民放労連第130回臨時大会「アベ改憲にNO! 検閲ドミノもNO!」(2020年1月26日)

 安倍首相は年頭記者会見で、「先の参議院選挙や最近の世論調査を見ても、国民の皆様の声は、憲法改正の議論を前に進めよ、ということだと思います。憲法改正を私自身の手で成し遂げていくという考えには全く揺らぎはありません」と述べた。
 しかし、事実は「先の参院選」で自民党は議席を9減らし、参議院の「改憲勢力」は発議に必要な3分の2を割った。また、共同通信が参院選直後に行った世論調査では、安倍政権下での改憲に対し「反対」は56.0%で「賛成」は32.4%、12月に行った「最近の世論調査」でも、「反対」は54.4%に上り、「賛成」の31.7%を大きく上回っている。「前に進めよ」という国民の声はどこにも読み取れない。安倍首相は曲解や歪曲を改め、国民の声に真摯に向き合い、拙速な改憲論議をやめるべきではないか。

 その改憲の焦点となっている憲法9条に関連する動きとして、政府は昨年末、中東への自衛隊派遣を閣議決定した。調査・研究を目的としているが、国会での議決なしの派遣は、文民統制の欠如による現地での拡大解釈による運用を可能にし、突発的な戦闘状態に巻き込まれるおそれも否定できない。
 安倍首相は年頭会見で、中東情勢について「この地域の緊張緩和と情勢の安定化のために、これからも日本ならではの外交を粘り強く展開します」と強調した。首相の言葉が本意ならば、日本政府が今なすべきことは平和のための外交交渉であり、自衛隊派遣ではない。安倍首相は戦争に巻き込まれるおそれのある自衛隊中東派遣を直ちに中止すべきである。

 昨年はいったん認められた補助金や助成金、公認などが取り消される動きが相次いだ。国際芸術祭「あいちトリエンナーレ2019」の「表現の不自由展・その後」で、文化庁が芸術祭への約7800万円の補助金不交付を発表した。映画「宮本から君へ」では、文化庁所管の日本芸術文化振興会が助成金1000万円交付の内定を取り消した。その他、オーストリア友好150周年のウィーンでの芸術祭では大使館公認が取り消されたり、KAWASAKIしんゆり映画祭では映画「主戦場」がいったん上映見送りとなった。同調圧力と忖度を通り越した「検閲ドミノ」が横行している。また、行政側が「公益」というあいまいな基準を口実に表現の自由を制限してくる。民主主義の根幹をなす「表現の自由」を守るため、私たち民放労連は率先して声を上げ、このような動きを押し返していくことをここに宣言する。

 右、決議する

2020年1月26日
日本民間放送労働組合連合会 第130回臨時大会