「働き方」関連法案強行採決抗議 委員長談話(2018年5月25日)

民放労連委員長談話

「働き方改革」関連法案の「強行採決」に抗議する

2018年5月25日

日本民間放送労働組合連合会

中央執行委員長 赤塚 オホロ

 

過労死や過労自殺が大きな社会問題となり、長時間労働改善が急務となっているなか、安倍晋三首相と政府与党が今国会での最重要課題と位置付ける「働き方」に関する関連法案が本日、衆議院厚生労働委員会で、与党などの賛成多数で可決された。

そもそもこの法案は2015年4月に「労働基準法等改正案」として提案されて以降、根強い反対意見もあって一度も審議されることなく2年以上継続審議とされ、昨年の衆議院解散により審議未了で廃案となったものである。それが今国会で最重要法案の一つとされ「働き方改革関連法案」として再度提案されたが、法案作成にあたって厚生労働省が提出していた資料に不適切なデータが使用されていたことが判明して「裁量労働制の適用範囲拡大」が法案から削除されるなど、検討段階から問題を抱えていたいわくつきの法案である。

さらにこの法案の目玉である「高度プロフェッショナル制度(残業代ゼロ制度)」については、専門性、年収要件、本人同意などさまざまな適用条件が付けられているが反対の声は根強く、この制度を今国会で何としても成立させたい政府は一部野党の意見を採り入れて「制度適用後も撤回できる」と修正し、制度の適用と撤回は労働者個人の自由意思に委ねられているとの印象を与えようとしているが、使用者に比べて圧倒的に弱い立場に置かれているのが労働者であることを考慮すれば、実効性に乏しいと言わざるを得ない。

「高度プロフェッショナル制度」は、すべての労働時間規制を撤廃し、企業の残業代支払い義務を免除するものであり、たとえ導入当初に高い適用条件を付けていたとしても、今後経済界の意向を受けて条件が引下げられる可能性は非常に高い。何より2015年に塩崎前厚生労働大臣が経済界との懇談で「小さく産んで、大きく育てる」と発言したことを忘れてはならない。

連合の神津里季生会長も「過労死、過労自殺の温床になる」と発言するなど、多くの労働者や労働組合などの団体が強い反対の声を上げているにもかかわらず、政府・与党が国会内の「数の力」で強引に法案採決を行ったことに対し、私たちは強い怒りをもって抗議する。

以 上