民放労連第127回定期大会「憲法「改正」に反対し、平和と立憲主義を守る決議」(2018年7月29日)

憲法「改正」に反対し、平和と立憲主義を守る決議

安倍晋三首相は、年頭あいさつで「憲法のあるべき姿を示す」と、改めて憲法「改正」への意気込みを示し、五月三日の憲法記念日には自民党総裁の立場で「九条に自衛隊を明記し、違憲状態に終止符を打つ」と鼻息を荒げた。

自民党が政権に復帰した二〇一二年以降、安倍首相は「戦後レジームからの脱却」を掲げ、いかにも現行憲法が時代に即していないかのような発言を繰り返している。今年四月のNHKの世論調査によれば、憲法改正についての賛成と反対は二〇一四年以降それぞれ三〇%前後で拮抗し、残りの四〇%前後は態度を保留させている。さらに「憲法九条」に限れば、「評価する」が七〇%を占めており世論との乖離が認められることからも、拙速な改憲が必要ないことは明らかだ。

安倍首相は自民党総裁として「二〇二〇年に新憲法施行」の意向を示した。彼らの言う「憲法のあるべき姿」を二〇一二年に発表された自民党「憲法改正草案」から読み解くと、それは権力を規制するという立憲主義の本義から外れ、国民を統制し、国家に奉仕させようとする意図が浮かび上がってくる。この、スケジュールを示し改憲の必要性を既成事実化にする動きに対し、野党だけではなく、同じ与党の公明党や自民党内からも反対意見や慎重論が出ているが、立ち止まる気配は全くない。

憲法「改正」に必要な「国民投票法」の改正案は次の臨時国会が論戦の場となる。「特定秘密保護法」「安保関連法制」「共謀罪(テロ等準備罪)」などの重要法案を、十分な議論も国民の理解も得ないまま、数の力で次々と強行採決して成立させた安倍政権の国会運営を見れば、国民投票法改定案はもとより、改憲案でさえも国会での熟議も国民の議論も無いまま、発議されかねない。

私たち民放労連は、立憲主義を否定する改憲に強く反対するとともに、国家のために個人の権利や表現の自由を制限し、多数派の一存で国の根幹を変えられるような社会の到来を、断固として阻まなければならない。蟻の一穴を狙うかのような「お試し改憲」にも断固反対する。

憲法十二条に、私たちが手にする自由及び権利は「国民の不断の努力によって、これを保持しなければならない」と定められているとおり、民放労連に結集する私たちは、現憲法を尊重し、自由と平和を守るための運動を続けることを、ここに宣言する。

右、決議する。

二〇一八年七月二九日

日本民間放送労働組合連合会 第一二七回定期大会