民放労連第128回臨時大会「憲法『改正』に反対し、平和と立憲主義を守る決議」(2019年1月27日)

 安倍晋三首相は、年頭記者会見で憲法に関する質問に対し「具体的な改正案を提示する」と、改めて憲法「改正」への強い意気込みを見せた。この発言に対しては、野党だけではなく、同じ与党の公明党や自民党内からも反対意見や慎重論が出ているが、立ち止まる気配は全くない。
 自民党がめざす改憲の基本は2012年に発表された自民党「憲法改正草案」であり、この草案を読み解くと、権力を規制するという立憲主義の本義から外れ、国民を統制し、国家に奉仕させようとする意図が浮かび上がってくる。

 また憲法施行70年にあたる一昨年の憲法記念日、改憲派による集会に安倍首相はビデオメッセージを寄せ「9条1項、2項を残しつつ、自衛隊を明文で書き込む、という考え方、これは国民的な議論に値する」と述べた。「憲法学者の中に、自衛隊は違憲という議論があるから」「自衛隊は違憲かもしれないけれども、命を張って守ってくれというのは、あまりにも無責任」とその理由を示した。改憲賛成派のなかからは、「戦力不保持を定める2項を残したまま自衛隊の存在を明記することは自衛隊は軍隊ではないことを認めること」と否定的な意見もあるが、国民の理解を得やすい九条改憲案として歓迎する声が多い。
 一方、改憲反対派からは、「武力を行使できる自衛隊を明記することは、集団的自衛権を容認し、安保法制を整備した現在、一項の戦争放棄と二項の戦力不保持を死文化することにほかならない」などと明記論について強い懸念が示されている。

 昨年4月のNHKの世論調査によれば、改憲についての賛成と反対は2014年以降それぞれ30%前後で拮抗し、残りの約40%は態度を保留させている。さらに憲法9条に限れば、「評価する・ある程度評価する」が70%を占めた。自衛隊の明記論については、賛成が反対を上回るが「どちらともいえない」が最も多く、国民の理解が広がっているとはいえず、世論は九条改定に慎重な姿勢といえるだろう。何よりも「憲法改正よりもほかの問題を優先すべき」という意見が七割も占めることを安倍政権は尊重すべきだ。

 私たち民放労連は、立憲主義の否定、民主主義の形骸化、そして平和を脅かす改憲には強く反対するとともに、国家を優先し、個人の権利や表現の自由が制限される社会の到来を決して許すことはできない。
憲法12条が、自由と権利は「国民の不断の努力によって、これを保持しなければならない」と定めているとおり、民放労連に結集する私たちは、現憲法を尊重し、自由と平和、民主主義を守るための運動を続けることを、ここに宣言する。

 右、決議する。

2019年1月27日
日本民間放送労働組合連合会 第128回臨時大会