Author Archives: 民放労連スタッフ

メディア日誌 2019年7月

◆実在しない祭りをでっち上げた疑いが指摘された日本テレビのバラエティー番組『世界の果てまでイッテQ!』について、放送倫理・番組向上機構(BPO)の放送連理検証委員会は「程度は重いとは言えないものの放送倫理違反があった」とする意見書を発表した。(7月5日)

◆多くの男性アイドルを育てた大手芸能事務所「ジャニーズ事務所」社長のジャニー喜多川(本名・喜多川拡=きたがわ・ひろむ)さんが東京都内の病院で死去した。87歳。(7月9日)

◆関西テレビのバラエティー番組『胸いっぱいサミット!』で、作家の岩井志麻子さんが慰安婦問題の議論の中で、韓国人の気質を「手首を切るブスみたいなもの」などと例えた発言が放送された問題について、BPOの放送倫理検証委員会は審理入りすることを決めた。(7月12日)

◆BPOの放送人権委員会は、オウム真理教の後継団体「アレフ」について報じたテレビ東京のニュース番組について、審理に入ると発表した。(7月17日)

◆SMAPの元メンバー3人のテレビ出演を巡り、大手芸能事務所のジャニーズ事務所がテレビ局に出演させないよう圧力をかけた疑いがあり、公正取引委員会が独占禁止法違反の恐れがあるとして事務所に注意していたことが明らかになった。(7月18日)

◆吉本興業がお笑いコンビ「雨上がり決死隊」の宮迫博之との契約を解消したことを受け、民放テレビ局は、出演するバラエティー番組の降板を決めるなど対応に追われた。(7月19日)

◆NHKの木田幸紀放送局長は記者会見で、参院選で議席を獲得した「NHKから国民を守る党」のNHKに受信料を払った人だけが番組を視聴できるスクランブル放送などの主張関し、「受信料制度について誤った理解を広げるような行為や言動は放置せず対応したい」と述べた。(7月24日)

◆吉本興業の所属タレントが反社会的勢力のパーティーで会社を通さない「闇営業」していた問題で、日本テレビ放送網の小杉善信社長は、吉本興業に対し、第三者委員会を設置して事実関係を明らかにするよう文書で申し入れたことを明らかにした。文書は26日付。(7月29日)

◆民放テレビの在京キー5局が来年初め、夕方のニュース番組を放送と同時にネットで配信する実験を準備していることが、関係者への取材で分かった。(7月29日)

メディア日誌 2019年6月

◆NHKは14日付で実施する組織改革を発表した。番組制作部門では制作局の2つの「センター」とその傘下の8つの「部」を廃止し、6つの「ユニット」に再編。報道局では、テレビニュースとネットワーク報道部の一部を一体化して「ニュース制作部」を設置する。(6月1日)


◆言論と表現の自由に関する国連のデービッド・ケイ特別報告者が、日本では現在もメディアの独立性に懸念が残るとする新たな報告書をまとめたことが4日分かった。日本の報道が特定秘密保護法などで萎縮している可能性があるとして同法の改正や放送法4条の廃止を求めた2017年の勧告を、日本政府がほとんど履行していないと批判している。(6月4日)


◆日本マスコミ文化情報労組会議(MIC)は、セクハラ被害と職場の対応に関するウェブアンケートの結果速報を発表した。マスコミ以外からも回答があり、女性の8割以上がセクハラ被害の経験があるとし、相談・通報されない事例が66%に上った。(6月7日)


◆改正ドローン規制法が施行された。ドローンを米軍施設や訓練水域、自衛隊施設とその周囲約300メートルの上空で飛ばすには同意が必要になる。政府はテロ対策と強調するが、同意の基準は不明確で、飛行禁止となり得る範囲も広い。「国民の知る権利が侵害される」との懸念の声が出ている。(6月13日)


◆放送倫理・番組向上機構(BPO)の放送倫理検証委員会は、性別をめぐる不適切な取材が問題となった読売テレビの報道番組『かんさい情報ネットten.』について審議入りすると決めた。(6月14日)


