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民放労連第128回臨時大会「ABC事件、労働争議の早期解決を求める決議」(2019年1月27日)

 一方的な契約解除からほぼ1年、大阪府労働委員会で係争中の「平成30年(不)第24号朝日放送グループホールディングス/朝日放送ラジオ事件」は、5回にわたる書面のやり取りによる調査を経て、今年3月から公開の場で行われる審問の段階に移ることになった。

 長年、朝日放送のラジオニュース班で働いてきた5人の派遣労働者は、2017年度末に突如雇い止めとなった。契約打ち切りの合理的理由を聞くため5人は労働組合を結成し、昨年3月、朝日放送に対して団体交渉の開催を求めた。

 しかし、朝日放送側が話し合う姿勢を見せることなく即日拒否したため、組合は府労委に「団交拒否の不当労働行為の救済」を申し立てたのである。

 朝日放送側は組合の団交要求を「府労委申し立てのためのアリバイづくりだ」と曲解して批判したため、組合は昨年10月に重ねて団交開催を要求したが、今度は「その真意を図りかねる」とはね付け、不誠実な対応に終始している。

 組合員が求めているのは、団交を開催して雇い止めの理由を聞くことであり、さらにその先には生活基盤の回復、5人全員の職場復帰を見据えている。組合側には「図りかねる」と言われるよう底意はなく、真意は明快である。

 一方の朝日放送側は府労委の審問において自ら証人を立てることなく「組合側証人への反対尋問で正当性を立証する」と強気の姿勢を示している。

 5人の組合員は、生活基盤を突如失い、苦境にありながらも真摯な話し合いを切望している。朝日放送は自らの正当性に自信があるならなおのこと、団交を開催して正々堂々と組合員に向き合うべきではないか。

 第128回臨時大会に結集した我々は、朝日放送側に対して、速やかに団体交渉の開催に応じ、一刻も早い争議解決を強く求める。

 右、決議する。

2019年1月27日
日本民間放送労働組合連合会 第128回臨時大会

民放労連第128回臨時大会「沖縄県民の民意を無視した名護市辺野古新基地建設に向けた土砂投入作業に断固抗議する決議」(2019年1月27日)

 2018年12月14日午前、日差しを受けて青く輝く沖縄県名護市辺野古の海に、1台のトラックが積んでいた土砂を降ろした。民意を無視し、生物多様性に富んだ海の埋め立てが始まったこの日は、沖縄の記憶に刻まれることになる。埋め立てが始まった米軍キャンプシュワブゲート前で抗議行動を続ける市民は、民意を踏みにじる安倍政権の姿勢に強い憤りをもって抗議した。
 
 昨年9月30日の沖縄県知事選挙。急逝した翁長雄志前知事の遺志を引き継ぎ、普天間基地の名護市辺野古への移設反対を表明して過去最多の得票数で、政権が支援する相手候補を破った玉城デニー知事が誕生した。この知事選で県民は明確に「辺野古移設にNO」を突きつけた。県民はこれまでも全県的な選挙で再三、新基地建設反対の民意を示してきた。しかし政府は知事選後、県が撤回した埋め立て承認の効力停止を申し立てて工事を再開。玉城知事は安倍晋三首相との会談で「民意は圧倒的に反対だ」として、改めて新基地建設を断念するよう求めた。だが政府は一顧だにせず、土砂投入に踏み切った。
 
 埋め立てが始まった護岸で囲まれた区域では作業が始まり、真っ青な辺野古ブルーの海が土砂で茶色に染まった。政府は埋め立て作業を加速することで県民にあきらめムードを植え付け、基地建設の既成事実化を積み上げるのが狙いだ。事あるたびに「沖縄に寄り添う」と発言する安倍政権。だが実のところ基地から派生する爆音や事件事故に悩まされ続ける沖縄の声を聴こうとする姿勢は微塵もない。この現状に県民の怒りは沸点に達している。
 
