民放労連声明・不当な政治圧力から放送の自由を守れ(2015.4.28)

民放労連委員長談話「自民党の度重なる報道介入に強く抗議する」(2015.4.13)

[民放労連声明]日本を戦争に巻き込む「戦争立法」に断固反対する(2015.3.21)

「生涯ハケン」を可能にする派遣法改悪案の国会提出に抗議し、廃案を求める(2015.3.17)

「残業代ゼロ制度」の法案化を許さず、労働時間法制を守り抜こう!〜労働政策審議会の今後の労働時間法制の「建議」について〜(2015.2.17)

沖縄県民の民意を無視した名護市辺野古新基地建設に向けた調査工事の強行再開に断固抗議する決議(2015.1.25)

立憲主義の否定を許さず、憲法の理念実現のための不断の努力を宣言する決議(2015.1.25)

民放で働くすべての労働者の団結を呼びかける決議(2015.1.25)

派遣法の改悪や「残業代ゼロ法案」など、労働法制改悪に反対する決議(2015.1.25)

民放労連第120回臨時大会アピール(2015.1.25)

声明「特定秘密保護法の見直しなき施行に抗議し、あくまでも法律の廃止を求める」(2014.12.10)

民放労連委員長談話・政権政党による報道介入に強く抗議する(2014.11.28)

警察による沖縄・辺野古での取材妨害に抗議する(2014.11.22)

民放労連委員長談話「特定秘密保護法の運用基準閣議決定に強く抗議する」(2014.10.16)

安倍内閣の「労働法制改悪」を阻止し、人間らしく働ける制度の確立を求める決議(2014.7.27)

民放で働くすべての労働者の団結を呼びかける決議(2014.7.27)

立憲主義の否定を許さず、職場と生活(くらし)に憲法を活かそう!(2014.7.27)

表現の自由を守り、地域に豊かな放送を送り届けよう(2014.7.27)

民放労連第119回定期大会アピール(2014.7.27)

民放労連見解「憲法解釈の勝手な変更は歴史への背任行為だ」(2014.5.25)

「放送政策に関する調査研究会」第二次取りまとめ案に対する意見(2014.1.26)

民放労連声明「秘密保護法の強行採決は民主主義に対する侮辱だ」(2013.12.7)

民放労連委員長談話「秘密保護法案の委員会強行採決に強く抗議する(2013.12.5)

秘密保護法案の衆院強行採決に抗議する委員長談話(2013.11.26)

秘密保護法案の審議入りに抗議する委員長談話(2013.11.7)

秘密保護法案の即時廃案を求める声明(2013.10.25)

声明・「特定秘密保護法案」に絶対に反対します(2013.9.13)

「特定秘密保護法案」に対する民放労連の意見(2013.9.13)

和歌山放送と茨城放送に、働く者を大切にした経営を求める決議(2013.7.28)

TNCプロジェクト労組宮ア事件の早期解決及び宮ア君の雇用を守るための決議(2013.7.28)

和歌山放送「一方的不利益変更」争議の早期解決と、労使の話し合いによる会社再建を求める決議(2013.7.28)

長崎ビジョン労組争議の『真の解決』と対等かつ誠実な労使関係を求める決議(2013.7.28)

「ラジオはリスナーのためにある」との原点に立ち返ることを求める決議(2013.7.28)

際限のない情報統制を狙う「秘密保全法制」に反対する決議(2013.7.28)

表現の自由・民主主義をさらに発展させる放送政策の確立を求める決議(2013.7.28)

誇りある働き方の実現のため、すべての放送労働者の団結を呼びかける決議(2013.7.28)

労働者派遣法、労働契約法をはじめ、労働法制の抜本改正を求める決議(2013.7.28)

職場と生活(くらし)に憲法!(2013.7.28)

民放労連第117回定期大会アピール(2013.7.28)

自民党のTBS「取材拒否」に抗議し、ただちに撤回を求める委員長談話(2013.7.5)

生活保護法「改正」案の廃案を求める民放労連の声明(2013.6.5)

憲法96条「改正」に反対する民放労連の見解(2013.5.24)

「共通番号法案」の採決強行に抗議し、同法案の廃案を求めます(2013.5.9)

茨城放送と和歌山放送に対し、労使関係を正常化し、職場の声を中心に会社を立て直すよう求める決議(2013.1.27)

TNCプロジェクト労組宮ア争議の早期解決及び宮ア君の雇用を守るための決議(2013.1.27)

長崎ビジョン労組争議の『真の解決』と対等かつ誠実な労使関係を求める決議(2013.1.27)

和歌山放送「一方的不利益変更」争議の早期解決と、職場や地域の声を聞き、労使の話し合いで会社再建を図るよう求める 決議(2013.1.27)

原発事故・震災を風化させない決議(2013.1.27)

改憲手続き開始の動きに反対する決議(2013.1.27)

よりよいラジオの未来に向けて一致団結をよびかける決議(2013.1.27)

「人間らしい労働」を実現する労働法制の抜本改正を求める決議(2013.1.27)

民放で働くすべての労働者の団結を呼びかける決議(2013.1.27)

民放労連第116回臨時大会アピール(2013.1.27)

民放労連第115回定期大会アピール(2012.7.29)

「新型インフルエンザ法案」に反対する声明(2012.3.30)

【談話】派遣法の骨抜き修正案成立に抗議する(2012.3.29)

民放労連第114回臨時大会アピール(2012.1.29)

【談話】派遣法改正案を骨抜きにする法案修正に断固反対する(2011.11.17)

民放労連第113回定期大会アピール(2011.7.31)

民放労連第112回臨時大会アピール(2011.1.30)

放送法「改正」に対する民放労連の見解(2010.11.29)

民放労連第111回定期大会アピール(2010.7.25)

【談話】放送法改正案の衆院総務委強行採決に抗議する(2010.5.25)

放送法改正案についての民放労連見解(2010.4.23)

民放労連第110回臨時大会アピール(2010.1.31)

「省庁の記者会見廃止」方針の撤回を求める(2009.9.19)

09春闘 民放労連闘争アピール(2009.3.10)

民放労連第108回臨時大会アピール(2009.1.25)

民放労連第107回定期大会アピール(2008.7.27)

映画『靖国』への圧力・上映妨害に抗議する民放労連委員長談話(2008.4.7)

NHK国際放送に対する総務省の「要請」に反対する声明(2008.4.1)

08春闘 闘争宣言(2008.3.16)

民放労連第106回臨時大会アピール(2008.1.27)

放送法「改正」案成立についての声明(2007.12.21)

総務省「通信・放送の総合的な法体系に関する研究会」最終報告に対する委員長談話(2007.12.7)

長崎ビジョン争議の長崎県労働委員会救済命令についての声明(2007.11.12)

ミャンマー軍事政権による長井健司さん殺害に抗議する民放労連委員長談話(2007.9.29)

民放労連第105回定期大会アピール(2007.7.28)

国民投票法案の「成立」に抗議する談話(2007.5.14)

国民投票法案の参院での廃案を求める声明(2007.5.10)

国民投票法案の強行採決に抗議する声明(2007.4.12)

放送法改定案に反対する声明(2007.3.30)

民放労連第104回臨時大会アピール(2007.1.28)

「発掘!あるある大事典U」捏造事件についての見解(2007.1.26)

NHK対する国際放送命令の強行に強く抗議し、撤回を求める(2006.11.10)

NHK「命令放送」に反対する声明(2006.11.1)

憲法改定のための「国民投票法案」に反対する民放労連の見解(2006.10.6)

朝日放送SE争議の中央労働委員会不当命令に抗議する(2006.8.8)

民放労連第103回定期大会アピール(2006.7.30)

沖縄のマスコミ労働者と連帯し、放送局の指定地方公共機関化に断固反対する声明(2006.2.6)

民放労連第102回臨時大会アピール(2006.1.29)

民放労連第101回定期大会アピール(2005.7.31)

「国民保護に関する基本指針案」についての民放労連意見(2005.3.11)

全国都道府県知事への放送局を指定地方公共機関としないこと求める要請書(2005.3.9)

民放連に指定公共機関の返上・辞退を求める申し入れ書(2005.3.7)

全国の放送局に指定公共機関の返上・辞退を求める申し入れ書(2005.3.3)

民放労連第100回臨時大会アピール(2005.1.30)

NHK番組への政治介入事件の徹底究明を求める声明(2005.1.18)

民放の「指定公共機関」決定に抗議する委員長談話(2004.9.7)

テレビ朝日に対する総務省による「厳重注意」についての見解(2004.7.7)

日本テレビの北朝鮮報道をめぐる首相官邸の暴挙に断固抗議する声明(2004.5.20)

イラクからの自衛隊即時撤退を求める委員長談話(2004.1.25)

第98回臨時大会アピール(2004.1.25)

イラクへの自衛隊派兵「基本計画」決定に強く抗議する声明(2003.12.10)

日本テレビ視聴率不正問題についての民放労連見解(2003.10.29)

民放労連第97回定期大会アピール(2003.7.27)

有事法制の衆議院可決に抗議し、廃案を求める声明(2003.5.15)

緊急アピール〜あらためて個人情報保護法案を廃案にすることを求める(2003.4.21)

放送政策研究会最終報告書〜マスメディア集中排除原則緩和についての見解(2003.3.27)

アメリカのイラク戦争即事停止を求める緊急声明(2003.3.20)

現行地上デジタル放送計画の中止を求める民放労連の特別方針(2003.1.26)

民放労連デジタル化プロジェクト特別報告「放送の未来」

2002年の民放労連声明・見解

2001年の民放労連声明・見解

2000年の民放労連声明・見解

1999年の民放労連声明・見解

1998年以前の民放労連声明・見解

   

民放労連声明・不当な政治圧力から放送の自由を守れ(2015.4.28)

2015年4月28日
日本民間放送労働組合連合会
中央執行委員長 赤塚 オホロ

 自民党によるテレビ放送への介入が後を絶たない。去る4月17日、同党の情報戦略調査会が放送内容を理由としてNHKとテレビ朝日の幹部を呼びつけて事情を聴くといった事態が起きた。政権政党が、放送の許認可権限を背景に放送局に対して高圧的な態度に出ることは報道機関に対する不当な政治圧力そのものであり、私たちは絶対に容認できない。「停波」の可能性にまで言及するなど、放送局への恫喝以外の何ものでもない。
 昨年来、自民党は放送局に対して文書の交付などを通じて放送内容に介入することを繰り返しているが、一連の行動は放送法第三条が保障する「放送番組編集の自由」を露骨に侵害する違法行為と言うほかない。「放送の公正」とは放送事業者が自律的に判断すべきもので、政府の一方的な判断を放送局に押しつけることを認めるものではないからだ。
 さらに自民党は、テレビ朝日『報道ステーション』でのコメンテーターの発言に関して「放送倫理・番組向上機構(BPO)」への提訴を検討していることを明らかにし、その対応が不十分な場合にはBPOへの政府の関与にまで言及した。一般視聴者の権利救済を目的に放送局の自主規制機関として発足したBPOに対する無理解も甚だしく、ましてBPOへの政府関与など、70年前の国家総動員体制を思わせる乱暴な議論ではないか。
 このように政権政党のやりたい放題に歯止めがかからないのは、放送局がジャーナリズムに本来求められている権力監視機能を十分発揮していないことに大きな要因がある。今こそ放送関係者が一丸となって、権力による不当な放送介入を許さず、放送の自由を守るたたかいに立ち上がるべきだ。
 政権政党の横暴がまかり通る背景には、政府による放送の直接免許制という、先進諸国では異例とも言える放送制度の問題がある。私たち民放労連は、民主的な放送行政確立のために、かねてから中央・地方に独立した行政組織を設け、政府から放送行政を切り離すことを提言してきた。いま改めて、放送の自主・自律を保障する放送法制・放送行政の民主的な改革を強く求めたい。

以 上

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民放労連委員長談話「自民党の度重なる報道介入に強く抗議する」(2015.4.13)

2015年4月13日
日本民間放送労働組合連合会
中央執行委員長 赤塚 オホロ

 自民党が昨年11月、「アベノミクス」の効果が国民全体に波及していないとする番組内容を問題視して、テレビ朝日系ニュース番組『報道ステーション』のプロデューサーに対して「公平中立」な番組づくりを求める文書を送付していたことが、このほど報じられた。各紙の報道などによると、自民党は文書送付を認めたうえで「圧力をかける意図はなかった」と説明しているという。
放送免許の許認可権限を背景にした政権政党が、個別の番組内容に注文をつけること自体「報道への介入」であり、政治的圧力以外の何物でもない。放送法にある「放送の公正」とは放送事業者が自律的に判断すべきもので、政府の判断を放送局に押しつけることを許すものでは決してない。
 昨年の衆院解散直前に、自民党は在京キイ各局に対して「選挙時期に一層の公平中立な報道」を求める文書を送っているが、今回明らかになった事態も同じように、言論・表現の自由、番組編集の自由への極めて重大な侵害に当たる。私たち放送労働者は、自民党による度重なる蛮行に対し、強い怒りをもって抗議する。
放送を含めジャーナリズムのもっとも重要な使命は、国家権力の政策を国民の立場から監視することである。政権政党が健全な批判すら受け付けないのであれば、それはもはや民主主義をかなぐり捨てた独裁政権に道をひらくものと言わざるを得ない。
 最近、報道機関のトップや編集幹部が積極的に安倍首相とのゴルフや会食に積極的に応じる一方で、政権サイドのメディアへの高圧的な態度がめだつ。報道各社がこの問題を本来ならこぞってとりあげ、こうした不当な干渉は毅然とした態度ではねのけ、文書送付の事実を自ら報道することも含めて、批判すべきは徹底的に批判するというジャーナリズム精神を貫くべきだ。

以 上

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[民放労連声明]日本を戦争に巻き込む「戦争立法」に断固反対する(2015.3.21)

2015年3月21日
日本民間放送労働組合連合会
中央執行委員長 赤塚 オホロ

 安倍政権は憲法の平和主義を否定し、日本が積極的に戦争へと参加する「戦争立法」作業に突き進もうとしている。
 自民・公明両党は、3月20日、新たな安保法制の大枠を示した「共同文書」案に合意し、昨年7月に閣議決定した他国を武力で守る集団的自衛権の行使を可能にする立法作業に入ることを明らかにした。2月中旬に与党協議が開始されてからわずか一か月、日本という国の行方を左右する重大な方針を国民的な議論がまったくないまま密室で決定しようとする民主主義のプロセスを無視した進め方には驚くほかない。戦後、私たち国民が守り抜き、歴代政権も脈々と受け継いできた日本の平和主義を根底から覆す憲法解釈の変更を一内閣の独断によっておこない、憲法とは国家権力を縛るものという立憲主義を否定して事実上の改憲立法を進めようとする政権与党の暴走に強い怒りを禁じえない。
 今回の与党合意で明らかになった最大の問題は、自衛隊を現に戦闘行為がおこなわれている「戦地」に派兵し、「殺し、殺される」戦闘活動に参加する可能性が一気に拡大されることだ。
 集団的自衛権の行使に関しては、先に行使容認を決めた閣議決定の「新三要件」を武力攻撃事態法に「過不足なく」盛り込むとしているが、どのような場合に集団的自衛権による武力行使が許されるのか、今回の合意では時の政権の判断次第で事実上、無制限となる。
 また、国際平和協力法の改定によって「国連が統括しない人道復興支援活動や安全確保活動等」にも参加し、武器使用も可能にするとされている。これでは国連決議によらないイラク戦争などのケースでも多国籍軍に自衛隊を派遣し、「安全確保活動」に参加することが可能となる。
 日本の安全確保を目的とした他国軍への戦闘支援では周辺事態法の目的規定を見直し、「周辺事態」の考え方を撤廃し、自衛隊を世界中のどこへでも派遣できるようにする抜本改正を検討するとしている。安倍総理は日本が輸入する原油輸入が停まることは日本の「存立危機」にあたるとして、たとえ戦闘中であってもホルムズ海峡での機雷掃海作業への自衛隊派遣は可能だと繰り返している。
 今回の与党合意は自衛隊の海外での武力行使の拡大や解禁の方向で貫かれており、こうした「戦争法案」がそのまま具体化すれば、自衛隊の本質が根本から変容し、安倍総理が意図する「国防軍」、すなわち普通の軍隊となることに道を開くものとなろう。政府はこれらの法案を条文化して5月の連休明けには国会に提出し、開催中の国会で成立をはかる考えだという。
 今回示された「戦争法案」がそのまま成立すれば、日本の進路を大きく変えるものとなる。安倍総理の「戦争をする国づくり」への暴走をこのまま許してはならない。放送など、メディアはこの安保法制の重大な問題点を国民にわかりやすく提示し、国民の議論を大きく巻き起こしていく責任がある。
 私たち民放労連は、日本を戦争に巻き込む「戦争立法」に断固として反対し、日本の平和主義を守り抜くために全力をあげる。

以 上

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「生涯ハケン」を可能にする派遣法改悪案の国会提出に抗議し、廃案を求める(2015.3.17)

2015年3月17日
日本民間放送労働組合連合会
中央執行委員長 赤塚 オホロ

 政府は3月13日、労働者派遣の期間制限を事実上撤廃し、生涯を派遣労働者として働くことも可能とする労働者派遣法の大改悪案を閣議決定し、国会に提出した。
 そもそも派遣法は、強制労働や賃金のピンハネを招く「人買い業」につながるとして、戦後に労働基準法や職業安定法で禁止されてきた職業あっせんが「偽装請負」形式で蔓延したため、常用雇用の代替とならないように臨時的、一時的業務に限り業務を限定して導入された法律である。ところが度重なる規制緩和によって派遣対象業務はなしくずしに拡大されるとともに、「放送機器操作」や「放送番組演出」などを含む「専門26業務」は期間無制限となったものの、その他の業務は「原則一年、最長三年」までとされてきた。
 ところが今回の改悪では「専門26業務」の枠を取り外し、人を変えるか派遣会社に常用雇用されている労働者ならずっと受け入れ可能となり、同じ会社でも部署を変わりさえすればその派遣先で働き続けることができるようになる。派遣の受け入れ先が派遣期間を延長しようとするときは、「過半数労働組合等の意見を聴かなければならない」とされているが、労働組合が反対しても派遣先使用者には従う義務はない。派遣先での正社員化や社員との均等待遇を具体的に促進する実効性をもつ手立てもなく、派遣社員への置き換えが大量に進むことは火を見るよりも明らかだ。
 労働者に占める非正規労働者の比率は増え続け、正規と非正規の格差は日増しに拡大している。政府に今求められているのは、こうした矛盾や格差を早急に解消して誰もが安心して働ける雇用環境をつくりだすことだ。にもかかわらず、派遣先や派遣事業者にばかり使い勝手のいい大改悪を強行し、不安定雇用から半永久的に抜け出せない「正社員ゼロ」化に道を開く法案の成立を、決して許すことはできない。私たち民放労連は、この改悪案を廃案に追い込むまで全力をあげる。

以 上

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「残業代ゼロ制度」の法案化を許さず、労働時間法制を守り抜こう!〜労働政策審議会の今後の労働時間法制の「建議」について〜(2015.2.17)

2015年2月17日
日本民間放送労働組合連合会
中央執行委員長 赤塚 オホロ

 厚生労働省の労働政策審議会は、2月13日に今後の労働時間法制の在り方に関する「建議」をとりまとめた。この建議に基づき労働基準法改悪法案を現在開催中の通常国会に提出して、来年4月の施行をめざすという。

 今回の建議には、企画業務型裁量労制の適用業務拡大やフレックスタイム労働制の緩和など、労働組合として到底容認しがたいものを多数含んでいるが、何より許せないのは財界の宿願とも言うべきホワイトカラーエグゼンプション=「残業代ゼロ」制度を、労働側の強い反対を押し切ってまで強引に建議に盛り込んだことである。
 国際的な労働のルールを取り決めるILOが三者構成でつくられているように、労働政策審議会も公労使の三者委員で審議が進められてきた。ところが今回の建議では残業代ゼロ制度の創設について労働側から強い反対があったことが明記されている。三者の合意が原則の審議会で、労働側委員の反対を押し切ってまで、去年の9月以降、わずか5か月弱の審議で法案化を強行しようとする手法は、政権のおごり以外の何物でもない。

 メーデーの起源が、8時間労働制の実現を求める労働者の運動だったと言われるように、労働時間の規制は労働者保護のための労働法制の根幹をなす。少しでも長く、安く働かせようとする使用者に対し、労働者は自らのいのちと健康を守り抜くために、文字どおり血と汗の努力で、労働時間規制を労働法制の中に積み重ねてきたのである。その規制から、今回の建議では「高度プロフェッショナル制度」という名のもとに、年収1075万円以上という要件以外はきわめてあいまいな基準で除外できる制度を持ち込もうとしている。かつての経団連の主張と比べると、年収や適用業務が厳格化されているようにもみえるが、政府・財界の狙いは今回の法案化を突破口に「小さく生んで大きく育てる」こと、すなわち労働時間規制に風穴を開けることにあるのは明白だ。まさに労働者保護法制の本丸に切り込もうとする大改悪というしかない。
 「時間ではなく成果で評価される働き方を希望する労働者のニーズにこたえる」ことと制度の目的を建議は説明するが、現在も「成果主義賃金制度」によって、多くの労働者が「成果」を求められ、過酷な長時間労働を強いられている。この建議には「高度プロフェッショナル制度」がなぜ時間ではなく成果で評価される制度であるのか、合理的な説明は何もない。建議には時間外労働が月に100時間を超えた時の「健康確保措置」が書かれているが、100時間もの残業をして、しかも残業代はもらいたくないというのは、いったいどのような「ニーズ」を想定しているのだろうか。

 政府も建前では「女性の活躍」や「ワークライフ・バランス」を提唱している。今の労働行政に本来期待されているのは、働く者をますます長時間労働に追い込む労働破壊制度のつくることではなく、労働時間を確実に短縮できる労働者保護政策に舵を切ることだ。
 「残業代ゼロ」制度の法案化、法制化を許してはならない。

以 上

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沖縄県民の民意を無視した名護市辺野古新基地建設に向けた調査工事の強行再開に断固抗議する決議(2015.1.25)

   安倍晋三政権は1月15日、昨年末の衆院選に配慮して名護市辺野古沖の浮桟橋を撤去して以来、中止していた海底ボーリング調査に向けた海上作業を、県民の反対の声を無視して強行した。昨年1月の名護市長選、同市議選に続き、11月の県知事選や12月の衆院選沖縄選挙区(全四区)でも辺野古新基地建設に反対の県民の民意が示されたにもかかわらず、作業再開を強行した政府の姿勢は民主主義国家としてあるまじき暴挙であり、絶対に許すことはできない。

 辺野古への新基地を是が非でも建設するために安倍政権は、辺野古新基地建設反対を掲げて当選した翁長雄志沖縄県知事との面談を拒むだけでなく、国の沖縄振興予算も削減するなど、露骨な牽制、圧力攻撃を加えている。さらに辺野古の現場では、海上で阻止行動を行うカヌー隊を海上保安庁の保安官が暴力的に拘束・排除し、ゲート前では資材搬入阻止のために座り込む県民を沖縄県警の機動隊員が力づくでごぼう抜きするなど、ありとあらゆる弾圧を加え、けが人も不当逮捕者も日増しに多くなっている。

 昨年11月20日にはゲート前で取材中の地元記者らを県警機動隊が取り囲み、「邪魔だ!連れ出せ!」と威嚇し、有無を言わさず記者の腕章を無断で剥ぎ取り、記者のメガネを破損した。まさに安倍政権による新基地建設反対運動への弾圧と同時に、それを取材しようとする言論報道機関に対する取材妨害であり、報道の自由の侵害以外の何ものでもない。

 このような状況に対し、翁長沖縄県知事は「大変残念だ」と不快感を示した。その上で「(前知事による埋立申請承認の)確認調査を行う間は調査の再開を一時見合わせるなどの配慮をすべきだ」と政府に求めた。名護市の稲嶺進市長は「選挙や世論調査で県民の意志が示されているにもかかわらず、権力をかざし、抗議する県民を排除して強硬に進めることは怒りを超えて情けなくなる」と強く批判した。民意を背負った知事や市長の求めがいかに重いかを安倍政権は知るべきだ。

 安倍首相と菅義偉官房長官はことあるごとに「沖縄に寄り添う」「丁寧に説明する」と繰り返してきた。しかし、その言動と裏腹の行動の表れが辺野古での海上作業の再開であった。理解を求めようという姿勢とは真逆の強硬姿勢であり、辺野古新基地反対の民意を突き付けた沖縄県民、国民に対する挑戦以外の何ものでもない。

 私たち民放労連は、選挙で示された「民意」を無視し、「報道の自由」を暴力で押さえつける安倍政権の姿勢と辺野古の海上作業再開に強く抗議するとともに、基地機能の拡大強化につながる辺野古新基地建設を阻止するため、沖縄県民とともにこれからも連帯して闘うことを決意する。

 右、決議する。

2015年1月25日
日本民間放送労働組合連合会
第120回臨時大会
 

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立憲主義の否定を許さず、憲法の理念実現のための不断の努力を宣言する決議(2015.1.25)

   昨年12月の総選挙で衆院の安定多数を上回る290議席を手にした安倍晋三首相は、選挙公約ではまったく触れていない憲法「改正」に、再び強い意欲を示し始めた。自民・公明連立の議席は衆院で3分の2を超え、参院でも改憲の発議が可能な3分の2まで、あと30議席弱に迫っている。  憲法「改正」の意図は、明白だ。憲法の性格を、国家権力を拘束するものから国民を拘束するものへと変え、基本的人権に制限を加えようというものである。2012年に発表された自民党の憲法改正草案は、現憲法の「公共の福祉」に代えて「公益及び公の秩序」という用語を多用し、国民の自由および権利を解釈次第でいくらでも制限できる余地が条文全体に隠されている。また表現の自由については、「公益及び公の秩序を害することを目的とした活動」を「認めない」との一文をわざわざ設け、制限したいとの意図を明確に示している。
 さらに同案は、自衛隊を「国防軍」に改組し、「国際社会の平和と安全を確保するため」の「活動」と称し、武力行使に道を開こうとしている。これは、戦後70年間一人たりとも殺害することのなかった自衛隊の役割を180度転換させ、平和憲法の理念を根底から破壊するものである。海外での戦闘に日本が加担することとなれば、私たちは世界中に敵を作り、憎悪の対象とされ、テロの標的となることにつながろう。これは、国民ならびに世界の人々の平和的生存権を著しく脅かすものと言わねばならない。
 私たち民放労連は、こうした政権の動きに対し深い憂慮と警戒感を表明する。基本的人権の享有、とりわけ表現の自由は、私たち放送に携わる職業人にとって生命線であるばかりでなく、民主主義社会の存立基盤であるからである。また労働組合は、平和的生存権をすべての労働者に広げていく不断の運動・組織体だからである。
 私たち民放労連は、立憲主義をないがしろにし、国家のために個人の権利を制限し、海外での武力行使を認めようとする「憲法改正」に、断固反対する。
 憲法第12条は、私たちが手にする自由及び権利は、「国民の不断の努力によって、これを保持しなければならない」と定め、自由と平和を守るための努力を要請している。この精神を活かそう。現憲法を尊重し維持すること、それを活かして行くために運動を続けることを、私たちはここに宣言する。

 右、決議する。

2015年1月25日
日本民間放送労働組合連合会
第120回臨時大会
 

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民放で働くすべての労働者の団結を呼びかける決議(2015.1.25)

   昨年4月に8%へと引き上げられた消費税と、円安による原材料の輸入価格高騰による相次ぐ値上げは、私たちの日々の生活を直撃している。実質賃金は、厚生労働省の毎月勤労統計調査によると、昨年の11月時点で17ヵ月連続の低下となり、生活レベルの維持さえ困難な状況となっている。生活向上のためには、前年を大きく上回る賃上げが必要となっていることは明らかだ。

 総務省統計局の労働力調査によると、2014年11月時点の正規社員は、2013年同時期より26万人減少し、非正規雇用者は48万人増えて2012万人となり、役員を除く全雇用者に占める割合はほぼ4割となった。非正規雇用者が増えているということは、賃金格差が拡大していることに他ならず、国税庁の平成25年分民間給与実態統計調査によれば、年収が200万円以下の人は1120万人と、前年より30万人も増加している。賃金格差が拡大する一方で企業の内部留保は増加を続け、2013年度には資本金1億円以上の企業の内部留保は285兆円もの額となっている。
 民放でも全体としての経営状況は順調に推移し、2013年度の経常利益は1700億円、当期純利益も990億円と前年度を大きく上回っている。これら大増益の背景には、構内の低い賃金で働かされている非正規雇用者の増加が関係していることは明らかだ。

   非正規雇用者の組織化は、労働組合に未加入の正規社員の組織化と共に労働組合の重要な課題となっている。私たちが企業内組合や正社員組合の殻を打ち破り、労働組合の組織拡大を進めなければ、労働者の雇用と権利を守る砦としての役割も果たせない。
 民放労連と加盟する各労働組合は、構内で働くすべての労働者の賃金・労働条件の改善と組織化を重要課題とし、「企業内最賃協定締結」や「構内労働者への慰労金支給」などの要求で様々な成果を引き出している。また、民放労連が2年前に立ち上げた「構内労働者組織化プロジェクト」は最終年度に入り、これまでの取り組みを基に、構内労働者の組織化をさらに拡大させていく必要がある。

 労働組合は「構内労働者・非正規雇用者の賃金・労働条件改善は、自らの賃金・労働条件改善につながる」ことに確信を持ち、構内で働くすべての労働者を積極的に組織化し、構内労働者の労働条件向上と、生活向上を実現していく必要がある。
 私たちは、放送の未来のために、構内で働くすべての労働者に組合への参加を呼びかけ、団結して「生活の向上」と「放送を守る」闘いを進めていく。

 右、決議する。

2015年1月25日
日本民間放送労働組合連合会
第120回臨時大会
 

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派遣法の改悪や「残業代ゼロ法案」など、労働法制改悪に反対する決議(2015.1.25)

   昨年12月の衆院総選挙において、政権与党の自公両党が3分の2の議席を獲得、安倍政権は、その結果で国民から白紙委任を受けたかのごとく、一挙に暴走を加速させようとしている。労働分野においても、私たち働くものの生活を犠牲にしてはばからない「雇用改革」を矢継ぎ早に推し進めようとしている。
 昨年9月の臨時国会で再提出されていた労働者派遣法「改正」案は、衆議院解散によって一旦廃案となったものの、今月末に召集される通常国会において、3度目の提出が確実視されている。「改正」案は、派遣による常用代替防止原則の破棄や派遣期間制限の廃止など、「生涯派遣労働者化法案」とも呼ぶべき派遣先企業の使い勝手のみが優先される内容となっている。
 私たち放送の職場は、多くの派遣労働者によって支えられている。ただでさえ劣悪な労働環境を放置したまま、このような派遣労働を拡大させる改悪は、決して容認できない。

 この度の通常国会では、安倍政権が昨年6月に改訂「日本再興戦略」で打ち出した「時間ではなく成果で評価される労働時間制度」として、年収など一定の要件を満たした労働者に対する労働時間規制の適用除外や、裁量労働制の範囲拡大などの制度改定案も提出が予想されている。メーデーが1日8時間労働の実現をめざして開始されたことに象徴されるように、労働時間の上限規制は、労働法制の根幹をなす法制である。これまでも財界は労働時間規制から除外する「ホワイトカラー・エグゼンプション」の導入をはかり、その都度「残業代ゼロ法案」であるとの世論の強い反撃を受けて断念を余儀なくされてきた。その執拗さには驚くほかないが、「高度プロフェッショナル労働制」などという呼称に惑わされることなく、改悪法案を葬り去らなければならない。
 他にも「限定正社員」制度の拡大や解雇の金銭解決制度など、さまざまな改悪が引き続き検討されている。少子高齢化や労働力人口減少の下で、若年者の雇用安定と非正規労働者の均等待遇、さらには女性が活躍できる社会づくりやワーク・ライフ・バランスのための労働時間短縮に向けた政策こそが真に必要とされているが、このまま政権の暴走を許せば今以上の過重労働や長時間労働が深刻化し、さらには、解雇が容易に行われ、雇用が不安定な社会となることは明白である。

 私たち労働組合は、労働法制の大改悪に断固として反対し、人間らしく安心して働ける社会の確立に向けてなお一層奮闘しなければならない。
 右、決議する。

2015年1月25日
日本民間放送労働組合連合会
第120回臨時大会
 

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民放労連第120回臨時大会アピール(2015.1.25)

 戦後70年。阪神・淡路大震災から20年。たくさんの尊い命が失われた悲惨な記憶。歴史の大きな節目を迎えた今年も、私たちは、関東大震災と東京大空襲の犠牲者合わせて163000人の遺骨が眠る場所、ここ両国に集まった。

 最近、よく驚かされることがある。買い物をした際、支払う代金がずいぶん高い。去年4月からの消費増税と円安による食料品を中心とした輸入品の値上げが原因と頭では分かっていても何か釈然としない。厚生労働省の調べでは、実質賃金は17ヵ月連続で低下し続けている。当然、個人消費は冷え込み、日本経済の回復は遅れるばかりだ。今こそ、内部留保の蓄積に血道を上げる経営者らと対峙し、ベアにこだわって物価上昇分を上回る大幅な賃上げを獲得することは社会的要請といえる。

 大会では、15春闘での構内労働者の組織化に向けて、正規・非正規の格差是正のために取り組んできた「構内労働者組織化プロジェクト」を核に、再び「1万人の民放労連」をめざすことをあらためて決意した。そのために、全国で成果を広げつつある構内労働者の待遇改善や慰労金支給の取り組みをさらに進めよう。また、企業内最賃協定の締結は、正規・非正規の区別なく、働く者に有益であることを理解し、すべての単組で要求を提出していく方針を確認した。

 ことしは労働者派遣法の成立から30年でもある。今月始まる通常国会に提出されるとみられる同法の「改正」案は、労働者を「生涯派遣」に固定化するおそれが指摘されている。いわゆる「残業代ゼロ法案」も提出される見通しで、安倍政権による労働法制の改悪はとどまるところを知らない。働く人が等しく人間らしい生活を送るため、安定した雇用を脅かす労働法制の改悪を、私たちは決して認めない。

 「大義なき解散」による年末の衆院選で再び多数の議席を確保した安倍政権は、日本を「戦争ができる国」にするための改憲に改めて強い意欲を示した。これに先立ち昨年12月10日には、多くの国民の声を無視して成立させた「特定秘密保護法」が施行された。国民の「知る権利」が脅かされる中、昨年七月の閣議決定で容認した「集団的自衛権行使」の関連法案も、国会に提出される予定だ。私たちは、平和と言論・表現の自由、取材・報道の自由を守るため、秘密保護法の廃止と集団的自衛権関連法案の上程を阻止することを固く誓った。

 沖縄県に対する政府の締め付けが行われているという報告が沖縄テレビ労組からあった。昨年11月の県知事選挙で、大差をつけて現職を破った翁長雄志新知事が、辺野古の新基地建設に明確に反対していることが原因だという。担当大臣など政府高官が、新知事の面談要請を事実上拒否している。政府は姑息な態度に終始せず、沖縄の民意を誠実に受け止め、施政に生かすべきだ。

 民放労連内に、取り組むべき課題は山積している。一つひとつの課題と真摯に向き合い、取るまであきらめない強い気持ちで団結する。要求実現に近道はない。
 新たに加わったエフエフ東放労働組合の仲間とともに、放送労働者の生活向上と放送の輝く未来をこの15春闘からひらくため、力強い確かな一歩を踏み出そう!

