民放労連からのメッセージ : 民放労連第113回定期大会 大会アピール(7月31日)
投稿日時: 2011-8-1 17:32:14 (2655 ヒット)

大会アピール

あの日以来私たちは、見知らぬ世界に迷い込んだような錯覚に陥る。2011年3月11日、東日本大震災と名づけられたこの災害は、2万人以上の死者・行方不明者と10万人以上の避難者をたちどころに生み出した。そして、震災で引き起こされた東京電力福島第一原子力発電所の事故は、原子炉4基が同時に使用不能となる未曾有の苛酷事故となり、発生から5ヶ月近くが経とうとしている現在でも、危険な放射性物質を放出し続けている。家族、財産、仕事、そして帰るべき家も失って、不安と緊張にさいなまれる日々を送っている人々がいる一方で、被災地の復興は遅々として進まず、原発事故のために復旧の入り口にすら立てないところも広範囲にある。この国はいったいどうなってしまうのか。かつてないほどの危機感を抱きながら、私たちはここ富山の地に集まった。

一週間前の7月24日、被災した岩手・宮城・福島の3県を除いてテレビのアナログ放送終了・地上デジタル放送完全移行が実施された。ここに至るまで、私たちは地デジ化への円滑な移行のために全身全霊を傾けるとともに、「地デジ難民」を出すことがないよう各方面に働きかけてきた。しかし結局、総務省は完全移行前日の23日になって、未対応世帯に向けた簡易チューナー貸し出しを発表するというドタバタぶりで、当日は総務省のコールセンターや各放送局の相談電話が鳴り止まなかった。その上、完全移行と言っても、「衛星セーフティネット」に駆け込んだ視聴者や、ケーブルテレビのデジアナ変換サービスを利用している視聴者など、問題を先送りしただけの部分も残されている。国民的議論が行われないまま進められた地デジ化政策については、報道機関としての放送局の関わり方も含めて検証が必要だ。また、この機会にテレビをやめる視聴者も少なくないという。私たちは、地デジ難民ゼロ化に向けてこれからも努力を続け、「地デジ化で得たものより失ったもののほうが大きかった」などということが決して起こらぬよう、真摯な検証作業に着手したい。

セッツインユースが多少回復したとはいえ、ラジオも深刻な状況が続いている。赤字決算が続いている茨城放送は、改正された放送法に則ってハード・ソフト分離の申請を行い、総務省に認められた。同時に、早期希望退職の募集も開始している。ラジオは大震災でその存在意義が再確認されたはずなのに、経営者は人件費・制作費の削減で当面の収支を取り繕うことしか考えられないのか。人々に愛されるラジオの復権を目指して、私たちは「ラジオ活性化プロジェクト」の継続を確認した。

未来に光を感じる、うれしい報告も聞けた。琉球朝日放送労組は、組合結成以来の悲願だった全員の正社員化をついに勝ち取り、新しく入社した正社員2人も労組に迎え入れた。労働条件面で不満は残されたものの、琉球朝日放送労組の仲間はさらに力強く、沖縄の基地問題の不条理を訴える報道を展開していくだろう。読売テレビの「名ばかり管理職」をめぐる大阪府労委闘争では、会社の不当労働行為を厳しく指弾する救済命令が出された。同じ状況に苦しむ全国の仲間を元気付ける、重要な一歩だ。

民放労連プロダクション・関連労組共闘会議とメディア総合研究所が共同で行ったアンケート調査には、労働条件の劣悪さを訴える非正規労働者の悲痛な声が集中した。民放労連が受けた労働相談でも、いきなり解雇を言い渡されたり、退職金まで値切られたりと、労働者に対する理不尽な扱いが横行していることが明らかだ。原発事故に見るように、企業利益ばかりを追求することが取り返しのつかない失敗を招くことを、私たちは学ばねばならない。
 私たちの子どもたちに安心できる未来を引き継ぐためにも、今こそ「効率の論理」でなく、「人間の論理」を職場に回復するよう、新しい民放労連の運動を創りだそう!

2011年7月31日

日本民間放送労働組合連合会 第113回定期大会

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