 その一方で、ここに来て朗報もある。今月23日、全国の憲法学者131人が、政府による辺野古新基地建設の強行は憲法違反であり、工事の中止を求める声明を発表した。全国に約600人いるといわれる憲法学者へも賛同の輪を広げるという。

 また、工事中止を求める米ホワイトハウスへの署名は全世界から約21万筆が集まっている。24日までに呼びかけの発起人である請願者宛に、ホワイトハウスから「私たちはあなたのメッセージを慎重に検討しています」と回答があった。憲法学者の声明もホワイトハウスからの請願に対する回答も極めて異例のことだ。来月24日には、紆余曲折あった辺野古埋め立ての賛否を問う県民投票も全県で実施されることが決まった。

 辺野古埋め立て問題は沖縄だけの問題ではない。憲法9条と日米安保の問題でもあり、地方自治法と人権、民主主義を問うことからすると、国民すべての問題である。
 私たちは、辺野古新基地建設に向けた埋め立てに対する沖縄県民の民意が示されるまで、政府は辺野古への海に土砂投入作業を即時中止するよう強く求める。

 右、決議する。

2019年1月27日
日本民間放送労働組合連合会 第128回臨時大会

民放労連第128回臨時大会「あらゆるハラスメントを許さず見過ごさず、根絶をめざす決議」(2019年1月27日)

 1992年、日本で最初のセクシュアル・ハラスメント裁判(福岡事件)で、企業に対して「使用者責任として、民法715条に基づくセクハラ防止義務と適切な対処義務がある」との判決が示され、『セクハラ』は人格権を侵害する不法行為であると同時に、企業には、従業員がその尊厳を傷つけられないよう未然に防ぎ、働きやすい職場環境を保つ義務があるとした。
 この事件以降、セクハラ訴訟が相次ぎ、日本の社会にセクハラが根深く蔓延していることが露わとなった。にもかかわらず、政府や国会の不作為により、セクハラを明確に定義し、禁止する法律が不備のままで、セクハラの根絶を遅らせている。

 昨年4月、当時の財務事務次官による放送記者へのセクハラが明らかになった。この記者の告白は、放送に限らずメディア内部の「慣習」や「常識」が個人の尊厳を侵害するハラスメントに該当する場合があるとの気づきを与え、社会の声なき声を伝えるべき私たち自身が、声なき声の当事者でもあることを自覚させることとなった。
 翌5月、新聞や放送、出版などメディアで働く有志によって「メディアで働く女性ネットワーク」が設立された。職場の秩序や業務に影響を与え、被害者の人生に暗い影を落とすセクハラを含むあらゆる人権侵害をメディア内部から撤廃する運動がはじまった。
 日本マスコミ文化情報労組会議(MIC)でも、メディア労働者を対象に調査を実施。回答を寄せた女性233名のうち、実に74%がセクハラを受けたことがあると答えた。また男性も15%が「ある」と回答した。「相談しても解決しない」「仕事に支障が出るかもしれない」「相談内容が他の人に漏れるかもしれない」などの不安により、多くの被害者が相談できず、心の傷をずっと一人で抱え込んでいることも浮かび上がった。

 精神的身体的負担の大きさから、加害者ではなく被害者が職場を去らなければならないという不条理をはらんだセクハラをはじめ、パワハラやマタハラなどを決して見過ごしてはならない。私たち自身がハラスメントの加害者にならないと誓うだけではなく、他者のハラスメントに勇気をもって注意を促し、誰もが働きやすい職場環境作りに労働組合が率先して取り組もう。
 今年6月のILO国際労働機関総会で「仕事の世界における暴力とハラスメント」根絶のための条約の採択準備がすすめられている。これまでの議論で「各加盟国は、仕事の世界における、性差に基づく暴力・ハラスメントを禁止するための国内法令を採択すべき」との文言を盛り込む方向だ。これに対し、日本政府は、態度を留保し、消極的な姿勢を示している。私たち民放労連は、ハラスメント根絶に向けたILOの方針に賛同するとともに、日本政府に早急な国内法整備を求める。

