第126回臨時大会 「憲法「改正」に反対し、平和と立憲主義を守る決議」

憲法「改正」に反対し、平和と立憲主義を守る決議

【提案 労連本部】

 安倍首相は、年頭あいさつで「憲法のあるべき姿を示す」と、改めて憲法「改正」への意気込みを示した。しかし、この発言は「天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ」という憲法九九条に明らかに違反している言葉であり、時の首相が軽々しく使うべきではない。

自民党が政権に復帰した二〇一二年以降、安倍首相は「戦後レジームからの脱却」を掲げ、いかにも現行の憲法が時代に即していないかのような発言を繰り返しているが、安倍首相と自民党が考える「憲法のあるべき姿」とは、二〇一二年に発表された自民党の「憲法改正草案」であり、権力を規制するという立憲主義の本義から外れ、国民を統制し、国家に奉仕させようとする意図が明白なものである。

昨年五月三日の憲法記念日に、安倍首相は自民党総裁として「二〇二〇年に新憲法施行」の意向を示した。その後の総選挙で自民党が「改憲」を公約に掲げ、北朝鮮の相次ぐミサイル発射実験を奇貨として、日本を守るには憲法改正が必要であるかのように危機感を煽っている。このスケジュールありきの性急な動きに対し、野党だけではなく同じ与党の公明党や自民党内からも反対意見や慎重論が出ているが、立ち止まる気配は全くない。

従来の政府解釈を変え、閣議決定だけで集団的自衛権の行使を容認した安倍政権は、「特定秘密保護法」「安保関連法制」「共謀罪(テロ等準備罪)」などの重要法案を、十分な議論も国民の理解も得ないまま、数の力で次々と強行採決して成立させた。このまま座して見ていては、日本のすべての法律の根本である憲法も同様に、国会での熟議も国民の議論も無いまま、数の力で、国会での憲法「改正」の発議に向けて突き進みかねない。

私たち民放労連は、立憲主義を否定する改憲に強く反対する。国家のために個人の権利や表現の自由を制限し、多数派の一存で国の根幹を変えられるような社会に変えてはならない。安倍首相らが企図する改憲の真の狙いは、国家権力を縛る憲法上の制約を取り払うことである。この暴挙を許さないためにも、真の狙いを隠蔽し、蟻の一穴を狙うかのような「加憲」や「お試し改憲」にも断固反対する。

憲法十二条に、私たちが手にする自由及び権利は、「国民の不断の努力によって、これを保持しなければならない」と定められたとおり、民放労連に結集する私たちは、現憲法を尊重し、自由と平和を守るための運動を続けることを、ここに宣言する。

右、決議する。

二〇一八年一月二八日

日本民間放送労働組合連合会 第一二六回臨時大会