 右、決議する。

2015年1月25日
日本民間放送労働組合連合会
第120回臨時大会
 

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声明「特定秘密保護法の見直しなき施行に抗議し、あくまでも法律の廃止を求める」(2014.12.10)

2014年12月10日
日本民間放送労働組合連合会
中央執行委員長 赤塚 オホロ

 12月10日に、特定秘密保護法が全面施行される。先の臨時国会終盤には、野党によって同法の廃止法案や施行延期法案が提出されたが、衆議院解散のドタバタの中で、一顧だにされることなく廃案となった。国民各層から相次いでいる見直しや廃止の声に耳を傾けようとしない政府・与党の姿勢には、心の底から怒りを感じる。

 特定秘密保護法は、閣議決定された運用基準などで秘密の範囲をある程度限定するなどしたとはいえ、政権や官僚の恣意的な判断で秘密を指定できる余地は残されている。やむを得ないと判断されれば30年以上の長期にわたる秘密指定も可能で、また秘密の漏えいばかりでなく探知することも処罰の対象とされ、最高懲役10年という厳罰が科されることとなる。「報道・取材の自由への配慮」が条文に明記されてはいるが、それをどう保障するのかはどこにも記載がない。秘密を管理する公務員やその業務に関与する民間事業者に対する「適正評価制度」も、個人のプライバシーに及ぶような情報まで政府が収集することとなり、重大な人権侵害となるおそれが指摘されている。秘密指定の監視機関として内閣府の「独立公文書管理監」や国会の「情報監視審査会」が設置されるが、省庁側に秘密提供を拒否できる権限がある以上、チェック機能はまったく期待できない。

 私たち放送労働者は、「国民の知る権利」をないがしろにする時代錯誤の言論統制法規が施行されることを決して許すことはできない。今回の法施行に私たちはあくまで反対の意を表すとともに、自由で民主的な社会をめざす幅広い人々と共同して、改めて特定秘密保護法の廃止を要求する。その上で、充実した情報公開制度を持つ「開かれた政府」を求めて、全力を尽くすことをここに表明する。

以 上

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民放労連委員長談話・政権政党による報道介入に強く抗議する(2014.11.28)

2014年11月28日
日本民間放送労働組合連合会
中央執行委員長 赤塚 オホロ

 衆院解散前日の11月20日付で、自民党総裁特別補佐の萩生田光一筆頭副幹事長と福井照自民党報道局長の連名で、「選挙時期に一層の公平中立な報道」を求める文書を各局の編成局長と報道局長宛てに出したことが、各紙の報道などで明らかになった。その内容も、番組出演者の発言回数や時間、ゲスト出演者やテーマの選定、街頭インタビューや資料映像が一方的な意見に偏らないことなどを要請している。
 選挙に際して公正な報道を求める要請は、これまで各政党から行われてきた経緯はあるが、政権政党が、報道番組の具体的な表現手法にまで立ち入って事細かに要請することは前代未聞であり、許しがたい蛮行と言わざるを得ない。日本国憲法が保障する表現の自由、放送法が保障する番組編集の自由への極めて重大な侵害に当たることは言うまでもなく、私たち放送労働者は、このように露骨な報道への介入に対して、怒りをもって抗議する。
 文書を受けた各放送局には、こうした不当な干渉は毅然とした態度ではねのけ、権力監視という社会的使命に基づいた公正な報道を貫くことを求める。

以 上

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警察による沖縄・辺野古での取材妨害に抗議する(2014.11.22)

2014年11月22日
日本民間放送労働組合連合会(民放労連)
中央執行委員会

 11月20日、沖縄県名護市辺野古の米軍キャンプ・シュワブの周辺で、沖縄県警の機動隊員らが、抗議活動をする市民や、そのようすを取材していた報道関係者らを強制的に現場から引き離したり、撮影を中止させたりするなどして取材活動を妨害した、と報じられた。市民らが座り込むゲート前の国道で、座り込みを行っていた市民が警察に強制的に排除される様子を撮影していた記者に対し、機動隊員が数人で取り囲んで撮影を中断させ、腕や肩をつかんで強制的に外に押し出したりしたという。

 今年8月に辺野古の新基地建設作業が始まってから、警察や海上保安庁が、抗議する市民を強制的に排除して負傷者が出たり、取材する記者らの行動を妨害したりする事態が続出している。とくに、行政当局の行為を報道機関が取材・報道することは、日本国憲法が保障する表現の自由に基づく正当な活動であり、それを法的根拠もなく妨害・排除することは、明らかな憲法違反にあたる。

 11月16日に投開票が行われた沖縄県知事選挙では、辺野古の基地建設反対を公約に掲げた翁長雄志氏が圧倒的な得票で当選した。沖縄県民の民意は明らかに「基地建設反対」であり、地元の自己決定権の観点から、政府が進めている基地建設計画は直ちに見直されなければならない、と私たちは考える。
 にもかかわらず、報道陣を排除してまで作業を進めようとする強引なやり方は、基地建設に何らの正統性もないことを自ら証明するようなものだろう。

 私たちは、警察当局に対し、辺野古における報道関係者への取材妨害および抗議活動を行っている市民の強制排除を直ちに中止し、報道・表現の自由を最大限に保障することを強く求める。同時に、政府は辺野古の新基地建設計画そのものを見直して、沖縄県民の意思を尊重する行政に改めることを要求する。

以 上

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民放労連委員長談話「特定秘密保護法の運用基準閣議決定に強く抗議する」(2014.10.16)

2014年10月16日
日本民間放送労働組合連合会(民放労連)
中央執行委員会
中央執行委員長 赤塚 オホロ

 安倍首相が率いる政府・与党は、多くの国民の反対や危惧する声が高まる中、「特定秘密保護法」を多数支配という力の論理で強行成立させ、一昨日にはその運用基準と12月10日に施行するとの閣議決定を行った。

 政府は7月に同法の施行令素案及び運用基準素案を発表し、パブリックコメントで広く国民に意見を求めて、これには2万3820件の意見が寄せられた。ところが一昨日発表された運用基準にはほとんど反映された形跡がなく、秘密指定できる情報の範囲は際限なく拡大されるなど、国民の危惧と不安が解消されるどころかますます深まっている。
 記者会見で菅官房長官は「隠ぺい目的の指定の禁止、チェック機関の設置など適正さを確保するための仕組みを整備した」と強調したが、新設される監視機関は各省庁からの出向者で構成されているため政府からの独立性が担保されず、いわば「身内」がチェックするという、適正さを到底期待できない状態となっている。

 私たち民放労連は、この法律によって国民の「知る権利」が制約されることになる危険は依然として残されたままであり、監視機関の実効性に大きな疑念を抱かざるを得ない今回の施行令と運用基準を閣議決定したことに対し強く抗議し、「特定秘密保護法」そのものの廃止を改めて求める。

以 上

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安倍内閣の「労働法制改悪」を阻止し、人間らしく働ける制度の確立を求める決議(2014.7.27)

 グローバル化する世界経済を前に、「世界で一番企業が活動しやすい国」を目指す安倍政権は、大企業の利益確保に奉仕する政策ばかりを急ピッチで具体化しようとしている。雇用・労働分野においても、規制緩和という名のもと、次々と労働法制の改悪案を打ち出している。
 今年3月に閣議決定された「労働者派遣法改正案」は、先の通常国会では審議未了で廃案となった。しかし、その改正案には、「常用代替防止」原則を投げ棄て、「専門26業務」と「一般業務」の区別をなくし、派遣労働者を派遣のままで生涯使えるようにするなど、企業の使い勝手が優先された内容が盛り込まれていただけに、今後の動向も楽観視できず、注視していかねばならない。
 また、労働時間規制に対する「残業代ゼロ法案」については、5月の第4回産業競争力会議で「年収1000万円以上」「一定の専門性と経験を有する者」など対象を限定していることを強調していたが、安倍首相がこの六月の衆院決算行政監視委員会で、今後さらに年収要件を下げる可能性を含む発言をしたことからも、ひとたび法案が導入されれば、その適用範囲がなし崩し的に拡大されていくことは確実である。企業の残業代不払いを合法化し、過重労働と過労死の増大を招くことは必至である。既に厚生労働省の労働政策審議会でも、先月から裁量労働制の拡大と共に議論が開始されたと伝えられている。労働者保護のための労働法制の根幹をなす労働時間規制を取り払おうとする攻撃を許してはならない。
 解雇規制に対しても、経営者の義務ともいえる「整理解雇の四要件」を満たす必要がない「解雇の金銭解決」制度の導入や、正社員と同じ仕事をしながら低賃金で、かつ事業所や職務がなくなった場合には、配転もなく解雇される「限定正社員」制度の拡大も検討されている。
 こうした規制緩和については、国家戦略特別区域での実験導入が検討されていることも看過できない。従来の労働法制を無視した「無法地帯」を作り上げ、その事実をもとに、全国へ規制緩和を拡大しようと策動しているのであろうが、到底容認できるものではない。
 このように、安倍政権が進める雇用・労働分野の「規制緩和」は、企業へリストラの免罪符を渡すことで、非正規労働者や失業者を爆発的に増大させ、さらには賃金・労働条件の劣化や、貧困と格差の拡大の問題をより深刻化させるだけである。
 私たち労働組合は、執拗な労働法制の大改悪に敢然と立ち向かい、すべての労働者が人間らしく働ける労働法制の確立を求めて、不退転の決意でさらなる奮闘をしていく。

 右、決議する。

2014年7月27日
日本民間放送労働組合連合会
第119回定期大会
 

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民放で働くすべての労働者の団結を呼びかける決議(2014.7.27)

 今年の4月1日から、消費税が8%へと引き上げられた。総務省統計局の消費者物価調査によると、4月の総合物価指数は前年同月比で3.4%、5月が3.7%の上昇。1月から3月の平均が1.5%であることを考えると、明らかに増税による影響が出ている。2013年度の平均総合物価指数が0.4%であり、急激な物価上昇が家計を直撃している。
 内閣府の月例経済報告では「景気は緩やかな回復基調が続いている」とされるが、物価指数の上昇率や絶え間ない社会保険料の負担増を見ると、より一層の賃上げがすべての労働者の切実な要求になっている。

 総務省統計局の労働力調査では、昨年1年間の平均雇用者数が5564万人、そのうち非正規雇用者の人数は今年1月時点で1956万人となり、昨年同時期から133万人増加している。しかも年収が200万円以下の人は男性が342万人、女性は1083万人となっている。
 低賃金の非正規雇用者の割合が増えている中、国税庁の法人税申告実績では、企業の申告所得額は3年連続で増加し、2012年度は約45兆1800億円で前年を7兆8000億円上回り、過去最高である2006年の57兆円に迫る勢いを見せている。一方、同じ年の民間企業の給与支払い総額は約192兆円で、前年より4兆7000億円減少している。企業の申告所得の増加と給与支払い総額の減少には、非正規雇用者の増加が密接に関係していることは明らかだ。

   日本の労働組合組織率の状況は、昨年の6月末時点で一昨年を0.2%下回る17.7%となり、3年連続で過去最低を更新している。いまや非正規雇用労働者の組織化なしでは、労働組合の組織の拡大と強化にはつながらず、労働者の雇用と権利を守る砦としての役割は果たせない。
 放送産業においても非正規雇用者の増加は進み、昨年の民放労連の調査では全労働者のうち約4割が派遣などの非正規雇用者となっている。民放労連と加盟する各労働組合は、構内で働くすべての労働者の賃金・労働条件の改善と組織化を重要課題とし、「企業内最賃協定締結」や「構内労働者への慰労金支給」などの要求をして、様々な成果と前進回答を引き出している。
 これらの取り組みを通じて構内で働く労働者の組織化を拡大するために、民放労連では「構内労働者組織化プロジェクト」を二年前に立ち上げ、学習会の開催や冊子の作成、電話での労働相談の窓口を設けるなど様々な取り組みをしている。京都放送労組では、積極的な声掛け運動で構内労働者の組織化を進めているが、こうした動きを民放労連全体に広げる必要がある。

 経営者側の攻撃の手は、派遣法改悪や残業代ゼロ法案、解雇規制の緩和など、陰に陽に政府を動かしながら今後も緩むことなく続く。労働組合が「構内労働者・非正規雇用者の賃金・労働条件改善は、自らの賃金・労働条件改善につながる」との観点に立ち、構内で働く仲間を積極的に労働組合に組織し、すべての構内労働者の労働条件向上と、生活向上のための賃上げを要求していく必要がある。
 常に弱い立場にある構内労働者に目を配り、機会を捉えて組合への加入を呼びかけよう。賃金と労働条件の向上に取り組み、安心・安定して働ける環境を作ることが、「より良い番組、より良い放送」を視聴者やリスナーに送り届けることにつながる。
 私たちは、放送の未来を見据えた取り組みとして、民放の構内で働くすべての労働者に組合への参加を呼びかけ、団結して「生活の向上」と「放送を守る」闘いを進めていく。

 右、決議する。

2014年7月27日
日本民間放送労働組合連合会
第119回定期大会
 

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立憲主義の否定を許さず、職場と生活(くらし)に憲法を活かそう!(2014.7.27)

 海外のメディアからも「歴史修正主義者」と批判される安倍晋三首相とその内閣は、国会での与党の圧倒的議席数を背景に、7月1日、民主的な改憲手続きを経ることもなく、ついに日本国憲法までも「修正」した。
 これまでの政府答弁によると、集団的自衛権は「自国が直接攻撃されていないにもかかわらず、自国と密接な関係にある外国に対する武力攻撃が起きた場合に、これを、実力をもって阻止・反撃する国際法上の地位・権利」と定義され、歴代の自民党政権は、その権利を保持するが、憲法九条の定めにより、行使できないと表明してきた。集団的自衛権とは、すなわち「他国防衛権」の言いかえに過ぎず、憲法九条が「国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する」とした「武力による威嚇又は武力の行使」そのものだからだ。
 しかし、安倍政権は「我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある場合において、必要最小限度の実力を行使することは、憲法上許容されると考えるべきであると判断するに至った」と集団的自衛権に関する政府の憲法解釈をあっさりと変更した。

   私たち民放労連は、このような政府の行為を決して許すことはできない。事実上の改憲にほかならない憲法解釈の変更を閣議決定のみで行うことが可能となれば、それは立憲主義そのものの瓦解を意味する。安倍首相が「国民の生命と平和な暮らしを守るため」と、どんなにうそぶいても、その本音は戦後の価値観を真っ向から否定し、主権者である私たちと国家との関係を一八〇度転換させ、自由と権利を国家が規制できる社会を目指していることは、一昨年に公表された「自民党改憲草案」を見れば明白だ。
 私たち民放労連は、改めて確認する。憲法前文にある「われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免れ、平和のうちに生存する権利を有する」という平和的生存権の実践によって、すべての個人の尊厳が守られ、平和が保たれることを。労働組合とは、平和的生存権をすべての労働者に広げていく不断の運動・組織体であることを。
 民放労連の61年の歴史を受け継ぎ、基本的人権の尊重、主権在民、戦争放棄・平和主義の三原則からなる日本国憲法をこれからも職場と生活(くらし)のなかに活かしていこう。

 私たち民放労連は、安倍政権が憲法99条「天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ」に反していることを指摘する。
そして憲法98条「この憲法は、国の最高法規であつて、その条規に反する法律、命令、詔勅及び国務に関するその他の行為の全部又は一部は、その効力を有しない」に基づき、集団的自衛権の行使を容認する閣議決定に強く抗議し、その速やかな撤回を求める。

 右、決議する。

2014年7月27日
日本民間放送労働組合連合会
第119回定期大会
 

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表現の自由を守り、地域に豊かな放送を送り届けよう(2014.7.27)

 昨年末、多くの国民が反対する中で、安倍政権が強引に成立させた特定秘密保護法。その施行に向けた準備が、政府で進められている。国会における監視機関を設置する法改正も成立したが、政府の意向によって特定秘密の提供を一方的に拒否できる仕組みが残されている以上、歯止めとしての効果はまったく期待できない。「集団的自衛権」行使容認の閣議決定と相まって、この国は再び危険な道に足を踏み入れようとしている。政府があやまった政策を取ることを防ぐためには、国民が政府の情報を自由に入手して、チェックできなければならない。その意味で、特定秘密保護法はこの国に存在してはならない法律であり、私たちは一日も早い廃止を強く求める。

 そういう政治状況の下、今年の通常国会で改正放送法が成立した。民放に関しては、経営基盤の強化に取り組む放送局が、「経営基盤強化計画」を総務省に提出し、認定を受ければ特例措置を受けられるという新しい制度や、認定放送持株会社における株式保有比率の規制を緩和する内容となっている。その中では、「放送の経営基盤の強化に資する制度整備」として、「放送番組の同一化による番組制作費の削減」などの経営的効果を重視して、放送局の再編を推進するような考え方を打ち出している。
 デジタルメディアの展開により多様な情報が氾濫している現代は、災害時においても平常時においても、地域の生活圏に密着した信頼できる情報を容易に入手できることが、ますます求められていると言える。全国の県域・広域の放送局構内で働く私たちは、地域の視聴者・リスナーの期待に応えるため、これまでも努力を続けてきた。
 ところが、「放送番組の同一化による番組制作費の削減」などという経営的効果を求めて「異なる放送対象地域における事業再編」を進めることは、とくにローカル放送局の番組制作機能を縮小させることになり、それは地域における放送局の存在意義を大きく損なうことにつながりかねない。すでに「認定放送持株会社制度」の導入などにより、ただでさえ東京キイ局への一極集中がこれまで以上に進行しようとしている中、番組制作機能の縮小によりローカル放送局の存在意義が損なわれるようなことになれば、かえって民放系列ネットワーク全体の総合力を低下させ、放送に求められる社会的使命を十分果たせなくなる恐れも出てくるだろう。そのような事態を招かないためにも、私たちは労働組合の視点で、放送局の経営者たちをしっかりと監視していかなければならない。

 表現の自由の保障がなければ、私たちの仕事は成り立たない。地域における表現の自由が損なわれようとしている時、それに対抗して真っ先に立ちあがらなければならないのは、私たちメディアで働く労働者に他ならない。モノが言いにくい空気を打破して、自由で豊かな言論・表現により、民主主義社会の健全な発達をめざす。そのために、私たちは日々の仕事や組合活動を通じて、表現の自由を守り、地域に豊かな放送を送り届けよう。

 右、決議する。

2014年7月27日
日本民間放送労働組合連合会
第119回定期大会
 

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民放労連第119回定期大会アピール(2014.7.27)

 7月1日、安倍内閣が集団的自衛権の行使を認める憲法解釈の変更を閣議決定した。決定後、国内の報道各社の世論調査で、安倍内閣の支持率は急落、軒並み5割を切った。全国各地で閣議決定の撤回を求める行動が高まる中、私たちは、猛暑の福岡市天神で開かれた民放労連第119回定期大会に集まった。

 今年に入り民放労連内の争議解決が相次いだ。TNCプロジェクト労組の宮ア幸二さんが違法派遣の是正を求めた裁判闘争は最高裁で上告不受理となったが、福岡県労働委員会でのあっ旋を経て、勝利的金銭和解となった。また、2012年5月から法廷闘争に入っていた和歌山放送労組の「一方的不利益変更争議」も第9回交渉で和解に至った。すべての不利益変更撤回はかなわなかったが、労働条件の決定にあたって労使対等で交渉することを確認した。
 春闘でもうれしい成果が獲得した。今年は、十数年ぶりに「ベアゼロの壁」を破った岩手放送労組、九州朝日放送労組をはじめ20組合3支部がベアを獲得。実質ベアというべき賃上げを獲得した組合も9組合1支部あった。また構内労働者への要求・回答も前進した。37組合で金一封やクオカード、食堂無料開放などの回答を引き出し、昨年を大きく上回った。

 大会では、テレビ朝日労組などから継続して要求し続けることの重要性について報告があったほか、京都放送労組をはじめ広域U局の各労組から構内労働者の組織化の取り組みなどについて発言が続いた。「1万人の民放労連」を目指す「構内労働者組織化プロジェクト」の活動も3年目を迎える。大会では各単組が春闘の成果を構内労働者の組織化につなげていくことを確認した。
 ラジオは、AMラジオのFM中継波補完やV-Lowマルチメディア放送の制度設計が進んでいる。しかし、職場では正社員から非正規スタッフへの移行が進み、さらに分社化や業務委託化も進行している。ヒトやカネを削るばかりではラジオをダメにする一方だ。この流れを止められるのは労働組合だけだ。

 安倍内閣は「世界で一番企業が活動しやすい国」をつくると、矢継ぎ早に労働法制の改悪を進めようとしている。これまでの臨時的、専門的という原則を撤廃し、「生涯派遣」で固定化をはかる労働者派遣法の改悪や「限定正社員制度」「残業代ゼロ制度」など労働者の「人間らしい働き方」のための保護や規則を取り外す「規制改革」を加速させ、労働者の権利をないがしろにしようとしている。
 また、昨年末に「特定秘密保護法」を国民の反対の声を無視して強行成立させ、福島原発事故の反省も忘れて原発再稼働を強引に進めようとしている。

 国民不在のまま、一内閣が数の論理で、憲法を事実上変えてしまうことなど私たちはとうてい認めることはできない。大会では、沖縄テレビ労組や琉球朝日放送労組から基地問題など沖縄の現状を広く見てほしいといった訴えや、集団的自衛権行使容認の閣議決定に抗議する立場から長崎ビジョン労組が、戦争を避けることこそが政府の力だという発言があった。
 安倍政権の暴走を止めるため、労働組合の運動の高揚が今こそ求められている、一人ひとりの労働者の尊厳を守り、人間らしい労働と生活(くらし)を実現するために力を合わせて闘い抜こう!

2014年7月27日
日本民間放送労働組合連合会
第119回定期大会
 

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民放労連見解「憲法解釈の勝手な変更は歴史への背任行為だ」(2014.5.25)

2014年5月25日
日本民間放送労働組合連合会(民放労連)
中央執行委員会

 沖縄が本土に復帰して42年を経た5月15日、首相の私的懇談会「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会(安保法制懇)」は報告書を公表し、これを受けた安倍首相は「国民の命を守るため」などとして憲法解釈の変更に向けた検討を加速する方針を表明した。これに先立つ5月9日衆院本会議で、憲法改正手続きを定めた国民投票法の改正案が賛成多数で可決している。「解釈改憲」「明文改憲」とあの手この手で、日本国憲法の理念である平和主義を根本的に変質させようとする政治の動きが急激に進行している。
 主権者である国民に何の断りもなく、国の根幹にかかわる考え方を勝手に変更するのは立憲主義の否定であり、「国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ」と定めた憲法99条が定める憲法尊重擁護義務に抵触する暴挙としか言いようがない。まして、人命救助を口実に海外での軍事力行使を正当化することなど、戦争違法化・国際平和に向けて永年努力してきた人類の歴史を逆行させる背信行為に当たる。

 こうした政治状況に批判を加えることをためらわせる雰囲気が、今の日本で醸成されていないだろうか。私たち民放労連が5月16日に沖縄・那覇市で開催した「平和と憲法を考えるフォーラム」でも、自由にモノが言いにくい空気を懸念する意見が、パネリストに招いた識者たちから口々に聞かれた。昨年末に、強行採決で成立した秘密保護法のように、言論の自由を脅かす政府の動きなども、ますます加速してきている。
 専制的な経営者に向かって、勇気を奮ってNOを突き付けることが労働組合の役割であるのと同様、民間放送をはじめとする報道機関には、このような空気を打ち破って自由な言論を守り抜く社会的使命が課せられているのではないか。自らの言論によって国民を戦争の惨禍に巻き込んだ反省から、戦後の報道機関が出発したことを忘れてはならない。私たちも、多くの市民と協同して、時の政府の横暴解釈による改憲を食い止め、言論・表現の自由を守る運動を推進する決意だ。

 「国のちからで、相手をおどすようなことは、いっさいしないことにきめたのです」(文部省『あたらしい憲法のはなし』より)――この誓いは、いったいどこへ行ったのか。アジア太平洋戦争の反省から生まれた現憲法の平和への誓いを丸ごと骨抜きにするようなことが、諸外国の理解を得られるはずはない。
 政府は直ちに解釈改憲への道を放棄し、軍備によらない国際平和の構築に向けた努力を開始すべきだ。それこそが、憲法前文にあるとおり「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した」日本国民が国際社会から本当に期待されていることだと、私たちは確信する。

以 上

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民放労連声明「秘密保護法の強行採決は民主主義に対する侮辱だ」(2013.12.7)

2013年12月7日
日本民間放送労働組合連合会(民放労連)
中央執行委員会

 きのう深夜、参議院本会議において、秘密保護法案の採決が自民・公明の与党により強行され、「成立」とされた。法案審議の過程では、ジャーナリストなどメディア関係者、芸術家、さまざまな領域の研究者、法律家、文化団体、市民団体、労働組合、地方議会、各種の事業者団体、さらに国際組織までもが同法案に対して強い懸念・反対を表明した。連日多くの市民が、国会周辺で法案の廃案・慎重審議を求めて包囲行動を続けていた。メディア各社の世論調査でも、法案への反対や慎重審議を求める意見が半数を超えていた。こうした主権者国民の声を一顧だにせず、まともな審議もないまま与党が法案採決を強行したことは民主主義に対する侮辱であり、私たちは満腔の怒りを込めて抗議する。

 加えて、強行採決により成立した秘密保護法は、国民の税金によって収集・管理している行政情報を、行政機関の恣意的な判断によって、客観的なチェックもされないままに事実上永久に「秘密」として指定するものである。秘密を取り扱う者は「適性評価」と称する重大なプライバシー侵害を受けることになり、秘密を漏えいした者には最高懲役10年という厳罰が科されることになる。これらの規制の対象は国会議員にまで及んでいる。
 とくに、ジャーナリストをはじめ秘密にアプローチしようとする者も処罰の対象としていることは、表現・報道の自由に実質的な制限を加えるものだ。同法の成立で、ことばだけ条文に盛り込まれた「国民の知る権利」は、まったく形骸化したものとなるだろう。

 政府が国連機関などからの懸念表明も黙殺したことで、日本が「人権後進国」として国際的な孤立の道に踏み出すのではないかと、私たちは深く憂慮する。そもそも平和憲法を有するこの国で、軍事的な事情を優先して、国民に開示しない秘密を政府が大量に保有すること自体、国民主権・平和主義の観点から極めて重大な問題をはらんでいることは間違いない。

 アメリカの諜報機関による盗聴・情報収集の問題に端を発し、世界の潮流は今、情報公開の拡大に向かっている。こうした流れに逆行し、熟議を尽くして理解を求めるという民主主義の原則を捻じ曲げた現政権を、私たちは絶対に許さない。
 私たちは、違憲立法の疑いが強い秘密保護法の早期停止・廃止をあくまでも要求し、この国に真の「表現の自由」を確立させるために、幅広い仲間と力をあわせて闘い続ける決意を、ここに表明する。

以 上

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民放労連委員長談話「秘密保護法案の委員会強行採決に強く抗議する」(2013.12.5)

2013年12月5日
日本民間放送労働組合連合会(民放労連)
中央執行委員会
中央執行委員長 赤塚 オホロ

 参議院国家安全保障特別委員会において12月5日、「特定秘密保護法案」(秘密保護法案)の採決が自民・公明の与党によりいきなり強行され、可決された。国民主権・基本的人権の尊重・平和主義という日本国憲法の理念にことごとく反するこの法案について、ろくな審議も行われないまま法案採決を強行したことに対し、強い怒りをもって抗議する。
 本法案に懸念・反対を表明する市民は日増しに増加しており、すでに国会を包囲して批判の声を大きく上げ続けている。
 衆議院での強行採決に続いて与党がこのような暴挙に出たことは、同法案がまともな審議に耐えられない欠陥だらけの代物であることを、自ら暴露しているようなものだ。まして、今年の参議院選挙をめぐって「選挙無効」の判決が突きつけられている今の参議院に、このような重大な法案を審議する資格があるのか、疑わしいと言わざるを得ない。
 国際機関からも疑問を突き付けられている秘密保護法案の審議はもはや一から出直すしかなく、このまま参議院本会議に上程することは認められない。私たちは、この法案を廃案に追い込むまで全力で闘い抜く決意である。

以 上

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秘密保護法案の衆院強行採決に抗議する委員長談話(2013.11.26)

2013年11月26日
日本民間放送労働組合連合会(民放労連)
中央執行委員会
中央執行委員長 赤塚 オホロ

 本日、衆議院の特別委員会および本会議において、「特定秘密保護法案」(秘密保護法案)の採決が強行され、法案が参議院に送られた。日本国憲法の理念を根底から覆すような“稀代の悪法”案に対して市民の間で懸念・反対の声が次第に高まっているのに、拙速な審議で委員会採決・本会議採決を強行したことに対し、強い怒りを込めて抗議する。

 行政の恣意的な判断によって、客観的なチェックもなく事実上永久に秘密を指定する同法案は、国会や司法を軽視し、国民主権をないがしろにする憲法違反の法律と言わざるを得ない。とりわけ、秘密にアプローチする者を処罰の対象にすることは、表現・報道の自由を実質的に奪い去り、国民の「知る権利」にも甚大な影響を及ぼすものだ。

 このように深刻な問題をはらむこの法案をめぐっては、市民の間で反対の声が急速に広がっている。昨日25日に福島で開催された地方公聴会でも、すべての意見陳述者が東京電力福島第一原子力発電所事故の経験を踏まえて、情報公開の後退を憂慮して法案に懸念や反対の意を表明していた。にもかかわらず、翌日の審議で早々に採決に踏み切ったことは許しがたい暴挙であり、市民の切実な要望にまったく聞く耳を持たない政府の態度に強い憤りを覚える。

 私たちは、あくまでも秘密保護法案の廃案に向けて、幅広い仲間と共同しながら闘い抜く決意を、ここに改めて表明する。世界の潮流は情報公開の拡大であり、時計の針を逆に戻すような安倍政権の反動的な政策は、決して許されるものではない。

以 上

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秘密保護法案の審議入りに抗議する委員長談話(2013.11.7)

2013年11月7日
日本民間放送労働組合連合会(民放労連)
中央執行委員会
中央執行委員長 赤塚 オホロ

 本日、衆議院本会議において、「国家安全保障会議(日本版NSC)設置法案」の採決が強行され、続いて「特定秘密保護法案」(秘密保護法案)が審議入りした。アメリカとの軍事的な一体化をさらに進め、日本を「戦争のできる国」に導こうという日本版NSC設置法案を、特別委員会でのわずか一週間余りの審議で衆院通過させたことに強い憤りを覚える。さらに、言論・表現の自由を著しく侵害し、日本国憲法の理念を根底から覆しかねない秘密保護法案を、国民各層の反対にもかかわらず強引に審議入りさせたことに対して、怒りを込めて抗議する。

 政府の恣意的な判断によって「何が秘密であるかも秘密」のまま、秘密を取り扱う者がその秘密を漏えいした場合には公務員にも民間事業者にも厳罰を科し、市民や取材者などのアプローチも罰則の対象とするような法律は、まさに国民主権をないがしろにする違憲立法と言わざるを得ない。法案に盛り込まれた「国民の知る権利の保障」などの文言に実質的な効力は期待できるはずもなく、最高懲役10年という厳罰による萎縮効果によって、まともな取材・報道が成立しなくなることが容易に予想される。

このように表現・報道の自由を実質的に奪い去り、国民の生活に多大な影響を及ぼしかねない危険な法案は、一刻も早く廃案とすべきである。多くの世論調査では、すでに過半数が秘密保護法案に反対の意を表している。
私たちは、秘密保護法案の廃案に向けて、幅広い仲間と共同しながら闘い抜く決意を、ここに改めて表明する。

以 上

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秘密保護法案の即時廃案を求める声明(2013.10.25)

2013年10月25日
日本民間放送労働組合連合会(民放労連)
中央執行委員会

 政府は本日、「特定秘密の保護に関する法律案」(秘密保護法案)を閣議決定し、国会に提出した。この法案は言論・表現の自由を著しく侵害し、日本国憲法の理念を根底から覆しかねないものであることから、私たちは即時廃案とすることを強く求める。

 政権与党の自民・公明両党は、秘密保護法案に「国民の知る権利の保障」や報道取材を「正当な業務行為」とするなどの修正を施したことをもって、表現の自由が保護されたかのように表明している。しかし、政府の恣意的な判断で事実上無期限に秘密が指定され、秘密を取り扱う公務員や民間事業者がそれを漏えいした場合には厳罰をもって臨み、市民や取材者が彼らのような情報源に働きかける活動も共謀・教唆・扇動にあたるとして罰則の対象とするような法律は、その存在自体が言論・表現の自由とは相容れないものである。仮に正当な取材行為を保障したとしても、厳罰の萎縮効果で情報源がまったく口をふさがれた状態に置かれていたら、自由な報道が成り立たないことは明らかだ。
 主権者たる国民に対して、政府が都合の悪いことを秘密扱いとし、国会議員にもアクセスの制限を設けることは、国民主権の原則をないがしろにするものだ。秘密の取り扱いに当たる公務員らに対し、「適正評価」の名目でプライバシーに関する情報まで収集することは基本的人権の侵害に当たる。軍事的な理由を優先させて情報公開を後退させることは平和主義の否定であり、これら日本国憲法の理念を片っ端から踏みにじるような法案は、まともな国会審議の対象にはなり得ないものと考える。

 福島の原発事故に際して、国民に必要な情報をすぐに出さなかった日本政府は、その反省としてまず情報公開の原則こそ徹底すべきである。秘密保護法案には国民各層から反対・懸念の声が相次いでおり、私たちは多くの仲間とともに、同法案を廃案に追い込むまでたたかい抜く所存であることを表明する。

以 上

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声明「特定秘密保護法案」に絶対に反対します(2013.9.13)

2013年9月13日
日本民間放送労働組合連合会(民放労連)
中央執行委員会

 政府が9月3日に公表した「特定秘密保護法案」に対し、私たちは絶対に反対します。この法案は、私たち放送労働者の仕事と生活に重大な影響を及ぼしかねず、日本国憲法が柱とする「国民主権」「基本的人権の尊重」「平和主義」をいずれもないがしろにする危険性が高いと考えざるを得ないからです。

 まず、法案の「趣旨」としては「我が国の安全保障に関する事項のうち特に秘匿することが必要であるものについて、これを適確に保護する体制を確立した上で収集し、整理し、及び活用することが重要」と書かれているだけで、いまなぜ安全保障のために新法を制定して、市民の自由や権利を制限するような秘密保護法制を確立する必要があるか、明確な理由が示されていません。
 「特定秘密の指定」は行政機関の長の判断で指定し、その範囲も@防衛に関する事項、A外交に関する事項、B外国の利益を図る目的で行われる安全脅威活動の防止に関する事項、Cテロ活動防止に関する事項ということで、公安・警備に関する幅広い事項を秘密の対象とすることができます。また、上限5年の有効期間も設けられているものの、行政機関の長の判断により期間の更新も可能とされているので、事実上どんなことでも、いつまでも秘密の指定が可能な仕組みであることは明白です。
 秘密を取り扱う業務の従事者に対して行われる「適性評価」も、「精神疾患」「飲酒についての節度」「信用状態その他の経済的な状況」など、極めて個人的な内容にわたる幅広い情報を調査し、しかも対象者の「家族及び同居人の氏名、生年月日、国籍及び住所」も調査対象として、関係者に調査・照会もするとあっては、制度そのものがまさにプライバシーを多大に侵害するものであり、到底容認できません。また、収集された膨大なセンシティブ情報が外部に漏洩した場合、取り返しのつかない人権侵害が生じるのは明らかです。「目的外での利用及び提供を禁止する」とありますが、実効性は期待できないし、むしろこの条項が恣意的に利用され、さらなる情報隠しが進められる懸念が拭えません。
 罰則については、過失による情報漏洩でも最大10年の懲役刑とされるおそれがあり、また、公益通報のような正当な内部告発も「故意の漏洩」と認定され、処罰されるおそれもあります。情報を取得するための「未遂、共謀、教唆、扇動」を処罰するということは、放送局のような報道機関などによる正当な取材活動が「情報漏洩の教唆」と認定されて処罰される危険性をはらんでいます。このような法案によって、公務員などが過度に萎縮して情報公開が著しく損なわれることになれば、報道の自由や市民の知る権利に重大な影響が及ぶことになるでしょう。

 このような危険性をはらむ法案が、二週間という極めて短い期間で、しかも全文でなく簡素な「概要」を示しただけで意見募集の手続きを取ること自体、国民を愚弄するやり方ではないでしょうか。私たちは、このようなパブリックコメントの手続きに強く抗議するとともに、同法案の早急な撤回を強く求めます。いま必要なことは、軍事を理由とした「情報隠蔽」ではなく、むしろ原発事故などに関して政府や電力会社の情報を包み隠さず速やかに公開する「情報公開の促進」であると確信します。

