投稿者「民放労連スタッフ」のアーカイブ

メディア日誌 2016年7月

◆総務省・経済産業両省は「衛星放送で高精細な『4K』映像を視聴するためには受信機が必要」との呼びかけを始めた。8月にBSでの4K試験放送の開始を控え、現状では専用の受信機が販売されていないため、消費者に情報を周知する必要があると判断した。(7月1日)

◆総務省がNHKの受信科を見直す議論に乗り出した。番組のインターネット配信が進むなか、テレビの無い世帯にも受信料を負担してもらうことを検討する。テレビを持たない若者が増えるなかで、公共放送を支える仕組みを見直す。ただテレビが無い世帯は新たな負担を求められるため、反発も予想される。(7月7日)

◆TBSのバラエティー番組『ピラミッド・ダービー』で、6月に放送した映像に行き過ぎた加工や編集があった問題でも放送倫理・番組向上機構(BPO)の放送倫理検証委員会は8日、審議の対象とすることを決めた。(7月9日)

◆作詞、放送作家としてテレビ界の草創期を支え、ラジオタレントやエッセイストとしても活躍した永六輔さんが、7日肺炎のため自宅で死去した。83歳。(7月12日)

◆テレビ朝日とインターネット企業「サイバーエージェント」が共同で設立したネットテレビ局「AbemaTV」の専用アプリのダウンロード数が、4月11日の開局から3ヵ月で累計500万を突破した。(7月15日)

◆テレビの参院選報道が低調だった。調査会社エム・データの調べでは、情報番組を含めた各局の関連番組の総放送時間は約26時間で、前回(2013年)の約36時間より3割近く減っていた。(7月18日)

◆サッカーJリーグは20日、英国の動画配信大手パフォームグループと、2017年から10年間の放映権契約を結んだと発表した。10年間の総額は約2100億円と過去最高の大型契約で、収益次第では上積みされる可能性もあるという。(7月20日)

◆テレビ文化を育てた巨星が落ちた。大橋巨泉さんは12日、82歳で亡くなった。20日に家族から大橋さんの最後の様子などが公表された。(7月20日)

◆ダイエット食品の行き過ぎた広告に歯止めをかけようと、消費者庁が実物さながらの法律上問題がある広告の見本をつくった。根拠もなく食べるだけで簡単に痩せられると思わせる表示をしないよう、販売業者に注意喚起するため。(7月22日)

メディア日誌 2016年6月

◆茨城放送は、同社の子会社IBSから中波とワイドFMの放送局免許を承継した。両社の合併に伴うもので、同日付で総務省から許可を受けた。(6月1日)

◆第53回ギャラクシー賞のテレビ部門大賞は、報ステで今年3月に放送された二つの特集「ノーベル賞経済学者が見た日本」と「独ワイマール憲法の“教訓”」。また、NHK「クローズアップ現代」で長くキャスターを務めた国谷裕子氏がテレビ部門特別賞に輝いた。(6月2日)

◆NHKは15年度末の受信料の世帯支払率(推計値)を公表した。都道府県別の公表を始めた11年度末から5年連続で全都道府県で支払率が向上したが、最低の沖縄県48.4%と、最高の秋田県の97.6%は、なお、2倍以上の開きがある。全国平均は前年度比1.0ポイント増の76.6%だった。 (6月3日)

◆TBSラジオは、番組の一部やオリジナルの音声コンテンツをインターネットでストリーミング配信する「TBSラジオクラウド」を始めた。放送済みの番組などが随時アップロードされ、インターネット環境にあれば無料で一定期間聴取できる。(6月6日)

◆インターネットラジオの無料配信サービス「リッスンラジオ」に音楽番組を配信したことを問題視され、日本レコード協会(レコ協)から音楽CDの使用許可打ち切りを予告された全国のコミュニティーFM29局がレコ協に使用継続を求めた訴訟の判決で、東京地裁は8日、各局の訴えを棄却した。契約違反とするレコ協側の主張を認めた。(6月9日)

◆日本民間放送連盟は定時総会で、井上弘会長(TBSテレビ名誉会長)の続投を正式に決定した。任期は2年。(6月10日)

◆NHKの浜田健一郎委員長は、任期満了により、19日に退任となる。新体制は28日以降の経営委で委員の互選で決まる。(6月19日)