◆フジテレビは番組の「送出マスター」を更新し、地上波で運用を開始した。新マスターは、これまでVTRで受け渡ししていた番組素材をデータファイルとしてクラウドサービス上で管理する。日本の地上波テレビでは初の試み。(6月22日)


◆関西テレビ制作のバラエティー番組『胸いっぱいサミット!』で作家の岩井志麻子が韓国人や女性への差別と受け取れる発言をした問題で、同社は問題を取り上げた広報番組『カンテレ通信』の放送を1週間延期し、謝罪部分を加えて放送した。(6月23日)


◆吉本興業が反社会的勢力のパーティーに出席し、「闇営業」で金銭を受け取っていたとして謹慎処分にしたお笑い芸人11人の出演番組を抱える在京のテレビ各局は対応に追われた。(6月25日)

メディア日誌 2019年5月

◆衆議院憲法審査会が、改憲の是非を問う国民投票時のCM規制について、日本民間放送連盟幹部の意見聴取と質疑を行った。民放連の永原伸専務理事は「表現の自由」に抵触する恐れからCM量の自主規制はできないと発言。(5月9日)


◆BPOの放送倫理検証委員会は、3月21日に長野放送で放送された特別番組『働き方改革から始まる未来』について審議入りを決めた。同県内の社会保険労務士事務所の一社提供による30分番組で、同事務所の取り組みを紹介する内容だが番組内でCMが流れなかった。(5月10日)


◆読売テレビは報道番組『かんさい情報ネットten.』が10日に放送した企画コーナー「間よってナンボ!」で飲食店の客に性別を問い、明らかにしようとした内容が「プライバシー、人権への配慮を著しく欠いた不適切な放送」だったとして、同番組の冒頭で視聴者や関係者に陳謝した。(5月13日)


◆NHKは2018年度決算の速報値を発表した。事業収入は前年度比129億円増の7332億円。その大半を占める受信料収入は209億円増の7122億円で初めて7000億円を超え、5年連続で最多を更新した。支払率も82%と過去最高。(5月14日)


◆自家用車に設置しているワンセグ機能付きのカーナビについて受信契約を結ぶ義務のないことの確認をNHKに求めた訴訟の判決で、東京地裁は原告の訴えを退けた。(5月15日)


◆民放キイ局5社の2019年3月期の連結決算が出そろい、3社が最終減益となった。広告が伸び悩んだほか、4K放送に関連した費用がかさんだ。(5月16日)
◆NHKのテレビ番組を放送と同時にインターネットに流す常時同時配信を可能にする改正放送法が参院本会議で、可決され成立した。(5月28日)

民放労連第129回定期大会「朝日放送ラジオ・スタッフユニオン事件/府労委命令を待たずに争議解決を求める決議(2019年7月28日)

 朝日放送は、2018年4月のホールディングス化を前に、ラジオニュースの作成に携わっていたスタッフ5人を同年3月末で契約解除した。
 彼らは適性を見込まれて朝日放送にスカウトされ、「派遣の体裁をとって朝日放送で働いてほしい」と要請されて働いていた。
 彼らは通信社等から届けられる原稿をアナウンス原稿作り替える業務だけしているのではない。有事や災害時は原稿をはじめから作る場合もあるなど、スタッフ5人が24時間体制で朝日放送のアナウンサーと共同でラジオのニュースを送り続けてきたのだ。
 契約解除により生活基盤を崩壊されたスタッフ5人は、そんな苦境にありながらも、民放労連朝日放送ラジオ・スタッフユニオンを結成し、朝日放送へ真摯な話し合いを切望してきた。
 しかし団交は開催されず、大阪府労働委員会に団交拒否の救済を申し立てたのだ。
 結審を経て新年には府労委から命令が出されることになったが、命令を待つ必要はないはずだ。
なぜなら朝日放送は6月3日に、府労委からの勧告で和解の席に着いた経緯があり、朝日放送には解決の意志があるに他ならないからだ。