以 上

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「特定秘密保護法案」に対する民放労連の意見(2013.9.13)

2013年9月13日
日本民間放送労働組合連合会 中央執行委員会

 私たちは、政府が9月3日に概要を示した「特定秘密保護法案」に対して、ここに反対の意見を提出する。以下に述べるように、憲法が保障する基本的人権や市民の「知る権利」を不当に侵害しかねない重大な問題をはらむ法案が、二週間という極めて短い期間で、しかも法案の全文でなく簡素な「概要」を示しただけで意見募集の手続きを取ること自体、国民を愚弄するやり方だと言わざるを得ない。私たちは、このようなパブリックコメントの手続きそのものに強く抗議するとともに、同法案の早急な撤回を強く求める。

 まず、法案の「趣旨」としては「我が国の安全保障に関する事項のうち特に秘匿することが必要であるものについて、これを適確に保護する体制を確立した上で収集し、整理し、及び活用することが重要」と書かれているだけで、いまなぜ新法を制定して、市民の自由や権利を制限するような秘密保護法制を確立する必要があるのか、具体的な立法事実は全く示されていない。現行法で規定されている公務員の守秘義務ではなぜ不十分なのか、その根拠も示されないのに、新たな法制度の必要性は認められない。もとより、平和憲法を擁する日本において、安全保障を理由として基本的人権が不当に制約されるおそれの強い制度は、極力回避されるべきだと考える。
 法案の「概要」では、「特定秘密の指定」については行政機関の長が指定するとされているだけで、これでは行政機関が自らの都合のいいように何でも秘密として指定することができる。その範囲も、@防衛に関する事項、A外交に関する事項、B外国の利益を図る目的で行われる安全脅威活動の防止に関する事項、Cテロ活動防止に関する事項に限定しているというが、「安全脅威活動」や「テロ活動」は公安・警備に関する幅広い事項を対象とすることができ、ほとんど無限定に秘密指定ができることとなってしまう。また、上限5年の有効期間も設けられているものの、行政機関の長の判断により期間の更新も可能とされていて、半永久的に秘密指定することもできる。第三者によるチェック規定もなく、秘密の指定については事実上、何の制約もないこととなる。
 公務員・民間業者を問わず、秘密を取り扱う業務の従事者に対して行われる「適性評価」も、「精神疾患」「飲酒についての節度」「信用状態その他の経済的な状況」など、極めて個人的な内容にわたる幅広い情報を調査するとしている。しかも対象者の「家族及び同居人の氏名、生年月日、国籍及び住所」も調査対象とし、関係者に調査・照会もするとあっては、制度そのものがまさに重大なプライバシー侵害で、到底容認できない。この「適性評価」は判断基準が明示されず、その結果が本人に通知されるだけで、「適性なし」と判断された場合、不服申し立ての仕組みもない。また、収集された膨大なセンシティブ情報が外部に漏洩した場合、取り返しのつかない人権侵害が生じるのは明らかである。「目的外での利用及び提供を禁止する」としているが、実効性は期待できない。むしろ、この条項が恣意的に利用され、さらなる情報隠しが進められるおそれすらある。
 罰則については、故意・過失を処罰対象としているが、管理不十分等の軽微な事情で漏洩した場合でも最大10年の懲役刑とされるおそれがあり、あまりにも重罰に過ぎる。また、公益通報のような正当な内部告発も「故意の漏洩」と認定され、処罰されるおそれが強い。情報を取得するための「未遂、共謀、教唆、扇動」を処罰するということは、報道機関などの正当な取材活動が「教唆」と認定されて処罰される危険性をはらんでいる。情報公開請求などに公務員などが関わる行為が「共謀」や「扇動」として処罰されることにもなりかねず、ここでも市民の権利が不当に侵害されることになる。このような法案によって、公務員などが過度に萎縮して情報公開が著しく損なわれることになれば、報道の自由や市民の知る権利に重大な影響が及ぶことになる。
 重要な情報が隠され、侵略戦争に突き進んだ、戦前の暗黒時代を繰り返さないためにも、私たちはこの「特定秘密保護法案」の制定に強く反対する。 

以 上

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和歌山放送と茨城放送に、働く者を大切にした経営を求める決議(2013.7.28)

 民放労連に結集する私たちは、和歌山放送労組と茨城放送労組の闘争を支援しながら、『まともな会社』にするため、働く人を大切にした、従業員主体の再建の実現を願っている。

 和歌山放送労組は昨年五月以降、一方的な不利益変更の撤回を求めた裁判闘争を進めており、茨城放送労組も県労働委員会のあっせんを通じ、定期的な協議を重ねて労使関係の正常化を図っている。

 一方的な不利益変更問題などが生じて以降、両局とも人材流出が続いたことで、放送局としての体力を失い、番組の質や売り上げの低下を招いた。ラジコのストリーミング数でも苦戦を強いられており、番組企画が話題になることなどの点でも材料に乏しい。特定のリスナーに肩入れしたり、トークの内容が薄い番組づくりが続いているとの指摘もあり、この状況を変えるための従業員の意識改革も、道半ばの状態といえる。

 自然災害が発生した時、ラジオメディアが重要な地域の「セーフティインフラ」と自負しているわれわれは、平時に聴かれるラジオだからこそ、災害時にも頼りにされ、聴かれるようになると認識して、従業員自らが、放送局をまともな会社に立て直すことが重要であると考えている。
 しかし、この閉塞感を打破するための経営側の取り組みも十分とはいえない。社員の退社が相次いだ一方で、契約社員や派遣、請負の従業員数が増加して、構内の賃金格差の問題が顕在化しつつあり、結果として、職場内の信頼関係を揺るがしている。
 こうしたことから、現在の状況は、従業員が一丸となって職場を活性化させ本業を立て直すという、われわれの求める再建の姿から大きくかけ離れていると言わざるを得ない。

 和歌山放送労組と茨城放送労組は、根本的な再建に必要なのは「自ら考え、行動をしていく」という考え方であるとの認識から、外部と意見交換をしたり、内部の意識改革を呼びかけたりするなど、経営危機下に置かれた労働組合としては、当たり前と思える活動を行っている。
 削減や縮小再生産に頼らず、従業員が主体となった再建を実現するために必要不可欠な、職場の活性化を図るために、働く者ひとりひとりを大切にした経営を求めるものである。


右、決議する。

2013年7月28日
日本民間放送労働組合連合会
第117回定期大会
 

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TNCプロジェクト労組宮ア事件の早期解決及び宮ア君の雇用を守るための決議(2013.7.28)

 株式会社テレビ西日本(以下、TNC)と株式会社TNCプロジェクト(以下、Tプロ)に対し雇用契約上の地位確認などを求め、二〇〇九年六月に提訴した宮ア幸二君の裁判は、昨年一〇月二九日の福岡高裁判決を経て今年七月四日、最高裁で上告申立不受理決定がなされた。門前払いの最高裁の決定は不当であるが、これにより、TNCに対し高裁判決で指摘された次の法律違反の是正が求められることとなった。

■専ら派遣
 高裁判決では、TプロがほぼTNCだけに労働者派遣を行っていたことを捉えて、労働者派遣法第七条一項一号に違反(専ら派遣)していると判示した。
■派遣労働者の事前面接
 一審(福岡地裁)判決では認定しなかった事前面接について、高裁判決ではこれを覆し、TNCが労働者派遣法第二六条七項で禁止している労働者の事前面接を行っていたと判示した。
■『派遣法第四〇条の五』に基づく直接雇用の申し込み義務
 高裁判決は、TNCが宮ア君に対し、労働者派遣法四〇条の五に基づいて『雇用契約の申し入れをしなければいけない』と判示した。

 このほか「(マスター業務は)安定した雇用環境にあるものが担当するのが望ましい」としている。このような判決文が出て違法の具体的な内容が明らかになったいまでも、TNCは宮ア君に直接雇用の申し込みをしていない。高裁判決がこれ以上争われなくなったいま、これら法律違反は法令順守(コンプライアンス)の観点からも、一刻も早く是正されるべきである。

 また、宮ア君の雇用についても、雇用契約を結び続けているTプロとの間で団体交渉が続けられているが、過去の経緯から、また団体交渉の発言の数々からもTプロは宮ア君を「特定派遣」と認めておきながら、今年六月の団体交渉では「(宮ア君は)一般派遣」と急に主張を変えてきた。これが、特定派遣が常用雇用でなければならないことを認めたくないという会社の意思の現れであることは、誰の目にも明らかである。労働者の生命線である「雇用」を守るため、やむなく契約書を交わせずに就労を続ける宮ア君に対し、何としてもTプロから排除しようとする貴社の言動は、断じて許すわけにはいかない。

   我々民放労連に結集する労働者は、TNCおよびTプロが違法を認め行政指導などを受ける前に自主的に解決し、宮ア君の雇用を守るために支援していく所存である。


右、決議する。

2013年7月28日
日本民間放送労働組合連合会
第117回定期大会
 

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和歌山放送「一方的不利益変更」争議の早期解決と、労使の話し合いによる会社再建を求める決議(2013.7.28)

 二〇一〇年四月、和歌山放送は、経営不振を理由に「就業規則・賃金規程・退職金規程」を一週間後から改訂すると発表した。これは、給与の平均十七%カット、退職金の大幅削減、そして労働時間の一時間延長を柱とした甚大な不利益変更で、労使で締結している労働協約に反し、労働契約法が定める不利益変更の合理性の要件を満たさないにもかかわらず、組合との団体交渉を二回行っただけで改訂を強行した。会社は、組合の再三の撤回要求にも応じず、賃金請求権の時効を目前にした昨年五月、組合員四人が、不利益変更の全面撤回を求める訴訟を和歌山地方裁判所に提起し、二度目の夏を迎えた。

 これまで七回の弁論が行われたが、会社は「労働協約は存在しない」「不利益の程度は著しくない」「事業継続・企業存続(債務超過)が危ぶまれる事態だった」「同業他社のリストラ策と比較しても極端ではない」「組合とは長期にわたって誠実に交渉していた」などと主張しており、今後の訴訟は、証人尋問へと移っていくことが確実な状況となった。組合は、これら信じられない会社の主張に対し、堂々と反論を行い、勝利を確信している。

 一方、ラジオ業界自体が厳しい環境にあることは否定できない。「今後の放送をどう切り拓いていくか」が厳しく問われる局面だ。
 組合は、社業の向上を図り会社を再建するためには、放送の質を向上させ、より「聴かれるラジオ」を実現することが必要だと考えている。そしてそのためには、社員・スタッフの一人一人が、部署を問わず、高いモチベーションを持つ「放送のプロ」であることが必要なのではないだろうか。

 昨年六月に社長が交代してから、一部ではあるが会社の姿勢に変化も見えてきた。今年五月からは「社長と労働組合の懇談会」を定期的に開催し、社業や放送の在り方について、手探りながら議論を始めた。社業や放送の在り方を見つめ直すとともに、会話の成立すら難しい以前の労使関係を変え、話し合いによる健全な労使関係を構築することが、まともな会社に変わるための第一歩であり、一連の争議が三年以上続いている現実が、会社再建の最大の障壁であることを、賢明な経営者なら既に理解されているであろう。

 和歌山放送は、まともな話し合いを経ずして不利益に変更した「就業規則・賃金規程・退職金規程」を今すぐ撤回し争議を解決した上で、労使対等の話し合いで労働条件を決定し、会社の再建を図るよう強く求める。


右、決議する。

2013年7月28日
日本民間放送労働組合連合会
第117回定期大会
 

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長崎ビジョン労組争議の『真の解決』と対等かつ誠実な労使関係を求める決議(2013.7.28)

 二〇〇七年一一月一二日・・・四年にわたって争われてきた長崎ビジョン労組争議(長崎地労委平成一五年(不)六号事件)は、県労働委員会から組合側の主張をおおむね認める救済命令が出された。

本件救済命令の主文では
■ 組合員への懲戒処分にかかわる団体交渉を誠実に行なわなければならない。
■ 職能給に関して過去の支給の経緯や現在の運用を明らかにしたうえで、今後の運用などについて、誠実に団体交渉を行なわなければならない。
■ 賃金、賞与に関する団体交渉について、可能な限り具体的な経営資料を提示するなどして、誠実に行なわなければならない。
■ 長崎ビジョン労働組合に対し、本命令受領の日から一〇日以内に、文章(謝罪文)を手交しなければならない。
といった内容を会社側に命令している。
 しかし会社は、この命令を真摯に受け止めることは無く不当労働行為を繰り返し、組合敵視・蔑視の姿勢は変わるどころか、さらに弾圧の手を強めている。
■ 二〇一二年五月、会社は賃金の不利益変更が伴う新人事労務制度を導入した。会社は制度提案にあたり「制度導入は、人件費抑制の為であり、賃金の不利益変更がある」と労働条件不利益変更を臆面も無く明言。しかも組合は制度導入の必要性を説明する材料として具体的な経営資料の開示を求めたが、会社は県労委命令を無視し一切の開示を拒否。十分な話し合いのないまま制度を強行導入した。
■ 今年一月、会社は労働基準法等に基づく諸規程改訂などのための従業員代表者選出選挙を行なったが、その投票を記名投票にした。第三者的な立場で選挙を管理する体制もなく会社総務部が主催する記名選挙は、従業員への締め付けを強め、自由な意思に基づく選択を制限するものである。
■ 今年三月、春闘で会社は協約三件(プール休暇一〇〇日、リフレッシュ休暇三日、年末年始手当一日三〇〇〇円)を破棄する回答をし、十分な協議がないまま一方的に強行した。
■ 民放労連統一行動日である今年三月二一日、度重なる不当労働行為に対して、民放労連や地域支援団体で申入れを行った。会社に対しては事前に伝えていたにもかかわらず、会社は誠実な対応を行なわなかった。後日、単組委員長に対して「無断で従業員以外の者を社内に入れ業務を妨害した。就業規則違反である」とした警告文を出してきた。会社は民放労連の申入れを真摯に受け止めることなく個人攻撃へと対応をエスカレートしている。
 長崎ビジョンは放送プロダクションである。従業員は、日々放送業界の第一線で、その仕事に誇りを持ち働いている。しかし、会社は、労働者の命と健康、安心安全な生活を守ることを軽んじ、その労働条件、労働環境を悪化させる労務政策を取り続けている。会社が組合に対して不誠実な態度を繰り返し、労働者と真剣に向き合わないことは、これまで築き上げてきた放送制作技術の火を、自ら消そうとしている、そう言わざるを得ない。

 本争議は「会社側と対等かつ誠実に交渉できる関係をつくり、職場を働きやすいものに改善する」ことを目的としている。会社が長崎県労働委員会の命令を真摯に受け止め、これを実現する日まで、私たち民放労連に結集する労働組合は、全力を挙げて民放労連長崎ビジョン労組を引き続き支援していく。


右、決議する。

2013年7月28日
日本民間放送労働組合連合会
第117回定期大会
 

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「ラジオはリスナーのためにある」との原点に立ち返ることを求める決議(2013.7.28)

 二〇一三年を迎え、ラジオの将来へ向かう枠組みが大きく変化した。昨年末に実施された民放連によるV-Lowマルチメディア放送への参入希望調査で、参入希望が六五パーセントにとどまったことを受けて、民放連は今年三月、ラジオ全体として、V-Lowマルチメディア放送への参入は断念し、各社それぞれの道を選択することになった。
 そして、総務省で行われている「放送ネットワークの強靭化に関する検討会」において、テレビのデジタル移行によって空いたV-Low帯を、マルチメディア放送と、難聴に苦慮するAMを中心とする局に対して、比較的混信の少ないアナログFMを中継波として活用していく方向性が打ち出された。現在総務省内で周波数割り当てなどの制度策定に向けての作業が行われている。今後、ラジオ局には次の三つの選択肢がある。
 一つ目はFM東京などが中心となって進めているV-Lowマルチメディア放送への参入。
 二つ目は、在京AMラジオ局などが取り組みを表明しているFM波への参入。(当面は中継局としてのFM活用)
 三つ目は、あくまでも現行のアナログ波のみの放送を続けること。
 これら三つの選択肢をラジオ各局は選択し、それぞれの道へ進むことになる。
 長期にわたって難聴に苦しんでいるAMラジオや短波放送にとって、「聴こえない」という問題が解消することは大きな前進の一歩であるが、割り当て周波数帯によっては90MHz以上を受信できる受信機の普及など、課題は山積している。
 何よりも、V-Lowマルチメディア放送やFM活用は、減少しているラジオ広告収入やセッツ・イン・ユースに対して抜本的な解決策にならない。私たちは「聴取者のためのラジオ」を目指して、良質な番組を聴取者へ届けることに真剣になって取り組む以外に道はないと考える。どんなに聞きやすい環境が整っても、ラジオ番組自体に魅力が無ければ誰も聴いてくれない。また災害などの非常時に聴かれるためには、日常的な聴取による信頼関係が必要であることは、自明の理である。
 その渦中で、各局のラジオ放送ではワイド番組が長時間化し、「ラジオショッピング」や生コマーシャル枠が増加傾向でパーソナリティが疲弊している。個性のある地方独自の制作番組も減少している。

   総務省の「放送ネットワークの強靭化に関する検討会」や「放送政策に関する調査研究会」では、経営合理化・事業再編を容易にする議論がなされている。すでに経営破綻に陥った放送局、経営困難に直面している放送局が少なからず存在することから、こうした検討をすべて否定することは出来ない。しかしながら「経営合理化」や「事業再編」という対策ばかりでは、「良質の番組を聴取者へ届ける」ことには決して結びつかない。

   いまこそ我々労働組合が先頭に立って、「ラジオはリスナー(聴取者)のためにある」という原点に立ち返り、私たちの職場である「ラジオ」を守るため、「経営合理化」や「事業再編」に毅然として対峙していこう。


右、決議する。

2013年7月28日
日本民間放送労働組合連合会
第117回定期大会
 

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際限のない情報統制を狙う「秘密保全法制」に反対する決議(2013.7.28)

 安倍首相は四月の国会で「特定秘密保全法案」の整備に意欲を示し、「速やかに取りまとめ、国会提出できるよう努力したい」と述べた。また、菅官房長官も六月、特定秘密保全法案について、外交・安全保障政策の司令塔となる日本版NSC(国家安全保障会議)創設法案と合わせ、秋の臨時国会での成立を目指す考えを示した。菅官房長官は「外国との情報共有は(秘密が)保全されるという前提の下で行われる。未だに秘密保全法を整備していないのは非常に問題だ」と述べ、秘密保全法案を参院選後早々に国会に提出する方針だ。

 「秘密保全法制」は、憲法が保障する表現の自由を政府が制約しようとする動きのひとつだ。法案の基本になっているのは、民主党政権下の二〇一一年八月、政府の検討委員会に対して有識者会議が提出した報告書「秘密保全のための法制の在り方について」だ。「国の安全」、「外交」、「公共の安全および秩序の維持」の三分野について、特に秘匿を要する「特別秘密」を漏洩した場合、五年または一〇年以下の懲役刑や罰金刑を科すという内容だ。
 適用対象には行政機関のみならず、民間事業者等が保有する情報も含まれる。報告書では表現の自由に配慮するとしているが、特別秘密は所管大臣の権限で指定できることになっている。秘密漏洩の教唆(そそのかし)も処罰の対象としていることから、報道目的で取材するジャーナリストもその対象とされる危険性が拭えない。運用によっては権力にとって極めて都合がよいものとなり、国民の知る権利が阻害されることは間違いない。
 さらに、昨今の憲法改正の動きと重ね合わせるとき、秘密保全法制は言論の自由を根本から脅かし、「戦争への道」につながる危険性がある。民主党政権は、民放労連をはじめとする労働組合や日弁連などのさまざまな団体や市民の反対の声を受け、法案提出をすることができなかった。安倍政権による法案の提出を私たちは決して許すことはできない。
 
 去年、「新型インフルエンザ等対策特別措置法」が成立した。そして今年五月には、「共通番号制度法」いわゆる「マイナンバー法」が成立した。「新型インフルエンザ等対策特別措置法」は、憲法が保障する表現の自由の重要な一形態である集会の自由に、不当に制限を加える恐れがある。また、「マイナンバー法」では、「特定個人情報」の提供・収集・保管が違法となり、報道目的の適用除外規定もないことから、メディアの取材にも新たな制約をもたらす懸念も消えていない。
 表現の自由に対する制限、メディアの規制が着々と進行している。
 
 際限のない情報統制を狙う法律、それこそが「秘密保全法制」の正体だ。私たちは、日本を再び戦争の惨禍に巻き込む憲法改正論議に反対するとともに、秘密保全法制をはじめとするあらゆるメディア規制に反対する。私たちは、言論・表現の自由が真に保障される理想的な社会の実現を求めて、全力をあげる決意である。


右、決議する。

2013年7月28日
日本民間放送労働組合連合会
第117回定期大会
 

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表現の自由・民主主義をさらに発展させる放送政策の確立を求める決議(2013.7.28)

 今年、テレビは放送開始六〇周年を迎えた。ラジオは、まもなく九〇周年を迎えようとしている。この間、放送メディアはBS、CS、地上デジタル放送と、飛躍的な発展を遂げた。一方、情報通信の分野でも、ここ二〇年ほどの間にコンピューターとインターネットの驚異的な発達により、コミュニケーションのあり方がまったく様変わりしている。こうした環境の中で、いま進められている放送に関する法制度の整備は、放送法の目的として明記されている、「放送による表現の自由を確保」するとともに「健全な民主主義の発達に資するよう」なものとなっているだろうか。

 昨年から有識者らによる議論が続けられている総務省の「放送政策に関する調査研究会」は、先ごろ「第一次とりまとめ案」を明らかにした。研究会はこの中で、論点として「認定放送持株会社とマスメディア集中排除原則」などを挙げ、民放連などの要望に基づいて、放送局の支配にかかわる議決権保有比率規制や役員兼任規制などを緩和する方向性が打ち出されている。
 マスメディア集中排除原則の本質である「一資本による放送局の複数支配の禁止」の原則に対して、複数支配を事実上可能な状態とした認定放送持株会社制度は、本来的には同原則と矛盾するおそれの強い制度である。それを、さらに規制緩和することは、マスメディア集中排除原則の全面的な否定につながりかねない。表現の自由のために欠かすことのできない言論の多元性・多様性・地域性の確保を目的としたマスメディア集中排除原則はあくまで堅持されるべきであり、むしろ規制強化に向けた制度改正こそが求められている。
 東日本大震災を経験した私たちは、大規模災害時に人々の生命と財産を守るために活動することがメディアの重要な社会的使命であると考える。この観点からすれば、地域に根ざして、地域に生活する人々のこまやかなニーズに応えられる放送こそが求められている。従って、地域に密着した放送局のあり方や放送人の育成こそが急務であり、制度整備もこうした側面を支援するものこそが必要となろう。
 「経営資源の効率的運用」を名目にして、放送局の経営者らは業務の効率化をひたすら推進している。そのために放送番組の制作現場などでは労働強化が一段と進行して、放送局の内外で働く放送労働者は疲弊の極みに達している。各地で放送事故が相次ぎ、番組をめぐる不祥事も跡を絶たない。こうした現状は、放送局経営における過度の効率化追求が招いた矛盾の表れだと言わざるを得ない。

 一方、ラジオについては、すでに経営破綻に陥った放送局、また経営困難に直面している放送局が少なからず存在していることから、支援のための制度整備の必要は否定できない。しかし、ラジオがいまリスナーから求められていることは、より魅力ある番組の多様な開発であり、そのためには自由で豊かな番組制作環境を整えることが急務であることは言うまでもない。ラジオをめぐる法制度整備も、そういう観点から見直されるべきだと考える。

   放送は、人々の生活や情報環境をより豊かにし、民主主義社会が健全に発達するためにこそ存在する。放送に関する制度整備も、その観点に立って推進されることを強く求める。


右、決議する。

2013年7月28日
日本民間放送労働組合連合会
第117回定期大会
 

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誇りある働き方の実現のため、すべての放送労働者の団結を呼びかける決議(2013.7.28)

 安倍政権の下、格差がますます拡大している。

 政府はアベノミクス効果を宣伝しているが、上がるのは物価ばかりで、私たちの賃金は国民の期待を裏切り、今年の春闘でベースアップを実施した企業はごく少数にとどまった。
 雇用は今年に入って以降、五月末までで四五万人の増加を見たと言うが、その内訳はパートや派遣などの非正規雇用が六八万人も増加し、正社員は一三万人も減少したという。全労働者の四分の一は、年収が二〇〇万円にも満たない。パートの仕事しか見つからないシングルマザーの多くは、ダブルワーク、トリプルワークを余儀なくされ、育児のための時間を削らざるを得ない。
 一方で、政府は「限定正社員」なる制度を拡大させ、労働法制の中にも公然と持ち込んで、勤務地や職種を限定することで、通常の正社員よりもはるかに低い賃金で、これまで労働者が長年のたたかいで勝ち取ってきた「整理解雇の四原則」の適用を除外して、解雇のしやすい「正社員」を増やそうとしている。
 世間では、正社員とは名ばかりの低い賃金で、ほとんど休みも取れないほどボロボロになるまで働かせ、毎年大量の退職者を生む、いわゆる「ブラック企業」が増加していると言われている。

 私たち民放産業の中でも、状況は深刻だ。番組制作の基幹部分を支える労働者の多くは、多重的な下請構造が常態化していることもあり、二〇年の美術専門職のキャリアを持ちながら、時給が現行の東京都最賃ぎりぎりの860円という労働者や、放送局の系列資本下にありながら、募集する契約社員の基本給が地域最賃とほとんど同じという制作会社があることが明らかになっている。
 一見華やかに見える民放の番組制作の裏側で、このようなひどい実態が蔓延していることは、若い人たちの間では広汎に知られるようになった。番組制作に従事する制作プロダクションの使用者団体も、このままでは若いADの募集がままならず、ひいては放送の将来の番組づくりにも大きく影響するとして、賃金や待遇の抜本的な改善を切実に求めている。

 私たち民放労連は、昨日から開催された定期大会で、「職場と生活(くらし)に憲法を活かし、誇りある働き方を実現しよう!」をスローガンとする運動方針を採択し、放送に携わるすべての労働者が、憲法の保障する「健康で文化的な生活」をおくれるようにすることに、全力を挙げて取り組んでいくことを決めた。そのためには、まず私たち労働組合が、放送の仕事に携わるすべての放送労働者との団結をつくり出し、すべての放送労働者を代表できる、本当の意味での産業別労働組合への飛躍をとげることが求められている。

 放送ではたらくすべてのみなさん! 誰もが放送の仕事に誇りを持ち、誰もが人間らしい生活をおくれる職場を、輝かしい放送の未来を、民放産業唯一の労働組合である民放労連の旗のもとに団結し、ともに創りだしていこう!


右、決議する。

2013年7月28日
日本民間放送労働組合連合会
第117回定期大会
 

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労働者派遣法、労働契約法をはじめ、労働法制の抜本改正を求める決議(2013.7.28)

 昨年十月からは労働者派遣法、今年四月からは労働契約法、高年齢者雇用安定法が改正された。労働者派遣法は、法の名称に「派遣労働者の保護等」が、法の目的に「派遣労働者の保護・雇用の安定」という文言が入ったことは評価出来るが、「違法派遣の場合、派遣先の労働契約申し込みみなし規定」が三年先に引き延ばされたことや、有期雇用派遣労働者の無期への転換が「努力義務」になるなど、大きく後退した内容となった。
 総務省の「労働力調査」によると、総雇用者数のうち、派遣労働者について過去の年平均を見ると、二〇〇八年は2.5%だったが、毎年下がりつづけ、昨年は、1.6%まで、派遣労働者の数は減っている。しかし、一方で、契約社員・嘱託といった非正規雇用への置き換えが増えている。派遣労働者同様に、契約満了といった実質「解雇」が待ち構える、極めて雇用の不安定な労働者が増加している。

 昨年十二月、公約違反を繰り返した民主党政権が、国民の信頼を失い、衆議院選挙で大敗し、再び安倍政権が復活した。第一次安倍政権時代、財界の意を受けて持ち出した「ホワイトカラーエグゼンプション(事務的労働時間規制の除外)」に加えて今、解雇自由化法案、ジョブ型正社員(限定正社員)といった国民・労働者の生活を脅かす労働法制の改悪によって、新たな雇用破壊がすすめられようとしている。
 その中、今年四月から改正労働契約法が施行された。雇い止め法理が法制化され、さらに期間のあることを理由とした「不合理な労働条件の禁止」が明文化されたことは、一定評価出来るものである。しかし一方で、有期雇用契約の適用を限定する「入口規制」立法化に強硬に反対する財界の意向を汲んだものとなっている。特に有期で法の施行後、五年以上経過したのちに、「労働者の申し出」によって初めて期限の定めのない雇用に転換するとされ、五年に到達する直前での雇止めを規制する必要についてはなんの言及もなく、さらに賃金や労働条件については「従前と同一とする」とまでわざわざ付記され、有期雇用の規制という点においては、極めて不十分である。
 改正高年齢者雇用安定法は、定年後も希望者全員を継続雇用の対象としなければならず、本人の同意があれば、グループ会社への継続雇用も可能になった。私たちの要求は、あくまでも「定年制の延長」の実現であるが、当面、再雇用であっても、「まともな生活が出来る賃金水準の確保」と「健康で働き続けられる環境を整備すること」は必須だ。

 自民党安倍政権は、さらに経営団体の意向を受け、労働法制の規制緩和を急ごうとしている。私たちは、このような歴史のネジを逆戻りさせる反動を決して許さず、人間らしい労働の実現のために、すべての労働者が安心して働けることを保障する労働法制の確立を求めて、よりいっそう奮闘していく決意である。


右、決議する。

2013年7月28日
日本民間放送労働組合連合会
第117回定期大会
 

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職場と生活(くらし)に憲法を!(2013.7.28)

 二度目の政権の座についた自民党の安倍晋三首相は、七月に行われた参議院選挙でも自民党の大幅な議席増を実現し、「衆参のねじれ」を解消。「集団的自衛権の行使容認」に向けた議論を再開させるとともに、自身の任期中での憲法「改正」に向かってますます意欲を高めている。

   自民党がめざすその憲法の姿とはいかなるものなのかは、野党時代の昨年四月に発表された「自民党憲法改正草案」に、包み隠さず示されている。

 その「草案」を一読すれば、主権者である私たち国民と国家との関係を一八〇度逆転させ、国民の自由と人権を国家が規制する暗い社会の到来を予感しないわけにはいかない。

 私たち民放労連は、結成以来、現行憲法を生活と労働の場に活かしていこうと方針を掲げてきた。企業利益を最優先に追求する経営の論理に抗して、ジャーナリズムの立場から、視聴者・リスナーの利益を何より重視することと、職場における様々な「差別」、格差と貧困を解消し、「すべての放送労働者に人間らしい労働と生活を実現する」ことは、憲法と根本のところでつながっていると考えるからだ。

 第一次世界大戦の反省を受けて設立された国際労働機関(ILO)は、その憲章の前文で、「世界の永続する平和は社会正義を基礎としてのみ確立することができる」と宣言した。不正や貧困を人々にもたらす労働を許せば、世界の平和そのものが脅かされること、人間らしい労働の実現こそが平和と密接に結びついていることを謳った。

 日本国憲法もその前文で「ひとしく恐怖と欠乏から免れ、平和のうちに生存する権利を有する」と、国民の人間らしい生き方と世界の平和が不可分であることを強調した。

 日本のメディアは、アジア太平洋戦争において、政府に加担して、国民を戦争へと積極的に動員していった。そのことへの強い反省と決して繰り返さぬ決意を「戦争のために二度とペンやカメラを持たない」という言葉に込め、私たちメディアの労働組合は、その運動をスタートさせた。

 敗戦から六八年。自民党は参院選での圧勝と野党の弱体化を背景に、その草案を国民に周知させる「対話集会」を開催し、改憲へと世論を誘導する意向を選挙後、早々に示している。

 まるで戦前の日本を取り戻そうとするかのような動きが、政治の舞台では急速に勢いを増している。私たち民放労連が、「平和のためにペンを、カメラを!」という積極的な運動を展開していくことは、私たちに今、課せられている社会的な責務ではないだろうか。

   「平和で自由な社会」と「人間らしい労働と生活(くらし)」を一体のものとして、その実現をめざして、私たち民放労働者の全力をあげよう!


右、決議する。

2013年7月28日
日本民間放送労働組合連合会
第117回定期大会
 

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民放労連第117回定期大会アピール(2013.7.28)

 一九五三年――テレビ放送が始まった年に、私たちの先輩が未来への希望を胸に結成した民放労連は、今年六〇周年を迎えた。この六〇年間に、私たちの生活は豊かになったかもしれない。しかし、先輩たちが思い描いた平和な社会、民主主義、表現の自由や権利の拡大は、どれほど前進したのだろうか。酷暑の中、東京・飯田橋で開かれた民放労連第一一七回定期大会に集まった私たちは、今自らにそのことを厳しく問わざるを得ない。

 七月二一日に投開票が行われた参議院選挙では、52・6%という低い投票率の中、与党・自民党が大勝し、公明党とあわせて安定多数の議席を確保。新聞やテレビには「衆参のねじれ解消」の文字が大きく踊った。憲法改正を掲げる安倍自民党政権が議席を大幅に伸ばしたことで、平和憲法が改定される危機も高まっている。しかし、どの世論調査を見ても、憲法九条改正を望まない声は多数を占めている。「衆参のねじれ」より「国民と国会のねじれ」こそ、根本的な問題ではないのか。私たちの職場であるメディアには、国民の声をしっかり国会に届けることが社会的使命として期待されているはずだ。

 すでに私たちの職場の半数以上が、派遣・請負・有期契約などの労働者で構成されている。すべての放送労働者に「人間らしい労働と生活」を実現する運動に取り組まない限り、もはや、民放労連の組合員である私たちの賃金・労働条件の切り下げも防ぐことはできない。「一万人の民放労連」の早期実現をめざして、私たちは「構内労働者組織化プロジェクト」をさらに力強く進め、あらゆる民放の職場で拡大に全力をあげる決意を固めた。同時に、不安定雇用からの脱却を求めるTNCプロジェクト労組、労働条件の労使対等の誠実な交渉を求める長崎ビジョン労組、会社を私物化する経営者に対し、立ち上がったCS放送のスカイビジョンの仲間たちを、全力で支援することを確認した。
 苦境が続いているラジオの経営者たちは、経営の維持・継続のために「合理化」「事業再編」をひたすら進めている。私たちは「聴取者のためのラジオ」をめざして、良質な番組を聴取者へ届けることに、真剣に取り組む以外にラジオ再生の道はないと確信する。私たちは、厳しいたたかいを続けている和歌山放送労組、茨城放送労組をはじめ、全国のラジオの仲間を支援していくことも確認した。

 「3・11」から二年四ヵ月余りが経った。今なお一五万人が、故郷を遠く離れて避難を余儀なくされている。失われた命が還ることはないけれど、せめて東北の人々に平穏な日々が戻ってくるまで、私たちは眼をそらさず、伝え続ける義務がある。何よりも、苛酷事故を起こした東京電力福島第一原子力発電所が今なお大量の放射性物質を放出し続けているのに、各地の原発を再稼働させる、などということが許されるはずもない。

 「全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する」と宣言した日本国憲法前文の意味を、今一度、重く受け止めたい。私たちは、日本を再び戦争の道に引きずり込むような憲法改正論議は絶対に許さないし、国民の眼や耳をふさぎ、報道の自由の制限につながる「秘密保全法案」にも、断固反対を表明する。
 民放ではたらくすべての仲間のみなさん! 職場と生活(くらし)に憲法を活かし、誇りある働き方を実現するために、今こそ団結してたたかい抜こう!