◆マスメディア集中排除原則と、放送法施行規則が一部改正され、施行された。BSと110度CSの「衛星機関放送」による4K・8K実用放送のソフト業務に関する制度整備で、衛星機関放送における同原則を緩和した。(6月22日)

◆NHK経営委員会は、新委員4人を迎えた初会合を開き、前委員長の浜田健一郎・ANA総合研究所会長(68)の後任に、石原進・JR九州相談役(71)を全会一致で決め同日付で就任した。(6月28日)

メディア日誌 2016年5月

◆NHKは、2015年度決算の速報を発表した。受信料収入は前年度131億円増の6625億円となり、過去最高だった前年度を更新した。(5月13日)

◆在京テレビキイ5社は「『重大な事象』発生時における放送についての基本的な考え方」をまとめ、日本アドバタイザーズ協会(JAA)と日本広告業協会(業協)に提示した。東日本大実災発生時のCMの放送や同取引の経験から、民放連とJAA、業協は「テレビCMに関する意見交換会」を設置するなどして協議を進めていた。(5月13日)

◆在京民放キイ局五社の2016年3月期連結決算が出そろった。放送以外の事業が伸びて4社が増収だった。最終(当期)利益は、番組制作費の減少などで全社が増益だった。唯一の減収はフジ・メディア・ホールディングス。広告収入が減少したことで売上高が上がらなかった。(5月13日)

◆選挙権年齢の18歳以上への引き上げに関連し、宮城県旧幾委員会が全県立高校に、生徒が学校を通してマスコミの取材を受けることを「不適切」とする通知を出していたことが分かった。(5月16日)

◆放送倫理・番組向上機構(BPO)の放送人権委員会は、自転車事故問題を扱ったフジテレビのバラエティー番組『カスペ!「あなたの知るかもしれない世界6」』に、放送倫理上の問題があったとして、同局に再発防止に努めるよう求めた。申立人となり、番組にも出演した自転車事故被害者遺族の男性に対する視線権侵害は認めなかった。(5月16日)

◆2020年東京五輪招致の不正疑惑では、広告代理店最大手「電通」の名前が取り沙汰されている。電通側は疑惑を全面否定するものの、マーケティング専任代理店としての説明責任は十分に果たされているのか疑問が持たれている。   (5月19日)

◆エイベックス・グループ・ホールディングスは動画投稿サービスの米ユーチューブと新サービスを立ち上げ、無料で視聴できる動画配信サービスを始めた。(5月23日)

◆日本テレビホールディングスは2017年3月期を目標としていた動画配信サービス「Hulu」の英儀容黒字化を一年先送りすることにした。(5月24日)

◆テレビ放送の新技術を研究しているNHK放送技術研究所が26~29日、最新の研究技術を一般向けに公開する。(5月26日)

メディア日誌 2016年4月

◆デジタル推進協会(Dpa)と次世代放送推進フォーラム(NexTV‐F)が事業統合し、新団体「一般社団法人放送サービス高度化推進協会」(A‐PAB)が発足した。(4月1日)

◆TBSは、安全保障関連法をめぐる同局の報道を問題視する「放送法遵守を求める視聴者の会」が、番組スポンサーへの圧力を示唆したことに対し、「表現の自由、ひいては民主主義に対する重大な挑戦であり、看過できない行為」と批判するコメントを出した。(4月6日)

◆「大人のひきこもり」を特集した『ビートたけしのTVタックル』(テレビ朝日)について、放送倫理・番組向上機構(BPO)の放送倫理券使用委員会は「放送倫理の問題として取り上げる理由はない」として、討議の対象にしないことを決めた。(4月8日)

◆テレビ朝日とサイバーエージェントが設立したインターネット放送局アベマTVが開局した。 (4月11日)

◆熊本地震を受け、テレビ各局は14日夜から予定を大幅に変更して地震関連のニュースを放送した。余震が続いた15日もNHK、民放ともに被害の状況などを特別態勢で報じた。(4月16日)

◆フジテレビは17日午前10時のバラエティー番組『ワイドナショー』に安倍晋三首相が出演すると発表した。24日投開票の衆院補選期間中ということもあり、「単なる首相のPR番組になっていないか」と懸念する声も聞かれる。(4月16日)

