民放労連第122回臨時大会 決議2 安倍政権のさらなる労働法制改悪に反対する決議

安倍政権のさらなる労働法制改悪に反対する決議

昨年九月、過去二度も廃案となった労働者派遣法の「改正」が強行され、安倍政権による労働法制の大改悪がさらに推し進められることとなった。

この「改正」派遣法は、派遣労働を無期限に使い続けることも可能にする法であり、多くの反対の声を無視して強行採決した安倍政権を断じて許すことはできない。この法「改正」により大きな影響を受けるのが、放送局の中にも多い、その専門性ゆえに期間制限のなかった「専門二六業務」で働く派遣労働者であり、今回この枠が取り払われることで、それ以外の労働者と同じく原則として同じ職場では三年までしか働けなくなる。確かに、「改正」法によって雇用安定措置やキャリアアップ措置は義務付けられたが、実際には派遣先への正社員化や直接雇用を促進する実効性はなんら保障されていない。加えて今回の「改正」法によって、厳密には二六業務に該当しないのに三年を超えて派遣スタッフとして働いていた労働者への「期間制限違反の場合の労働契約申込みみなし制度」が有名無実化されたことで、多数の派遣労働者から直接雇用化や正社員化の可能性を奪っている。現在、日本の非正規労働者は二千万人を超え、労働者全体の四割近くに達しようとしているにも関わらず、正社員の仕事が派遣労働に取って替わられるのを防ぐ「常用代替の防止」という派遣法の基本原則が事実上撤廃され、雇用が不安定な労働者は益々増えることになるであろう。

さらに安倍政権は今後、労働時間法制についての「改悪」や解雇の金銭解決制度の導入をも強行しようとしている。

「残業代ゼロ法案」と批判される労働基準法「改正」案における、高度プロフェッショナル制度は、労働時間規制を一切なくし、残業代や休日・深夜の割増賃金の不払いを合法化するものであり、また現状のフレックスタイム制や企画業務型裁量労働制の制度改変は、長時間労働や不払い残業を増大させるだけであり、雇用の在り方を根本から変えていく危険性が高い。また、雇用の金銭解決についても、たとえ裁判により解雇無効を勝ち取ったとしても、金銭さえ支払えば労働者を会社から排除できる手段を経営側に与えるもので、弱者である労働者は物言えぬ立場に追い込まれ、雇用と労働条件がますます悪化していくことになるであろう。

民放労連は、安倍政権の進める労働法制の大改悪に反対し、労働者の権利と放送の未来のためになお一層奮闘する決意である。

右、決議する。

二〇一六年一月三一日

日本民間放送労働組合連合会 第一二二回臨時大会