2013年7月28日
日本民間放送労働組合連合会
第117回定期大会
 

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自民党のTBS「取材拒否」に抗議し、ただちに撤回を求める委員長談話(2013.7.5)

2013年7月5日
日本民間放送労働組合連合会(民放労連)
中央執行委員会
中央執行委員長 赤塚 オホロ

 自由民主党は7月4日、TBSの報道番組「NEWS23」の6月26日の放送について、「報道内容が公平さを欠いている」として、TBSによる党幹部への取材や番組出演要請を当面拒否すると発表した。政権政党は公的存在であり、その言動がさまざまな批判にさらされるのは当然のことである。もし事実誤認などがあるのなら、自ら記者会見を開くなどして公の場できちんと反論すればよい。報道内容を理由に取材拒否という姿勢をとることは、自らの意に沿わない報道にはこうした報復措置を取るという行為にほかならず、私たちは報道機関に働く者として、仮にも国家権力を担う公党が、報道の委縮につながりかねない強圧的な措置をとることを、到底許すわけにはいかない。

 また、折しも参院選公示直後という政治的に重要な時期に、報道機関の取材を拒否することは、有権者に的確な判断材料を提供すべき公党としての責任を放棄するものではないのか。政権政党・衆議院第一党という立場を考えれば、国民の審判を仰ぐ判断材料を積極的に発信するべき時に、このような大人気ない態度は一刻も早く改めるべきである。
 私たちは、自民党の「取材拒否」をただちに撤回することを強く求める。

以 上

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生活保護法「改正」案の廃案を求める民放労連の声明(2013.6.5)

2013年6月5日
日本民間放送労働組合連合会(民放労連)
中央執行委員会

 昨日、衆議院本会議で生活保護法改正案が可決され、参議院に送付された。その主な内容は生活保護申請の厳格化であり、これまで口頭でもよいとされてきた生活保護の申請に、本人の資産や収入、親族の扶養状況について書類で申告させるものだ。また、保護申請を親族に通知し、扶養義務のある親族に、説明を求めることができる、ともしている。

 申請時の書面提出義務については与党と民主党との修正協議で多少緩和されたとはいえ、これでは生活保護がただちに必要な人たちが、申請そのものをいっそうためらわざるを得なくなるだろう。この「改正」は、生活困窮者の生活保護申請のハードルを引き上げる制度改悪であり、これまで違法と厚労省も認めながら、なお多くの自治体で行われている、申請者を窓口で追い返す「水際作戦」を合法化するものにほかならない。

 生活保護申請が現状よりさらに困難になれば、2007年に北九州市で生活保護申請を事実上、役所から拒絶され、「おにぎり食べたい」と書き遺して餓死した男性の事件や、昨年札幌市内で姉妹が孤立死していた事件、最近では大阪府守口市内で母親と3歳の男児が死亡していた事件のように、行政窓口に相談に訪れていたにもかかわらず、生活保護を受けられないため命を失うという悲惨な事態がこれまで以上に各地で続発することが予想される。

 貧困と格差の拡大によって、生活保護受給者数は昨年末に215万人を超え、過去最高を更新し続けている。しかも、本来保護が必要な貧困世帯のうち、実際に生活保護を受給している世帯は二割に過ぎないとも指摘されている。こうした状況下での今回の制度改悪は、憲法25条が保障する生存権の侵害につながる。このように重大な問題を抱える法案が、衆議院ではたった二日の委員会審議で強行採決され、そのまま本会議でも採決されたことに、私たちは強い憤りを覚える。

 今回の「改正」法案は前提として不正受給の防止による給付額の抑制を掲げているが、いわゆる「不正受給」は、2011年度の生活保護費総額のわずか0.5%に過ぎず、しかもその多くは意図的に不正を働いたものではなく、錯誤に基づくものが多いという。

 いま政府が取るべき政策は、生活保護受給者そのものを減少させる労働政策・社会保障政策の抜本的な充実である。安倍政権によって今年8月から受給額が大幅に切り下げられる予定の生活保護予算減額こそ撤回されるべきだ。

 このような制度改悪が提案された背景には、メディアのこれまでの報道にも責任の一端がある。芸能人の母親の生活保護受給に対するバッシング的な過熱報道を皮切りに、生活保護の「不正受給」の問題をテレビのニュースやワイドショー等で大きく取り上げ、不正受給には当たらないケースまで「不正受給」と指摘したり、親族の扶養義務を生活保護申請の必要条件であるかのように報じたりするなど、誤解に基づくミスリードが相次いでいたことが、さまざまに厳しく指摘されている。

 いまメディアに求められているのは、本来生活保護が必要とされている人々が受給できていない現実に眼を向けることであり、生活保護行政の実情を冷静・正確に報道し、生活困窮者の立場に立った報道こそを積極的に行うことである。

 政府は社会保障の充実をはかる政策に方向転換すべきであり、いま国会で審議されている生活保護切り下げの「改正」案は、参議院で一日も早く廃案にすることを強く求める。

以 上

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憲法96条「改正」に反対する民放労連の見解(2013.5.24)

2013年5月24日
日本民間放送労働組合連合会(民放労連)
中央執行委員会

 安倍晋三首相は、日本国憲法の改正手続きを規定している憲法96条について「今、世論調査で5割以上の人たちが憲法を変えたいと思っている。それを、国会議員の3分の1をちょっと超えた人たちが阻止できるのはおかしい」などとして、次の参院選後の国会で、憲法改正の国会発議要件のハードルを国会議員の3分の2から「過半数」に下げる改正を実現させたい意向を表明している。これには「日本維新の会」など他の政党も賛意を示すところが現れ、超党派の「憲法96条改正を目指す議員連盟」には衆参合わせて350人を超える国会議員が名を連ねている。また、96条改正に賛意を表明するメディアの論調なども一部には見られるようになった。このような動きに、私たちは強い危機感を覚える。

 憲法は国家権力の乱用を防ぐための規範であり、時の権力の思惑によって簡単に変えられるようなものであってはならない。先に成立した改憲手続法では、憲法改正のための国民投票は「有効投票の過半数」で成立することとしており、投票率がきわめて低い状態でも憲法改正が実現してしまうという、危険を持っている。その上さらに国会議員による発議要件まで緩和されてしまえば、私たち国民の大多数の意向など関係なく、時の権力者の都合によって容易に憲法が改正されるという政治的混乱に見舞われることは必至だ。

 現行憲法のどこに不備があるかを議論せずに、ただ自分たちが改正しやすいようにハードルを下げるというのも、邪道と言うほかない。

 昨年4月に公表された自民党の「日本国憲法改正草案」は、自衛隊を「国防軍」に変えるという平和主義の放棄に始まって、国民主権・基本的人権の尊重といった現行憲法の原理そのものを改変させ、憲法が権力を縛るものから国民を縛るものに変わる内容となっている。表現の自由を保障した現憲法の21条に、「公益及び公の秩序」なるものを持ち出し、制限を加えようとしていることも、私たち報道機関に携わる者として、到底看過することはできない。自民党がもくろむ改憲がこのようなものなら、それは平和主義の理想を高く掲げた「世界最高の憲法」が、天賦人権説や近代立憲主義まで否定する「世界最低の憲法」に成り下がることを意味する。これでは憲法改正ではなく、権力者による国民からの憲法の簒奪と言うべきものであり、このような暴挙を私たちは絶対に許すわけにはいかない。憲法99条は「〜国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ」と規定しているが、自民党の憲法改正の策動はまさに「違憲」というしかない。

 憲法改正を主張してきた有識者たちの間からも、96条改憲は「立憲主義を否定する」との批判が聞かれる。また、各種の世論調査でも、96条改憲には反対の意見が多数を占めている。私たちは、「憲法が憲法でなくなってしまう」96条改憲に断固反対し、卑劣な手段で平和憲法を破壊しようとする策動を、全力を挙げて阻止することを表明する。

以 上

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「共通番号法案」の採決強行に抗議し、同法案の廃案を求めます(2013.5.9)

2013年5月9日
日本民間放送労働組合連合会(民放労連)
中央執行委員会

 政府が3月に国会提出した「行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律案」、いわゆる「共通番号法案」は、本日の衆議院本会議において賛成多数で可決され、参議院に送られました。私たちは、この法案によって得られるメリットよりデメリットの方がはるかに大きいこと、とりわけ報道機関としては日常の取材活動に極めて深刻な影響を及ぼすおそれが強いことから、同法案を参議院での審議で廃案にすることを求めます。

 今回衆議院で可決された法案は、税と社会保障の共通番号をすべての日本国内居住者に付けて、個人情報を管理・利用することを目的としていますが、個人番号によって個人の収入や病歴など極めてセンシティブな情報まで政府が一元的に収集・管理・利用するものとなり、もしも情報漏洩が起きてしまえば、非常に深刻なプライバシー侵害が避けられません。また今回の法案では、この共通番号を公開して行政分野以外の民間利用や個人番号カードの活用などを積極的に推進する内容となっているため、「なりすまし」による犯罪被害の拡大なども心配されます。法案には個人情報の提供禁止規定が設けられてはいますが、捜査機関や国会、裁判所など幅広い例外が認められていて、警察などによって自分に関するどのような情報が利用されたのかについて、当人は事後にしか知ることができません。

 政府は、監督機関の権限強化や厳罰化をもって漏洩防止策を講じている、と説明していますが、それは個人情報を管理している行政機関や民間企業などに強い委縮効果をもたらし、報道機関などの取材に対して情報提供を拒否するおそれが一段と強まることが予想されます。かつて個人情報保護法の制定・施行により、社会全体に「過剰反応」と言われるような空気が作られました。法施行から10年を経てなお、報道機関などは、個人情報であることを理由とした取材拒否という事態にしばしば直面していますが、今回の法案により、こうした状況がさらに深刻化することが懸念されます。また、共通番号制度のためのシステム構築にかかる費用も全容が明らかにされず、費用対効果の試算も公表されていません。

 衆議院での審議でも、以上のような疑問点はまったく払拭されていません。私たちは、国民の間での理解も深まっていない現段階でこの法案を拙速に成立させることに強く反対し、参議院での審議で同法案の廃案を断固として求めるものです。

以 上

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茨城放送と和歌山放送に対し、労使関係を正常化し、職場の声を中心に会社を立て直すよう求める決議(2013.1.27)

 ラジオ単営局の茨城放送労組と和歌山放送労組は、会社の一方的な不利益変更の撤回と同時に、労使関係の正常化を求める闘いを進めている。和歌山放送労組は去年五月、組合員4人が就業規則・賃金規定・退職金規定の不利益変更撤回を求め和歌山地裁に提訴、裁判闘争を続けている。一方で、茨城放送労組は去年九月、茨城県労働委員会で会社再建と今後の労働条件について「労使双方は真摯に協議を行うこと」という斡旋案を引き出し、現在、労使協議を続けている。

 茨城放送と和歌山放送は、売り上げの減少により経営危機に陥ったが、それぞれの経営者は対応策として、労働組合を無視し、人員や人件費を削減することに終始した。その結果、労働組合との間で労働条件の不利益変更問題が発生すると同時に、人材流出や番組の質の低下につながったため、リスナーやスポンサー離れが進み、経営危機にさらに拍車をかけた。こうした状況から、茨城放送労組と和歌山放送労組は、賃金、労働条件の向上のためには、働く者の意思や想いを基本として、本業を建て直すことが不可欠であり、そのためには正常な労使関係の再構築が必要との考えに至った。このため、茨城放送労組は県労働委員会への斡旋申し立て、和歌山放送労組は裁判闘争に突入し、労使関係の正常化を求める一方で、労働組合が会社再建に向けた業務内容提言活動や、地域の人たちの生の声を聞き、番組制作などに生かす取り組みを始めている。

 正規雇用者が減少したことで両労組とも少数組合となった。また、大都市圏にある県域ラジオ単営局という地域性や経営規模も似ており、同じ問題を抱えていることから、ごく自然に共闘関係を作り出し、それぞれの経営者に対する働きかけや声明文の交換などの共通の取り組みを強めている。

 昨年、期せずして両局とも社長が交代した。経営環境や賃金の劇的な変化は見られていないが、昨年末闘争で茨城放送では「激励金」という形で、金額や支給方法の差が付けられたものの、雇用形態に関係なくすべての労働者に対する現金などの支給があった。また、和歌山放送では全従業員に対して一万円の奨励金が支給された。労働組合が要求した「一時金」ではないものの、両労組にとってこの時期久々の現金支給であり、これまで粘り強く闘争を続けた成果である。こうした変化の機運をとらえて、両労組では足並みをそろえ、雇用形態によって差を付けない支給を求めた取り組みを継続している。茨城放送労組と和歌山放送労組は、経営危機状態に陥った会社の労働組合として、「会社再建の柱は職場の声」との考えをもとに共闘を進めている。そして、「賃金や労働条件の切り下げだけでは、ラジオの未来もない」と訴え、全国のラジオ単営局労組とに連帯の輪を広げている。ラジオ単営局労組共闘会議としても、両労組の問題は、一企業、一単組の問題にとどまらず、ラジオ業界全体が共通して抱える問題として、対応していく必要があるととらえている。このため、共闘を進める意義は、非常に大きい。

 茨城放送と和歌山放送の経営者に対して、労使関係を正常化させ、労働組合と真剣に向き合い、前向きに話し合うとともに、職場の声を中心とした会社再建をすすめるよう強く要請する。

右、決議する。

2013年1月27日

日本民間放送労働組合連合会
第116回臨時大会
 

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TNCプロジェクト労組宮ア争議の早期解決及び宮ア君の雇用を守るための決議(2013.1.27)

 株式会社テレビ西日本(以下、TNC)への正社員化を求め二〇〇九年六月に提訴した宮ア幸二君(現在、株式会社TNCプロジェクト契約社員)の裁判は、昨年一〇月二九日の福岡高裁判決を経て同一一月九日に上告受理申立し、最高裁に向けて準備を進めている。この過程において昨年二月二三日、TNCは宮ア君に、当時の派遣先であったTNCマスター職場への派遣就労を終了する旨を伝えた。いわゆる『派遣切り』に遭い、雇用主の株式会社TNCプロジェクト(以下、Tプロ)は、派遣先が見つかるまで宮ア君に自宅待機を命じた。

 昨年一〇月二九日の福岡高裁判決は、主文では控訴人の請求を棄却しているが、事実認定では以左TNCとTプロの違法性を認めている。
■専ら派遣
 宮ア君がTプロの派遣労働者としてTNCマスターへの派遣が開始された二〇〇〇年一一月二〇日から少なくとも二〇〇八年六月三〇日までの間は、労働者派遣法第七条一号に違反した、いわゆる『専ら派遣』状態であったことを正面から認めている。
■派遣労働者の事前面接
 一審(福岡地裁)判決では、この証拠として宮ア君が提出していた日記について、あとから本人が書き加えたなどの不当な事実認定が行われていたが、高裁判決ではこれを覆し、TNCが労働者派遣法第二六条七項に規定する派遣労働者の事前面接禁止に違反していることを認めた。
■『派遣法第四〇条の五』に基づく直接雇用の申し込み義務
 宮ア君は一二年という長きにわたってTNC正社員と同様の責任と役割を負っており、三年を超える派遣労働者のいる職場に新たに労働者を雇い入れる場合、その派遣労働者に雇用を申し入れなければならないとする派遣法四〇条の五に違反していると認定した。

 このほか「(マスター業務は)安定した雇用環境にあるものが担当するのが望ましい」としている。このような判決文が出て違法の具体的な内容が明らかになった今でも、TNCは宮ア君に直接雇用の申し込みをしようとせず、またTプロは宮ア君の派遣先を決定できないまま自宅待機を命じ続けている。

 この問題は『専ら派遣』『派遣法第四〇条の五』違反を認めた画期的な事例として、全国から注目されている。地域からの信頼を得ることが何よりも大事な放送局にあって、この違法状態が続くのは我々放送に携わるものとして看過できない。このままTNCが直接雇用の申し込みをせず、また今年三月末のTプロ契約社員更新までも行なわず雇用を失うことがあれば、我々は断じて許さないことを決めた。

   我々民放労連に結集する労働者は、TNCおよびTプロが違法を認めて争議を自主的に解決する日まで、宮ア君の雇用を守るために支援して闘うことを表明する。

右、決議する。

2013年1月27日

日本民間放送労働組合連合会
第116回臨時大会
 

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長崎ビジョン労組争議の『真の解決』と対等かつ誠実な労使関係を求める決議(2013.1.27)

 二〇〇七年一一月一二日・・・四年にわたって争われてきた長崎ビジョン労組争議(長崎地労委平成一五年(不)六号事件)は、県労働委員会から組合側の主張をおおむね認める救済命令が出された。

 本件救済命令の主文では
 ■組合員への懲戒処分にかかわる団体交渉を誠実に行わなければならない。
 ■職能給に関して過去の支給の経緯や現在の運用を明らかにしたうえで、今後の運用などについて、誠実に団体交渉を行わなければならない。
 ■賃金、賞与に関する団体交渉について、可能な限り具体的な経営資料を提示するなどして、誠実に行わなければならない。
 ■長崎ビジョン労組組合員にかかる人事異動に関する団体交渉について、当該異動の発令前であることを理由に拒否してはならない。
 ■長崎ビジョン労働組合に対し、本命令受領の日から一〇日以内に、文書(謝罪文)を手交しなければならない。
といった内容を会社側に命令している。

 しかし会社は今日に至るまで、この命令を真摯に受け止めず、不誠実な対応を取り続けて、その対応は日を追うごとにエスカレートしている。

 ■昨年五月、会社は賃下げを伴う新人事労務制度を導入した。会社は制度提案にあたり「制度導入は、人件費抑制のためであり、賃金の不利益変更がある」と労働条件不利益変更を臆面も無く明言。しかも組合は制度導入の必要性を説明する材料として具体的な経営資料の開示を求めたが、会社は県労委命令を無視し一切の開示を拒否。十分な話し合いのないまま制度は一方的に導入された。
 ■民放労連統一行動日である昨年一一月二一日、この状態を少しでも打開し前進させようと、民放労連内の単組や長崎県内の仲間が集まり、会社に申し入れを行うべく集まったが、会社はその時間を見計らって事務所にカギをかけ不在にした。単組だけでなく民放労連全体とも真摯に向き合おうとしない姿勢は以前からも見受けられたが、その理不尽さは「不在」という対応に現れているとおりエスカレートしている。
 ■今年に入ってすぐ、会社は労働基準法等に基づく諸規程改訂などのための従業員代表者選出選挙を行ったが、その投票を記名投票にした。第三者的な立場で選挙を管理する体制もなく会社総務部が主催する記名選挙は、従業員に強いプレッシャーを与え、自由な意思に基づく選択を制限するものである。この背景には、年末に行った従業員代表者選出選挙で組合側の立候補者に支持が集まったことへの報復ともとれる。

 本争議は「会社側と対等かつ誠実に交渉できる関係をつくり、職場を働きやすいものに改善する」ことを目的としている。会社が長崎県労働委員会の命令を真摯に受け止め、これを実現する日まで、私たち民放労連に結集する労働組合は、全力を挙げて民放労連長崎ビジョン労組を引き続き支援していく。

右、決議する。

2013年1月27日

日本民間放送労働組合連合会
第116回臨時大会
 

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和歌山放送「一方的不利益変更」争議の早期解決と、職場や地域の声を聞き、労使の話し合いで会社再建を図るよう求める 決議(2013.1.27)

 労働時間の延長、標準基本給・退職金の大幅カットなど、働く者に甚大な不利益を強いる、「就業規則・賃金規程・退職金規程」が、まともな話し合いもなく一方的に切り下げられたことに端を発する、和歌山放送の「一方的不利益変更」争議は、昨年五月、組合員四人が和歌山地方裁判所に、不利益変更の全面撤回を求める訴訟の提起に至った。

 これまで三回の弁論が行われたが、会社側は労使でこれまで締結し運用してきた労働協約の存在を否認した上、就業規則の改訂についても、「不利益は甚大ではない」「組合とはしっかり協議した」など、これまでと変わらない主張を一方的に展開している。

 この争議の根本的問題は、重大な不利益を伴う就業規則の改訂であるにもかかわらず、経営者が労働組合を始め、社内での話し合いを無視し、改訂を極めて短期間かつ一方的に実施したことにある。本来、労使が誠実に協議を尽くし、会社の在り方について方向性を見出すことが先決であるにもかかわらず、それらが行われないまま、甚大な不利益変更だけが強行されたのだ。
 会社の在り方、放送の在り方について、何らの方向性も見出せないまま、給料や退職金だけが大幅にカットされた職場で、良質な放送を生み、売り上げを伸ばすことができるだろうか。

 昨年秋、組合員らが県内主要都市において、ラジオに関するアンケート調査を行った。
 それによれば、リスナーの「趣向」や「期待」に応えきれていないことが浮かび上がってきた。
 組合は、今後の和歌山放送の在り方を、県民やリスナー、そして職場の声を土台に議論し実行することが、会社再建に必要と考え、この調査結果をまとめ、会社へ提言する準備を進めている。

 一方的不利益変更争議が発生して、間もなく丸三年。
 ラジオ業界全体が売り上げの長期低落傾向から抜け出せない中で、「労使の話し合いを無視」し、「放送の在り方」について方向性を示せないことから発生した争議が、未だ続いていることこそ、会社再建への最大の足かせになっていると言えるのではないだろうか。

 和歌山放送は、まともな話し合いを経ずして不利益変更した「就業規則・賃金規程・退職金規程」を今すぐ撤回するとともに労使対等の話し合いで労働条件を決定し、「県民やリスナー」そして「職場」の声を聞き、会社の再建を図るよう強く求める。

右、決議する。

2013年1月27日

日本民間放送労働組合連合会
第116回臨時大会
 

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原発事故・震災を風化させない決議(2013.1.27)

 あれから二度目の年が明けた。東日本大震災発生以来、まもなく三年目を迎えようとしている今、なお全国一二〇〇以上の市町村で三二万人以上が避難生活を余儀なくされている。昨年一一月に閣議決定された復興庁の国会報告には、「主要ライフラインや公共サービスはほぼ復旧」「居住地近くの散乱したがれきは、ほぼすべてを撤去」「高台移転や土地のかさ上げ…順次着工」などと挙げられている。しかし、実態は、がれきは昨夏の時点で、処理の進捗は四分の一、高台移転も着工式だけが行われ、あるいは土地のボーリング調査がようやく行われているような段階で、復興住宅の建設はまだほとんど始まっていない。土台だけの元居住地が広がっている風景や、そこかしこに積み上げられたがれきの山は、これから取り組まなければならない作業の困難さ、そして中央と被災地の乖離を物語っている。
 政府の復興予算は、震災被害とはおよそ関係のない事業にも振り付けられていたことが明らかとなった。被災地を支援するボランティア活動は全国各地で続けられてはいるものの、人的にも金銭的にもまだまだ足りない状態が続いている。
 何万隻という船を失った沿岸の漁師たちは、養殖や水産加工業に転身するか、がれきの分別で生計を立てるなどしている。しかし、壊滅的被害を受けた漁業の復興は、まだ本格的な段階に達していない。福島では、船が残っていても、海の放射能汚染で本格的な漁はいまだ再開できず、サンプリング調査のための試験漁と補償で生活をしのいでいる。

 東京電力福島第一原子力発電所の事故では大量の放射性物質が放出され、事故原因の究明はおろか、メルトダウンした原子炉内部の様子もうかがい知ることができない。核燃料の撤去が完了しない以上、再び暴走の危険がないと言い切れる根拠はない。放射能汚染を避けて福島県から避難している人は約十六万人に上り、地域によっては一時的な帰宅が認められたものの、故郷に本当に帰れる日がいつになるのか、絶望の淵に立たされている人も数多い。一方、福島で暮らし続ける人々にとって、避けられない問題であるのに、口にすることもはばかられる健康被害のリスク。広島・長崎の「ヒバクシャ」は就職、結婚などさまざまな差別を受けた歴史があった。こんな愚かな歴史を繰り返してはならない。
 原発事故による風評被害も著しい。がれきの広域処理への不安は未だ冷めやらず、福島の農産物は避け続けられている。放射線量が関東などとほぼ同程度なのに、会津地方への観光客数も未だ回復していない。

 我々はメディアで働く者として、長く将来に渡って被災地の復興と原発事故について見つめ続けなければならない。安倍首相は、就任早々「原発ゼロ」の政府方針を見直す考えを表明している。未来への責任を考えれば、時計の針を逆に戻すようなやり方を絶対に許すわけにはいかない。私たちは今こそ、核・原子力の危険を可能な限り回避し、復興への道筋と支援、そして来るべき大災害への備えと安全確保を考えていかねばならない。過去をきちんと反省しつつ前向きに進むために、今こそメディアが期待に応えるときが来ている。

右、決議する。

2013年1月27日

日本民間放送労働組合連合会
第116回臨時大会
 

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改憲手続き開始の動きに反対する決議(2013.1.27)

 昨年の末に行われた衆議院議員選挙の結果、憲法改正に意欲を燃やす自民党の安倍晋三氏が政権トップに返り咲いた。自民・公明両党は合わせて325議席を獲得し、衆院では憲法改正に必要な総員の3分の2である320議席を上回ることとなった。首相に就任した安倍氏は元々、「衆参両院とも総員の3分の2以上の賛成で国会が発議する」と定めた九六条から手を付けたいと改憲手続きの条件緩和にたびたび言及してきた。改憲に慎重な公明党への配慮や七月の参議院議員選挙をにらんで表向きはまだ抑え気味ではあるものの、改憲への動きは次第に現実味を帯び始めている。

 自民党が改憲の目玉として据えているのが、戦争放棄を掲げた憲法九条の改正だ。自民党は今回の総選挙への政策の中でも、改憲によって自衛隊を国防軍として位置づけると明記し、その上で、集団的自衛権の行使を容認し、自衛隊の人員・装備・予算を拡充するとしている。また、アメリカとの新国防戦略と連動して自衛隊の役割を強化して、日米防衛協力ガイドライン等を見直す方針だ。

 我々が忘れてはならないのは、安倍政権が憲法で保障されている報道の自由に対して規制を行う可能性が高いことである。実際、二〇〇六年九月から一年間続いた第一次安倍内閣では、放送局に対して介入を強めてきた経緯がある。安倍氏が任命したNHKの経営委員長、古森重隆氏は、国際放送では国益を重視することを求めるなど、公共放送の中立性を脅かすような要望を相次いで出し、番組内容や編集にまで関与しようとした。総務省が放送局に対して実施する「行政指導」は、記録が残る一九八五年以降、四半世紀で31件に上るが、そのうち8件は第一次安倍内閣時代であって、直前の、安倍氏が官房長官を務めた時代を含めると、わずか一年半で全体の3分の1という突出した数に上っている。
 さらに改憲を目指して、この第一次安倍内閣が具体的に手続きを進めていたのが、改憲の障害となりうる、メディアへの規制である。改憲手続法に盛り込まれた報道規制条項では、放送局には、政党による無料広告が認められることになる。また、放送局は、国会議員で構成される広報協議会の指示にしたがって、広報を行うことを求められる。改憲派が多数を占めることが確実な広報協議会の指示による放送は、憲法改正という重要な判断に際し、メディア規制で国民の公平な判断を妨げるものとなりかねない。私たちが提起してきたこうした問題点が未解決のままに改憲作業が始動することには重大な危惧を表明せざるを得ない。

 今回の衆議院選挙で当選した議員に対して共同通信が行ったアンケート調査で、回答を寄せた454人について分析した結果、憲法の「全面的改正」が45・6%、「九条を含め部分改正」が30・0%で、九条改正派は合わせて75・6%となり、衆議院議員全体の3分の2を上回ったことが明らかになった。もし、今年七月の参院選で自民党が大勝すれば、衆参両院ともに、改憲手続きの開始が可能となる議員総数の3分の2以上の議席を確保することとなる。
 憲法九条と軍隊の存在は相容れない。安倍首相が訴える「新しい憲法」は、九条の「恒久平和原則=戦争しない国」を投げ捨てるとともに、放送の自律や独立性を危うくするものだ。
 私たちは、改憲手続き開始の動きに断固反対する。

右、決議する。

2013年1月27日

日本民間放送労働組合連合会
第116回臨時大会
 

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よりよいラジオの未来に向けて一致団結をよびかける決議(2013.1.27)

 ラジオの危機が叫ばれて久しい。ラジオ局で働く労働者も日々業務に懸命に取り組んでいるが、明るいきざしがなかなか見えてこない。
 ラジオの再編は続いている。昨年四月からFM COCOLOの事業を譲り受け、改正放送法施行後初めて、FM802が1局2波体制となった。そしてインターエフエムがテレビ東京からの株式譲渡によって木下工務店グループ会社の子会社となったのに続いて、今年に入り、中部日本放送が四月から正式にラジオ事業を完全子会社であるCBCラジオに引き継ぐ再編計画を発表した。ラ・テ兼営局のラジオ事業の分社化は、東京放送=TBSラジオ&コミュニケーションズ、札幌テレビ放送=STVラジオに続いて3社目となる。ラジオ単営局にとどまらず、大半のラ・テ兼営局がラジオ部門の収益悪化に苦しんでいる今、事業譲渡や分社化などのラジオ事業の再編はこれからも続くと見て間違いない。
 経営効率化を求めるあまり、ラジオ業務に従事する人員の削減がさらに進んでいるという報告がラジオ単営局労組から多数あった。また同様の状況がローカルのラ・テ兼営局にもある。そのためにCM送出の確認作業など、放送の根幹に関わる重要な作業を極めて少ない人数でやらざるを得なくなり、業務過多や、さらには重大な放送事故を引き起こしかねない状況になっていないか、組合は会社を監視し、正していかなければならない。ラジオの媒体価値を維持するためにも、ラジオに従事する労働者数をこれ以上減らしてはならない。
 昨年秋には原発報道などで評価が高かったMBSラジオ「たね蒔きジャーナル」が、会社の方針により九月いっぱいで打ち切りになり、番組存続を求めるリスナーと番組出演者が一体となって声を挙げ、番組存続を求めて局側に働きかける運動が起こった。このことは「リスナーが求めるラジオとは一体何なのか」をあらためて考えるきっかけとなった。

 民放連・井上会長が、個人的な見解と断りを入れた上で、ラジオ局などに対して参入意向調査が行われているV―Lowマルチメディア放送について「年内にも方向性を出したい」とコメントを出したが、相応の投資が求められているV―Lowマルチメディア放送に対しては、経営も慎重な対応を迫られている。
 しかしながら今ラジオ局に求められていることは、より多くの良質な情報や番組を聴取者に届けることであり、そのことがラジオの媒体価値を高めることに他ならない。媒体価値は「削減」の二文字だけでは決して生まれてこない。私たちは番組制作費や人員の削減だけでラジオ局を維持しようとする経営に対しては常に「NO!」を突きつけてきた。「誰のためのラジオなのか」をひとりひとりが考え、行動していけば、必ず活路はあると信じる。

 放送のさきがけであったラジオが復活することは誰もが願って止まないことである。すべての放送労働者が力を合わせて、一方的不利益変更に対し裁判闘争中の和歌山放送労組、会社再建闘争を続ける茨城放送労組の労働者の権利を守る闘いを支援するとともに、よりよいラジオの未来に向けて一致団結して声を上げていこう。

右、決議する。

2013年1月27日

日本民間放送労働組合連合会
第116回臨時大会
 

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人間らしい労働を実現する労働法制の抜本改正を求める決議(2013.1.27)

 昨年七月、民主党野田政権が閣議決定した「日本再生戦略」はこれからの雇用のあり方について、「ディーセント・ワークの実現に向けて、すべての人々の意欲を引き出し、能力を発揮できる環境を整備する」と、人間らしく働きがいのある仕事の創出に前向きな姿勢を表明した。
 しかしこの閣議決定につながる内閣府の国家戦略会議「繁栄のフロンティア分科会」は、その報告書で、将来の「四〇歳定年制」や「有期雇用を基本とする」など、雇用の流動化を促す政策を提言している。さらには財界がことあるたびに求めている「解雇ルールの法制化」にまで言及し、新自由主義の信奉者たちの本音が強く復活していることを忘れてはならない。

   私たち民放労連は、働く現場がいま必要としているものは、企業の利益至上主義に偏った「効率の論理」ではなく、労働者が安心・安定して働くことができる雇用と健康で文化的な生活を送ることができる賃金を保障され、労働者の尊厳が尊重される「人間の論理」だと主張してきた。その意味で、昨年一〇月に施行された「改正労働者派遣法」は、極めて不十分なものと言わざるを得ない。

   そもそも派遣法の改正は、「派遣切り」「派遣村」によって可視化された不安定雇用や差別と貧困の拡大を解消すべきとの国民の強い声を反映しようと始まったはずであり、初めて労働者保護の視点からの規制強化に舵を切った点で大きな意義をもつものと期待された。
 しかし、民主・自民・公明の三党協議で修正され、成立した改正派遣法は、不安定雇用の温床となる製造業派遣や登録型派遣の原則禁止が削除された。「日雇い派遣」の原則禁止も大幅に緩和され、違法派遣を受け入れてきた派遣先企業に直接雇用義務を課す「みなし雇用制度」の実施も施行から三年後に先送りされている。
 わずかに残された希望は、削除された登録型派遣と製造業派遣の禁止について、法の施行一年後に政府の審議会で再検討するとされていることである。

 同じく昨年の通常国会で成立し、四月に施行される有期雇用契約を規制する改正労働契約法も、その内容たるや有期雇用契約の規制立法化に強硬に反対する財界の圧力に押された、問題の多いものと指摘しなければならない。
 雇用は本来、期間の定めのないことが原則であり、有期の契約はその仕事自体が一時的・臨時的なものに限定されるべきである。ところが改正法は、このいわゆる「入口規制」を放棄し、有期による雇い入れを無原則に許容した。
 有期契約の終了に関わる「出口規制」についても、有期で五年以上経過したのちに「労働者の申し出」によって初めて期限の定めのない雇用に転換するとされ、五年に到達する直前での雇止めを規制する必要についての言及もない。無期転換となっても、賃金や労働条件については「直前の労働契約と同一とする」とまで付記されていて、「名ばかり正社員」と言うべき新たな雇用差別を生じさせる要因が残されていて、このまま改正法が施行されても、有期契約労働者の本質的な救済には決してつながらない。

 政権が自民党に移ったことにより、民主党以上に財界の意向に寄り添った「効率の論理」による新自由主義的政策が進められることがないよう、私たちは警戒を強めなければならない。
 私たちは雇用の流動化や差別を助長する反動を決して許さず、人間らしい労働=ディーセント・ワークの実現のために、「人間の論理」に立脚した労働者保護の視点と不安定雇用と格差の拡大の解消、憲法が保障する均等待遇を実現するために、派遣法や労働契約法、そして今後改正が予定されているパート労働法、男女雇用機会均等法など、労働法制の抜本的改正を求めて、いっそう奮闘していく決意である。

右、決議する。

2013年1月27日

日本民間放送労働組合連合会
第116回臨時大会
 

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民放で働くすべての労働者の団結を呼びかける決議(2013.1.27)

 厚生労働省が発表した昨年六月末時点の日本の労働組合の組織率は、17・9%と、前年をさらに0・2ポイント下回った。労働者の労働条件・雇用・権利を守る労働組合の組織力の低下は、経営者に正当な権利を主張できない労働者を増加させている。「非正規雇用労働者」は、日本の労働人口の4割に近づいている。声をあげることが困難な労働者をつくりだす雇用の増加によって、さらに労働組合は、弱体化のスパイラルに陥っている。
 放送産業に目をやれば、民放労連が行っている構内労働者調査の中間報告では、地方局を中心にしたデータでも、既に半数に近い48%が非正規雇用労働者となっている。民放産業は他産業に先がけて、非正規労働者に劣悪な雇用を強いる「犠牲のシステム」の上に六〇年の歴史を刻んできた。
 民放産業において続いている「ベア・ゼロ攻撃」や最近の「ボリュームゾーン対策」と称して中高年の賃金を引き下げようとする「新人事・成果主義の労務制度」の導入など、ますます正社員への攻撃が強まっている。 
 一方、賃金差別(格差)を伴う契約社員、嘱託社員などの直接雇用労働者も増やし、プロダクションなどの構内スタッフには、「放送番組制作費の大幅削減」で、さらなる犠牲(低賃金)≠押し付けている。 労働組合が非正規問題は、自らの問題≠ニいう観点に立ち、すべての構内労働者を労働組合に組織し、団結≠キることが喫緊の課題となっている。
 民放労連は昨年、「非正規労働者組織化プロジェクト」を立ち上げ、「非正規組織化」を重点課題に、各地連が労働相談に対応出来るよう、活動し始めている。この運動を全国的に広げ、すべての放送局構内で組織化に取り組んでいくことが重要だ。
 非正規問題は、この国の未来に大きな影を落としている。昨年一二月、厚労省が発表した二〇一一年国民生活基礎調査(一〇年実施)によると、非正規雇用労働者の晩婚化が進み、三十代男性の非正規雇用労働者の75・6%が未婚で、正規労働者(30・7%)と2・5倍もの差があることが分かった。〇四年実施の前回の45・5%から6年で30ポイントも増加している。非正規雇用労働者の経済的な不安定が、未婚化の進行と強く結びついている。
 いうまでもなく、民間放送は、CM広告費で成り立っている産業である。人口が減少すると商品が売れず、経済が落ち込み、民放産業への影響も必至となる。放送局経営者は、自らが他産業に先がけ、若年層の雇用や生活を安定させていくためにも、労働組合の要求を誠実に受け止めるべきである。
 私たちが、一人でも多くの構内で働く非正規雇用労働者や非組合員に声をかけ、要求を職場から掘り起こすことが重要だ。労働組合の存在意義は、正規も非正規を問わず、安心・安定して職場で働き、「より良い放送」を送り続けることである。そのためには、一人でも多く仲間を増やし、一つでも多くの要求を勝ち取ることだ。放送の未来をひらくため、その実現に向け、すべての労働者に労働組合への団結を呼びかける。

右、決議する。

2013年1月27日

日本民間放送労働組合連合会
第116回臨時大会
 

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民放労連第116回臨時大会アピール(2013.1.27)

 寒さのひときわ厳しいこの冬、新年を迎えたというのに、少しも晴れやかな気分にならない。総選挙で圧勝し、昨年末に成立した自民・公明の連立政権は、政策合意に「憲法審査会の審議を促進し、改憲に向けた国民の議論を深める」と明記した。その狙いは、自民党の政権公約にあるとおり、戦争放棄の九条を改定して「国防軍」を創設することなどにあるのは明らかだ。「戦争のためには二度とペンやカメラをとらない」と誓った私たちメディアの労働組合が今、しなければならないこととは何だろうか。
労働組合のあり方が厳しく問い直される中、私たちは電波塔としての本格開業も間近に控えた東京スカイツリーを望む東京・両国で、二〇一三春闘に臨む第一一六回臨時大会に集まった。

 大企業の経営者たちは、労働者の賃上げなど「論外だ」とうそぶく。しかし、この沈滞した経済は、企業が労働者の賃金を抑制し、私たちの消費生活にダメージを与えて内需を冷え込ませた結果ではないのか。税や社会保障の重圧をさらに強めることが画策されている今こそ、大幅な賃上げで人間らしい生活を取り戻さなければならない。利益剰余金を大きく積み上げている民放経営者たちは、私たちの切実な要求に、誠実に答える責任があるはずだ。
 昨年末闘争で着実な成果を勝ち取った私たちには、きたるべき春闘への勝利の確信がある。
 成果主義賃金制度が、職場の人間関係を破壊し、私たちから人間らしい働き方を奪い去るものであることは、すでに明らかだ。また、「地域限定社員制度」など、労働者の選別を強めながら巧みに賃金抑制や女性差別を狙う経営側の企みも見られる。私たちは団結の力で、こうした攻撃をはねのけていかなければならない。

 一方、ラジオ業界は、聴取率の低下が止まらず、厳しい状況が続いている。「地デジ化」によるVHF帯の空き周波数帯の利用も、先行きはまったく見えない。「ラジコ」の拡大など新しい動きもみられるが、労働者や地域のリスナーをないがしろにしては、ラジオの復権などあり得ない。
 私たちは、厳しい中で勇気を持って裁判闘争に立ち上がった和歌山放送労組をはじめ、ラジオ福島労組、茨城放送労組の仲間を、全力で支援していくことを確認した。

 二〇〇六年から二〇〇七年にかけての第一次安倍内閣では、教育基本法が改定され、改憲手続法が成立した。放送局への「行政指導」は、その一年間だけで八件に上った。新政権では、政府が指定する秘密の漏えいに厳罰をもって臨む「秘密保全法案」の上程も、現実のものとなるおそれが強まっている。アルジェリアで起きた悲しい人質事件を契機に、自衛隊の海外での武器使用をもくろむ動きも出ている。平和憲法を持つ国にはあり得ないはずの、軍事力拡大や人権抑圧、そして報道規制をはかる政策には、断固として反対の声を上げよう。何よりも、東京電力福島第一原子力発電所事故の原因究明もままならないうちに「原発ゼロ」方針の見直しを公言する安倍政権の政策を、このまま進めさせるようなことは絶対に認められない。

 未来への責任を果たすために、今こそメディアの力、そして労働組合の再生が求められている。そのために、私たちは「一万人の民放労連」を早急に実現することを緊急の課題に掲げ、未組織・非正規の仲間たちにも幅広く呼びかけていくことを改めて確認した。
 失われた賃金の回復を、組織の拡大をめざして、私たちの力を今こそ結集しよう! 
 放送の未来をひらく二〇一三春闘を、力をあわせてたたかい抜こう!

