第124回日本民間放送労働組合連合会臨時大会 決議2「真の「働き方改革」を実現し、労働法制の抜本改正を求める決議」

真の「働き方改革」を実現し、労働法制の抜本改正を求める決議

電通で新入社員の女性が過労自殺した事件は社会に大きな衝撃を与え、日本人の働き方を改めて厳しく問い直すことになった。とりわけ民放という広告とはおよそ切り離せない産業で働く私たちには、決して「対岸の火事」では済まされない重大な問題が突き付けられている。日常化する長時間労働の改善に、私たちはどこまで真剣に取り組んできただろうか。「いのちより大切な仕事はない」。最愛の娘を失った母親の痛切な叫びに、私たちは胸をはって「ウチは大丈夫だ」と答えることができるだろうか。

民放産業はこれまで利益の最大化を最優先に、人減らしを極限まで追求し、あわせて外注化、下請化を可能な限り進めてきた。おかげで「正社員の不足」感はある調査機関の調べでは他の産業を圧してワースト・ワンの不名誉を維持し続けている。放送局の正社員が担ってきた仕事が、はるかに低い賃金や労働条件で非正規の労働者に押し付けられ、産業内の格差がこれまでにないほどに拡大を続けてきた。放送の現場を支える仕事に若い人たちの希望者が眼に見えて減っている。今や放送は若者たちに夢と希望を与えてくれる産業ではなくなりつつあるのだ。

安倍政権は昨年来、「最大のチャレンジは働き方改革」だとして、「同一労働同一賃金の実現」と「長時間労働の是正」に取り組むと繰り返し表明している。これまで規制緩和一辺倒だった自民党政権でさえ、深刻化する労働力不足やいっこうに浮揚しないままの日本経済の低迷に迫られ、少なくともスローガンの上では労働政策の転換を余儀なくされているのだ。

ところが安倍政権は、一方では高賃金の労働者に労働時間規制をはずし残業代をゼロにする労働基準法の改悪案を国会に提出したままで取り下げようとしていない。長時間労働の是正とは真逆の改悪ではなく、実効ある規制のためには、現状ではほとんど青天井の残業時間に厳格な上限ルールを法律に導入することが必要だ。正規と非正規の格差解消には労働契約法や派遣法に不当な差別禁止を盛り込んだ法改正が不可欠である。こうした労働法制の抜本改正を求める国民労働者の声を今こそ強めていかなければならない。

私たち労働組合は職場の声を要求につくりあげ、実現していくために存在している。労使で協定した上限時間が空文化しているなら、人員増や仕事のあり方、特別条項の見直しなどをもっと強く経営者に迫っていかなければならない。非正規労働者の同一労働同一賃金の実現には、非正規労働者自らが声をあげられるように、労働組合のあり方を変えていかなければならない。非正規労働者の労働組合への組織化抜きに、職場での同一労働同一賃金の実現はありえない。

「働き方改革」は今や政府や財界も推進しなければならない国民的な課題になっている。これを職場の改善に確実につなげていくために、職場の声を大きくしていくことこそ、私たち労働組合の課題だ。

真の「働き方改革」を職場から実現し、労働法制の抜本改正につなげるたたかいを今春闘から力強く開始しよう!

二〇一七年一月二九日

日本民間放送労働組合連合会 第一二四回臨時大会