 右、決議する。


2019年1月27日
日本民間放送労働組合連合会 第128回臨時大会

民放労連第128回臨時大会「民主主義の基盤となる放送の価値を守り抜く決議」(2019年1月27日)

 放送番組基準は「政治に関しては公正な立場を守り、一党一派に偏らないように注意する」「広告は、真実を伝え、視聴者に利益をもたらすものでなければならない」「番組およびスポットの提供については、公正な自由競争に反する独占的利用を認めない」「事実を誇張して視聴者に過大評価させるものは取り扱わない」「広告は、たとえ事実であっても、他をひぼうし、または排斥、中傷してはならない」と規定している。
 安倍晋三首相が目指す改憲を国会が発議し、国民投票が実施されるにあたって、放送局がこうした基準をしっかり守る姿勢を示すことができれば、憂慮される事態―改憲勢力がカネの力で大量の意見表明CMを放送して、世論を改憲賛成に誘導するのではないかーに対し、有権者に有用な放送が実現できると信じる。

 2007年に成立した国民投票法は、国民投票運動を「憲法改正案に対し賛成又は反対の投票をし又はしないよう勧誘する行為」と定義している。そのうえで、主権者である国民一人ひとりが冷静な判断を行うために、国民投票運動CMは、投票期日前14日から投票日当日まで、放送を禁じられている。
 日本民間放送連盟(民放連)は、テレビ・ラジオでの「憲法改正に賛成です・反対です」との意見を表明する有料意見CMについても、投票期日前14日間は取り扱わないとの可能性を示唆している。
 憲法「改正」をめぐる今日の問題は、日本の民主主義の行く末に大きな影響を与えるだろう。各放送局は、有料意見CMの取り扱いについては国民の冷静な判断に資する自主基準を定め、日常の報道番組などにおいても積極的に改憲の問題を取り上げ、多様性多元性を確保して、さまざまな意見をできる限り紹介することが求められる。

 自民党は昨年12月、「総務省は、ローカル局の積極的な再編を促進するため、放送対象地域の拡大= 県域免許の見直しについて検討を行うこと」などを項目とする「放送法の改正に関する小委員会第二次提言」を打ち出した。放送局の経営効率化を狙ったこれまでの政策の延長線上にあるものと言えるが、地域が必要とする情報を確実に届けていくというローカル放送の役割が阻害されるのではないだろうか。

 昨年末に金沢市内で開催されたメディア総合研究所主催のシンポジウム「ローカル放送の未来を問う」では、地元の放送局から招いたパネリストが地域におけるジャーナリズムの確立のために奮闘している実状を語った。地域メディアとしてのローカル放送局はむしろ多発する災害等の放送即応対応など、地域密着型の必要性が高まっており、「積極的な再編」などで整理統合されるような存在では決してない。

 放送は戦後を通して、日本の民主主義の基盤を形成してきたとの自負がある。今こそ、放送・表現の自由を最大限に生かして、視聴者から信頼される放送を確立しよう。権力からの不当な圧力をはねのけて、放送の価値を守り抜こう。
 右、決議する。


2019年1月27日
日本民間放送労働組合連合会 第128回臨時大会

民放労連第128回臨時大会「憲法『改正』に反対し、平和と立憲主義を守る決議」(2019年1月27日)

 安倍晋三首相は、年頭記者会見で憲法に関する質問に対し「具体的な改正案を提示する」と、改めて憲法「改正」への強い意気込みを見せた。この発言に対しては、野党だけではなく、同じ与党の公明党や自民党内からも反対意見や慎重論が出ているが、立ち止まる気配は全くない。
 自民党がめざす改憲の基本は2012年に発表された自民党「憲法改正草案」であり、この草案を読み解くと、権力を規制するという立憲主義の本義から外れ、国民を統制し、国家に奉仕させようとする意図が浮かび上がってくる。