2013年1月27日
日本民間放送労働組合連合会
第116回臨時大会
 

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民放労連第115回定期大会アピール(2012.7.29)

 あの日から一年四カ月余り――。あのとき失われたものを、私たちはいったいどれだけ取り戻すことができただろうか。東日本大震災の、地震と大津波で失われた命、財産、仕事…そして、東京電力福島第一原子力発電所の事故によって、帰る家を追われた人々。被災地の復興はおろか、がれきの処理も思うようには進んでいない。東北の地に立ってみると、この国のあまりの荒廃ぶりに、言いようのない無力感を覚えてしまう。
 ロンドン・オリンピックの熱気を横目にしながら、私たちはここ盛岡の地に集まった。

  私たち放送で働く仲間の団結に、最も大きな障害となっていることは何か。それは、私たちの労働条件がバラバラにされていることではないだろうか。企業利益確保のために正規も非正規も賃金・労働条件が切り下げられている今、正規労働者と非正規労働者が団結してたたかう以外に道はない。私たちは、非正規労働者の組織化に向けて、再び「一万人の民放労連」をめざして、これまでにない大きな運動を創り出していくことを固く決意した。

 ラジオの苦境が続いている。しかし、SNS(ソーシャル・ネットワーク・サービス)の利用など、現場ではさまざまに工夫して、限られた制作費の中で少しでも魅力的な番組を送り出そうと日夜努力している。問題は、チャレンジ精神を失ったラジオ経営そのものにあるのではないだろうか。私たちは、ラジオ活性化に向けたプロジェクトを継続して、ラジオの未来を切りひらく努力を続けることを決意した。同時に、厳しいたたかいを続けている和歌山放送労組、茨城放送労組のたたかいを支援していくことも確認した。

 私たちには、たたかいをあきらめない仲間がいる。府労委勝利命令を勝ち取った読売テレビの「名ばかり管理職」争議は、中労委に舞台が移された。派遣労働者のあり方を根本から問うTNCプロジェクト労組のたたかいは福岡高裁で続いている。粘り強いたたかいに、心から支援と連帯のエールを送りたい。

 毎週金曜日になると、仕事帰りのサラリーマンやOL、家族連れなど、多数の市民が首相官邸前から国会周辺を取り巻いて、原発再稼働反対を叫んでいる。東電福島原発事故から何の教訓も学ぼうとしない原発再稼働に、市民が直接声をあげ始めたのだ。こうした声を伝え、さらに広げていくことこそ、放送の社会的使命ではないだろうか。私たち放送労働者の真価を発揮するのは、まさにこの時だ。
 すべての放送労働者の団結を創り出し、人間らしい労働を実現させるために、団結してたたかい抜こう。
 民放労連の新たな飛躍のために、大きな一歩を踏み出そう!

2012年7月29日
日本民間放送労働組合連合会
第115回定期大会
 

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「新型インフルエンザ法案」に反対する声明(2012.3.30)

2012年3月30日
日本民間放送労働組合連合会(民放労連)
中央執行委員会

 政府が今通常国会に提出した「新型インフルエンザ等対策特別措置法案」について、私たち民放労連は以下のような問題点があることから、その成立に強く反対する。そもそも、いわゆる新型インフルエンザが大流行する具体的なおそれは確認されておらず、緊急に新法を制定して対策を講じなければならない事情も見当たらない。法案では未知の感染症も対象としているが、このようにあいまいで薄弱な根拠に基づいて、以下に指摘するような基本的人権の侵害が法律で正当化されるようなことは断じて認められない。

 法案では、新型インフルエンザが「国民生活及び国民経済に甚大な影響を及ぼし、又はそのおそれがある」と認められるとき、首相が緊急事態を宣言し、その際に都道府県知事が、多数の人が集まる集会の開催の停止の要請・指示などができる、としている。集会の自由は、憲法が保障する表現の自由の重要な一形態であり、すべての人々に保障された基本的人権の一つであることは言うまでもない。現代社会においてとくに重要な価値を持っているこの権利を、具体的な必要性の立証もなしに不当に制限を加えることは決して許されない。とくに、「そのおそれがある」などといった、いくらでも拡大解釈が可能な文言を法律の条文に忍び込ませることは、基本的人権の制約にかかわるような問題をめぐってはとりわけ厳しく排除されなければならない。

 また法案では、公共性の高い業務に携わる民間企業などを「指定公共機関」に指定する制度が盛り込まれ、業務計画の策定を義務付けられるほか、緊急事態宣言のもとで首相や都道府県知事から指示を受ける立場にされる。放送関係ではNHKが指定公共機関として法案に明記されているが、民放各局も指定地方公共機関として都道府県知事から指定を受けることになるとされている。これは災害対策基本法や国民保護法の枠組みをそのまま持ち込んだものと解釈できるが、放送局が政府の指示を受ける対象として組み込まれることは、報道機関としての権力監視機能を失うことを意味する。

 私たち民放労連は、国民保護法にもとづく放送局の指定(地方)公共機関化に対して、同法成立以前から一貫して反対の姿勢をとっており、今回の新型インフルエンザ法案についてもその姿勢には変わるところはない。また、政府の発表をそのまま流し続けることが報道機関としての信頼をいかに失墜させるものであるかということを、私たちは東京電力福島第一原子力発電所事故報道の経験で、いやというほど知らされた。放送局の新たな「指定公共機関」化について、私たち民放労連は断固反対することを言明する。

以 上

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【談話】派遣法の骨抜き修正案成立に抗議する(2012.3.29)

2012年3月29日
日本民間放送労働組合連合会(民放労連)
中央執行委員長 赤塚 オホロ

 昨日、参議院本会議で労働者派遣法の骨抜き修正案の採決が強行され、成立した。修正案は派遣法改正の目玉であった登録型派遣と製造業派遣の原則禁止を法案から削除してしまった。違法派遣を受け入れてきた派遣先企業に直接雇用の義務を課す「みなし雇用制度」も法律施行から三年後まで施行を猶予されることになる。もっとも不安定な日々雇用を強いる「日雇い派遣」の禁止についても大幅に当初案より緩和されるなど、まさに「骨抜き」と言うしかない中身となった。
 野放し状態で緩和に次ぐ緩和を重ね、無権利状態に置かれてきた派遣労働に、ようやく労働者保護の立場から改正が行われるものと期待した労働者、労働組合の強い願いはまっこうから裏切られることになった。

 そもそも民主党政権は、2008年末の「派遣村」に象徴される不安定雇用や差別と貧困の拡大と決別したいという、国民の強い願いによって出現したはずである。政権交代を引き起こした原動力とも言うべき派遣法改正の公約まで、自公両党との密室協議であっさりと投げ出し、実質審議もほとんどないままに修正案を成立させて恥じることのないのであれば、いったいこの政権はどこに向かおうとしているのか。

 私たちの放送の職場では、多くの派遣労働者が厳しい労働環境の中、日々番組づくりを支えている。私たちはよりよい番組づくりのため、よりよい放送のために、真に労働者保護の名に値する労働者派遣法の、一日も早い抜本改正を求めて、引き続き奮闘する決意である。

以 上

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民放労連第114回臨時大会アピール(2012.1.29)

 これほどに心冷え込む思いで、新年を迎えたことがあっただろうか。この厳しい寒さの中、東日本大震災の被災地の皆さんは、どんな気持ちで年を越したのだろう。東京電力福島第一原子力発電所は、政府の「冷温停止状態」宣言にもかかわらず、放射性物質を放出し続けている。言いようのない不安を抱えながら、私たちは民放労連第一一四回臨時大会に、今年5月の開業を控えた東京スカイツリーが目の前に見える東京・両国に集まった。

 震災や原発事故、円高などを理由に、日本経団連は先日、「ベースアップの実施は困難」「定期昇給の負担の重さを労使で共有する」などと勝手な言い分を並べた「2012年版経営労働政策委員会報告」を公表した。内需の拡大こそが景気回復の唯一の道であることが自明とされる今、働く者の生活改善なくして、疲弊しきったこの国が立ち直ることができるのだろうか。

 民放連研究所の予測によると、2012年度のテレビの営業収入はプラスに転じるという。東北三県を除いて「地デジ化」を済ませ、設備投資・減価償却やサイマル放送の負担に一区切りつけることができたテレビ業界は、いま急速に経営体力を回復しつつあると言える。そういう今だからこそ、私たちは、「人と番組」を大切にする民放労働運動の原点に立ち返って、この春闘を反転攻勢の第一歩とすることを決意した。

 一方、ラジオ業界は、苦境から脱する道を見いだせていない。昨年末にはFM802が外国語FM放送局のFM COCOLOの事業譲渡を受けて、一局二波体制になることが報じられた。放送法改正やマスメディア集中排除原則の緩和を受けて、急激に企業再編を進めようとしているラジオだが、そこで働く労働者や、何よりも地域のリスナーのことを、あまりにもないがしろにしていないだろうか。

 私たちは、厳しい状況の下で苦しいたたかいを続けているラジオ福島労組、茨城放送労組、和歌山放送労組の仲間を、総力を挙げて支援していくことを確認した。

 昨年、大きな社会問題となった東海テレビ『ぴーかんテレビ』の不適切テロップ問題では、番組制作現場の「二重構造」の問題が改めて浮き彫りとなった。放送の媒体価値を向上させるためには、関連・非正規労働者の待遇改善と労働組合の組織拡大が不可欠だ。京都放送労組は、昨年の年末闘争でアルバイト一〇〇人の雇用延長を勝ち取ることができた。こうした成果を力にして、私たちは、各労組での構内労働者の組織化や、労働相談体制を強化していくとともに、違法派遣の是正をめざすTNCプロジェクト、不当労働行為の姿勢を改めようとしない読売テレビや長崎ビジョンなど各労組の争議を全力で支援していくことを改めて確認した。また、企業再編を理由に解雇を強行しようとしながら不誠実な団交に終始している衛星チャンネルの争議も、私たちの総力で支援していくことを決意した。

 いったんは息をひそめつつあるかに見えた成果主義が、新人事制度などという名称で、再びあちらこちらで提案が目立つ。成果主義賃金制度が、人間らしい生活を破壊するものであることは、すでに明らかだ。

 震災・原発事故では、「メディアは本当のことを伝えているのか」と、視聴者から厳しい批判の声が相次いだ。「テレビ離れ」もささやかれる中、放送が人々から信頼できるライフラインとして存続していけるかどうか、私たちはいま正念場を迎えている。未曾有の大災害に直面した人々は、いま心癒される日々、人間らしい優しさを求めている。放送がそのような声に応えていくために、放送に働く私たち自身が効率の論理ではなく人間の論理に立ち返り、人間らしい生活を取り戻さなければならない。

 今こそ、大幅賃上げを勝ち取って、労働組合の誇りを回復しよう! 放送の未来に確信を持って、二〇一二年春闘を、力をあわせてたたかい抜こう!

2012年1月29日
日本民間放送労働組合連合会
第114回臨時大会
 

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【談話】派遣法改正案を骨抜きにする法案修正に断固反対する(2011.11.17)

2011年11月17日
日本民間放送労働組合連合会(民放労連)
中央執行委員長 赤塚 オホロ

 昨年4月、国会に提出されたまま、たなざらしにされている労働者派遣法の改正案について、民主党は自民・公明両党と修正協議をおこない、製造業派遣や登録型派遣の原則禁止を法案から削除することで原則合意したと伝えられた。仕事のある時だけ派遣されるために不安定雇用の温床となっている登録型の中でももっとも不安定な日々雇用の働きかたになっている「日雇い派遣」については、現法案の原則禁止から一部の例外を除き、原則容認する方向での修正が検討されていると伝えられる。違法派遣を受け入れてきた派遣先企業に直接雇用義務を課す「みなし雇用制度」も先送りされる見通しだという。

 これらが事実とすればきわめて重大な法案の後退であり、ひいては二年前の政権交代を実現させた国民の期待をも、まっこうから裏切るものである。

 そもそも派遣法の改正は、「派遣村」で浮き彫りとなった「派遣切り」に象徴される不安定雇用の拡大や差別と貧困から決別したいという国民の強い思いによって実現した民主党政権にとって、マニフェストや公約の上からも大きな柱であったはずである。現改正案はさまざまな問題点をはらむとは言いながらも、それまで財界の要望に沿ってひたすら規制緩和を重ねてきた派遣法が、初めて労働者保護の視点から規制強化に舵を切った点で大きな意義をもつものであり、有期雇用や最低賃金など、さまざまな労働法制の抜本改正の端緒となることが期待されていたのである。
その改正案の派遣労働改善の「目玉」とも言うべき製造業派遣や登録型派遣、日雇い派遣の原則禁止がかくもあっさりと法案から削除されてしまうのであれば、貧困や格差社会からの脱却を目指して人間らしい働きかたを実現させていきたいという私たちの切実な思いは、現政権のもとでは到底かなわぬことになってしまうだろう。

 放送の職場では多数の派遣労働者が厳しい労働環境の中で日々の番組制作を支えている。民放労連は、伝えられる派遣法の修正、改悪を政府がただちに断念し、派遣法の抜本改正を緊急に実現するよう強く求める。

以 上

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民放労連第113回定期大会アピール(2011.7.31)

 あの日以来私たちは、見知らぬ世界に迷い込んだような錯覚に陥る。二〇一一年三月一一日、東日本大震災と名づけられたこの災害は、二万人以上の死者・行方不明者と十万人以上の避難者をたちどころに生み出した。そして、震災で引き起こされた東京電力福島第一原子力発電所の事故は、原子炉四基が同時に使用不能となる未曾有の苛酷事故となり、発生から五ヶ月近くが経とうとしている現在でも、危険な放射性物質を放出し続けている。家族、財産、仕事、そして帰るべき家も失って、不安と緊張にさいなまれる日々を送っている人々がいる一方で、被災地の復興は遅々として進まず、原発事故のために復旧の入り口にすら立てないところも広範囲にある。この国はいったいどうなってしまうのか。かつてないほどの危機感を抱きながら、私たちはここ富山の地に集まった。

 一週間前の七月二四日、被災した岩手・宮城・福島の三県を除いてテレビのアナログ放送終了・地上デジタル放送完全移行が実施された。ここに至るまで、私たちは地デジ化への円滑な移行のために全身全霊を傾けるとともに、「地デジ難民」を出すことがないよう各方面に働きかけてきた。しかし結局、総務省は完全移行前日の二三日になって、未対応世帯に向けた簡易チューナー貸し出しを発表するというドタバタぶりで、当日は総務省のコールセンターや各放送局の相談電話が鳴り止まなかった。その上、完全移行と言っても、「衛星セーフティネット」に駆け込んだ視聴者や、ケーブルテレビのデジアナ変換サービスを利用している視聴者など、問題を先送りしただけの部分も残されている。国民的議論が行われないまま進められた地デジ化政策については、報道機関としての放送局の関わり方も含めて検証が必要だ。また、この機会にテレビをやめる視聴者も少なくないという。私たちは、地デジ難民ゼロ化に向けてこれからも努力を続け、「地デジ化で得たものより失ったもののほうが大きかった」などということが決して起こらぬよう、真摯な検証作業に着手したい。

 セッツインユースが多少回復したとはいえ、ラジオも深刻な状況が続いている。赤字決算が続いている茨城放送は、改正された放送法に則ってハード・ソフト分離の申請を行い、総務省に認められた。同時に、早期希望退職の募集も開始している。ラジオは大震災でその存在意義が再確認されたはずなのに、経営者は人件費・制作費の削減で当面の収支を取り繕うことしか考えられないのか。人々に愛されるラジオの復権を目指して、私たちは「ラジオ活性化プロジェクト」の継続を確認した。

 未来に光を感じる、うれしい報告も聞けた。琉球朝日放送労組は、組合結成以来の悲願だった全員の正社員化をついに勝ち取り、新しく入社した正社員二人も労組に迎え入れた。労働条件面で不満は残されたものの、琉球朝日放送労組の仲間はさらに力強く、沖縄の基地問題の不条理を訴える報道を展開していくだろう。読売テレビの「名ばかり管理職」をめぐる大阪府労委闘争では、会社の不当労働行為を厳しく指弾する救済命令が出された。同じ状況に苦しむ全国の仲間を元気付ける、重要な一歩だ。

 民放労連プロダクション・関連労組共闘会議とメディア総合研究所が共同で行ったアンケート調査には、労働条件の劣悪さを訴える非正規労働者の悲痛な声が集中した。民放労連が受けた労働相談でも、いきなり解雇を言い渡されたり、退職金まで値切られたりと、労働者に対する理不尽な扱いが横行していることが明らかだ。原発事故に見るように、企業利益ばかりを追求することが取り返しのつかない失敗を招くことを、私たちは学ばねばならない。

 私たちの子どもたちに安心できる未来を引き継ぐためにも、今こそ「効率の論理」でなく、「人間の論理」を職場に回復するよう、新しい民放労連の運動を創りだそう!

2011年7月31日
日本民間放送労働組合連合会
第113回定期大会
 

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民放労連第112回臨時大会アピール(2011.1.30)

 アメリカの格付け会社による日本の長期国債の格下げ、九州では鳥インフルエンザの拡大と、年明け早々から暗いニュースが相次いでいる二〇一一年の日本。通常国会も冒頭から与野党が激しい対立を見せ、予算関連法案審議の見通しはまったく不透明だ。厳しい寒さが続く中、先行き不安感を抱えながら、私たちは民放労連第一一二回臨時大会に、東京・両国に集まった。

 テレビ広告市場はようやく回復傾向となり、スポットCM収入は前年比プラスの見通しだ。それでも経営側は、日本テレビやTBS、テレビ朝日などにみられるように、人事労務制度そのものを改悪して民放労働者の賃金相場を決定的に引き下げることを目論んでいる。私たちは、「人と番組」を大切にする民放労働運動の原点に立ち返り、積極的な賃金要求を掲げて、来たる春闘をたたかっていくことを決意した。

 一方、ラジオ業界は、マイナス幅が縮小しているとはいえ、営業収入の低下傾向に歯止めがかからない。昨年、広域FM局の愛知国際放送が免許を返上し、私たちは「放送局の終焉」を初めて目のあたりにした。福岡のLOVE FMは西鉄グループの天神FMへの営業譲渡を決定したが、LOVE FM労組の仲間は団結を守って粘り強く労使交渉を重ね、退職金の上積みや希望者全員の再就職先の確保を勝ち取ることができた。

 このように厳しい状況の下、私たちは、苦しいたたかいを続けているラジオ福島労組、茨城放送労組、和歌山放送労組の仲間を、総力を挙げて支援していくことを確認した。

 昨年七月二四日に石川県珠洲地区でアナログテレビ放送を先行停波したのに続いて、今年一月二四日には長崎県対馬市の一部でアナログ先行停波が実施された。大会会場から目の前に見える東京スカイツリーもまもなく高さ六〇〇メートルに達し、いよいよあと半年を切った七月二四日のデジタル完全移行に向けて、準備は順調に進んでいるように見える。しかし、全国に一億台以上と言われるテレビのうち、デジタル対応機種はまだ七〇〇〇万台にも満たない。受信障害や集合住宅の共聴設備のデジタル化対策、低所得者・高齢者など社会的弱者のデジタル化対策などを徹底して、「地デジ難民」を生みだすことがないよう、最大限の施策が求められる。

 民放労連とメディア総合研究所が共同で行った、放送現場労働者を対象にした意識調査では、放送業界の将来を「縮小の傾向に向かう」と悲観的に予測する回答が約七割を占めた。媒体価値を向上させ、放送業界の底上げを図るためには、関連・非正規労働者の待遇改善と組織拡大が不可欠だ。私たちは、各労組での構内労働者の組織化や、労働相談体制を強化していくとともに、TNCプロジェクト、長崎ビジョンなどの争議を全力で支援していくことを改めて確認した。

 放漫経営のツケを労働者に押し付け、不当な整理解雇を強行した日本航空に対して、裁判闘争に入った一四六名の仲間の闘争は、私たちが勝ち取ってきた「整理解雇の四要件」を守るたたかいでもある。労働者の生活を根こそぎ破壊する経営者の横暴を、断じて許してはならない。

 労働者の賃金を引き上げて購買力を高めることが最大の経済成長戦略であることを、エコノミストたちも声を揃えて提唱している。今こそ、大幅賃上げを勝ち取って、放送に働くすべての仲間に人間らしい生活を取り戻す反転攻勢の時だ。要求に確信を持って、放送の明日を作る二〇一一年春闘を、力をあわせてたたかい抜こう!

 右、決議する。

2011年1月30日
日本民間放送労働組合連合会
第112回臨時大会
 

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放送法「改正」に対する民放労連の見解(2010.11.29)

2010年11月29日
日本民間放送労働組合連合会
中央執行委員会

 11月26日、参議院本会議で放送法改正案が可決・成立した。法案全体を見直す「60年ぶりの大改正」という触れ込みで、先の通常国会で審議未了・廃案となったものとほぼ同じ内容の法案が、衆院・参院一日ずつ、合わせて4時間にも満たない審議時間で成立してしまったことは、驚きを禁じ得ない。与党・民主党が野党側の修正要求を「丸のみ」する形でひそかに協議を進め、委員会での審議は形ばかりにする、といった手法は国会軽視のそしりを免れず、断じて許されるものではない。

 その改正内容も、極めて問題が多い。今回の改正では有線テレビジョン放送法なども一つの法律にまとめたため、法律上の放送の定義を「公衆によって直接受信されることを目的とする電気通信の送信」として、これまでの「…無線通信の送信」から拡大されているが、この定義ではインターネットテレビ・ラジオやブログ、ツイッターなどが放送の範疇に含まれないのかどうかが自明ではない。国会答弁では「インターネットは放送に含まれない」旨が繰り返し強調されているが、条文上でインターネットを放送から除外する明確な規定はなく、将来的な拡大解釈の危険性は残されている。

 また今回の改正では、地上波のテレビ・ラジオを含むあらゆる放送について、インフラ設備を受け持つハード部分と番組などのソフト部分とに分離した規律を原則として、ソフト事業への参入には総務省による「認定」手続きが導入される。さらに改正法の174条では、地上波のテレビ・ラジオを除く放送事業者に対しては総務大臣が業務停止を命令できる権限が付与されており、政府の恣意的な判断によっては、放送における表現の自由を著しく侵害することになりかねない。

 言論の多元性の観点から放送局の複数支配を規制する「マスメディア集中排除原則」は、今回の改正で法律の条文に明記されることになった。しかし、その内容は一段と規制緩和されていて、「原則」としての実効性は極めて疑わしいものとなっている。

 先の通常国会に提出された改正案にあった電波監理審議会の権限強化を図る条項は、私たちをはじめとする反対の声を受けて、今回の改正には盛り込まれなかった。しかし全体として、放送に対する行政権限の拡大が図られており、放送事業者の負担も確実に増大している。また、いまや市民がどこでも、いつでも電気通信を利用できるようにさまざまなサービスが飛躍的に拡大しているにもかかわらず、それを規律する法律が非常に複雑で難解な内容となっており、「市民不在の法改正」と言わざるを得ない。昨年民主党が公表した「INDEX2009」に記載されていた「日本版FCCの創設」など、自民党時代と一線を画すような政策は、今回の法改正には全く反映されていない。この点について民主党は、有権者に対する説明責任を負っているのではないだろうか。

 市民に身近な放送に関する制度のあり方については、表現の自由の最大限の保障を前提として、より広く国民的な議論を巻き起こし、時間をかけて合意形成することが求められよう。その意味で政府・与党は、今回のような不十分な「改正」でなく、根本的な放送法制の見直しのための議論を、改めて一から呼びかけるべきである。

以 上

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民放労連第111回定期大会アピール(2010.7.25)

 記録的な猛暑、各地でまた大きな被害をもたらした集中豪雨と、異常気象が続く2010年夏の日本列島。アナログテレビ放送打ち切り予定まで1年を切った今日、私たちは民放労連第111回定期大会のために、ここ大阪の地に集まった。

 この大阪で、8年半にわたって闘われた朝日放送SE争議が、先月ついに解決した。当初は争議の存在すら認めようとしなかった朝日放送の態度を転換させ、交渉のテーブルにつかせることができたのは、「偽装請負」批判の世論が高まったこともあるが、粘り強く闘いを続けてきた安部昌男さんと、そのたたかいを支援してきた全国の民放労連の仲間、支援共闘会議の皆さんのたゆまぬ努力に他ならない。

 この争議解決を力に、私たちは読売テレビ、TNCプロジェクト、長崎ビジョンの各労組など、各地で闘っている仲間をいっそう強く支援していくことを確認した。

 民放連発表の2009年度決算概況によると、地上波放送局の総売上高は前年度比7.8%減と過去最大の減少率となった。しかし、赤字計上した放送局数は72社と、前年度より大幅に減っている。経営データを見れば、他産業に比べて飛びぬけて高い自己資本比率など、民放局の健全経営ぶりにほとんど変化はみられない。むしろ、目先の利益のために番組制作費を削減して、放送が果たすべき役割をないがしろにしてしまえば、将来的に民放全体の信頼を損なうということを、民放経営者は自覚しているのだろうか。

 愛知のFM局、愛知国際放送の廃局方針が伝えられたように、ラジオ局の経営状態はたしかに厳しい。福岡のLOVE FMでは、経営者の身勝手な考えにより、働く仲間が切り捨てられようとしている。今回私たちは、LOVE FM労組の新しい仲間とともに、労働者を大切にさせる闘いに立ちあがった。そして、ラジオ業界全体を元気づけるため、ラジオ活性化プロジェクトの活動をさらに大きく推進していくことも決意した。

 きのう、各地で「日本全国地デジカ大作戦」が開催され、石川県珠洲地区では全国に先駆けてアナログテレビ放送が終了した。しかし、地デジ完全移行に向けた準備が万全に整っているとはとても言えないのが実情だ。このまま来年アナログ打ち切りを強行すれば、大量の「地デジ難民」が出現することは疑いない。人々の生活に重要な情報を安価に届けられるシステムの破たんは、社会に大きな打撃を与え、私たちの職場である放送局の経営にも、視聴率の低下、営業収入の激減となって襲いかかることだろう。視聴者のためのデジタル放送を実現するために、「地デジ難民」の抜本的な救済策を求めて私たちは全力を挙げていくことを宣言する。

 沖縄の普天間基地問題をめぐる混乱の中で、鳩山首相が突如辞任し、菅直人首相が就任した。このため、衆議院で強行採決された放送法改正案は参議院で審議未了・廃案となった。この改正案は、全体的に行政権限の拡大が著しく、番組内容や放送局の日常業務に踏み込んだ新たな規制がいくつも盛り込まれたものだった。参院選での民主党大敗によって、秋以降の政局はさらに不透明となったが、私たちは放送の自由を脅かす法改正には断固反対の姿勢を取ることに変わりはない。

 私たちは、沖縄での平和討論集会などを通じて、労働組合として平和を守る活動に取り組むことの大切さを学んだ。本当に平和で自由な社会をめざして、さらに多くの働く仲間に結集を呼びかけ、労働組合のプレゼンスを高めて、民放労連の新たな飛躍を創り出そう!