◆フジテレビは、安倍晋三首相の録画出演が予定されていた17日午前10時のバラエティー番組『ワイドナショー』の放送を取りやめると発表した。熊本地震発生前の14日に収録したが、フジは地震に全く触れていないことに鑑みて判断したと説明している。(4月16日)

◆高市早苗総務相の「電波停止」発言などメディア規制の動きが懸念される中、言論や表現の自由の状況について日本で現地調査をしていた国連のデービッド・ケイ特別報告者が、暫定的な調査結果を公表した。特定秘密保護法や政府の圧力などで、報道の独立性が重大な脅威に直面していると警告した。(4月19日)

◆熊本地震への対応を協議するNHKの災害対策本部会議で、本部長の籾井勝人会長が原発関連の報道について「住民の不安をいたずらにかき立てないよう、公式発表をベースに伝えてほしい」と話していたことが分かった。(4月24日)

 

 

メディア日誌 2016年3月

◆CBCテレビ(名古屋市中区)の林尚樹社長は同市内で会見を行い、東海テレビ(同市東区)が全国放送する昼ドラの終了について「寂しい思いがございます」と話し、過去に自局も全国放送で昼の連ドラを手がけていた〝ライバル〟でもあることから、「ともに作って参りました局としては、できれば続けていただきたいなとは思っていました」と語った。(3月1日)

◆高市早苗総務相が放送法四条の「政治的公平」の解釈についで、一つの番組だけでも放送局に電波停止を命じる可能性に言及した問題で、テレビの報道番組に出演しているジャーナリスト六人が記者会見を開いて批判した。席上、在京放送局の報道現場から匿名で寄せられたとする、いくつかの声が紹介された。「自粛の動きがある」「有形無形の圧力を感じる」など、深刻な訴えが続いた。  (3月7日)

◆日本民間放送連盟の井上弘会長は17日の定例記者会見で、総務省が示した「(放送の公平性は)一つ一つの番組を見て、全体を判断する」との政府統一見解に対し、放送局の自主自律の判断に任せ、個々の番組で政治的公平性を判断しないよう訴えた。井上会長は番組を木に例えて「放送局は森のようなもの。木を見て森を見ないということではなく、番組全体を見てほしい」と述べた。(3月18日)

◆インターネットで配信される音楽をテレビ・ラジオ番組で使った放送局に歌手やレコード会社が使用料を請求できるようになる。現在は歌手とレコード会社が使用料を請求できるのは、CDなどの音楽に限られる。TPPでネット配信音楽でも使用料を請求できるようにすることが義務づけられたことを受け、政府は著作権法を改正する。  (3月18日)

◆毎日放送、朝日放送、大阪放送は19日正午、AMラジオ放送と同じ番組をFMでも流す「FM補完放送」の本放送を開始した。この日は、大阪市内で三社共同制作の記念番組を公開で生放送。各局のアナウンサーらが、都市部での難聴地域解消などが目的であることを紹介、「音楽やスポーツ中継がよりクリアに聞こえます」とアピールした。補完放送は大阪府のほぼ全域と京都、兵庫、奈良、和歌山各府県の一部で聞くことができる。(3月20日)

◆東日本大震災の発生直後に開局した宮城県女川町の臨時災害FM局「女川さいがいFM」が3月末で閉局する。被災者の生の声を紹介し、被災者に身近な情報を伝えながら町の復興を支えてきたが、震災五年で区切りをつける。(3月26日)

民放労連第127回定期大会「七三年も続く日米両政府による沖縄差別と辺野古新基地建設を許さない決議」(2018年7月29日)

七三年も続く日米両政府による沖縄差別と辺野古新基地建設を許さない決議

六月二三日、少女は沖縄県糸満市摩文仁の沖縄戦全戦没者追悼式の会場にいた。「平和の詩」を朗読するために。事前の記者会見ではもじもじしていた一四歳の少女は、三権の長や閣僚らを前に、原稿に一度も目を落とすことなく、凛としたまっすぐな眼差しで、「戦力という愚かな力を持つことで、得られる平和など、本当は無い」と訴えた。