 第129回定期大会に結集した我われは、朝日放送側に対して、共に働いていた仲間をこれ以上苦しめることなく、朝日放送が府労委命令を待たず、早期に解決することを要請する。

右、決議する。

2019年7月28日
日本民間放送労働組合連合会 第129回定期大会

民放労連第129回定期大会「沖縄の民意と連帯し辺野古新基地建設の撤回を求める決議(2019年7月28日)

 「沖縄慰霊の日」の6月23日におこなわれた沖縄全戦没者追悼式で安倍晋三首相は「沖縄の方々には長きにわたり、米軍基地の集中による大きな負担を担っていただいております」と挨拶した。これに対し玉城デニー知事は今年二月に実施された辺野古埋め立ての賛否を問う県民投票で、圧倒的多数の県民が埋め立て「NO!」の意思を明確に示したことを挙げ、「県民投票の結果を無視して工事を強行する政府の対応は、民主主義の正当な手続きを経て導き出された民意を尊重せず、地方自治をもないがしろにするものであります」と政府を批判した。

 米海兵隊はもともと山梨県や岐阜県に駐留していたが、地元の駐留反対運動を収めるため、政府が沖縄に押し込めた歴史がある。辺野古の海に米軍の新しい基地を造る動きが出たのは1995年の米海兵隊員らによる少女暴行事件が発端だった。沖縄県民大会が開かれ、85000人余りが結集する怒りのうねりが翌年の橋本龍太郎首相とモンデール駐日米大使(いずれも当時)の米海兵隊の主力基地・普天間の返還合意へとつながった。

 しかし実態は、閉鎖返還どころか県内への移設だった。移設場所は名護市辺野古米海兵隊キャンプシュワブ沿岸部。県民感が感情が喜びから落胆へ、そして反発へと変わっていった背景を私たちは理解しよう。県民は愚直にも県知事選挙や衆参両国政選挙、県民投票で幾度も埋め立て反対の民意を示している。にもかかわらず政府は「沖縄に寄り添い」と言う裏で工事を強行。さらに岩屋防衛大臣の「沖縄には沖縄の民意があり、国には国の民意がある」と県民投票で示された沖縄の意思を否定するかのような発言まで飛び出した。

 沖縄県が司法の場や国と地方の争いを扱う係争処理委員会の場で訴えても、国に瑕疵はないとして門前払いが続く。これを背景に政府は大量の機動隊員を動員してゲート前で座り込む県民を排除し、豊かな海に土砂投入を強行している。戦後74年、米軍に土地を奪われた沖縄県民は、一度たりとも基地を喜んで受け入れたことはない。

 沖縄の人々の民主主義も、基本的人権も地方自治をも一向に尊重する姿勢を見せようとしない政府に抗議の意を示すとともに、在日米軍基地の74%が集中する沖縄に、これ以上の重荷となる辺野古新基地建設の一日も早い撤回を求める連帯の輪を広げていこう。

 右、決議する。

2019年7月28日
 日本民間放送労働組合連合会 第129回定期大会

民放労連第129回定期大会「民放労連運動に憲法を活かしていこう!」(2018年7月28日)

 「戦争放棄・平和主義」「基本的人権の尊重」「国民主権」を原則とし、言論・表現・結社の自由と労働三権と平和的生存権を定めた日本国憲法を労連組合活動に活用していくという方針を広島での第129回定期大会で確認した。

 今年の5月3日、「自衛隊の存在を憲法上明文化し、違憲論争に終止符を打つのは政治の役割であり、私たち世代の責任だ」「2020年に新しい憲法が施行される年にしたい。今もその気持ちに変わりはありません」など安倍晋三首相は改憲への強い意気込みを露わにするが、2012年に発表された自民党「憲法改正草案」が、権力を規制するという立憲主義の本義から外れ、逆に国民を統制し言論・表現の自由、結社の自由など主権者である国民の権利に制限を加えるものであるかぎり、看過することはできない。