2010年7月25日
日本民間放送労働組合連合会
第111回定期大会
 

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【談話】放送法改正案の衆院総務委強行採決に抗議する(2010.5.25)

2010年5月25日
日本民間放送労働組合連合会(民放労連)
中央執行委員長 赤塚 オホロ

 本日、衆議院総務委員会で与党・民主党は放送法改正案の審議を打ち切って強行採決した。我々もその問題点を指摘していた電波監理審議会の権限強化条項については削除されたものの、「60年ぶりの大改正」とされる放送法改正案が、十分な審議を尽くすことなく強引に採決されたことに強く抗議する。

 改正案では、地上放送にもハード・ソフト分離の規律を導入し、ソフト事業への参入には総務省による「認定」手続きが導入される。行政が放送内容についての判断をすることも可能にする仕組みの導入は、放送における表現の自由への脅威となりうる。地上波のテレビ・ラジオを除く放送事業者に対しては総務大臣が「業務停止」を命令できる規定まで新たに盛り込まれており、こうした規定が恣意的に運用されるようなことがあれば、言論・表現の自由に深刻な影響を及ぼすことは疑いない。

 そもそも総務省では現在、「今後のICT分野における国民の権利保障等の在り方を考えるフォーラム」において放送行政の見直しを含む議論が進められているところだ。また現行放送法による放送免許は2013年まで有効であり、今ただちに放送法改正が求められる理由はまったく見当たらない。強行採決という乱暴な手法までとって改正を急ぐ必要がいったいどこにあるのか、明快な説明は一切ない。現政権の考える政治日程の犠牲となって、言論・表現の自由のありかたに関わるきわめて重要な法律がこのように粗略に扱われるようでは、日本の民主主義にとって大きな禍根を残すことになるだろう。
 政府・与党に対し、今回の暴挙を深刻に反省し、根本から国民的議論に委ねるよう、強く求める。

以 上

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放送法改正案についての民放労連見解(2010.4.23)

2010年4月23日
日本民間放送労働組合連合会(民放労連)
中央執行委員会

 政府は2010年通常国会に「放送法等の一部を改正する法律案」を提出し、現在その審議が行われている。「60年ぶりの大改正」といわれる今回の放送法改正に関して、私たちは以下のように考える。

1.なぜいま法改正を急ぐのか
 総務省では現在、「今後のICT分野における国民の権利保障等の在り方を考えるフォーラム」が開催され、放送行政の見直しを含む議論が進められている。その検討を待つこともなく、また現在の放送免許は2013年まで有効であるにもかかわらず、性急に放送法改正を急がなければならない理由は見当たらない。
 今回の法改正は、そもそも自公政権当時の竹中総務大臣の音頭による「情報通信法」構想に発するものである。しかも法案を2010年に国会提出するという総務省官僚の当初描いたスケジュールを無批判に踏襲しているだけで、民主党を中心とする連立政権が標榜する「政治主導」の姿勢はまったく感じられない。何のための法改正なのか、関係者ですら理解に苦しむ法改正を拙速に進めることないように求める。

2.ハード・ソフト分離は内容規制の強化につながる
 改正案では、地上波のテレビ・ラジオを含むあらゆる放送について、インフラ設備を受け持つハード部分と番組などのソフト部分とに分離され、ソフト事業への参入には総務省による「認定」手続きが導入されることになっている。改正案の174条では、地上波のテレビ・ラジオを除く放送事業者に対して総務大臣が業務停止を命令できる権限が付与されており、政府が番組内容に踏み込んだ判断をすれば、表現の自由にかかわる深刻な問題を招くおそれが強い。

3.電監審強化は表現の自由の侵害のおそれ
 改正案で新設された180条は、「放送の不偏不党、真実及び自律」等、現行放送法が目的に掲げている「重要事項」に関し、電波監理審議会が「自ら調査審議し、必要と認められる事項を総務大臣に建議することができる」としている。
 放送上の問題については放送倫理・番組向上機構(BPO)が自主規制機関として機能している。にもかかわらず、放送表現における問題も含めて、政府からの独立性のない電波監理審議会が独自に調査・判断し、建議するというしくみがなぜ必要なのか。この180条規定は全面削除されるべきである。

4.改正案策定の過程が不透明すぎる
 放送法制定以来という全面的な大改正であるにもかかわらず、改正案策定の過程での議論が一般にはほとんど公開されなかったことに、私たちは強い遺憾の意を表明する。

5.もっと市民にわかりやすい法律に
 今回の改正案では放送の定義が拡大され、インターネットなども放送の範疇に含まれると解釈できる。これだけさまざまなデジタル伝送路が市民に広く利用されるようになった現在、その規律も市民に理解しやすいことが求められよう。
 ところが、今回の改正案は複雑で非常に難解な上に産業振興的な側面ばかりが強調され、一般の市民による放送利用はほとんど念頭に置かれていないかに見える。いま求められているのは、デジタル時代における市民のコミュニケーションの自由を保障するための制度的枠組みであり、放送法改正に際してはその線に沿って改めて根本的な議論が必要ではないか。
 総務大臣自らが「言論の自由を守る砦をつくる」ためとして、前記「権利保障フォーラム」での検討が進められているにもかかわらず、放送番組規制強化につながるおそれのある法改正を急ぐ必要はなにもない。

以 上

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民放労連第110回臨時大会アピール(2010.1.31)

 半世紀にわたって政界に君臨し続けた自民党が、100議席以上を失って下野した歴史的な総選挙から5ヵ月。市民が主役となった新しい政治への期待に満ちていたはずの2010年の年明けは、いつか見たような「政治とカネ」をめぐる問題で混乱を極めている。相変わらず先行きの見えない状況の中で、きょう私たちは、民放労連第110回臨時大会を、建設中の東京スカイツリーが見わたせる東京・両国のKFCホールで開催した。

 広告収入の落ち込みにより、たしかに半数以上の民放局が赤字決算を計上している。会社側は口を開けば「経済情勢が厳しい」と判で押したように言うが、経営データを見れば、他産業に比べて飛びぬけて高い自己資本比率など、テレビを中心とする民放の健全経営ぶりにほとんど変化はみられない。民放の財務分析を手がけている明治大学大学院の山口教授は、討論に先立って行われた特別講演で、「今こそ過去の蓄積を吐き出す時だ」と強調した。

 ラジオ局は今、メディアとしての存続さえ危ぶまれるような、厳しい段階を迎えている。しかし、茨城放送やラジオ福島など、ラジオ局の経営者たちは、媒体価値の向上につながる経営方針を見い出せず、人員や経費の削減で乗り切ろうとしている。こんなことを繰り返していたら、ラジオに耳を傾けてくれるリスナーがいなくなる。今こそラジオの価値を見直し、その利点を社会にアピールできる積極策を模索すべきだ。私たちは、茨城放送・ラジオ福島両労組のたたかいを支援していくことを確認した。

 2011年7月24日に予定されている地上デジタルテレビ放送の完全移行まで、あと1年半を切った。先週、石川県珠洲市で3日間行われたアナログ放送停止リハーサルは、大きな混乱もなく終了したと伝えられるが、その要因には、十分な情報提供、ケーブルテレビ加入による受信環境の整備とデジアナ再送信、デジタルチューナーの提供などが挙げられる。こうした珠洲市と同等の支援策が全国に行きわたるよう、国などに求めていくことが必要だ。

 自公政権時代の政策であった、通信・放送関連法規を「大括り」にするという「情報通信法構想」は、既存の法体系を放送法・電波法など四つにまとめる法案となると伝えられる。この中では、番組内容に踏み込んだ「認定手続き」を導入するほか、番組種別の公表義務、放送事故の報告義務など、これまで以上に放送局の業務内容に政府が介入するような改定案となっていることに警戒を強めなければならない。
 一方、昨年12月にスタートした総務省の「今後のICT分野における国民の権利保障等の在り方を考えるフォーラム」では、「言論の自由を守る砦」を作ろうという議論が進められている。ところが、示されている「検討アジェンダ案」では、放送局やBPOによる放送の自主規制の検証が冒頭に掲げられ、これまでの自民党政権による恣意的な放送行政の検証は後回しになっている。この機会に、放送における言論・表現の自由を本当に確保するために、免許制度のあり方も含めて放送行政の根本的な見直しが必要だ。

 厳しい状況の中で、非正規労働者へのしわ寄せが一段と強まっている。私たちは今日、あくまでも生活改善の要求を掲げるとともに、構内で働く仲間の労働条件の底上げをはかる最低賃金運動を大きく前進させ、朝日放送SE争議、TNCプロジェクト裁判、長崎ビジョン争議、琉球朝日放送労組の社員化闘争等を全力で支援していくことを改めて確認した。
 理不尽な賃金ダウンや不利益変更を許さず、放送の明日(あした)をつくる10春闘を、すべての民放労働者が力をあわせてたたかい抜こう!

2010年1月31日
日本民間放送労働組合連合会
第110回臨時大会
 

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「省庁の記者会見廃止」方針の撤回を求める(2009.9.19)

2009年9月19日
日本民間放送労働組合連合会
中央執行委員会

 民主党・社民党・国民新党による鳩山新政権は9月16日、「閣僚懇談会申合せ」として〈府省の見解を表明する記者会見は、大臣等の「政」が行い、事務次官等の定例記者会見は行わない〉とする方針を打ち出した。「政」と「官」の役割分担を明確にし、政治主導を確立することを目的にした、というものだが、この方針を受けて、さまざまな記者会見が相次いで中止・取りやめとなっている。

 もとより記者会見は取材する側が要求して開催されるもので、誰にどのような記者会見を求めようと、取材する側と取材される側の合意があれば、他からの干渉を受ける性格のものではない。にもかかわらず、政治主導で一方的に官僚の記者会見が中止されることは、取材・報道の自由に対する重大な侵害に他ならない。

 また、記者会見を廃止しても、記者クラブに所属する記者たちは職務として「庁内回り」などで官僚に個別取材する。すると、公式の記者会見で公表されるべき情報が、官僚から恣意的にマスメディアだけに流されるという、極めて不健全な事態も招きかねない。現に、この方針を理由として官僚が取材を拒否するケースもみられ、「国民の知る権利」の観点から看過できない悪影響が出始めている。

 新政権がめざす「真の民主主義の実現」のためには、情報公開の徹底こそが欠かせない条件である。省庁の記者会見を廃止することは、その情報公開の潮流を逆流させ、新政権への期待を裏切ることになる。官僚の口を塞ぐことが「政治主導」の力だというのなら、私たちは日本が再びファシズムの道に迷いこむ危険性を思わずにはいられない。

 民主党が選挙前から「記者会見のオープン化」を公約として掲げてきた経緯からすれば、いま取り組むべきは、むしろ省庁の記者会見をすべてオープンにして、記者クラブに所属していない取材者にも門戸を開放することではないだろうか。私たちは新政権に対して、省庁の記者会見廃止方針の一日も早い撤回を求めるとともに、あらゆる機会をとらえて政策決定過程の透明化を推進するよう、強く要望する。

以 上

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09春闘 民放労連闘争アピール(2009.3.10)

未来の放送のために
変革への道をひらく09春闘を!


 民放労連の09春闘は、いよいよ明日3月11日に統一回答指定日を迎える。

 今春闘は、50余年の民放労連運動の歴史の中で、もっとも厳しいたたかいとなることが予想される。
 「百年に一度の不況」などと、経営者は現在の民放の業績悪化を逆手にとって、私たちの賃金・労働条件と制作費の切り下げをはかり、さらには非正規労働者の雇用や契約の打ち切りに走る可能性もある。

 しかし、現在の不況に対して、番組制作費や人件費の削減、人減らしで対応しようとすれば、番組の質が劣化し、視聴率・聴取率の低下を招き、さらには売り上げの減少からいっそうの経費削減という負のスパイラルに陥るだけである。私たちは民放産業が衰退への道を歩むことを拒否する。

 私たちは、この春闘で沈黙してはならない。私たち一人ひとりが、職場で団結し、地域で共闘し、民放労連に結集して今こそ反撃に転じよう。
 賃下げや雇用の打ち切りは、放送の活力を失わせ、視聴者・聴取者の信頼を失墜させることだとはっきりと発言しよう。制作費削減は放送の価値をおとしめることだと、声をそろえて明らかにしていこう。

 私たちがこの09春闘で提出した要求は、放送を守り、発展させるための要求である。現場の労働者を疲弊させて、放送に未来はない。放送を支えるためにこそ賃上げが必要なのだと、私たちの要求に確信を持とう。
 未来の放送のため、そして人が人らしく生きていくことができる社会へと変革していくために、これまでにない一歩を踏み出し、たたかいを大きく広げていこう。

2009年3月10日
民放労連中央執行委員会

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民放労連第108回臨時大会アピール(2009.1.25)

 イスラエルの軍事作戦により、民間人を含む1300人以上の命が奪われたパレスチナ自治区・ガザの惨劇。国内では、「派遣切り」で仕事を奪われ、住むところも失って、東京・日比谷に開設された「年越し派遣村」に多くの人々が身を寄せた。2009年ほど悲しい年明けを迎えたことは記憶にない。

 昨年来の金融危機で、企業活動も低迷を続けている。昨年9月の中間決算では、地上波テレビ・ラジオ局194社のうち、約半数に上る92社が経常赤字となった。年末闘争を越年してたたかい続けている仲間がいる私たちも、かつて経験したことがないほど厳しい季節に直面している。

 とくに警戒しなければならないのは番組制作費の削減だ。レギュラー番組の打ち切り・改編などで突然仕事を奪われる契約労働者や派遣労働者たちの生活は、いったい誰が補償するというのだろうか。制作費の切り詰めで、視聴者・聴取者に夢や希望を感じてもらえるような番組を送り届けることができるのだろうか。そもそも赤字決算は、誰よりもまず経営者の責任であるはずなのに、民放の経営者の中に自ら経営責任を取ろうとする者が、一人でもいるのだろうか。

 2011年7月のデジタル放送への完全移行まで、あと900日余りとなった。しかし、デジタル対応受信機の普及は国が掲げる目標に届いておらず、ようやく五〇%に達したかという状況だ。共同受信設備や受信障害対策設備のデジタル化対応もはかばかしくない。NHKの受信料免除世帯を対象にチューナー配布、アンテナ工事の費用負担が弱者救済策として示されているが、果たしてこれで十分なのだろうか。「地デジ難民」を生み出すことがないよう、より万全の施策を求めていかねばならない。

 放送やインターネットなどをひとくくりにして、「コンテンツ」「伝送サービス」「伝送設備」の三つに分類しようとする総務省の「情報通信法」構想は、私たちをはじめ各層の批判を受けて、コンテンツに対する規制色は弱められたように見える。しかし規制緩和・市場原理ばかりを意識したこの構想は、市民・視聴者の立場から根本的な見直しが必要だ。放送の媒体価値が問われている今、私たちもこの機会に放送の社会的意義を改めて問い直していきたい。

 「未曾有」の危機の中でも、私たちは決してたたかいをあきらめない。粘り強い交渉で、ついに社員化を勝ち取った京都放送労組の仲間や、不誠実団交を続ける会社に対して労使の正常化を求める長崎ビジョン労組の仲間がいる。正社員が一人もいない「異常」な状況の下、契約社員が立ち上がった琉球朝日放送労組では、正社員化に向けた協議が始まろうとしている。日本テレビ構内では、企業の壁を越えた新しい組織で労働環境の改善を求める運動がスタートした。私たちは、朝日放送SE争議をはじめ民放のすべての争議を早期解決するために力を結集しよう。たたかう仲間を支援することによってこそ、私たちもまた、たたかうエネルギーを獲得できる。

 「年越し派遣村」は、労働運動の潮流や政治的党派性を越えた、労働組合と市民が連帯する新しい運動のあり方を目に見える形で示した。そこにはメディアの力も一定の役割を果たしている。私たちも今こそ、長年はびこる民放産業の「負の構造」を克服し、新しい民放労働運動を切り開くチャンスを我が物にしなければならない。
 アメリカのオバマ新大統領は就任演説で言った。「きょう私たちは、恐怖ではなく希望を、争いではなく団結を選んだために、ここに集まった」。私たちもきょう、この団結をさらに広げて、変革への道をひらく09春闘を、力を合わせてたたかい抜こう。

2009年1月25日
日本民間放送労働組合連合会
第108回臨時大会
 

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民放労連第107回定期大会アピール(2008.7.27)

 今年、私たちは、石油の価格のみならず、食料品などあらゆる生活必需品の物価上昇という、ここ何十年も経験したことのない厳しい変化に直面している。国民の悲痛の叫びはもはや限界に達し、現状の打開を求める声が各方面から沸き起こっている。

 民放労連第107回定期大会は、「労働組合を変える! 放送が、社会が変わる!」をスローガンに、うだる様な暑い夏の日の博多で開催された。

 私たち放送業界も、いま大きな変化を迎えている。アナログ放送終了予定日まであと三年を切った。放送の発展を目的とするはずのデジタル化が、難視聴世帯・地域を切り捨てることになれば、自らの媒体価値を大きくおとしめる道筋になりかねない。視聴者を置き去りにしたままのアナログ放送終了は大きな混乱を招く恐れが強く、私たちは冷静な議論のうえで市民・視聴者の立場からこの問題と向き合っていかなければならない。

 放送の媒体価値はすでに危険水域に達しつつあるとも言える。CMの売上げも今年に入って激減し、人件費や番組制作費の大幅なカットという悪循環に陥っている。
 エフエム九州の経営破綻という、放送業界始まって以来の事態も発生した。ラジオ全体が厳しい状況に置かれるなか、その存在意義と使命を再確認する必要にも迫られている。私たちは、労使を超えてラジオそのものを活性化させるプロジェクトの始動を決意した。

 今ようやく、先進国中で最も低いレベルの最低賃金の見直しが進められている。私たちも構内最低賃金ルールの確立に向けて、まず企業内最賃協定締結を勝ち取り、京都放送労組の成果に続いて、さらに労連内に広げていく必要がある。
 一方で、貧困・格差の象徴である「ネットカフェ難民」を、番組を通じていち早く社会に告発したはずの日本テレビが、所定労働時間の延長を組合に提案している。労働運動の原点である八時間労働制に逆行する提案は、決して許してはならない。
 社会的な問題となっている「名ばかり管理職」や「偽装請負」の問題も少しは改善の動きがみられるが、民放の経営者はこの問題に積極的に取り組んでいると言えるだろうか。TNCプロジェクト労組は、派遣法の遵守を求めて労働局への申告を行った。コンプライアンスを標榜し、報道機関として社会の模範となるべき放送業界が、派遣や請負労働者を都合よく使いまわす労務政策をとり続けることに、私たちは強くNO!をつきつける。

 先日発表された厚生労働省の労働経済白書は、働く意欲と満足度が低下している原因に、成果主義や非正規労働者の急増があると認めている。労働組合にとって「追い風」であるこうした社会情勢の大きな変化をしっかりと踏まえて、民放内にはびこる差別と貧困を一掃していかなければならない。同時に私たちは、朝日放送SE争議、長崎ビジョン争議など、すべての争議の一刻も早い解決を求めることを確認した。

 BSデジタル局にも新しい仲間を迎えた私たちは、今こそ「変化」の兆しを機敏に捉え、私たち自身が力強い労働組合に変わっていかなければならない。労働条件の向上という労働組合本来の機能を最大限に発揮できれば、それは必ず放送の質の向上につながる。
 民放労連55年の歴史と成果をよりどころに、放送が社会を動かし、より良い未来をつくりあげる変化の発信源として、確信を持って明日への一歩を踏み出そう!

2008年7月27日
日本民間放送労働組合連合会
第107回定期大会
 

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青少年ネット規制法案に反対する声明(2008.6.6)

2008年6月6日
日本民間放送労働組合連合会
中央執行委員会

 本日、「青少年が安全に安心してインターネットを利用できる環境の整備等に関する法律案」が、衆議院に上程された。週明けには参院に送られ、今国会中の成立が予定されているという。この法案は、18歳未満の「青少年」が、インターネットを利用して「有害情報」を閲覧する機会をできるだけ少なくすることを目的として、閲覧を制限する「フィルタリングサービス」を民間が行うことを、国を挙げて推進する内容となっている。

 たしかに、自殺の誘引などインターネット上には問題のある情報が氾濫している実態があるとしても、今回の法案にはそれ以上に表現、報道の自由を脅かす重大な懸念があるといわざるを得ない。

 法案は「例示」としながら「有害情報」の内容を法律の条文に書き込み、規制を促している。具体的な表現内容を法律で規制することは憲法21条「表現の自由」の侵害にあたるおそれが強く、また「例示」としていることでかえって拡大解釈・恣意的運用の余地を生む危険性も強い。いわゆる「有害情報」を識別して遮断する「フィルタリングサービス」はすでに携帯電話会社などにより運用され、第三者機関の設立などさまざまな取り組みが進められている。表現内容に関わる問題については、こうした自主的な対応に任されるべきであり、今すぐ国が法律で規制しなければならない必要があるとは考えられない。

 「フィルタリングサービス」を推進する民間の機関を総務大臣や経済産業大臣への登録制としたことも、国家権力が表現内容へ関与する可能性が生じ、看過できない。仮に、登録されている民間機関に主務大臣が特定の表現内容を規制するよう要請した場合、民間機関がこれを拒否できるとは現状では想定しがたいからだ。

 そもそも、未就学児から高校生・社会人にいたるまでの18歳未満をすべてまとめて「青少年」として一律の規制のもとに置こうというのは実に乱暴な議論であり、情報へのアクセス権を青少年にも保障する「子どもの権利条約」(日本も批准している)の趣旨にも反する。ネット上に青少年にふさわしくない情報が氾濫しているとしても、それは社会の現実の一側面であり、そういう現実を遮断した状態で青少年を育成することが、はたして青少年の将来にほんとうに資するものになるのかという根本的な疑問も感じる。むしろ、さまざまな情報に惑わされて自分を見失うことがないように、ネット上の情報との付き合い方を体得する「ネット・リテラシー」を向上させるような教育政策こそが急務ではないだろうか。

 このように問題点を多くはらんでいる今回の法案を、ほとんど審議時間を確保することもなく拙速に国会を通過させて成立を図ろうとする政府や関係各政党の動きに、私たちは強い危惧を覚える。表現の自由に関わるデリケートな問題は、もっと時間をかけて国民的な議論の中で検討を進めるべきである。

 私たちは今回の法案に強い反対の意を表明し、法案の白紙撤回と審議のやり直しを求める。

以 上

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映画『靖国』への圧力・上映妨害に抗議する民放労連委員長談話(2008.4.7)

2008年4月7日
日本民間放送労働組合連合会
中央執行委員長 碓氷 和哉

 4月12日に公開予定だった日中合作のドキュメンタリー映画『靖国 YASUKUNI』が、政治的圧力や上映妨害の攻撃などによって上映を中止する映画館が続出し、一般公開ができない状況となっている。表現活動に従事する労働者である私たちとしても、このような事態が起きていることを深く憂慮するとともに、映画の上映中止を求めて圧力をかけている勢力に対し、強い怒りをもって抗議する。
 憲法二一条は一切の表現の自由を保障しているが、これは同時に「何人も他者の表現の機会を奪う自由はない」ことを意味していると解される。映画の内容について批判があるのであれば、上映された映画に対して言論で批判すればいいことであり、上映を妨害して映画の存在自体を社会から抹殺しようとするのは、民主主義社会のルールを踏みにじる実に野蛮な振る舞いだと言わざるを得ない。
 とくに、国会議員など政治的権力を持つ者は、表現の自由を守る強い責任を有しているはずで、この『靖国』をめぐって、上映前から映画の内容を問題視して「試写会」を開催させたことなどは、憲法が禁止している「検閲」に相当するものとして厳しく指弾されるべきである。試写会を求めた国会議員などからは「政治的中立性が疑われる映画に対して政府出資法人から助成金が出されたこと」を問題にする意見が聴かれるが、映画の政治性を判断して国家権力が助成の可否を決めるような行為こそがまさに「検閲」に他ならないことを、これらの議員たちは理解していないのだろうか。
 香港国際映画祭で最優秀ドキュメンタリー賞を受賞するなど海外でも高い評価を得ているこの『靖国』が、国内でまともに上映できないことは国際社会において誠に恥ずべき状態であり、こうした映画を何の懸念もなく鑑賞できる環境が一刻も早く求められる。私たちは、映画の上映を妨害する勢力に対して改めて強い抗議の姿勢を示すとともに、全国の映画館をはじめとするすべての映画関係者に、国内で『靖国』が上映される場が失われることがないよう最大限の努力を求めたい。

以 上

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NHK国際放送に対する総務省の「要請」に反対する声明(2008.4.1)

2008年4月1日
日本民間放送労働組合連合会
中央執行委員会

 総務省は4月1日、改正放送法の施行にともなって、NHKに対して「国際放送等の実施要請」を行った。今回の「要請に当たっての指定事項」として総務省は、テレビ・ラジオの国際放送について、「邦人の生命、身体及び財産の保護に係る事項」「国の重要な政策に係る事項」「国の文化、伝統及び社会経済に係る事項」「その他国の重要事項」を挙げたうえで、短波ラジオによる国際放送については「北朝鮮による日本人拉致問題に特に留意すること」を要請している。

 これらは、これまで「命令放送」とされていた放送法上の規定が法改正に伴って「要請」となったものだが、現在の政府・総務省とNHKの関係を見れば、表現が軟らかくなったとしても実質的な効果には変わりがないとみられる。中でも、昨年の放送実施命令と同様に、政府が拉致問題というデリケートな政治課題に具体的に踏み込んでNHKに放送を求めることは、放送に対する明らかな政治介入であり、放送番組編集の自由を保障する放送法の規定に違反する行為だと言わざるを得ない。このような行為が繰り返されれば、NHKの国際放送は日本政府によるプロパガンダの道具だという認識が諸外国に広まり、報道機関としてのNHKの国際的な信用が失墜することが懸念される。ひいては民放も含め、日本の報道機関全体に対する信頼を揺るがすものとなる危険性も否定できない。

 この問題についてNHKは「報道機関として自主的な編集の下で国際放送を行っており、この基本方針は要請放送においても変わらない」などとコメントしているが、一方で古森義隆NHK経営委員長は3月11日の経営委員会で「利害が対立する問題については日本の国益を主張すべきだ」などと発言したとも報道されている。このように、NHK自らが「国益」を優先して報道機関としての姿勢をあいまいにするならば、上記の懸念はにわかに現実の問題となるだろう。

 報道機関にとって、政府や国家権力からの独立は、その存立の基盤に関わる絶対的な条件である。私たちは放送に携わるものとして、テレビ・ラジオを問わず今回の国際放送に対する放送要請に反対し、その撤回を求める。そもそもNHKに対する政府の「要請」制度が憲法・放送法の精神に反するという認識を持って、この制度自体が廃止される方向で議論が進められることを関係者に強く求めたい。

以 上

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08春闘 闘争宣言(2008.3.16)

 私たちは、ベアゼロを決して許さない。「売り上げが減っている」「先行きが不透明」と賃上げができない理由を民放経営は説明するが、その言葉は、経営者としての能力を自ら否定し、責任を放棄していることに他ならない。収入の減少を食い止めるためにどのような方策を示すのか、民放の将来像、自局の未来図を描くことが経営者の存在意義とは考えないのか。

 私たちは、ベアゼロを決して許さない。民放経営は、理由にもならない理由を説明するが、ベースアップは「できない」のではない。「しない」という意思のあらわれである。ベアゼロに込められた経営の意図は、憲法に規定された団結権、団体交渉権を形骸化させ、労働基準法、労働組合法にある「労働条件の労使対等決定原則」を反古にしようというものだ。

 私たちは、ベアゼロを決して許さない。労働者の権利を踏みにじるような行為に対して、団結の力で立ち向かおう。不誠実な経営の姿勢をもう看過することはできない。労働組合に求められているのは「物わかりの良さ」ではない。怒るべきときに怒る、行動するべきときに行動することである。それぞれの単組が、それぞれの単組にとっての一歩を踏み出そう。

 私たちはこの春闘で、年収300万円以下の労働者をなくし、民放における差別と貧困を解消しようと時間額1200円以上、日額にして1万円以上の企業内最低賃金協定の締結を求めた。「いのちと健康」を脅かす超長時間労働に歯止めをかけるため、時間外労働の割増率のアップを求めた。しかし、民放経営は、そのいずれにも沈黙を続けている。社会問題となっている「格差」是正に、本来なら率先して取り組むべき放送局経営者の社会的責任を問いただし、同時に、要求実現によって、私たち労働組合の社会的責任をはたしていこう。

 私たちはベアゼロを決して許さない。「ソフトが命」と言いながら、ソフトを生み出す労働者を大事にせず、「売り上げが減っている」と言っては、コストカットに懸命になり、「先行きが不透明」と居直るだけの経営者を許すことはできない。「放送」という仕事に夢を持ち、「放送」で働くことに誇りを持つ私たち労働者を踏みにじるようなベアゼロに対して、私たちは最大の力をもってたたかおう。
以上、宣言する。

2008年3月16日
日本民間放送労働組合連合会
全国単組代表者会議

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民放労連第106回臨時大会アピール(2008.1.27)

 アメリカのサブプライムローン問題に端を発する世界同時株安、小麦価格の高騰による食料品の値上げ、原油高による灯油・ガソリンの高騰…。厳しい寒さとともに明けた2008年は、私たちの生活に与える打撃もいっそう厳しさを増している。民放労連第106回臨時大会は、「差別と貧困をなくし、放送の未来をひらく08春闘を!」をスローガンに、東京・両国で開催された。

  2007年末に成立した放送法改正は、私たちが強く反対した放送局の「再発防止計画」提出条項は全面削除されたものの、特定の資本が複数の放送局を支配できる「認定放送持株会社」制度が導入された。これは放送の地域性、多元性を確保するための「マスメディア集中排除原則」をないがしろにし、私たち放送労働者を丸ごと市場原理の激流に放り込むものである。そもそも持株会社制度は、戦後の財閥解体以来禁じ手とされてきたものを企業のリストラ促進のために解禁した制度であり、リストラとセットになるのは必然だ。さらに、労働者の団体交渉権を有名無実化する危険性があり、労働組合の機能にも決定的な打撃を与えかねない。

 総務省の研究会が打ち出した「情報通信法」構想は、放送・通信関連の法律を「コンテンツ」や「インフラ」などにまとめて規制するといわれているが、インターネットも含めた表現内容への規制の恐れが強く、言論・表現の自由が危ぶまれる。とくに、放送が厳しい法規制のもとにおかれていることを前提にしているような報告書の記述を見過ごすわけにはいかない。
 アナログ放送の終了まで残り3年半と迫った地上放送のデジタル化では、少なくとも60万世帯と言われる「地デジ難民」が生じるという予測が明らかになっている。情報流通の向上のために社会的弱者が切り捨てられ、犠牲となることは、新たな情報格差が生じることになり、断じて許されない。
 しかし受信機1億台普及の前には、経済格差の問題が横たわっている。年収200万円以下の労働者が1000万人、生活保護受給者が140万人を超えた今、放送業界でも最低賃金がクローズアップされている。ここに労働組合が真剣に取り組むことが、日本全体の最低賃金アップにつながり、生活保護基準を切り下げようとする動きへの強力な対抗策にもなる。
 またわれわれ放送の職場にも蔓延している偽装請負・違法派遣もチェックしていかなければならない。

 私たちが作る番組のあり方もまた、厳しく問われている。『発掘!あるある大事典』の捏造問題を契機にBPOが発足させた「放送倫理検証委員会」は、TBSの『みのもんたの朝ズバッ!』やフジテレビの『27時間テレビ』において、安易でずさんな取材・編集が行われたことを強く批判した。視聴者の放送への信頼を取り戻すために、私たちも謙虚な姿勢で批判に耳を傾け、自戒しなければならない。

 うれしい報告もあった。14年前、労働組合を中心に会社更生法の適用を申請した京都放送が、昨年10月に京都地裁から更生終結の決定を受けた。「京都から放送の灯を消すな」をスローガンに、労働組合が市民の協力を得て放送局を守り抜いたのだ。そして、更生会社でありながら、労働者の賃金・労働条件の切り下げを決して許さなかった京都放送労組のたたかいは、民放労働運動の歴史に輝かしい一歩をしるしている。
 私たちの仲間の粘り強いたたかいが、未来に向けて活路を開いている。4年にわたる長崎ビジョン労組の地労委闘争は、会社の不当労働行為を認定する勝利命令を出させることができた。京都放送やFM802、SFユニオンでは、契約社員や請負労働者の正社員化、差別雇用の撤廃を実現させた。たたかいをあきらめないことで勝ち取った成果をまた新しい力にして、民放職場から差別と貧困をなくし、放送の未来をひらくため、08春闘を力強くたたかい抜こう。
 右、決議する。
 

2008年1月27日
日本民間放送労働組合連合会
第106回臨時大会
 

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放送法「改正」案成立についての声明

2007年12月21日
日本民間放送労働組合連合会
中央執行委員会

 本日、参院本会議で、自民・公明・民主の賛成多数により「改正放送法」が可決・成立した。今回の改正は、今年4月に通常国会に提出された当初の案からはいくらか修正が施されているものの、全体としていまだに懸念の残る内容だと言わざるを得ない。

 当初の案では、放送局が「虚偽の説明により事実でない事項を事実であると誤解させるような放送」を行った場合、その放送局に「再発防止計画」を提出させ、総務大臣がそれに意見を付けて公表するという規定が新設されていたが、これは自民・公明・民主の共同修正案で丸ごと削除された。もともとこの条項は、放送に対する行政の過剰な介入に途を開き、憲法が保障する表現の自由に抵触する問題をはらんでいた。条項の削除はむしろ当然の判断であると言える。

 一方、総務大臣が認定して、複数の放送局を子会社として傘下に置くことができる「認定放送持株会社」制度については、持株会社への出資比率の上限を「二分の一以下」から「三分の一未満」に制限する修正を施しただけで、制度自体は導入されることになった。これは、デジタル化対策などで経営が苦しい放送局の救済策ということだが、言論・表現の多様性・多元性・地域性の確保を目的とした「マスメディア集中排除原則」を事実上否定し、巨大資本による複数の放送局支配を容認することになる。この「放送持株会社」によって、情報の東京一極集中・地方切り捨てがさらに進行するおそれが強く、行政当局および放送関係者には、改めて「集中排除原則」の厳格な運用を求めたい。

 NHK関係では、経営委員の一部常勤化や監査委員会の新設などが盛り込まれたが、これらは経営委員会の機能強化を通じて、これまで以上に政府・総務省のNHKへの介入を許容するもので、とうてい容認できない。またNHKの海外向けの「命令放送」については、「要請」と表現を改めたうえで、要請できる放送内容を限定して表現の自由への配慮をうたっているが、この放送のために税金を支出する構造には変わりがなく、NHKが要請を拒否できるかどうかについても問題が残されたままとなっている。さらに、今回の改正で民放にもこの「要請」放送への協力が求められることになり、政府の海外宣伝にあらゆる放送メディアが利用されるおそれが強まった。表現の自由の観点から、この「要請放送制度」そのものの廃止が早急に検討されるべきだと考える。

 以上のような法改正の内容の問題に加えて、国会での法案審議のあり方にも強い疑問を覚える。今回、自民党と民主党の協議によって事実上の修正合意をみたうえで審議が再開されたというのに、衆院総務委員会における法案審議にはその合意内容は反映されず、結果的にはほとんど形骸化したやりとりが繰り広げられた。そして参考人の人選なども含めて自民・公明・民主の三党であっという間に手続きが進められ、衆参合わせても十時間程度という非常に短い審議時間で採決に至った。私たちの生活に深くかかわる放送のあり方を大きく変える法の改正審議が、このように拙速に進められたことは非常に残念だと言わざるを得ない。重要な政策決定を少数の関係者が密室で行い、国民の前では形式的な手続きに終始するような国会審議のあり方は強く批判されるべきである。

以 上

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総務省「通信・放送の総合的な法体系に関する研究会」最終報告に対する委員長談話(2007.12.7)

2007年12月7日
日本民間放送労働組合連合会
中央執行委員長 碓氷 和哉

 総務省は昨日、「通信・放送の総合的な法体系に関する研究会」の最終報告書を公表した。電気通信事業法、放送法など現行の通信、放送関連の法律を「情報通信法」(仮称)として一本化し、2010年の通常国会に提出する方針という。

 報告書では、ブロードバンドの普及や地上放送のデジタル化などによって、「放送と通信の融合・連携」が進んでいることから、これまでのような伝送路ごとの規律を中心とした“縦割り”の法体系でなく、「コンテンツ」「プラットフォーム」「伝送インフラ」の三つの「レイヤー(層)」に分ける“横割り”の規律として、全体を一つの法体系にまとめることを提言している。

 しかし、個人で自由に作成できるようなインターネット上の表現物と、公共性や倫理性を意識しながら多人数の制作者が協力して作成する放送番組を、まとめて「コンテンツ」と称して一つの法体系の下で「技術中立的・一元的にコンテンツ規律を適用」しようというのはあまりにも乱暴である。「伝送インフラ」の種別によってもコンテンツの「規律」のあり方はおのずから異なってくるはずであり、政府が恣意的に分類することも可能なサービスの区分ごとに法律による内容規制の対象とすることは、憲法21条が保障する「表現の自由」を侵しかねない。今回の報告書では「表現の自由への配慮」が強調されているようだが、一方で「規律」という用語をあいまいに多用し、放送メディアにも本来保障されるべき「表現の自由」が、既に一定の規制のもとにあるかのような書き方も無視できない。

 今年6月に出された「中間取りまとめ」に対するパブリックコメントで、多くの団体・個人がコンテンツの法規制に関して反対の意見を表明していたが、そうした意見がほとんど反映されていないことは非常に遺憾であり、パブリックコメント制度の趣旨を自ら踏みにじるような「最終報告」は、強く批判されなければならない。

 近年、技術革新とインフラの拡充により通信と放送の垣根が低くなってきていることは否定しないが、私たちは「放送と通信の融合」を無条件の前提とし、政府による新たな表現規制の足がかりとなる「情報通信法」構想には反対である。民主主義社会の健全な発展のために、放送をはじめとする情報メディアの果たすべき役割は非常に大きい。だとすれば、メディアのあり方を根本的に変えるような議論については、もっと時間をかけて、国民各層で十分な論議を尽くしながら慎重に進めるべきである。

以 上

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長崎ビジョン争議の長崎県労働委員会救済命令についての声明

2007年11月12日
日本民間放送労働組合連合会
中央執行委員長 碓氷 和哉

 長崎県労働委員会は本日、民放労連本部、民放労連九州地連、長崎ビジョン労働組合(以下、組合)が救済申し立てをおこなっていた事件についての命令を交付し、ほぼ組合の主張を認めて会社の不当労働行為を認定、会社に対して誠実に団体交渉を行わなければならないとの救済命令を発した。

 この争議は、日本テレビ系列の長崎国際テレビでの放送業務を主要な業務とする(株)長崎ビジョンで、労働条件の改善や職場の民主化を求めて従業員が2002年3月に労働組合を結成したにもかかわらず、会社は組合との交渉に一貫して誠実に応じなかったため、翌年に同労組の川崎執行委員が不当に処分されたことを契機として、組合が県労働委員会に救済を申し立てていたものである。

 県労働委員会の審理で主要な争点となったのは、川崎執行委員への処分、及び組合結成以来、賃金に少なからぬ比重を占める職能給の昇給がストップしたことにおいて不当労働行為がおこなわれたかどうかである。
 県労委は処分問題について、会社が団交で処分理由の説明を行わず、組合の団交申し入れも拒否してきたことを団体交渉拒否と認定、とりわけ組合が団交事項とすれば処分を発令すると「組合を委縮」「牽制」したことは団交権の侵害、及び支配介入に当たると明確に判断した。さらに県労委はこの事実について「今後のこのような行為は繰り返さない」旨の文書を組合委員長あてに手交するように命令した。
 職能給については、会社が過去にさかのぼっての賃金データの提出を拒否したために、昇給の停止が組合員への不利益取扱いとまでは言えないとしたものの、昇給の運用実態も説明せず、組合が基本的な理解を得ることも不可能であり、会社対応は不誠実で団体交渉拒否に当たるとした。
 その他についても、賃金や一時金の交渉で、会社が組合に十分な資料を開示しなかったことを不誠実であり、団体交渉拒否に該当すると認定、人事異動の発令前の団体交渉を会社が一貫して拒否していることについても団体交渉拒否と認定した。