 また憲法施行70年にあたる一昨年の憲法記念日、改憲派による集会に安倍首相はビデオメッセージを寄せ「9条1項、2項を残しつつ、自衛隊を明文で書き込む、という考え方、これは国民的な議論に値する」と述べた。「憲法学者の中に、自衛隊は違憲という議論があるから」「自衛隊は違憲かもしれないけれども、命を張って守ってくれというのは、あまりにも無責任」とその理由を示した。改憲賛成派のなかからは、「戦力不保持を定める2項を残したまま自衛隊の存在を明記することは自衛隊は軍隊ではないことを認めること」と否定的な意見もあるが、国民の理解を得やすい九条改憲案として歓迎する声が多い。
 一方、改憲反対派からは、「武力を行使できる自衛隊を明記することは、集団的自衛権を容認し、安保法制を整備した現在、一項の戦争放棄と二項の戦力不保持を死文化することにほかならない」などと明記論について強い懸念が示されている。

 昨年4月のNHKの世論調査によれば、改憲についての賛成と反対は2014年以降それぞれ30%前後で拮抗し、残りの約40%は態度を保留させている。さらに憲法9条に限れば、「評価する・ある程度評価する」が70%を占めた。自衛隊の明記論については、賛成が反対を上回るが「どちらともいえない」が最も多く、国民の理解が広がっているとはいえず、世論は九条改定に慎重な姿勢といえるだろう。何よりも「憲法改正よりもほかの問題を優先すべき」という意見が七割も占めることを安倍政権は尊重すべきだ。

 私たち民放労連は、立憲主義の否定、民主主義の形骸化、そして平和を脅かす改憲には強く反対するとともに、国家を優先し、個人の権利や表現の自由が制限される社会の到来を決して許すことはできない。
憲法12条が、自由と権利は「国民の不断の努力によって、これを保持しなければならない」と定めているとおり、民放労連に結集する私たちは、現憲法を尊重し、自由と平和、民主主義を守るための運動を続けることを、ここに宣言する。

 右、決議する。

2019年1月27日
日本民間放送労働組合連合会 第128回臨時大会

民放労連第128回臨時大会「『労働法制改悪』に反対する決議」(2019年1月27日)

 三菱電機では、2012年から2017年までの5年間に、実に5名もの社員が長時間労働を原因とする労災の認定を受け、うち2名が過労自殺に追い込まれていたことが昨年九月に明らかになった。また3名は、2004年に導入された裁量労働制のもとで働き、その犠牲者だったことがわかった。相次ぐ労災認定により、三菱電機は裁量労働制を廃止するしかなかった。

 昨年6月、過労死を促進する恐れがある残業代ゼロ制度「高度プロフェッショナル制度」が盛り込まれた「働き方改革関連法案」が通常国会で強行採決によって成立した。安倍政権はこの「働き方改革」関連法のもう一つの柱に裁量労働制の適用対象の拡大を盛り込む方針だったが、政府が用意した労働時間の比較データが『ねつ造』されたものだったことが発覚して、断念した経緯がある。
 
「裁量労働制の対象拡大については、法案の早期の再提出を期待する」との日本経団連会長のコメントに対応するかのように、政府は昨年9月に「裁量労働制実態調査に関する専門家検討会」を立ち上げ、法改正に向けて着々と歩を進めている。
 加えて、安倍政権は、事前に就業規則に定めておけば、労働者の解雇が裁判で不当と認定されても復職させることなく、金銭で解決できるという「解雇の金銭解決制度」法制化への意欲は衰えていない。判例によって積み上げられた「整理解雇の四要件」規制を根底から覆すものであり、企業にとって好ましくない労働者の排除や、事業に合わせた雇用調整手段として悪用される危険性が高く、「解雇を助長する」として、労働者側が議論の棚上げをはかってきたが、法整備に向けた検討会は続いており予断を許さない。