 朝日新聞の世論調査でも「改憲機運が高まっているか」の問いに、72%が「高まっていない」と回答し、憲法九条に関しても「変えないほうがよい」が62%と、「変えるほうがよい」の28%を大きく上回った。また「安倍首相に望む政策」という設問には38%が「社会保障」と答えたのに対し、「改憲」はわずかに3%しかなく、安倍首相と有権者の意識におおきなずれが認められ、改憲が現在の日本にとっての喫緊の課題とはいえない。
 自らの首相としての任期中に改憲を実現し歴史に名を刻まれたいとでも考えているのか。期日を切って議論を尽くすことなく、国民が強く望んでいるわけでもない改憲を強引に進めることは、世論無視、民主主義無視の「壊憲」にほかならない。

 私たち民放労連は、立憲主義の否定、民主主義の形骸化、そして平和を脅かす改憲には強く反対する。個人が尊重され、言論・表現の自由など個人の権利がこれからも尊重される社会の継続とこれからも民放労連運動に憲法を活かしていくことを、ここに宣言する。
 2019年7月28日
日本民間放送労働組合連合会 第129回定期大会

民放労連第129回定期大会「政府からの圧力を排し、視聴者から信頼される放送の確立をめざす決議」(2019年7月28日)

 官房長官会見で、特定の記者の質問制限を記者クラブに要請するなど、メディアに対する政府の有形無形の圧力が強まる中、放送のみならず、国内メディアの報道の自由が危ぶまれている。
 国連の「言論・表現の自由の促進」に関する特別報告者、デービッド・ケイ氏が、日本では現在もメディアの独立性に懸念が残るとする新たな報告書をまとめて、6月に国連に提出した。報告書の中では、日本のメディアが特定秘密保護法などで萎縮している可能性があるとして同法の改正や放送法4条の廃止を求めた2017年の勧告を、日本政府がほとんど履行していないと批判している。また、日本政府が放送局に電波停止を命じる根拠となる放送法四条についても、廃止を求めている。
 
 昨年春、放送法4条を撤廃し、放送とインターネットの規制を同等にする政府の内部文書が明らかになった。「NHKを除く放送は不要」などと記載されたこの文書が意図するものは、国連から指摘されている放送・表現の自由の観点とは真逆で、政府に都合の良い情報を自由に流すことのできるインターネットを重視する一方で、ジャーナリズムとしての公正な放送を軽視したものだ。
 
 7月の参議院選挙では、市民連合と野党の共通政策に「国民の知る権利を確保するという観点から、報道の自由を徹底するため、放送事業者の監督を総務省から切り離し、独立行政委員会で行う新たな放送法制を構築すること」が盛り込まれた。独立した機関による放送行政の実現は諸外国の常識であると同時に、民放労連のかねてからの政策要求でもある。国際社会からも注目されているこの機会に、放送制度をめぐる国民的議論を起こし、放送に働く者としてしっかりと意見表明していく必要がある。

 民放連は『「放送の価値向上・未来像に関する民放連の施策」に関する中間報告』をこのほど公表した。報告書には「ローカル局の経営基盤強化の研究や業務支援」「ネット・デジタル分野での事業拡充による放送の媒体価値向上」「放送コンテンツの海外展開」などが掲げられている。
 しかし、インターネットの発達により真偽の入り混じった情報が氾濫する現代において、視聴者がいま放送に求めているのは、正確で有意義な情報を届けてくれる番組であるはずだ。そのような番組を充実させることこそが、放送がこれからも視聴者からの信頼を得るうえでの責務ではないだろうか。そのためには、政府からの圧力を排し、番組作りの現場に対する積極的な環境整備が絶対条件であることは疑いない。私たちは放送局経営者に対して「人と番組を大切にする」経営方針への転換を、改めて強く求める。

右、決議する。

2019年7月28日           
日本民間放送労働組合連合会 第129回定期大会

民放労連第129回定期大会「労働者保護に資する労働法制の〝真〟の改正を求める決議」(2019年7月28日)