 県労委命令は、川崎処分問題について組合がもっとも問題とした組合への勧誘行為を「就業時間中の組合活動」として処分理由にあげていることにつき、明確な判断を示さなかったことについては不満が残るが、全体として組合の主張する事実を認定し、会社の不当労働行為の是正を求めたものと評価できる。
 会社は本日の県労委命令を真摯に受け止め、誠実に履行することを強く求めたい。とりわけ面子にこだわって、中央労働委員会への再審査申し立てや裁判所への命令取り消し訴訟を提起することは、労使双方の無用な負担をいっそう大きくさせ、一日も早く争議を解決して健全な労使関係を確立させて業務に取り組みたいと願う全従業員の期待を真っ向から裏切るものとなること銘記すべきである。
 最後に四年にわたる争議に支援を続けて頂いた、民放労連各組合、地元の長崎マスコミ共闘や県内組合から寄せられた力強いご支援に、深甚なる謝意を表する次第である。

以 上

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ミャンマー軍事政権による長井健司さん殺害に抗議する民放労連委員長談話(2007.9.29)

 僧侶・市民らの大規模な反政府デモに対するミャンマー軍事政権の武力弾圧で、9月27日、デモを取材していたAPF通信社の映像ジャーナリスト・長井健司さんが、ミャンマーの治安部隊に銃撃され、死亡した。映像で真実を伝えるために、果敢に紛争地に飛び込んで、非情な銃弾に倒された長井さんの死に臨んで、私たちはジャーナリズムに働く仲間として深く哀悼の意を表する。

 当初、ミャンマー政府は「流れ弾が当たったもの」と説明していたが、『ビルマ民主の声』が撮影・公開した映像によると、カメラを構えたジャーナリストを狙って至近距離から銃撃・殺害した疑いが極めて高いことが明らかになった。世界に真実を伝えようとするジャーナリストの行動を、銃の力で葬り去ろうという卑劣な行為に対し、私たちは満腔の怒りを込めて抗議する。言論を暴力で封殺しようとすることに一片の正義もないことは、民主主義世界の共通認識であることを、改めて強く訴えたい。

 私たちはミャンマー政府に対し、市民らによるデモに対する武力弾圧を直ちに収束させ、長井さん銃殺事件の真相究明と関係者の処罰、遺族に対する補償など必要な措置を速やかにとるとともに、取材・報道の自由を一日も早く保障して、国民の求める民主化を一刻も早く実現するように求める。また日本政府には、ミャンマー政府に対して毅然たる態度で厳正な措置を求めると同時に、国際社会とともにミャンマーの民主化に向けた一層の努力を求めたい。
 

二〇〇七年九月二九日
日本民間放送労働組合連合会
中央執行委員長 碓氷 和哉
 

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民放労連第105回定期大会アピール(2007.7.28)

 今から六十二年前の八月六日朝、この会場のわずか数百メートル上空で原子爆弾が炸裂した。現世を一瞬にして地獄に変えた原爆は、半世紀以上経った今なお、多くの人を苦しめ続けている。日本はあの日から、地球上に二度と同じ過ちを繰り返さないよう、非核、平和を世界に訴えていく責務を負う国となった。そして私たち、この国の放送メディアに働く労働者は、その責務の先端を担っている。
 民放労連第一〇五回定期大会は、「労働組合を放送への信頼を取り戻す拠点に!」をスローガンに、広島市で開催された。

放送は、市民・視聴者から信頼を受けてこそ、その役割を発揮することができる。しかし今年に入って、放送への信頼を著しく失墜させるような事件が相次いで起きた。私たち放送労働者にも、信頼回復に向けた道を自らの力で模索し、行動していくことが求められている。
一方、これらの事件を口実に、政府は放送事業者に新たな行政処分を発動できる放送法の「改正」を目論んでいる。しかし、何をもって「事実」と認定するのか。行政の恣意的な裁量の余地が大きく、報道や番組制作を委縮させて国民の「知る権利」を損なう危険があるこの改悪を、何としても止めねばならない。
政府・総務省のこだわる二〇一一年アナログ放送打ち切りによって大量の「地デジ難民」発生が予想されている。私たちは、放送メディアの労働組合として積極的に解決策を提起し、政府や経営者に救済を迫らねばならない。
また、放送メディアの原点であるラジオの職場に、経営からの相次ぐ攻撃が加えられている。震災でもラジオ本来の力が市民に支持されているなか、私たちはラジオの問題を民放全体の課題として受け止め、横断的な取り組みをもって解決しなければならない。

私たちは、戦争という多くの犠牲を払った過去の歴史を通して、平和な世の中であってこそ言論・表現の自由が保障されることを学んだ。しかし政府・与党は、憲法を変える手続き法である国民投票法を拙速に強行成立させた。安倍政権は、恒久的な平和を誓う九条の改悪を含んだ改憲を、三年後には行うことを政治目標と表明している。再び、言論・表現の自由が奪われるような道を歩むことを、私たちは決して許ざない。

参院選を前に、先進国中最悪の日本の最低賃金制度を改善すべきとの声が、政府内外からあがっている。しかし、ワーキングプア、ネットカフェ難民など、貧困を象徴する新語が次々と登場する今、格差は拡大するばかりだ。報道機関として公正を追求する立場にありながら、民放産業内の格差はますます深刻化している。産業内に蔓延する偽装請負や違法派遣を一掃し、企業内最賃協定から、民放の産業別最低賃金の確立に繋げる私たちの取り組みには、もはや一刻の猶予も許されない。
また、放送局構内で生じている全ての争議をただちに解決させることが、放送が安心して働ける産業であることの証となる。きょう、私たちは朝日放送SE争議、長崎ビジョン争議、RFユニオン争議、エフエム802争議の支援に全力をあげることを確認した。

今、放送の自律や独立性が蝕まれ、放送への信頼は危機に瀕している。この危機を克服していく力の源こそ、放送の職場に働く私たち労働組合でなければならない。
労働組合が、民放産業から貧困を一掃していく拠点となろう! 労働組合が市民・視聴者の放送への信頼を取り戻す拠点となり、魅力ある放送の明日を切り拓こう!

二〇〇七年七月二八日
日本民間放送労働組合連合会
第一〇五回定期大会
 

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国民投票法案の「成立」に抗議する談話

2007年5月14日
日本民間放送労働組合連合会
中央執行委員長 碓氷 和哉

 本日、参院本会議において、改憲の手続きを定める国民投票法案が採決され、自民・公明等の賛成多数により可決・成立とされた。かねてから私たちはこの法案に多くの問題点があることを指摘し、慎重審議を求めてきた。にもかかわらず行われた本日の本会議採決に強く抗議する。

 地方で開催された公聴会での公述人の発言や、各種の世論調査等をみても、「この法案の審議を急ぐべきでない」とする意見が多数を占めていた。そのような中で、憲法改定という重大なテーマに直結する法案を与党が強引に審議日程を決め、中央公聴会すら開催せずに採決に踏み切ったことは、十分な議論によって合意をめざしていくという民主主義のルールを無視したもので、強い怒りを覚える。

 法案の内容も、最低投票率や絶対賛成率の定めは設けられず、国民投票運動における公務員・教育者の「地位利用」禁止規定もあいまいなまま残された。私たちがとくに懸念を感じていた、憲法改定に関する有料意見広告規制のあり方や、無料意見広告の扱いを国会議員によって構成される「広報協議会」が取り仕切るうえに、「政党等」にのみ保障される問題など、民主主義社会に不可欠な言論・表現の自由にかかわる重大な問題点を含んでいたにもかかわらず、ほとんどまともな議論がされないまま採決に至った。参院憲法調査特別委員会での法案採決に際して、関連する付帯決議が18本も付されていること自体が異常であり、法案の審議が拙速・不十分であったことを雄弁に物語っている。

 今回成立した国民投票法には根本的な欠陥があり、一日も早い廃止が求められる。

 私たちは、国民主権の原則を踏みにじる今回の暴挙に強く抗議するとともに、日本を再び「戦争のできる国」にさせず、この手続法の発動による憲法改悪を阻止するために、よりいっそう強い決意で臨むことをここに表明する。

以 上

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国民投票法案の参院での廃案を求める声明

2007年5月10日
日本民間放送労働組合連合会
中央執行委員会

 現在、参院憲法調査特別委員会において、改憲の手続きを定める国民投票法案の併合修正案が審議されている。この修正案には原案をさらに改悪した内容が含まれていると言わざるを得ず、私たちはこの案に改めて強く反対を表明する。

 法案では、改憲案が発議されると国会議員で構成する「広報協議会」を設置し、改憲案について放送、新聞などを通じて国民に広報することにしている。その際、改憲案に賛成・反対の意見広告を放送や新聞に無料で行えるのは「政党等」に限定されている。これでは国民のあらゆる層の意見表明、とりわけ「政党等」に所属しない団体・個人の意見を表明する機会を奪うことになり、改憲を発議した権力が改定を実現するために自らに都合よくメディアを利用することになる。

 また、「政党等が録音し、又は録画した意見をそのまま放送しなければならない」とする条項(106条4項)が公職選挙法の規定を何ら検討することなく法案に新設されたことは、放送の自立を脅かし、放送法が保障する編集の自由に直接抵触する重大な問題をはらんでいる。

 さらに、104条は「一般放送事業者…は、国民投票に関する放送については、放送法第三条の二第一項の規定の趣旨に留意するものとする」と、広告のみならず放送番組全体が対象にされている。このような規定をあえて法案に潜り込ませることは、行政による恣意的な拡大解釈や、それに基づく行政指導の根拠とされるおそれが強く、容認できない。この規定の対象がことさらに「一般放送事業者」として民放などに限定されていることにも強い疑問を抱く。

 テレビ等の有料意見広告については「投票期日前14日間は禁止」とされているが、その禁止期間の合理性について何の説明もない。広告の法的規制は「表現の自由」の根幹に関わる重要な問題であり、国民各層が公正・公平に意見表明を保障する措置こそが必要であり、そのために時間をかけた慎重な審議こそが求められる。

 最低投票率や絶対賛成率の定めがないのも甚だ問題である。国のあり方を示す憲法の改定には、でき得る限り多くの民意を問うことが必要であり、投票率の如何によらず「その過半数の賛成」を以て可能とするのは、改定の要件を定めた憲法96条の精神を踏みにじるものである。

 さらに、国民投票運動における公務員・教育者の「地位利用」禁止規定も、何が「地位利用」にあたるのか、いかようにも拡大解釈され、改憲という、意見表明の自由をもっとも保障されるべき機会を多くの人から奪うことにつながる。このほか、発議から投票までの期間が最短では60日と、国民的な議論を喚起するにはあまりにも短か過ぎることなど、多くの問題点について検討が尽くされたとは到底思えない。

 このように議論の不十分な法案を、今国会で成立させなければならない理由は何ら見当たらない。世論調査やアンケート結果などを見ても、国民の間では国民投票法案の早期成立を求める声はほとんどなく、法案の内容さえ浸透しているとは言いがたい状況にある。

 憲法の改定は、国民主権の原則に立って可能な限り民意を正確に反映できる形で行われるべきであり、政府や政党の思惑によってその手続きを定める法案を拙速に成立させてしまうことは、必ず将来に大きな禍根を残す。この国民投票法案は徹底審議の上でいったん廃案にし、そのうえで憲法改定の必要性と、それにともなう国民投票のありかたをめぐって根底から議論しなおすべきであることを、強く訴える。

以 上

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国民投票法案の強行採決に抗議する声明

2007年4月12日
日本民間放送労働組合連合会
中央執行委員会

 自民・公明の与党は本日、衆院憲法調査特別委員会において、改憲の手続きを定める国民投票法案の修正案を強行採決した。中央・地方の公聴会で、さまざまな立場の公述人が一致して「拙速な審議は避けるべき」と訴えていたことも無視して、乱暴な採決により強引に審議を終わらせてしまったことに対し、怒りをもって抗議する。

 修正法案の内容は到底認められない。法案では、改憲案が発議されると国会議員で構成する「広報協議会」を設置し、改憲案について放送、新聞などを通じて国民に広報することにしている。その際、改憲案に賛成・反対の意見広告を放送や新聞に無料でおこなえるのは「政党等」に限定されている。これでは国民のあらゆる層の意見表明、とりわけ少数意見を表明する機会を奪うことになり、権力が憲法改定を実現するために自らに都合よくメディアを利用することになる。

また、テレビ等の有料意見広告についても「投票期日前2週間は禁止」とされているが、その禁止期間の合理性について何の説明もない。広告の法的規制は「表現の自由」の根幹に関わる非常に重要な問題であり、国民各層にわたる時間をかけた慎重な審議こそが求められる。

 最低投票率に定めがないのも甚だ問題である。国のあり方を示す憲法の改定には、本来、でき得る限り多くの民意を問うことが必要であり、投票率の如何によらず「その過半数の賛成」を以て可能とするのは、改定の要件を定めた憲法96条の精神を踏みにじるものである。

さらに、国民投票運動における公務員・教育者の「地位利用」禁止規定も、何が「地位利用」にあたるのか、いかようにも拡大解釈され、改憲とういう、意見表明の自由をもっとも保障されるべき機会を多くの人から奪うことにつながる。このほか、発議から投票までの期間が最短では60日と国民的な議論を喚起するにはあまりにも短か過ぎることなど、多くの問題点について、審議の過程で検討が尽くされたとは到底思えない。

 このように議論のまったく不十分な法案を、今国会で是非にも成立させなければならない理由は何ら見当たらない。世論調査やアンケート結果を見ても、国民の間では国民投票法案の早期成立を求める声はほとんどなく、法案の内容さえ浸透しているとは言いがたい状況にある。

憲法の改定は国民主権の原則に立って可能な限り民意を正確に反映できる形で行われるべきであり、政府や政党の思惑によってその手続きを定める法案を拙速に成立させてしまうことは必ず将来に大きな禍根を残す。この国民投票法案は徹底審議の上でいったん廃案にし、そのうえで憲法改定の必要性とそれにともなう国民投票のありかたをめぐって広く議論しなおすべきであることを、強く訴える。

以 上

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放送法改定案に反対する声明

2007年3月30日
日本民間放送労働組合連合会
中央執行委員会

 政府は放送法の改定案を今国会に提出する準備を進めている。改定案では、関西テレビの『発掘!あるある大事典U』の捏造問題を受けて、「虚偽の説明により事実でない事項を事実であると誤解させるような放送であって、国民経済又は国民生活に悪影響を及ぼし、又及ぼすおそれのあるもの」を放送した放送局に対して、総務大臣が「再発防止計画」の提出を求め、大臣の意見を付けて公表するという制度が新たに導入されている。
 
 確かに、実験データやインタビュー内容を捏造して放送した今回の事件が放送に対する信頼を失墜せしめ、社会から強く指弾されていることは紛れもない事実であり、放送局と番組制作者の責任は厳しく問われなければならない。しかし、今回の事件を契機に、行政機関が放送番組の内容に踏み込んで行政権限を行使し、強化しようとすることは、憲法・放送法が保障する表現の自由・番組編集の自由を守る立場から、決して容認することはできない。

 改定案には、「虚偽の説明」や「事実でない事項」を判断する主体が行政当局になること、菅総務相の国会答弁によれば、対象となる番組がほとんどすべての番組に及び、放送法三条の二「報道は事実を曲げないですること」を大きく拡大解釈するものとなることなど、もっと慎重に検討されるべき問題が数多く残されている。さらに、「放送倫理・番組向上機構(BPO)」が今回打ち出した「放送倫理の確立と再発防止に関する委員会(仮称)」の新設など、放送界の自主的な取り組みをまったく無視していることにも、強い疑問を抱かざるをえない。放送上で発生した問題は、第一に視聴者と放送局の関係のなかで自律的に解決されるべきである。行政機関が免許権限を背景に強権的に放送内容に介入することは、公権力から完全に独立した存在として、国民の知る権利に奉仕すべき放送局の使命を根本的に脅かすことにつながりかねない。  

 また改定案では、複数の放送局を支配できる「認定放送持株会社」制度を導入するとしている。 日本の放送制度は、特定の資本が複数の放送局を支配することを規制した「マスメディア集中排除原則」を放送局開設の根本的基準としている。これは民主主義社会の基盤を支える情報・意見の多様性・多元性・地域性を確保する目的で設けられた規律であるはずだ。改定案のように特定資本が多数の放送局を支配下に置くことを容認することは、この原則をないがしろにして巨大資本によるメディアの寡占化を推進するもので、少数意見や多様な意見の表出の機会が奪われ、言論・表現の自由を著しく損なう危険性をはらんでいる。今回の「放送持株会社」制度導入の論議は市場原理による規制緩和の流れに沿ってなされており、放送の公共性や戦後の放送制度を支えてきた県域免許原則に与える影響などの検討が十分になされていない。  

 私たちは、言論・表現の自由を危うくし、その多様性を失わせる今回の放送法改定に強く反対し、その撤回を求めるものである。

以 上

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民放労連第104回臨時大会アピール

 今年は全国的な暖冬により各地の平均気温もこぞって上昇する暖かい日々が続いている。この異常な気候は、人の営みが自然の姿を大きく変えていく地球温暖化の序章に他ならない。本来、四季折々の美しい景色と恒久的な平和、そこに暮らす人々の笑顔があってこそ真の「美しい国」の姿といえるのではなかろうか。
 民放労連第一〇四回臨時大会は、『春闘の「力」を取り戻し、貧困と格差の拡大にNOを!』をスローガンに、東京・両国で開催された。

 今、非正規労働者の数や生活保護基準以下の収入しか得られないワーキングプア、貧困層は急激に拡大している。政府は「格差社会」という深刻化する問題を野放しにしているといっても過言ではない。私たち報道機関に働く者は、この社会的な問題を多くの国民に広く知らせるべき立場にある。しかし私たちの属する産業は、他産業にも増して「偽装請負」といえる雇用実態があたり前のように横行し、長きに渡り格差を拡大してきた。また、企業内における最低賃金のルールが存在している企業も極めて少ない。今こそメディアとしての社会的責任を果たすべく、放送職場に蔓延する「偽装請負」の撲滅と企業内最低賃金制度の確立を求め、格差是正に産業をあげて取り組む姿勢を示さなければならない。

 先日、放送メディアとしての信頼を著しく損なう重大な事件が起きた。社会的影響力を持つ公共の電波という国民の財産を付託された放送局だからこそ、言論・表現の内容について重大な責任を負っている。私たちはこのことを決して忘れてはならない。
 一方、言論や表現の自由は、いかなる場合であっても権力によって脅かされるものではない。いつの時代も、平和な社会でこそ言論と表現の自由は保障されるのである。しかし昨年、全国の民放が指定公共機関とされ有事体制に組み入れられた。さらに平和憲法そのものを再び戦争のできるものとし、国家が国民を規律する憲法に変えようとする動きが一層強まっている。私たちはメディアに働く労働者として、平和な社会の継続と権力からの報道機関の独立と自律を守りぬくために、国民と十分な議論も無いまま拙速に進められる改憲への動きを阻止し、「放送」を改憲に動員する国民投票法案に断固として反対する。

 昨年一二月、全国のテレビ局で地上デジタル放送が開始され新時代へと突入した。しかし華々しい幕開けと引き換えに、デジタル化を理由とした賃金カットや成果主義をはじめとする労働条件の一方的な変更など、経営側の相次ぐ攻撃にさらされている。放送労働者は、安定した生活と職場環境が確保されているからこそ、この国の文化に寄与する「放送」を創ることができる。また、政府が進める放送持ち株会社の立法化や県域放送免許原則の見直しなど、現行放送制度の基本的な考え方を根本から覆す提案を、私たちは厳重に監視していかねばならない。デジタル時代に即した視聴者本位の「放送」のあり方を明確に示すことが緊急の課題になっている。

 アメリカや財界の強い要求に唯々諾々と従って、労働組合の機能と労働者の権利を奪い取る労働法制の改悪がなされようとしている。私たちの命と健康を守る為にも断じて改悪を許してはならない。
 労働組合の「力」が大きく問われている。
 組織を拡大・強化し、労働組合が本来の「力」を取り戻す取り組みには、もはや一刻の猶予もない。今こそ、横断的な幅広い団結をもって運動に取り組む春闘の「力」を復権させなければならない。
 生涯賃金改善に直結する「ベア」を勝ち取り、格差と貧困の解消や権利の獲得、朝日放送SE職場・長崎ビジョンをはじめとする、民放内の全ての争議を解決する最大の反撃の舞台として、07春闘に民放産業全ての労働者が結集して闘おう。私たちの「力」によって放送の未来を切り開こう!

2007年1月28日

日本民間放送労働組合連合会
第104回臨時大会

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「発掘!あるある大事典U」捏造事件についての見解

                           2007年1月26日
                           日本民間放送労働組合連合会
                            中央執行委員会

 関西テレビが制作し、フジテレビ系で1月7日に全国放送された『発掘!あるある大事典U』で、「納豆によるダイエット効果」を取り上げた番組内容が、データやコメントの捏造などによる架空のものであったことがわかり、関西テレビは1月21日放送分を休止して番組を差し替え、その冒頭で5分間のお詫び番組を放送した。さらに関西テレビは23日、番組を打ち切り、社長ら3人の役員報酬3カ月カット、制作局長、東京支社制作部長、同制作部プロデューサーの解職など、責任者10人の処分を発表した。

 番組の放送後、スーパーや小売店では納豆の品切れ、品薄状態が続き、生産メーカーも増産体制に入るなど社会現象にまでなった。それだけに、公共の電波を預かる放送局が視聴者・消費者の信頼を裏切ることになった責任は、非常に重大なものがある。

 その一方で、事件を招くことになった背景にある番組制作のチェックシステムや視聴率至上主義は、ひとり関西テレビのみの問題ではなく、民間放送全体が抱える構造的な問題でもある。すべての放送局やプロダクションが事件を真摯に受け止め、ただちに改善に取り組むことを求める。

 今回の事件に際して、私たちは取り急ぎ以下の各点を提起する。

1、 徹底的な事実関係の解明と放送を通じての公表
 関西テレビは外部の有識者による調査委員会を立ち上げ、事実関係の調査を行うとともに、同番組の過去の放送分についても事実と異なる内容や部分がなかったかなどについても調べ、あわせて再発防止に取り組む方針を表明しているが、放送局の社会的使命からいって当然の責務と言える。一刻も早く事実関係を究明し、得られた結果は細大漏らさず、放送を通じて視聴者に明らかにすることが求められる。仮に、調査結果の開示が不十分であったり、結果の公表がいたずらに遅れるようなことがあれば、民間放送への視聴者の信頼は完全に失墜することを関係者は銘記すべきである。

2、ゆとりある制作環境を今こそ現場に
 現在、多くの番組が放送局から番組制作会社(プロダクション)に制作委託され、そのプロダクションも、番組の一部の取材・編集などをさらに別のプロダクションに発注するという多重構造になっており、すでに番組制作の拠点は放送局の外部にあると言われて久しい。こうしたなか、プロダクションに対する放送局の「優越的地位の濫用」も払拭されたとは言えず、番組制作者は"上下関係"のなかで仕事をせざるを得ない状況にある。

 意図的に発言と異なる内容の字幕を付け、おこなっていない実験データを示す、といった今回の捏造行為は非常に悪質で、同情の余地はない。しかしながら、放送局には、プロダクションに誠実な番組作りを促すためにも、余裕のある制作期間と十分な制作費を提供し、プロダクションが安定した労働環境を確保できるようにすることが自らの社会的責任として求められている。番組制作に情熱を燃やす放送労働者を過酷な労働環境に追いやり、使い捨てるような現状はただちに改善されなければならない。

3、視聴率至上主義の番組づくりに反省を
 日本では健康志向の高まりから、ダイエット情報や健康食に関心が集まっており、高い訴求力を持つテレビ・ラジオはその情報源として大きな役割を担っている。そのため、健康食品などのCMについては、各放送局が自主基準に従って慎重な考査を行っている。

 しかし企業利益の追求に走るあまり高視聴率獲得のみを目的化し、それを狙って事実を誇張し、派手な演出を伴ってセンセーショナルに番組化する手法があらゆる番組に蔓延している。視聴率至上主義のために、番組内容や表現に対するチェックの甘さに結びついてはいないか、今こそ真剣な反省が必要であろう。

 とくに食品など人々の生命や健康に関わる問題を取り上げる場合には、いっそう慎重な姿勢が求められる。すべての放送局は今回の事件を機に、健康に関する情報番組のあり方について検討の場を設け、謙虚な見直しをすべきである。

 最後に付言すれば、総務省はこのところ放送番組で問題が起きるたびに、放送局に対して厳重注意処分を行っており、処分の際には放送局の社長を役所に呼びつけて直接言い渡す、というやり方がめだつ。事件を引き起こした関西テレビの責任は決して免れるものではないが、このような恫喝とも言える行政の手法は、放送局の制作や報道現場の権力に対する姿勢を萎縮させることにつながり、容認できない。

 番組で生じた問題は、あくまでも視聴者との相互の関係の中で解決・処理していくことが原則である。その意味ではメディアとしての自浄能力や視聴者への責任が、今こそ厳しく問われていることに、私たちは眼を背けてはならない。

以 上

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NHKに対する国際放送命令の強行に抗議し、撤回を求める

                           2006年11月10日
                           日本民間放送労働組合連合会
                            中央執行委員会

 菅総務相は本日、NHK短波ラジオ国際放送で、北朝鮮による日本人拉致問題を重点的に取り上げるよう(「拉致問題に特に留意すること」を求める)、NHKに対して放送実施命令を行った。個別具体的な放送内容を取り上げて命令することは放送への不当な介入にほかならず、憲法が保障する表現・報道の自由、放送法が保護する放送の自由、番組編集の自由などの基本原則を侵害することは明白である。私たちは、国民的な論議もないままに命令を強行したことに強く抗議するとともに、命令の速やかな撤回を求める。

 菅総務相はまた、NHKのテレビ国際放送についても来年度予算案に3億円の費用を盛り込み、放送命令の対象を広げる考えを明らかにしているし、そのうえ6月の政府与党合意に基づいて、映像による国際放送の強化のために、民放からの参加も求めNHK子会社を新たに設置する方向で検討委員会等を通して準備を進めている。私たちは、対外プロパガンダのための国際放送組織が、国策に沿った形でNHKや民放により設立されるとしたら、この国の放送の自由と独立、そして放送ジャーナリズムの前途に重大な困難をもたらすことになると考え、これにも強く反対の意を表明する。

 そもそも、現行の放送法が規定する命令放送制度と、それに基づく従来の命令そのものが、憲法・放送法が保障する放送の自由・独立という根本原則と相容れないものであり、廃止の方向で検討すべきものだと考える。私たちは、政府がこの機会に、命令放送制度の廃止を含む放送法の抜本的改正に向けて検討を始めることを強く求める。

以 上

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NHK「命令放送」に反対する声明

                           2006年11月1日
                           日本民間放送労働組合連合会
                            中央執行委員会

 菅義偉総務大臣は10月24日、NHK短波ラジオ国際放送で北朝鮮による拉致問題を重点的に取り上げるようNHKに対して命令を発することの是非を、11月8日に予定されている電波監理審議会に諮問する方針を明らかにした。さらに菅総務相はテレビの国際放送についても、07年度政府予算の概算要求で3億円を盛り込んだうえで、今後は総務大臣が指定する内容の放送を命令できるとの認識を国会答弁で明らかにしている。

 確かに現行の放送法によれば、総務大臣がNHKに対して「放送事項」等を指定して国際放送を命じることができるとされている。しかし、これまでは例年「時事」「国の重要な施策」「国際問題に関する政府の見解」というごく抽象的な内容の命令が出されているにとどまり、拉致問題のように外交問題に直結する個別の政治課題について、具体的に踏み込んでNHKに放送を命令したことは過去に例がない。この規定に言う「放送事項」が個別課題にまで及ぶものではないとの解釈で一貫してきたことは明らかだ。総務省は電波監理審議会への諮問する方針を撤回すべきだ。

 そもそも放送法では、放送による表現の自由の確保、放送番組編集の自由が大前提として規定されており、政府は放送の不偏不党を保障することが求められている。にもかかわらず、総務大臣が拉致問題という個別具体的な内容に踏み込んでNHKに放送を命令することは、放送に対する明白な政治介入で、表現の自由への重大な侵害といわざるを得ない。

 今回の命令が強行されれば、NHKの国際放送は日本政府のプロパガンダの道具だという認識が諸外国に広まり、報道機関としてのNHKの国際的な信用が失墜することが懸念される。さらに、総務省はテレビの国際放送強化のために民放からの出資も求めて、NHK子会社を設置する方向で検討中だ。テレビの国際放送にまで命令放送が実現すれば、今後、政府による放送内容への介入がなし崩し的に拡大していくおそれもある。

 報道機関にとって、政府や国家権力からの独立は、欠かすことのできない絶対的な条件である。私たちは、放送に携わるものとして、今回のような放送命令に強く反対する。そして、命令放送制度そのものが憲法・放送法の精神に反するとの認識に立ち、国会の場において制度廃止の方向で議論すべきであることを訴えたい。

以 上

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憲法改定のための「国民投票法案」に反対する民放労連の見解

                           2006年10月6日
                           日本民間放送労働組合連合会
                            中央執行委員会

 2006年5月26日、自民・公明の与党と民主党はそれぞれ日本国憲法の改定手続きに関する「国民投票法案」を衆議院に提出、現在、両法案は継続審議となっている。

 『普通の国になろう』という耳あたりの良い言葉の陰で、自衛の名の下に同盟国と一緒に侵略戦争さえできる国にしかねない憲法改定を意図しながら、そのための手続きを定めようとするこれらの法案は、今の日本にとって緊急の必要に迫られたものとは到底思えない。両法案は憲法改定のための調査を行い、改憲の原案を提出できる「憲法審査会」を設置するとしており、法案成立と同時に憲法改定の具体的な手続きに入ることを可能にする、改憲手続き始動法案と言わざるを得ない。

 とくに、提出された両法案には共通して、放送倫理や表現の自由の観点から私たち放送労働者が容認できない、以下のような重大な問題点が存在する。

@ 広報協議会の構成について
 憲法96条の定めにより、衆参両院議員の三分の二以上の賛成をもって憲法改定の発議が行われたとき、その改定案の内容を国民に周知させるため、「国民投票法案」の与党案では「憲法改正案広報協議会」、民主党案では「国民投票広報協議会」を設置することとしている。これら「広報協議会」の委員の構成は、いずれも国会の各会派の所属議員数を踏まえて各会派に割り当てられるとされているが、国会が憲法改定の発議を行うということは、憲法改定に賛成する議員が両院で三分の二以上を占めていることを意味するから、広報協議会の構成も憲法改定に賛成する議員が三分の二以上を占めることになる。そのような広報協議会によって行われる憲法改定案の広報は、憲法改定に賛成することを強調するものとなることが避けられず、反対派の意見が十分に反映されなくなる危険性が高い。
広報協議会は憲法改定に賛成・反対の意見を「公正かつ平等に扱うものとする」といずれの法案にも記載はあるものの、これで広報の公正性が担保されるとはとても考えられない。そもそも、国のあり方にかかわる重要な問題については、多様な言論、表現がなされてしかるべきであるのに、国会議員のみによって構成される「広報協議会」という単一の組織による広報活動は、国会議員が自らの発議した改定案を主権者たる国民に押し付けることになりはしないだろうか。

A放送を利用した無料広告について
 両法案では、政党等が新聞とともにラジオ・テレビのCMなどを利用して無料で、即ち国費によって広報活動ができるように定められている。しかしここでも、CMの放送時間等については各会派の所属議員数を踏まえて広報協議会が定めるものとされている。これでは、前記と同様の理由で、憲法改定に賛成する内容のCMが、反対する内容のCMより圧倒的に長時間、多数回にわたって放送されることになる。憲法改定に賛成・反対の意見を国民が平等に受け取るためには、それらの意見が同等の時間、回数で放送されるようなルール作りが最低限必要であろう。また、この無料広告を利用できるのが「政党等」に限定されていることも、主権者たる国民の表現の自由、広告の自由の観点から重大な問題をはらんでいる。

B広告の放送規制について
 両法案とも、国民投票の七日前からは、政党等による無料広告を除いて、テレビやラジオを利用した広告・広報活動を禁止している。政党等の広報活動ばかりを重視して、市民や民間団体などによる表現行為を制限するこの規定は、国民の知る権利や表現の自由を著しく侵害するもので、憲法違反と言うべきである。
 一方で、有料の広告活動について両法案とも何ら言及していない点にも懸念を抱く。大きな経済力をもつ者は、大量のCM放送枠を買い占めて一方的な宣伝活動を行うことが可能であり、そうすると放送法三条の二が求める「政治的に公平であること」「意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること」に抵触する状態を招きかねない。社会的強者が、大量にイメージ広告を打って情報操作するための道具として放送を利用することは、国民の共有財産である放送波を私物化するもので、断じて許されない。国民各層が平等に放送を利用できるようなルール作りを、慎重に進める必要がある。

 このほか、発議から投票までの周知期間が短すぎること、公務員や教職員の「国民投票運動」が与党案では厳しく制限されていること、投票の方式や投票数の数え方の問題など、「国民投票法案」が重大な問題を抱えていることが各方面から指摘されている。このように多くの問題があり、さまざまに批判の強い法案を国会で審議しようとすること自体に、私たちは強く異を唱えたい。

 日本国憲法が第21条において表現の自由を保障しているのは、国民が言論・表現活動を通じて政治的意思決定に参加し、民主主義による政治を維持、発展させていくことを期待してのことである。そのためには多様な言論・表現が国民によっておこなわれ、受け取られる必要がある。国民の知る権利や表現の自由を侵害し、放送の公共性を危うくするおそれの強い今回の「国民投票法案」は、ただちに廃案にすべきだと私たちは考える。
この法案が十分な議論がないまま可決・成立し、「憲法改悪」への道を開くようなことは断じて許されてはならない。

以 上

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朝日放送SE争議の中央労働委員会不当命令に抗議する

                           2006年10月6日
                           日本民間放送労働組合連合会
                            中央執行委員会

 中央労働委員会は本日、朝日放送のSE(音響効果)職場で26年にもわたって働き続けてきた安部昌男組合員が、大阪東通の民事再生法申請と東通への営業譲渡を契機に解雇・失業状態となっている事件につき、私たち民放労連他による再審査申し立てを不当にも棄却する命令を発した。

 中労委命令は、朝日放送が雇用契約の直接の当事者でないという一事によって朝日放送の安部組合員に対する使用者責任を免罪した、先の大阪府労働委員会による不当命令を基本的にそのまま踏襲するものである。
 本件の私たち申立人は、そもそも安部組合員が朝日放送管理職の面接によって採用され、以後朝日放送構内で就労し続けてきたこと、その就労実態は「請負」契約でありながら直接の指揮命令は朝日放送がおこなう「偽装請負」であったこと、安部組合員がこうした違法実態を告発し朝日放送の責任を問う長期争議をたたかってきたこと、その結果として朝日放送の使用者責任を認定する最高裁判決を引き出した当事者であったこと、朝日放送が大阪東通に代表取締役を派遣し同社の民事再生と営業譲渡にももっとも大きな影響力があったことなど、朝日放送の逃れようのない責任を明らかにする事実を繰り返し明らかにしてきた。にもかかわらず中労委命令は、こうした事実を真剣に検討することなく、「たとえそうした事情があったとしても」の一語で片付け、すべての判断を大阪東通と安部組合員の間の直接の雇用契約が同社の民事再生と営業譲渡によって消滅したことに帰着させ、朝日放送の責任をすべて免罪するものとなっている。

 このところ、「請負」を偽装して使用者責任を免れようとする事業者の社会的責任を指弾する声が急速に高まりつつある。安部組合員は26年間にもわたって朝日放送のSE職場でその指揮命令の下に就労し続け、こうした偽装請負をすすめてきた朝日放送との長年のたたかいによって就労継続に配慮する旨の協定書までかちとってきた経緯がある。こうした特別の事情を持つ本件のようなケースでさえ「請負」の発注を偽装して働かせ続けてきた経営者の使用者責任を問えないのであれば、いま社会に蔓延する「偽装請負」はすべて免罪される端緒ともなりかねない。中労委の今回命令の与える影響は甚大であり、非正規雇用が限りなく拡大を続け、社会の不平等なまでの格差が深刻化している中、今回の不当命令は強く批判されねばならない。