 「裁量労働制の対象拡大」と「解雇の金銭解決制度」は、「高度プロフェッショナル制度」とともに、労働者の人間らしく働き、生活する権利をはく奪するもので、法制化は絶対に許してはならない。
 すべての労働者の「いのちと健康」「雇用と生活」を守るために、労働法制改悪に断固反対の声を挙げ、ともにたたかおう。

 右、決議する。

2019年1月27日
   日本民間放送労働組合連合会 第128回臨時大会

民放労連第128回臨時大会「民放で働くすべての労働者の団結を呼びかける決議」(2019年1月27日)

 いわゆる非正規労働者の雇用不安を解消するとともに安心して働き続けることができることを目的に、改正労働契約法が施行されてまもなく6年となる。昨年4月には、5年を超えて有期雇用が反復更新された労働者には無期労働契約に転換できる権利が生じることになった。
  いくつかの放送局やプロダクション・関連会社では、有期雇用の労働者を無期へと転換する動きが見られ雇用不安の解消に前進したが、一方で、労働条件については正社員との格差が縮小したわけではない。

 「非正規という言葉を一掃することをめざす」として、政府は「働き方改革実現会議」を立ち上げ、昨年には「働き方改革関連法」が成立した。これにより、2020年4月から正規・非正規労働者間の不合理な待遇格差を解消する「同一労働同一賃金」が義務づけられる。
これを先取りするかたちで、ヤマト運輸は有期契約のドライバーの正社員化を発表。また高島屋などでは、非正規社員の賃金を、同じ条件で働く正社員と同等の水準に合わせる方針を明らかにしている。

 構内で働く多くの労働者の協力なしでは日々の放送活動が成り立たない放送産業にとっても「同一労働同一賃金」の実現は、目指すべき目標だ。昨春闘では、西日本映像労組の長年の要求に対して、「新たな採用についてはすべて正社員とする」と会社が回答し、格差是正を一歩前進させた。また昨年末闘争では、静岡朝日テレビ労組がアルバイトの昇給制導入を実現し、テレビ東京労組はキイ局としては初の企業内最賃協定締結を勝ち取った。格差是正を先進的に取り組んできた京都放送労組は、子会社の本社への統合を機に、構内労働者の労働条件改善の回答を引き出した。

 このように民放労連でも広がりつつある「同一労働同一賃金」に向けた動きをさらに大きく確実なものとするために、各組合が、放送局とプロダクション・関連会社、正社員とそれ以外の労働者の賃金・労働条件の格差を解消し、放送が魅力ある産業となるよう取り組んでいこう。放送業界が健全に発展していくためには、放送の将来を担う人材の確保が必要だ。残業代がなくては生活が困窮するような低賃金、睡眠や休みさえまともに取れない長時間労働が当たり前の産業に人は集まらない。若手の退職が増加している状況も、経営者は理解しているはずだ。

 2020年4月に施行される「同一労働同一賃金」を追い風にして、放送産業に働くすべての労働者が安全に、そして安心して働くことができる賃金と労働条件を実現し可視化することで、労働組合の役割と重要性についての認識を広げ、放送局構内で働くすべての労働者に労働組合への加入を呼びかけ、大きな団結をつくりだそう。
 右、決議する。

2019年1月27日
日本民間放送労働組合連合会 第128回臨時大会

民放労連第128回臨時大会 大会アピール(2019年1月27日)

 「内平らかに外成る」国も人も内部が平和で穏やかであれば、それは外に形となって現れる、との思いが込められた「平成」。放送産業が「ギョーカイ」ともてはやされ、バブル景気とともに「24時間働けますか?」というコピーがメディアを賑わした平成初期、そして「働き方改革」「放送産業からの若者離れ」が叫ばれる現状に至るまで、私たちを取り巻く環境はこの30年間で大きく変貌した。そんな「平成」が終焉を迎える冬、私たちは放送産業における新たな時代を切り拓くためにここ両国に集まった。