 財界が強く要請している「解雇の金銭解決制度」の法制化に向けて、厚生労働省は、「解雇無効時の金銭救済制度に係る法技術的論点に関する検討会」という長い名称の会議を立ち上げ、議論をはじめている。重々しい名称のわりに、検討されている内容の本質は旧来から変わらず「解雇は違法で無効なものであった場合、労働者は会社に金銭を要求できる」と、あたかも労働者に有利に映る表現をとっているが、これまでの判例によって積み重ねられた「整理解雇の四要件(人員整理の必要性、解雇回避努力義務の履行、被解雇者選定の合理性、解雇手続の妥当性)」を根底から覆すもので、違法な解雇すら一定程度の金銭を支払うことで合法化できることを目論む。
 企業にとって好ましくない労働者の排除や、事業の統廃合、景気動向に合わせた雇用調整手段として使用者側に期待されていることはすなわち、労働者にとっては雇用不安を常態化させるものにほかならず、法制化には妥協の余地なく反対する。
 
 厚生労働省による調査データの不備や異常値が多数見つかった問題を受けて、「働き方改革関連法案」から全面削除された「裁量労働制の適用範囲拡大」について、安倍政権は国会への再提出へ向けて粛々と準備を進めている。
 「裁量労働制」は労働基準法で認められた制度で、法律で規定された「専門業務型」「企画業務型」の二種があり、いずれも特定の職種に従事する労働者を対象に、実際の労働時間に関係なく、使用者は労使間で定めた「みなし労働時間」分の時間外労働手当を支払えば済むというものだ。政府は昨年の国会で法制化を断念したものの、「1日も早く、完全な働き方改革法案を完成させてもらいたい」と注文をつけたように財界は、「企画業務型」の適用範囲を拡大し、問題解決型提案営業と自社事業についての企画・立案・調査・分析を行い、その結果を活用して事業の管理・実施状況の評価を行う業務、すなわちあらゆる営業職を裁量労働制の適用対象とすること、そして、企業にとって制度を使い勝手の良いものにするための手続きの簡素化を引き続き求めている。
 
 私たち民放労連は、解雇権の乱用を導く「解雇の金銭解決制度」と、労働者のいのちと健康を脅かす「裁量労働制の適用範囲拡大」に強く反対するとともに、すべての労働者が安心して働ける社会の実現につながる労働法制の真の改正を求めていく。

右決議する。

2019年7月28日
日本民間放送労働組合連合会 第129回定期大会

民放労連第129回定期大会「展望が持てる放送の未来のために すべての放送労働者に団結を呼びかける決議 」(2019年7月28日)

 民間放送が誕生して六八年。日本の経済成長に歩をあわせて、民放産業は、政治・経済・社会・文化に影響を及ぼすマスメディアへと発展してきた。
しかし、その成長の影には、放送局正社員とそれ以外の構内労働者の賃金・労働条件の格差、雇用差別、放送局とプロダクション・関連会社との非対称な関係といった「負の遺産」を生じさせた。
 「賃金が低くても放送の仕事をしたいという若者はいくらでもいる」と20年ほど前に民放連研究所はある報告書で言い放った。総額人件費の削減にあたっては、放送局正社員の一人当たりの人件費を削減するとモラールハザードを引き起こすので、人員を削減すべきとも民放経営者に促し、必要な人員はアウトソーシングで補うべきと主張した。
 民放の社会における影響力が非常に強かった時、民放経営者が生み出した「負の遺産」は影に隠れて可視化されることは少なかったが、その「負の遺産」が、いまや民放=「ブラック産業」という呼称で若者たちから忌避されている。

 私たち民放労連は、放送産業に横たわる「負の遺産」の解消と1万人の民放労連の早期実現をめざした「構内労働者組織化プロジェクト」に6年間にわたって取り組み、「企業内最低賃金協定」の締結をはじめ、構内スタッフへの慰労金やクオカードの支給を経営者に実施させるなどの待遇改善を実現してきた。この取り組みが今年度も構内労働者の組織化につながっている。朝日放送労組では、子会社アイネックス社員の労働条件に関する相談から、18名の朝日放送労組アイネックス支部が結成された。京都放送労組は職場の組合員が日常的に声掛け運動を展開し、目標人数を上回る労働者が組合に加わった。