一方、追悼式では「私たちが享受する平和と繁栄は、沖縄の人々の筆舌に尽くしがたい困難と絶えることのない深い悲しみの上にある」と挨拶してみせた安倍晋三首相は式終了後の会見で、米軍のための辺野古新基地建設を「関係法令にのっとってやっていく」と述べた。「平和と繁栄を享受するのは本土の我々。その犠牲は沖縄」という、七三年前からの構図をこれからも続けていく意思を表した。原発事故被害の福島も同じ論理で片付けられていないか。

相前後して米軍嘉手納基地所属のF15戦闘機が沖縄本島南海上に墜落。名護市では演習中の米軍からとみられる実弾が、隣接する農家の小屋に撃ち込まれた。だが米軍は警察の捜査を拒否している。この国に米国の軍隊が駐留して七三年。在日米軍施設の七〇%以上を押し付けられている沖縄は、人権が無視され、基地があることで生まれる爆音被害と人命が奪われる事件事故で、県民の悲しみや怒りが癒えることはない。

韓朝首脳会談と米朝首脳会談が相次いで行われ、東アジアが緊張緩和へと向かおうとする流れに対し、安倍政権は北朝鮮と中国の脅威を煽り続け、辺野古新基地建設を強行する。ゲート前には警察を、海上では海保を動員し、埋め立て阻止に非暴力で抵抗する県民を拘束し、八月一七日に埋め立て土砂を投入すると通告してきた。これに対して沖縄県は七月二七日、前知事が行った埋め立て承認を撤回する手続きに入った。沖縄のたたかいは新たな段階を迎える。いま宮古島、石垣島では自衛隊の基地建設の動きがある。知らぬ間に全国で、オスプレイ訓練や日米合同軍事演習が進行する。辺野古新基地建設を許せば、この国すべてがさらに過重な基地負担を強いられることになろう。

「戦力で得られる平和などない」と一四歳の少女が発した言葉を繰り返そう。私たち言論報道機関に携わる者として、改めて沖縄と連帯し、七三年も続く沖縄への差別と、辺野古新基地建設を許さない闘いに、全力で取り組むことを誓う。

右、決議する。

二〇一八年七月二九日

日本民間放送労働組合連合会 第一二七回定期大会

民放労連第127回定期大会「民放産業からすべてのハラスメントを一掃する決議」(2018年7月29日)

民放産業からすべてのハラスメントを一掃する決議

アメリカで性暴力の被害を訴える小さな声からはじまった「#Me Too」運動が、昨年またたくまに全世界に広がった。日本でも安倍晋三政権に近いとされるジャーナリストに性的暴行を受けたとして、ひとりの女性が実名で訴えた。しかし、この女性に続く「#Me Too」は大きく広がることはなく、インターネット上では、この女性を中傷する書き込みが続いた。

今年4月、現役の財務省事務次官による放送記者へのセクシャルハラスメントが発覚した。麻生太郎財務相は、事実確認のための調査に消極的な姿勢を見せたうえ「次官にも人権がある」「セクハラ罪という犯罪はない」と次官を擁護し、当該女性を貶める発言を繰り返した。あろうことか安倍内閣は、「セクハラ罪はない」との閣議決定を行った。「女性活躍推進法」を定めて女性の社会進出を促すと美辞麗句を重ねてきた安倍政権が馬脚を現した。私たちは、被害女性を中傷する書き込みの筆者や人権感覚の欠如した政治家、官僚に対して「#Me Too」であるという自覚を持つことが重要ではないだろうか。

旧態依然とした男性中心の社会と企業風土は、世界の眼から見てもはや時代遅れなのだということを政府も企業経営者も認識しなければならない。特に社会正義を追求するジャーナリズムの一端を担う放送業界の経営者と私たち労働者は、率先して克服すべき課題である。

民放労連では今回のセクハラ問題はもとより、パワハラやマタハラなど、あらゆるハラスメントを根絶する運動方針を採択した。日本民間放送連盟(民放連)や、番組製作プロダクションの多くが加盟している全日本テレビ番組製作者連盟(ATP)に対し、放送業界内の旧態依然とした悪弊を克服する必要があるとして、各社の相談窓口担当者への対応・対策教育だけではなく、放送局構内で働くすべての労働者へのハラスメント教育と、安心して働ける職場環境作りを強く申し入れた。

民放労連が参加している日本マスコミ文化情報労組会議(MIC)が行った「セクハラ110番」では深刻な被害の相談もあり、一刻も早く改善すべき事態であることが浮き彫りとなった。

性別・雇用・職種・立場などに由来するハラスメントを放送産業から一掃することが、放送の未来につながっていると確信する。私たちは、誰もが安心して安全に働ける職場環境作りを追求していく。

右、決議する。

二〇一八年七月二九日

日本民間放送労働組合連合会 第一二七回定期大会

民放労連第127回定期大会「放送の自由を生かして視聴者の信頼に応えよう!」

放送の自由を生かして視聴者の信頼に応えよう!