 放送の将来を担うべき人材の確保が難しくなっている現実を直視しよう。「賃金が低く、長時間労働が当たり前でも放送を目指す若者が多い」という過去の幻想に、労使ともにすがっていてはいけない。
  大会では、4月からの労働法制変更に伴う時間外の上限規制と有休の年5日取得義務への懸念と取り組みについて多くの組合から発言が相次いだ。すべての労働者が安心して働くことが出来る賃金と労働条件を経営者に求めていこう。
  昨年4月、当時の財務省事務次官による放送記者へのセクハラが発覚した。これは氷山の一角であり、メディア内部に多くのハラスメントが存在している。これまでの私たちの「常識」を疑い、あらゆるハラスメントをなくし、誰もが安心して働ける職場環境を確立することが急務だ。

 昨年6月、残業代ゼロ制度とも呼ばれる「高度プロフェッショナル制度」が盛り込まれた「働き方改革関連法案」が成立した。裁量労働制の拡大について政府は新たな法改正に向けた歩みを着々と進めている。また「解雇の金銭解決制度」は、従来の解雇規制を根底から覆し、不当解雇が連発される恐れがあり、法制化には断固として反対する。

 「2020年新憲法施行」をめざす安倍首相は、年頭記者会見で「具体的な改正案を提示する」と改めて憲法「改正」への強い意気込みを示した。そこには、権力を縛る立憲主義の否定が示唆されている。そんな改憲を許すことが出来ない。国家のために個人の権利や表現の自由が制限され、多数派の一存で国の根幹が変えられるようなことで「内平らか」と言えない。

 政府・自民党は相変わらず放送への介入を狙っている。自民党は昨年12月、「放送法の改正に関する小委員会第二提言」を打ち出した。ローカル放送局の経営効率化を狙ったものと言えそうだが、地域メディアとしてのローカル放送局はむしろ必要性が高まっている。今こそ権力からの不当な圧力をはねのけて、放送の価値を守り抜こう。

 辺野古埋め立て問題は沖縄だけの問題ではない。直視したくないものから目をそらし、他人事になっているのではないだろうか。取材にあたった琉球放送労組からは生の声が寄せられた。私たちは、辺野古新基地建設に向けた埋め立てに対する沖縄県民の民意が示されるまで。政府は辺野古への海に土砂投入作業を即時中止するよう強く求める。

 国民が必要とする放送を守るため、社会的な使命を果たすため、今こそ労働組合の再生が求められている。企業の利益を優先する「経済の論理」「効率の論理」では、放送の未来を築いていくことは出来ない。未来を担っていく労働者のために「人間の論理」を取り戻そう。すべての放送労働者の団結を創り出し「賃上げと労働環境改善で放送の未来をつくろう」!

2019年1月27日
日本民間放送労働組合連合会 第128回臨時大会

メディア日誌 2018年12月

◆テレビの高画質化の到達点とされる超高精細な画像が特徴の「4K8K衛星放送」が始まった。     (12月1日)     

◆総務省の有識者会議は、11月30日、NHKが2019年度の開始を目指すテレビ番組のインターネット常時同時配信の実施を承認した。(12月1日)

◆総務省は、携帯電話や放送などの事業者が国に納める電波利用料の総額を2019年度から増額する検討に入った。前年度の約600億円から2割以上多い750億円規模とする方向で、今後の調整を進める。 (12月8日)

◆衆院憲法審査会は、幹事懇談会を開き、憲法改正を問う国民投票のテレビCM規制について、日本民間放送連盟(民放連)からヒアリングを行った。民放連はCMの量的規制に否定的な考えを改めて表明し、規制の必要性を訴える野覚側は反発した。 (12月10日)

◆16日に終了したNHK大河ドラマ『西郷どん』の全47回の平均視聴率が、関東地区で12.7%、関西地区で15.8%だったことがビデオリサーチの調べでわかった。 (12月17日)