 来年4月から「パートタイム・有期雇用労働法」が施行される。同一企業・団体における正規労働者と、有期雇用・パートタイム・派遣契約労働者との不合理な待遇格差が禁止される。労働組合の存在と役割を構内スタッフに認識してもらう絶好の機会の到来である。
 今すぐ、構内労働者の雇用形態別の労働条件を把握し、不合理な格差が確認された場合には要求化して是正させていこう。再び、若者たちにとって魅力ある産業になるための起点として労働組合が動き出そう。
  旧態依然とした民放経営者を覚醒させ「負の遺産」を解消するためには私たち民放労連の一層の団結が不可欠だ。企業別に組織されている日本の労働組合の弱点を克服し、未組織労働者の声なき声に耳を傾け、要求を実現させていく。その成果を組織化に結び付け、さらなる要求実現能力を高める。一〇年後の未来も視聴者から信頼される放送を続け、私たちの職場と生活が安定したものであるために、放送で働くすべての労働者の結集を呼びかけていこう。

右、決議する。

 2019年7月28日
日本民間放送労働組合連合会 第129回定期大会

民放労連第129回定期大会「ハラスメントのない社会を!職場を!」(2019年7月28日)

 創立100周年を迎えた国際労働機関(ILO)は6月、スイスのジュネーブで開いた年次総会で、「仕事の世界における暴力とハラスメントに関する条約と勧告」を採択した。条約は、暴力とハラスメントは人権侵害だと明確に規定し、雇用労働者だけでなく、フリーランスやインターン、求職中の人などを広く保護の対象とした。
 ILO総会に先立って、日本では「ハラスメント規制法」が5月に成立した。これまでのセクハラ・マタハラに加えてパワハラにも防止措置が事業主に義務付けられた。しかし、今回の改正ではハラスメント行為そのものを禁止する規定はない。このような姿勢を反映して、日本政府は条約にこそ賛成したものの、ハラスメントを禁止する国内法の整備が求められる批准については消極的な姿勢を示している。採択を棄権した経済界代表の経団連が「上司の適正な指導とパワハラは線が引きにくい」とする主張に忖度したと疑わざるをえない。
 条約の成立を受けて、ILOのガイ・ライダー事務局長が「次の段階は、男女双方に、より良い、より安全で働きがいのある人間らしい労働環境が形成されるように実践に移すこと」と述べたとおり、まずは、政府に国内法整備を強く要請し、すべての労働者のディーセント・ワーク実現に向けた運動を強化しよう。
 日本マスコミ文化情報労組会議(MIC)がおこなった職域横断セクハラアンケートでは1061人から回答があり、見聞きした人を含め、被害にあっても相談・通報していない人は565人で、その理由は「相談しても解決しない」「仕事に支障が出るかもしれない」が多数を占めた。会社や組織が設けた相談窓口に相談・通報した52人のうち8割近くが「不適切な対応」と回答。「事情を話したが、調査もされずに放置された」という人が最も多く、諦めと我慢、放置という悪弊が蔓延している実態が露わとなった。
 またMICでは、各企業の経営者による「ハラスメント根絶宣言」を要求することを加盟各単産で全会一致により決定した。出版労連は今春闘において各組合で取り組むことを確認し、複数の出版社経営者が「宣言」に署名。このうち1社ではパワハラ被害で退職を余儀なくされた労働者の復職につながった。
 「すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする」と憲法第13条は定めている。ハラスメントは個人の尊厳を踏みにじるものと私たち一人ひとりが自覚し、社会からの、職場からのその根絶に向けて一歩を踏み出そう。

 右、決議する。

 2019年7月28日
日本民間放送労働組合連合会 第129回定期大会