この春、安倍政権が目論んでいるとされる「放送制度改革」の骨格が突然明らかになり、社会的関心を集めた。放送法四条の「番組編集準則」などを撤廃し、インターネットと放送の規制を一本化して新規参入を促す内容で、安倍晋三首相は今年になって「放送事業の在り方の大胆な見直しが必要」と繰り返し発言していた。そこには、放送番組もインターネットのコンテンツの一部に含めてしまうことで、放送の影響力を相対的に弱めようという意図が感じられる。こんな「改革」が実現したら、放送の電波にもフェイクニュースやヘイトスピーチが蔓延する事態になりかねない。

番組編集準則は「番組の公序良俗」「事実を曲げないこと」「政治的公平」「多角的報道」を放送事業者に求めているものだが、放送の自律に基づく「倫理規定」として運用されるのならば、視聴者に対する放送倫理の表明として認められるものだ。

しかし、これまで自民党政権は、放送内容に介入するために放送法四条を「法規範」として持ち出し、放送局に対して番組内容に関する行政指導をしばしば行ってきた。憲法違反の疑いの強いこのような行政指導に放送局が従わざるを得なかったのは、放送が政府による直接免許制とされ、政府に睨まれると停波の危険があるからだ。

このように電波法と結び付けた直接免許制こそ、一刻も早く改められるべきであり、独立行政委員会制度の創設など、国際社会で一般的な間接免許制に向けた議論を始めるのが先決だと私たちは考える。

私たち民放労連の声明や、放送局トップらからも強い反対の声が上がったことで、放送制度改革を議論している政府の規制改革推進会議では、放送法四条をはじめとする放送特有の規制の撤廃などは項目化しない形で「第三次答申」が示された。その中で課題として挙げられたのは、「通信・放送の融合によるビジネスモデル」「多様で良質なコンテンツの提供」「電波の有効利用に向けた制度のあり方」である。

議論の方向性としては、相変わらず産業振興の側面が強調されていて、放送の社会的効用や公共的価値に関する論点が乏しい。しかし、この答申で掲げられている「ローカル局の経営基盤の強化」や「番組制作環境の改善」は、放送で働く者が直面している課題でもある。私たちも、気を引き締めて政府の議論を注視するとともに、働く者の立場から政策提言も試みなければならないだろう。

放送・表現の自由を最大限に生かして、視聴者から信頼される放送を確立することが、いま改めて求められている。こうした期待に応えるため、私たちは、権力の不当な圧力とたたかいながら、よりいっそう奮闘する決意を固めよう。

右、決議する。

二〇一八年七月二九日

日本民間放送労働組合連合会 第一二七回定期大会

民放労連第127回定期大会「憲法「改正」に反対し、平和と立憲主義を守る決議」(2018年7月29日)

憲法「改正」に反対し、平和と立憲主義を守る決議

安倍晋三首相は、年頭あいさつで「憲法のあるべき姿を示す」と、改めて憲法「改正」への意気込みを示し、五月三日の憲法記念日には自民党総裁の立場で「九条に自衛隊を明記し、違憲状態に終止符を打つ」と鼻息を荒げた。

自民党が政権に復帰した二〇一二年以降、安倍首相は「戦後レジームからの脱却」を掲げ、いかにも現行憲法が時代に即していないかのような発言を繰り返している。今年四月のNHKの世論調査によれば、憲法改正についての賛成と反対は二〇一四年以降それぞれ三〇%前後で拮抗し、残りの四〇%前後は態度を保留させている。さらに「憲法九条」に限れば、「評価する」が七〇%を占めており世論との乖離が認められることからも、拙速な改憲が必要ないことは明らかだ。