◆国際ジャーナリスト組織「国境なき記者団」(RSF、本部・パリ)は、2018年に報道に関連して死亡した記者やメディアのスタッフらが80人に達したとする年次報告書を発表した。(12月18日)

◆日本女子プロゴルフ協会(LPGA)は、2019年の国内女子ツアー日程を前年比2試合減と発表した。放映権を巡る交渉で一部のテレビ局が反発し、主催から撤退したため。LPGAは主催者側に理解を求めていく構えで、インターネットでの生放送は来年3月の開幕戦からスタートできるよう調整しているという。 (12月18日)

◆民放連は、憲法改正の是非を問う国民投票に際し、改正に関する意見表明など国民投票法で規制の対象となっていないテレビCMについても、投票日14日前以降は放送しないことを民放各社に推奨すると発表した。一方でCM量については、自主規制はできないとの従来の主張を変えなかった。 (12月20日)

◆NHKは子会社のNHKエンタープライズとNHKプラネットが21日に経営統合に向けて基本合意したと発表した。 (12月26日)

◆政府は、アニメ業界の労働環境の整備に乗り出す。日本のアニメ業界が国内外で計上した売上高は、2017年に2兆1527億円と07年に比べ1.6倍に伸びたが、過酷な労働環境から、制作現場が韓国や東南アジアなどへ移る傾向がある。現場の実態調査を基に契約に関する指針を改定し、制作者が良質な作品を作り続けられるようにする。 (12月30日)

メディア日誌 2018年11月

◆シリアで武装勢力に拘束され3年4ヵ月ぶりに解放されたフリージャーナリストの安田純平さんが日本記者クラブで記者会見した。安田さんは「みなさんにおわびするとともに、深く感謝申し上げたい」と言って頭を下げた。しかし「地球上で紛争が起きている場所があれば、見に行くジャーナリストの存在は必要だ」と語った。(11月2日)

◆放送倫理・番組向上機構(BPO)の放送人権委員会は、名誉棄損の申し立てを受けたCBCテレビの報道番組『イッポウ』について、名誉毀損や放送倫理上の問題はないとする見解を公表した。(11月7日)

◆在京民放キイ局5社の2018年9月中間連結決算が出そろった。スポットCMなどの落ち込みで、3社で売上高が前年同期を下回り、4社で最終利益が減少した。日本テレビHDは売上高が前年同期比0.2%減だったが、前年同期にシステム開発関連の特別損失を掲示要した反動で、最終利益が63.8%と大きく伸びた。  (11月8日)

◆日本テレビのバラエティ番組『世界の果てまでイッテQ!』でヤラセがあったと8日発売の「週刊文春」が報じたことについて放送倫理・番組向上機構(BPO)の放送倫理検証委員会は同局に報告書提出を求めることを決めた。 (11月9日)

◆民放連は日本民間放送連盟賞のテレビグランプリに静岡放送『SBSスペシャル 罠師・ジビエの極意』、ラジオグランプリは、ニッポン放送『ニッポン放送報道スペシャル「My Dream」』と発表した。  (11月10日)

◆NHKは2018年度中間決算の速報値を発表した。受信料収入は3553億円と、前年同期に比べて3%増えた。中間期として五年連続で過去最高を更新した。(11月13日)

◆総務省は来春、BSテレビ放送の3チャンネル分について、新規参入する事業者を公募する方針を固めた。(11月17日)

◆総務省がまとめた国内放送業界の2017年度の収支状況によると、NHKを除く地上波テレビ・ラジオ計194社のうち、純損益が赤字になったのは22社と前年度比で13社も増えた。大半がラジオ局で、複数の大口スポンサーの後根出向の見合わせが相次いだことが原因だという。(11月27日)

◆NHKの重要事項を決定する経営委員会は、視聴者が払う受信料を今後2年で実質的に4.5%引き下げる計画を了承した。(11月27日)