け止めない態度を続けており、到底看過できるものではない。このような姿勢は、被害者があたかも加害者であるかのように扱う風潮を助長し、被害者の立場を著しく貶めるものである。

「女性活躍」を掲げてきた安倍政権であるはずなのに、一連の政府の対応を見ると「女性の人権」を軽んじているようにしか見えない。「女性活躍」をうたう政権として、その基盤となる「女性の人権」に真摯に向き合う事が求められている。政府はまず、福田次官への事情聴取・事実確認を行い、さらに、同様のセクハラが他の省庁でも行われていないか徹底的に調べるべきである。

 

一、報道機関である企業の取るべき対応について

私たちは、セクハラへの徹底した対策を各社に要求する。放送局の現場で働く多くの女性は、取材先や、制作現場内での関係悪化をおそれ、セクハラに相当する発言や行動が繰り返されてもうまく受け流す事を暗に求められてきた。たとえ屈辱的な思いをしても誰にも相談できないのが実態だ。この問題はこれ以上放置してはいけない。記者やディレクター、スタッフ、そして出演者らが受けるセクハラは後を絶たないのに、被害を受けたと安心して訴え出られるような環境も整っていない。このような歪みを是正しなければ、健全な取材活動、制作活動は難しくなる。

決して、被害を訴え出た側が責められるようなことになってはならない。「それくらい我慢するべきだ」「しょうがない」など個々人に負担を強いる指示や黙認は、セクハラを傍観し、容認する態度であり、到底許されない。

視聴者の半数は女性である。本来、伝え手である記者やディレクター、スタッフ、出演者は受け手と同じ比率で女性がいるべきであるが、現段階では二割程度にとどまっており、現場を指揮する意思決定層に至ってはほとんど女性がいない現実がある。本件のような問題に際して「現場に女性を出すな」といった安易な対応は、取ってはならない。

 

 

以 上

 

「放送制度改革」に対する民放労連の声明 (2018年3月27日)

「放送制度改革」に対する民放労連の声明

 

2018年3月27日

日本民間放送労働組合連合会

 中央執行委員会

 

安倍政権が検討しているという「放送制度改革」の方針案が明らかになった、と報道された。放送法4条の「番組編集準則」を撤廃し、インターネットと放送の規制を一本化して新規参入を促す内容で、安倍晋三首相は今年になって「放送事業の在り方の大胆な見直しが必要」と繰り返し発言し、内閣府の規制改革推進会議などで検討を進めているという。

番組編集準則は「番組の公序良俗」「事実を曲げないこと」「政治的公平」「多角的報道」を放送事業者に求めているものだが、放送の自律に基づく倫理規定として運用されるのならば、視聴者に対する放送倫理の表明として認められるものだ。しかし、これまで自民党政権は、放送内容に介入するために放送法4条を法規範として持ち出し、放送局に対して番組内容に関する行政指導をしばしば行ってきた。

憲法違反の疑いの強いこのような行政指導に放送局が従わざるを得なかったのは、放送免許が政府による直接免許制とされ、政府に睨まれると停波の危険があるからだ。このように電波法と結び付けた直接免許制こそ、一刻も早く改められるべきであり、独立行政委員会制度の創設など、国際社会で一般的な間接免許制に向けた議論を始めるのが先決だと私たちは考える。

一昨年の国会で行われた、当時の高市早苗総務相の「停波発言」を受けて政府が閣議決定した放送の政治的公平に関する「政府統一見解」で、現政権は、放送内容の政治的公平性を政府が判断することの正当性を改めて主張した。昨年11月に国連人権理事会から放送法4条見直しの勧告も出されていたが、これについては今月、日本政府としては「受け入れない」との態度を表明している。このようなこれまでの政府の姿勢とはまったく異なる方針案が唐突に示されたことに、驚きを禁じ得ない。総務省の検討会などでもこれほど大きな放送制度改革が議論された形跡はなく、政策の整合性の観点から強い疑問を持たざるを得ない。

約30年前に放送の公正原則を廃止した米国では、政治的な党派色を強めた番組が増え、社会の分断を助長したという指摘もある。今回の政府方針案には、情報流通の中心にインターネットを置いて、放送の社会的影響力を低下させようという狙いもあるのではないか。産業振興の色合いも強く、放送の社会的使命を軽視している様子もうかがえる。私たち放送で働く者が、放送倫理に基づく番組づくりで視聴者から信頼を得ようとしてきたこれまでの努力をないがしろにするかのような提案には、断固として反対をしていく。

放送は国民の知る権利に応える機関として、この国の民主主義の基盤の一翼を担ってきた。政府はまず、方針案決定に至る過程について、国民各層への説明責任を果たすべきではないか。

以 上