安倍首相は自民党総裁として「二〇二〇年に新憲法施行」の意向を示した。彼らの言う「憲法のあるべき姿」を二〇一二年に発表された自民党「憲法改正草案」から読み解くと、それは権力を規制するという立憲主義の本義から外れ、国民を統制し、国家に奉仕させようとする意図が浮かび上がってくる。この、スケジュールを示し改憲の必要性を既成事実化にする動きに対し、野党だけではなく、同じ与党の公明党や自民党内からも反対意見や慎重論が出ているが、立ち止まる気配は全くない。

憲法「改正」に必要な「国民投票法」の改正案は次の臨時国会が論戦の場となる。「特定秘密保護法」「安保関連法制」「共謀罪(テロ等準備罪)」などの重要法案を、十分な議論も国民の理解も得ないまま、数の力で次々と強行採決して成立させた安倍政権の国会運営を見れば、国民投票法改定案はもとより、改憲案でさえも国会での熟議も国民の議論も無いまま、発議されかねない。

私たち民放労連は、立憲主義を否定する改憲に強く反対するとともに、国家のために個人の権利や表現の自由を制限し、多数派の一存で国の根幹を変えられるような社会の到来を、断固として阻まなければならない。蟻の一穴を狙うかのような「お試し改憲」にも断固反対する。

憲法十二条に、私たちが手にする自由及び権利は「国民の不断の努力によって、これを保持しなければならない」と定められているとおり、民放労連に結集する私たちは、現憲法を尊重し、自由と平和を守るための運動を続けることを、ここに宣言する。

右、決議する。

二〇一八年七月二九日

日本民間放送労働組合連合会 第一二七回定期大会

民放労連第127回定期大会「労働者を守る真の「働き方改革」を求める決議」(2018年7月29日)

労働者を守る、真の「働き方改革」を求める決議

過労死を促進する恐れがある残業代ゼロ制度(高度プロフェッショナル制度=「高プロ」)が盛り込まれた「働き方改革関連法案」が、六月二九日の参議院本会議で可決・成立した。本来の労働基準法が適用されない労働者を定める重大な「法改悪」と言わざるを得ない。

企業は、「高プロ」の対象となる労働者については一日八時間、週四〇時間という労基法三二条の労働時間規制を超えて、何時間でも働かせることができるという制度だ。労働基準監督官の経験者からは「過労死につながる長時間労働は増えるが、(監督署は)指導はできない。高プロは長時間労働の指導そのものを除外する制度であり、長時間労働があったとしても、会社側に高プロはそういう制度だと言われるだけ」と懸念の声が上がっている。

さらに、対象を「年収一〇七五万円以上」とする想定や、職種も「金融商品の開発業務、金融ディーラー・アナリストなど」となっているが、これらは法改正の必要がない省令で定めることができ、経営者に都合よく変更されて拡大される懸念がぬぐえない。放送に携わる業務も、高プロの対象職種に加えられる可能性は十分にある。

また、罰則付きの残業時間規制が導入されることになったが、その一方で労働組合と特別条項で合意すれば、年六回まで「繁忙期では単月で一〇〇時間未満、年七二〇時間」までの残業を認めた。上限を超えた場合には企業にペナルティが課せられるが、過労死ライン八〇時間を超える数値は、労働者の「いのちと健康」の観点からも労働組合として安易に認める訳にはいかない。

こうしてみれば、「働き方改革関連法」は労働者のためのものではなく、企業の使用者責任の範囲を縮小する狙いがあることは明らかだ。今国会でもうひとつ導入を狙っていた「裁量労働制の適用範囲拡大」については、政府が用意した労働時間の比較データが不適切だったことが発覚して削除されたが、政府はこれについても諦めた訳ではなく、日本経団連の中西宏明会長も「法案の早期の再提出を期待する」と後押しした。

高プロと残業規制は、二〇一九年四月、大企業を対象に施行される。労働者の「いのちと健康を守る」ためにも、労働時間規制が急務であることは明らかなのに、「働き方改革関連法」はこれに逆行している。私たち民放労連は、過労死につながる「働き方改革関連法」に強く反対を唱えるとともに、すべての労働者が安心して働ける社会の実現に資する、労働法制の真の改正を求めていく。

右、決議する。

二〇一八年七月二九日

日本民間放送労働組合連合会 第一二七回定期大会