民放労連第128回臨時大会「『労働法制改悪』に反対する決議」(2019年1月27日)

 三菱電機では、2012年から2017年までの5年間に、実に5名もの社員が長時間労働を原因とする労災の認定を受け、うち2名が過労自殺に追い込まれていたことが昨年九月に明らかになった。また3名は、2004年に導入された裁量労働制のもとで働き、その犠牲者だったことがわかった。相次ぐ労災認定により、三菱電機は裁量労働制を廃止するしかなかった。

 昨年6月、過労死を促進する恐れがある残業代ゼロ制度「高度プロフェッショナル制度」が盛り込まれた「働き方改革関連法案」が通常国会で強行採決によって成立した。安倍政権はこの「働き方改革」関連法のもう一つの柱に裁量労働制の適用対象の拡大を盛り込む方針だったが、政府が用意した労働時間の比較データが『ねつ造』されたものだったことが発覚して、断念した経緯がある。
 
「裁量労働制の対象拡大については、法案の早期の再提出を期待する」との日本経団連会長のコメントに対応するかのように、政府は昨年9月に「裁量労働制実態調査に関する専門家検討会」を立ち上げ、法改正に向けて着々と歩を進めている。
 加えて、安倍政権は、事前に就業規則に定めておけば、労働者の解雇が裁判で不当と認定されても復職させることなく、金銭で解決できるという「解雇の金銭解決制度」法制化への意欲は衰えていない。判例によって積み上げられた「整理解雇の四要件」規制を根底から覆すものであり、企業にとって好ましくない労働者の排除や、事業に合わせた雇用調整手段として悪用される危険性が高く、「解雇を助長する」として、労働者側が議論の棚上げをはかってきたが、法整備に向けた検討会は続いており予断を許さない。

 「裁量労働制の対象拡大」と「解雇の金銭解決制度」は、「高度プロフェッショナル制度」とともに、労働者の人間らしく働き、生活する権利をはく奪するもので、法制化は絶対に許してはならない。
 すべての労働者の「いのちと健康」「雇用と生活」を守るために、労働法制改悪に断固反対の声を挙げ、ともにたたかおう。

 右、決議する。

2019年1月27日
   日本民間放送労働組合連合会 第128回臨時大会