 私たちは今回の不当命令に強く抗議するとともに、この命令に屈することなく、安部組合員が職場復帰を勝ち取るその日まで、ともにたたかい続ける決意をここに改めて表明するものである。

以 上

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民放労連第103回定期大会アピール

  記録的な集中豪雨により甚大な被害を日本各地にもたらした今年の梅雨。8月を目前にようやく梅雨明けの兆しがみえはじめてきた。しかし私たちの生活や職場に暗雲は立ち込め、未だに回復の兆しは見受けられない。格差社会の拡大に象徴されるよう、労働者や弱者の頭上を覆い、より一層の厚みを増して光さえ届かない社会に変貌するのではと、多くの国民が不安を抱いている。

 民放労連第103回定期大会は、「労働組合を再生し、平和で公正な社会を築こう!」をスローガンに、杜の都・仙台で開催された。

 メディアは弱肉強食の格差社会の拡大を報道し、市民に疑問を投げかけている。しかし、私たちの職場では、社会的公正が保たれているであろうか。今大会ではテレビ朝日クリエイトの仲間たちを新たに迎えた。相次ぐ放送関連・プロダクションの組合結成、労連加盟は、民放に内在する労働形態の多重構造や、著しい低賃金・過重労働環境の存在を象徴している。また、今の民放内の争議は全て関連・プロダクションの職場で起こっている。私たちは報道機関の立場からも民放内の格差を是正し、解雇争議である朝日放送SE争議をはじめとする全ての争議解決を目指さなければならない。

 今年12月までに、全国のテレビ局で地上デジタル放送が開始される。しかし、デジタル化を理由とした経費の削減や合理化によってアナログ時代に培った放送が衰弱することは許されない。一方、政府の懇談会では、市場主義のみを背景にした報告書が発表され、視聴者の存在を無視するかのような内容も含まれている。しかし市場や株主のためでなく、視聴者の立場にたった放送の公共性やジャーナリズムこそが維持されなければならない。

 言論や表現の自由が脅かされている。今年2月、ついに全ての都道府県で民放が指定公共機関に指定され有事体制に組み入れられた。既に事実上の軍事演習というべき訓練への参加が既成事実化されようとしている。私たちは権力からの報道機関の独立と自律をなんとしても守りぬかなくてはならない。また、個人のプライバシーを守るという個人情報保護法が逆用され、国家権力により報道の制限が行われるという弊害も出てきている。さらに、国民投票法案や共謀罪の審議は9月に予定される臨時国会に継続される。特に、平和憲法改悪に道をひらく国民投票法案では、放送媒体を使って有料意見広告を行うようになっており、財力の格差によって著しい情報格差をつくり出し、政治的公平を危うくする恐れがある。

 今大会では、労働組合の機能や役割について真剣な議論がなされた。
 デジタル化をはじめとする放送を取り巻く環境や時代は大きく変わってゆく。しかし労働者という弱者が、使用者と対等な立場で交渉できる唯一の手段が労働組合であることは、ゆるぎない事実である。
労働組合とは、労働組合法に保障された「労働条件の維持改善、経済的地位の向上」を主たる目的として結成される団体である以上、民放内の様々な問題や争議に対し、勇気と確信をもって運動を推し進める役目を担っている。それが視聴者・聴取者に信頼される放送の確立にもつながる。
  今こそ労働組合を再生し、平和で公正な社会を実現しよう。

 2006年7月30日

日本民間放送労働組合連合会
第103回定期大会

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沖縄のマスコミ労働者と連帯し、
放送局の指定地方公共機関化に断固反対する声明

                           2006年2月6日
                           日本民間放送労働組合連合会
                                中央執行委員長 碓氷 和哉

 沖縄県内の民放五社は1月31日、沖縄県に対して「指定地方公共機関に関する意見書」を提出、県はただちに2月2日付で「放送事業者の立場を尊重」する旨の「回答」を発した。このプロセスは本土の多くの放送局が、労働組合をはじめとする「指定地方公共機関」化を強く危惧する声に対する指定受諾のためのエクスキューズとして、言わば常套的に踏襲されてきた手法と同様であり、沖縄民放五社は横並びで受諾のための条件整備に動き出したものとしか考えられない。

 本土の放送局はごく一部を除き、既に「指定(地方)公共機関」となることを受諾しており、いま沖縄の放送局が指定を受けることになれば、全国の放送局が「国民保護」の美名のもとに有事=戦争体制に組み込まれることがほぼ完成する。

 私たち民放労連は放送局の「指定(地方)公共機関」化が、報道機関の権力からの独立性を脅かし、報道の自由を危険にさらすものとして当初から強く反対を表明してきた。事態はその後私たちが憂慮したとおりに進んでおり、いったん指定されるや県当局からの要請があれば唯々諾々として「国民保護協議会」に参加して「国民保護計画」策定に参画し、「国民保護訓練」にも参加するという放送局が続出している。自らが策定に参加した「国民保護計画」やその計画に基づく「国民保護訓練」を批判的、客観的に検証し報道していくことが、いったいどうすれば可能なのか。県からの一片の「回答」によって報道の自由が担保されることになるのか。報道機関の独立は県から保障されることによって確保されるものなのか。

 沖縄県の「回答」は、放送局に生じる「警報」等の放送の義務について、「伝達すべき内容の正確さが損なわれない限度において、放送事業者の自主的な判断に委ねる」と言う。しかしながら、そもそも政府の下す「有事」の判断の「正確」さを検証することこそが、報道機関に与えられた責務ではないのか。

 県の執拗な受諾要請に屈して各放送局が受諾に向けて進もうとする事態に、沖縄のマスコミ労働者は一致団結して、これを阻止するために立ち上がろうとしている。かつての戦争で、国家の宣伝機関として多くの県民を死に追いやった深刻な反省を忘れることなく、二度とこの過ちを繰り返さないとういう沖縄の仲間の決意を、私たちは重く受け止めなければならない。私たち民放労連に結集する全国の民放労働者は沖縄の仲間と強く連帯して、放送局の「指定地方公共機関」化に断固反対していくことを改めて表明するものである。

以 上

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民放労連第102回臨時大会アピール

 放送のデジタル新時代が本格的に幕を開けようとしている。一方で昨年は、放送のあり方について、かつてないほど市民・視聴者から大きな注目と疑問がよせられた年になった。
 民放労連第一〇二回臨時大会は「放送の公共性を問い直そう!放送の社会的責任を果たそう!」をスローガンに、東京・両国で開催された。

 身近な存在になったネット社会が急速に発展する中、IT関連企業による放送局株買収をめぐる問題が大きな社会的問題として噴出した。資本の論理を振りかざし、利益のみを追求するIT事業者の考え方は、放送の公共性をないがしろにするものであり、民放が改めて放送の公共性とは何かを考えるきっかけになった。郵政改革を通過させた小泉規制改革路線は、次なるターゲットに「通信と放送の融合」を推し進めようとしている。

 私たちは、放送という影響力の大きいメディアの責任を感じながら、放送の公共性や社会的責任を実現する要求を掲げ運動に取り組んできた。しかし、放送局と関連会社の経営者たちは、利益至上主義・視聴率至上主義を最優先し、放送の社会的意義を単なる「お題目」と軽視し続けてきた。民放経営者は自らにかけられた攻勢に反撃する根拠に放送の公共性を前面に持ち出したが、市民・視聴者の共感や賛同を得るには至らず、むしろ冷笑さえ浴びる結果になった原因はここにある。私たち労働組合は、放送の公共性をいかに実現していくか、市民・視聴者との対話を今まで以上に進めていかなくてはならない。

 報道機関として権力を監視し国民の知る権利に奉仕する機能は、平和な民主主義社会が保障されることによってはじめて成立する。また民主主義社会が守られることによってこそ労働組合も活動できる。基本的人権をも脅かす憲法改悪の動きや、放送局を指定公共機関とする有事法制が行き着く先は、真実の犠牲と、かつてこの国が経験した暗黒の時代の再来といっても過言ではない。放送の公共性を守り抜く為にも、断固としてこの動きに反対の姿勢を貫かねばならない。

 今年は全国でデジタル放送開始が予定されている。総務省の想定する「アナログ停波」まで残された時間はあと五年足らず。スケジュールありきのデジタル化に、肝心の本業である番組づくりが犠牲になっている。人件費のカットや人減らし、深刻な健康問題を引き起こす過重労働が加速し、プロダクション・関連職場のすみずみにまで広がっている。もっとも大きな社会的責任を負うべき放送局が、CSR(企業の社会的責任)という言葉からもっとも遠いところにいる。
 民放経営者は、民放内にはびこる様々な問題や争議を放置している限り、真の放送の公共性を語る資格はない。

 放送に携わる労働者のひとりひとりが、放送の公共性や社会的責任を常に果たすべく日々の業務に邁進している。しかし、今の経営者の関心事は現場の思いとは大きく乖離し、表層的な決算数字のみに固執している。
 私たち労働組合は来るべき06春闘を、全国の組合員が横断的に団結をもって闘い、全ての労働条件の改善を目指す。同時に、放送の公共性を問い直し、放送の社会的責任を果たす運動を力強く進めていこう。

 明日の放送文化は放送現場を支える私たちに委ねられている。私たち自身が放送の公共性について、確信をもって語りうる放送文化を市民・視聴者とともに築き上げていこう。

 2006年1月29日

日本民間放送労働組合連合会
第102回臨時大会

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民放労連第101回定期大会アピール

 2005年、私たちは日本全国を焦土と化した「戦争」という悲惨な出来事から六〇年の節目を迎えた。
 六〇年という月日を積み重ね、日本は平和のうちに他国に例の無いような急速な発展を遂げてきた。しかし、華々しい成長とは裏腹に、競争至上原理に無批判に従ったことによる所得格差の拡大や、企業モラルの崩壊など、日本社会の病理とも言える数々の歪みが、今や深刻な社会問題として随所で噴出しはじめている。
 民放労連第一〇一回定期大会は、「放送の社会的責任を果たし、平和と公正を実現しよう!」をスローガンに富山市で開催された。

 今年四月、死傷者五百人を超えるJR史上最悪の事故が起こった。安全をないがしろにしてひたすらスピードアップに走った運行ダイヤが原因の一つと指摘されている。多くの人命を預かる極めて公共性の高い輸送事業にもかかわらず、企業間競争・利益至上主義に埋没した結果が最悪の事故に繋がった。
 同じように電波という国民の共有財産を付託されている民放産業は、社会的責任を果たしているだろうか。

 国家権力からの独立を守り報道の自由を確保することは、報道機関としての最も重要かつ基本的な社会的責任である。しかし、政府は武力攻撃事態法と国民保護法によって放送局を「指定公共機関」とし、有事体制に組み込んで国家権力の統制下に置き、放送の自由・独立性を奪おうとしている。私たちメディアに働く労働組合は、いかなる権力からも独立を担保し、公共性を貫いていく運動に責任もって取り組まなければならない。
 また、永久に戦争放棄を誓った世界に誇れる平和憲法は、国民的な議論も不十分なまま熱にうかされたような政治家たちの改憲論のみが強調され、再び「戦争のできる国」にしようとする動きが強まっている。平和な社会であってこそ、労働組合はその自由な活動がはじめて保障されるのであり、戦争によって常に最初に犠牲になるのは「真実」である。

 富山地区を皮切りに地上デジタルテレビ放送はローカル局にも拡大した。高画質や新たな機能を求め、受像機も徐々に拡大しつつある。しかし、デジタル放送は視聴者から期待される放送を実現することができるのだろうか。高額な設備投資とひきかえに、放送の現場はかえって人減らしが進み、肝心な番組づくりさえも縮小する傾向にある。新たな開局とも言われるデジタル化の中で、私たちの社会的責任はますます重大なものとなっている。デジタル時代の放送のあり方を真剣に追求していかなければならない。

  労働者を分断し個人の利益追求に走らせる成果主義の機能不全が広く知られるようになった。しかし放送産業では未だ導入を進める動きは止まない。また、重大な健康問題を引き起こす長時間労働もデジタル化の中で深刻化している。正社員を減らし、そのしわ寄せを劣悪な条件で契約・派遣労働者に押し付け、更なる発注単価切り下げも横行している。関連プロダクション労組の相次ぐ決起加盟はまさにその反映に他ならない。私たちはこの大会で新しい仲間を多く迎えるとともに、朝日放送SE職場、長崎ビジョン、大阪東通をはじめとする、民放内全ての争議を、全国の民放労働者の横断的な団結によって一刻も早く解決することを決意した。

 日本でラジオという放送メディアが誕生してから八〇年。その間、豊かな生活をもたらす文化発展の一翼を放送メディアは担ってきた。多様なメディアが氾濫する時代だからこそ、私たちは放送メディアが担うべき役割を再認識し、今まで以上に市民・視聴者からの信頼を勝ち取り、魅力と夢のある放送を提供していかなければならない。今こそ、放送の社会的責任を果たし、平和と公正を実現しよう!

 2005年7月31日

日本民間放送労働組合連合会
第101回定期大会

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「国民保護に関する基本指針(案)」についての民放労連意見

                           2005年3月11日
                           日本民間放送労働組合連合会
                                中央執行委員長 碓氷 和哉

 私たち放送局、放送プロダクションの労働組合で構成する民放労連は、武力攻撃事態対処法、国民保護法に基づく指定(地方)公共機関(以下、指定機関)に放送局を指定することに重大な懸念を表明し、強く反対してきた。
 報道機関の自律と独立は、言論、表現の自由を保障した憲法21条に基づく民主主義成立の根幹をなす要件であり、いかなる立場からも脅かされることがあってはならない。有事法制によって報道機関が指定機関となり、政府の指示のまま放送を義務づけられることは、報道機関の自律と独立の維持の面から受け入れがたいものと考える。

 政府が武力攻撃事態であるとしたときに、その判断がいかなる根拠に基づくのか、その妥当性を冷静に分析し、検証することこそが報道機関には求められる。政府の指示のまま「警報」等を放送しなければならず、一方でその判断に疑問を表明する報道をおこなえば、視聴者からの放送局の報道への信頼はたちまちに失われることになろう。政府の判断する「有事」に国民を巻き込む役割を報道機関が積極的に果たすのであれば、かつて「大本営発表」を垂れ流した戦前の報道機関の犯した誤りを再び繰り返すことになりかねない。

 今回公表された「国民保護の基本指針(案)」は、こうした私たちの懸念を裏付ける記述が随所に見受けられる。放送局を指定機関とすることについては、すみやかに撤回されることを何よりも求めたい。
 なお、国民の安全が脅かされ、危険な事態が発生するようなことがあれば、その事態を正確に伝え、被害を防止することに全力を尽くすことは報道機関としての当然の責務であって、有事法制による指定機関となるか否かとは無縁であることを念のため申し添える。

 そもそも示された「基本指針案」では、いわゆる武力攻撃事態や緊急対処事態に際して、国民をいかに「保護」するのかについての具体的な方針が示されておらず、この指針案に基づいて都道府県が「国民保護計画」を作成したり、指定機関が「国民保護業務計画」を作成することは事実上、きわめて困難と考える。指針案の抜本的な見直しを求めるものである。

 以下、指針案の各項目について民放労連としての意見を申し上げたい。

第2章 第1節 武力攻撃事態の類型
 武力攻撃事態を四類型に分け、その特徴や留意点が述べられているが、そうした事態の発生に際して、国民保護の具体的方策が前述のように何も見えてこない。「ゲリラ攻撃」「ミサイル攻撃」「航空攻撃」など、いずれの場合も目標の特定が困難であり、とりあえず「屋内への避難」を呼びかけるとしているが、これでは国民の不安をいたずらに増大させるばかりであろう。

第4章 第1節 住民の避難に関する措置
 ここは警報や避難の措置、指示について述べられているが、警報がどのようなものになるのか、ひな形の提示もない。にもかかわらず「警報の内容を速やかに放送する」ことを「業務計画」で具体的に定めることはおよそ不可能である。避難についても、避難先やそこに避難する交通手段や経路をいかに具体的に示すことができるのか。およそ何万人以上が対象となる避難をどう実現するのか。そのことについての基本的な方策を示すことこそが「基本指針」の役割ではなかったのか。およそ実現可能とは思えない「避難の指示」を「正確かつ簡潔に放送する」ことなど、できるはずもない。

同章 第3節 3(1)A武力攻撃事態等における措置
 ここでは都道府県公安委員会や海上保安部長等が指定した「立入制限区域」について、「テレビ、ラジオ等を通じた発表等により公示」とされている。「公示」を放送局に求める根拠が有事法制の中にあるのであれば、その根拠を示していただきたい。単に要請するという趣旨であれば、「公示」との表現は不適当であろう。

同章 第4節 1 情報の収集及び提供
 指定機関はその収集した情報を「管轄又は所管する指定行政機関の長に」「速やかに報告する」ことがここで求められいるが、そもそも報道機関が取材した内容の報告を義務づけることはいかなる場合であっても不適当である。

同節 2 (2)武力攻撃事態等における通信の確保
 指定機関が「無線局等の通信統制等を行うなど通信を確保するための措置を講ずる」とされているが、放送局をも対象とした記述であれば、「通信統制」とはいかなる措置を指しているのか、具体的に明示されたい。

同章 第7節 1 訓練
 ここでは広域にわたる訓練を資機材を用いて実践的におこない、これに指定機関も参加することが求められている。再三述べているように、実際に広域にわたる多数の住民の避難がどのようにして可能となるのかが、そもそも指針案には明確にされていない。精神論のレベルにとどまるような「訓練」に国民にも参加を求めることは、いたずらに国民の不安を増大させ、平時から戦争体制を構築していくことにつながりかねず、大変危険な発想と考える。このような訓練を実施し、報道機関にも参加を求めることはきわめて不穏当と言うしかない。
 かつて日本の軍部は国民に「防空大演習」を課し、戦時体制をつくりあげながら戦争への道を突き進んでいった。「演習」は実際の空襲には何の役にも立たず、何十万人もの無辜の国民が犠牲となった。日本が攻撃されかねない事態となったとき、政府はそのような事態が現実とならないために、いかに対応するべきなのかをこそ、まずもって国の基本指針として提示すべきであると考える。

第6章 国民の保護に関する計画等の作成手続
 ここでは業務計画の作成に際して、指定機関は「業務に従事する者等の意見を聴く機会を確保するほか広く関係者の意見を求めるよう努めるものとする」とされているが、労働組合との協議を義務として課すことを明確にすることを求める。また放送局においてはその業務は正社員以外の派遣、請負、フリーなどの労働者が混在しておこなわれている。こうしたいわゆる非正規の労働者が不利益を蒙ったり、自らの意思に反して危険な事態に巻き込まれるようなことがないよう配慮することを盛り込むことが必要である。

以 上

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全国都道府県知事に放送局を指定地方公共機関としないことを求める要請書

                           2005年3月9日
                           日本民間放送労働組合連合会
                                中央執行委員長 碓氷 和哉

 日ごろの行政のご努力に対し、心から敬意を表します。
私たち全国の放送局や放送プロダクションの労働組合で構成する民放労連(140組合、1万1千人)は、有事法制の国民保護法に基づく指定地方公共機関に放送局が指定されることに強く反対しています。

 言うまでもなく、憲法21条の保障する言論・表現の自由は、民主主義の根幹をなすべき、決して侵されることの許されない基本的権利であります。この権利を行使するためには、国民が真実を知ることが必要であり、そのためには国民に正確な情報を伝える報道の自由と独立があわせて保障されていなければなりません。報道機関には国民の知る権利に奉仕するウォッチドッグとして、公権力を監視する役割が本来的に期待されています。

 しかるに放送局がひとたび有事法制上の指定公共機関となれば、政府が武力攻撃や大規模テロのおそれがあるとした場合、そうした判断に十分な根拠があるものかどうか、報道機関として独自の検証をおこなうこともなく、政府の決定に従って「警報」等を放送することを義務づけられます。そればかりではなく、法案審議中に政府は「ある程度放送が制限されることは十分にありうる」とまで国会答弁で言明、言論統制の可能性を肯定しています。
政府が3月4日に発表した「国民の保護に関する基本指針案」では、指定公共機関に有事の際の職員配置方針などの組織体制について報告することや、平時から訓練に参加することを求めるなど、さまざまに問題のある規定が明記されています。また指定地方公共機関には都道府県の設置する「国民保護協議会」への参加が求められ、警察や自衛隊と共に有事体制づくりに参画することも想定されています。こうしたことが日常化すれば、報道機関と公権力との適正な距離が次第に失われ、報道機関としての独立性や自律が根本から脅かされることになりかねません。

 報道機関はかつて「大本営発表」を垂れ流し、国民を戦争に巻き込んで大きな惨禍をもたらしたことを深刻に反省し、「戦争のために二度とペンやカメラをとらない」ことを固く誓って再出発を果たしました。報道機関が有事体制に組み込まれ、政府・公権力の統制を受けることは、この誓いを破ることにつながります。

 民放労連に加盟する放送局の労働組合は、現在おこなわれている春闘での労使交渉で、各放送局経営者に指定地方公共機関となることを辞退するよう、強く求めています。各都道府県におかれても、報道の自由と自律を守ることの重要性を改めて認識され、放送局を指定地方公共機関に選定しないよう、放送で働くものを代表する対場から強く要請する次第です。

以 上

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民放連に指定公共機関の返上・辞退を求める申し入れ書

                           2005年3月7日
                           日本民間放送労働組合連合会
                                中央執行委員長 碓氷 和哉

 民放労連は、去る1月末に開催した臨時大会において、放送局が指定公共機関・指定地方公共機関(以下、指定機関)となることに反対し、指定に対しては辞退もしくは返上を求めていく方針を採択しました。この春闘においても、各組合がこの問題についてストライキ権を確立し、重点課題として取り組む方針です。
 言うまでもなく、報道機関には公権力から独立し、自律的な報道をおこなうことが最大の前提として確保されていなければなりません。報道機関は国民の知る権利に奉仕し、国民のためのウォッチドッグとして権力を監視する機能を本来的に期待されているからにほかなりません。

 有事法制の一環である武力攻撃事態法、国民保護法に基づく指定機関となれば、政府の指示によって「警報」や「緊急通報」等の放送をおこなうことが放送局に義務づけられます。しかしながら私たち報道に携わるものには、政府が武力攻撃や大規模テロの可能性があると判断した場合、そうした判断に十分な根拠があるものかどうかを検証する義務があります。もし政府の判断をそのまま受け入れ、その指示のままに放送をおこなうのであれば、かつて「大本営発表」を垂れ流した戦前のメディアと何ら変るところなく、「戦争のために二度とペンやカメラをとらない」との戦後メディアの原点とも言うべき誓いを自ら放棄することにもなりかねません。
 また指定機関には、有事だけでなく平時においても「業務計画」を作成して報告し、有事の際の職員の配置や組織体制を報告することや、日常的な訓練も求められることになり、まさに平時から権力の統制のもとに組み込まれることとなります。

 当初、指定機関となることを「受け入れがたい」としていた貴連盟は、「業務計画」作成が事前協議から報告に変ったことをもって連盟として「反対」する方針を変更されています。しかし、貴連盟自身がかつて表明されているとおり「助言」によって政府の介入する危険は残されており、また昨年末に政府が発表した「国民保護の基本指針要旨」が、報道機関にさまざまな統制を強めようとするものになっていたことは、貴連盟が政府に1月20日付で提出した意見書で指摘されたとおりです。
 政府が今月4日に新たに発表した「基本指針案」では、文言の上ではかなりの修正が施されたとはいえ、貴連盟の指摘された点のほとんどは指定機関の努力義務として、依然として残されたままになっています。なによりも危惧されるのは、今回の「基本指針」をめぐる経過で明らかになったとおり、「業務計画」の報告や助言、指定行政機関や都道府県の「国民保護計画」、あるいは日常の「訓練」などを通じて、常に報道機関に対する統制が強化される機会を与えうると言うことです。指定地方公共機関については自衛隊や警察とともに国民保護協議会への参加を求められる可能性が大きいだけに、この懸念はいっそう強まります。こうした危惧や懸念は指定機関となる限り、常に付随するものであって、逆に言えばそもそも指定機関となることを辞退していれば発生しないものであることは言うまでもありません。

放送局が指定機関となり、「業務計画」によって私たち働くもの自身が有事体制に組み込まれたり、政府が「有事」と一方的に判断する事態に取材や放送活動において協力することを、私たち労働組合や放送労働者は到底受け入れることはできません。国民保護法の「業務計画」作成の規定においても「(指定機関は)その雇用する労働者の理解と協力を得るように努めるものとする」と明記されており、そもそも労働組合や労働者との合意抜きに指定機関となることを受諾することは許されないと考えます。

 既に各都道府県で指定機関の受諾を求める動きも始まっていますが、一部の放送局はこれに対する回答を保留、指定から自主的にはずれるケースも出ています。民放労連としても、去る3月3日付で全国の地上放送局193社に指定機関の返上・辞退を求める申し入れ書を送付しております。貴連盟も「指定を受けるかどうかはあくまで各社の個別判断」であることを既に昨年11月にも表明されていますが、多くの加盟社が「民放連が受け入れを決めたのに、当社だけが拒否できない」と受け止めていることが、労働組合の問い質しでも明らかになっています。こうした誤解を解くためにも、少なくとも現段階では「さまざまに危惧すべき点が残されているので、指定機関の受諾については各社の慎重な対応が望ましい」とのご見解をただちに示されるべきではないかと考えます。

 民放労連は、指定機関となることの本質的な危険性についてさらに協議を深められ、指定を既に受諾している場合には返上すること、これから受諾を求められた場合には辞退することを改めて貴連盟の方針として決断されるよう、放送で働くものを代表する立場から申し入れるものです。

以 上

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全国の放送局に指定公共機関の返上・辞退を求める申し入れ書

                           2005年3月3日
                           日本民間放送労働組合連合会
                                中央執行委員長 碓氷 和哉

 日ごろの放送活動へのご努力に敬意を表します。

 さて、私たち民間放送の放送局やプロダクションの労働組合で構成する民放労連は、去る1月末に開催した臨時大会において、放送局が指定公共機関・指定地方公共機関(以下、指定機関)となることに反対し、指定に対しては辞退もしくは返上を求めていく方針を採択しました。この春闘においても、各組合がこの問題についてストライキ権を確立し、重点課題として取り組む方針です。
 言うまでもなく、報道機関には公権力から独立し、自律的な報道をおこなうことが最大の前提として確保されていなければなりません。報道機関は国民の知る権利に奉仕し、国民のためのウォッチドッグとして機能することが本来的に期待されているからにほかなりません。

 有事法制の一環である武力攻撃事態法、国民保護法に基づく指定機関となれば、政府の指示によって「警報」や「緊急通報」等の放送をおこなうことが放送局に義務づけられます。しかしながら私たち報道に携わるものには、政府が武力攻撃や大規模テロの可能性があると判断した場合、そうした判断に十分な根拠があるものかどうかを検証する義務があります。もし政府の判断をそのまま受け入れ、その指示のままに放送をおこなうのであれば、かつて「大本営発表」を垂れ流した戦前のメディアと何ら変るところなく、「戦争のために二度とペンやカメラをとらない」との戦後メディアの原点とも言うべき誓いを自ら放棄することにもなりかねません。

また指定機関には、有事だけでなく平時においても「業務計画」を作成して報告し、有事の際の職員の配置や組織体制を報告することや、日常的な訓練も課せられることになり、まさに平時から権力の統制のもとに組み込まれることとなります。

 当初、指定機関となることを「受け入れがたい」としていた民放連は、「業務計画」作成が事前協議から報告に変ったことをもって連盟として「反対」する方針を変更しています。しかし、民放連自体がかつて指摘していたとおり「助言」によって政府の介入する危険は残されており、昨年末に政府が発表した「国民保護の基本指針要旨」では、首相の「総合調整」に従う義務や平時からの「資機材を用いての訓練」の義務付けなど、報道機関にさまざまな統制を強めようとするものになっていることは、民放連が政府に1月20日付で提出した意見書でも明らかです。
 また「業務計画」によって私たち働くもの自身が有事体制に組み込まれたり、政府が「有事」と一方的に判断する事態に取材や放送活動において協力することを、私たち労働組合や放送労働者は到底受け入れることはできません。国民保護法の「業務計画」作成の規定においても「(指定機関は)その雇用する労働者の理解と協力を得るように努めるものとする」と明記されており、そもそも労働組合や労働者との合意抜きに指定機関となることは許されないと考えます。

 既に各県からの指定機関とする動きも始まっていますが、一部の放送局はこれに対する回答を保留、指定から自主的にはずれるケースも出ています。民放連も「指定を受けるかどうかはあくまで各社の個別判断」であることを明言しています。指定機関となることの危険性について十分に認識され、報道機関としての視聴者からの付託をまっとうするためにも、指定を既に受諾している場合には返上すること、これから受諾を求められた場合には辞退されることを決断されるよう、放送で働くものを代表する立場から強く申し入れるものです。

以 上

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民放労連第100回臨時大会アピール

 度重なる台風や新潟中越地震、そして史上最悪の死者・行方不明者を出したスマトラ沖地震の津波被害。昨年国内外で相次いで災害が発生し、年が明けた今もなお深い爪跡が残されている。打ち続く災害はメディアの果たすべき役割の大きさを再認識させた。しかし今、そのメディアとしての役割や機能が根底から脅かされるような状況が様々なかたちで進行している。
 民放労連第一〇〇回臨時大会は、「報道の自由と独立を守り抜き、放送の社会的責任を果たそう!」をスローガンに東京・両国で開催された。

 政治家の介入によりNHKの番組が改変されたとする問題が生じている。事実とすれば放送の自由と独立を脅かす暴挙と言うしかない。問われているのは、メディアの「国家権力からの独立」という絶対に譲ることのできない原則が守られているかどうかである。一方、有事法制の名の下、政府は放送局をいつの間にか「指定公共機関」に指定し、報道機関を国家の統制の下に置こうとしている。その流れは今や地方放送局にまで及び始めている。国民が真実を知る権利を守るために、私たちメディアは「権力」からいかなる統制も受けることがあってはならない。

 一連のメディアを規制しようとする動きの背景には、日本を再び「戦争のできる国」へと導く狙いがある。国会での十分な議論もないままイラク派兵の延長が決められた。そして今、戦争放棄を謳い、平和を愛する世界の市民が羨む存在である憲法「九条」改悪の動きが加速している。戦後メディアは過去の過ちを二度と繰り返さないと誓った。半世紀以上にわたって守り抜いてきた平和主義が瓦解してしまう危機。平和と民主主義の発展を目指す労働組合は、再び暗黒の時代に逆戻りしないよう声を上げていかなければならない。

 平和を守る運動と同様に、私たち労働組合には、メディア自体が企業として社会的責任を十分に果しているかをチェックする役目がある。他業種にはない異常な時間外労働、優越的地位を濫用したプロダクションとの不公正な取引など、コンプライアンスとは名ばかりの違法状態が放置されたままである。また、世間に高まる怨嗟の声とは裏腹に成果主義制度が今なお拡大し続けている。私たち労働組合が今、解決すべき問題はこの業界に山積している。地上波デジタル化による二〇一一年のアナログ放送停止の問題も一つである。所得格差の拡大が果てしなく進行する今の社会を象徴するように、弱者切り捨てにつながりかねない政府・総務省のデジタル化計画。視聴者本位の姿勢を貫き、誰もが今までどおり放送文化を平等に享受できるよう、デジタル化政策の見直しを求めていくことを私たちは確認した。

 日本の労働運動の象徴でもある「春闘」が始まって今年で満五〇年を迎える。
 世界に例のない企業別に組織された労働組合が横断的に連帯し、あらゆる労働者の要求を実現する唯一の機会が「春闘」である。私たちは今こそ、かつて華々しい成果をあげてきた「春闘」の意義を再確認し、「春闘終焉」のキャンペーンをはる経営側の攻撃に対して、臆することなく断固たるたたかいを挑んでいかなくてはならない。その為にも、放送職場のあらゆる労働者の民放労連への結集を実現する必要がある。私たちは企業内に引きこもることなく民放労連に結集する力を強め、朝日SE争議・長崎ビジョン争議など、すべての民放内争議の早期解決に一致団結して取り組んでいくことを決めた。

 放送の社会的責任を果たすために、私たちは「誰のための放送か」を常に問い返さなければならない。視聴者本位の放送を実現していく先導役こそ私たち労働組合に課せられた役割である。
 未来の放送文化を市民・視聴者とともに、私たち自身の手でつくりあげて行こう!

  2005年1月30日

日本民間放送労働組合連合会
第100回臨時大会


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NHK番組への政治介入事件の徹底究明を求める声明

                           2005年1月18日
                           日本民間放送労働組合連合会
                                中央執行委員長 碓氷 和哉

 自民党の安倍晋三幹事長代理や中川昭一経済産業相がNHKのETV2001シリーズ「戦争をどう裁くか」の第2回「問われる戦時性暴力」に介入し、番組が改変されたと当時の担当プロデューサーが内部告発し、問題となっている。伝えられるような政治家の介入が事実とすれば、憲法違反の事前検閲にあたる行為であり、放送の自由と独立を脅かす許しがたい暴挙と言うしかない。

私たちはまず、制作者としての権利を一方的に蹂躙された担当プロデューサー、長井暁氏が、沈黙を破って告発に踏み切られた勇気に心から敬意を表したい。真実を明らかにしようと決意されるに至るには有形無形の多大な圧力の克服が必要であったことは想像に難くない。制作者の良心をまっとうしようとした長井氏に対して、いかなる不利益も生じるようなことが決してあってはならない。同氏を守り抜くことを既に表明しているNHKの労組、日放労の見解を私たちは強く支持する。

問題の核心は、報道されている事件の真相がすべて明らかにされるかどうかにかかっている。中川経産相は当初のコメントを翻し、NHK幹部との面談が放送後であったとしているが、事前の関与が一切なかったにもかかわらず、「やめてしまえ」と放送の中止を求めたとまでの「勘違い」が発生するだろうか。
いっぽう安倍氏は事前に番組の説明を受けたことは認めている。安倍氏は当時、官房副長官という行政府の要職にあった人物である。誤解を招くような言動のないよう、慎重さを求められる立場である。たまたま予算案の説明を受けたついでに、わざわざ一番組の内容について尋ねもしないのに説明を受け、一般論として意見を述べるということが起こりうるであろうか。
両氏には国民が納得のいく十分な説明が求められる。

NHKは13日の放送総局長見解で、今回の直前の内容変更を「通常の編集」行為であると強弁している。たしかに放送直前まで検討を続け、手直しをおこなうことはありうることである。しかし、44分と決められた放送枠が、放送当日になってその番組の都合で40分に変更されることは、決して通常ありうることではない。そんな行為が通常まかりとおるようであれば、放送の現場は大混乱に陥ることは自明の理である。
この番組は、現在東京高裁で係争中の裁判原告とは別の申立人によって、BRC(放送と人権等権利に関する委員会)に救済が申し立てられ、2003年3月に同委員会から番組の編集が「申立人の人格権に対する配慮を欠き、放送倫理に違反する」との決定を受けた。今回の報道の中で、BRCの指摘した編集行為が概ね放送の直前にNHK幹部の指示に基づいておこなわれた部分に相当することが明らかになった。

なによりもいま重大なことは、こうした不自然な改変がなぜ突然おこなわれることになったのか、事実関係を包み隠すことなく、すべて明らかにすることである。残念ながら事件発覚以後、NHK経営に真実を積極的に明らかにしようとする姿勢はまったく感じられない。政治家と自局最高幹部を守ることに全精力を費やしているかのようにさえ見受けられる。
折から一連の不祥事発覚によって、NHKのあり方がいま厳しく問われている。しかし、今回の事件はこれまで発覚した不祥事とは異なり、表現の自由と報道の独立への攻撃であり、ジャーナリズムとしての放送局のあり方が根本から問われる事態である。NHKは外部の第三者によって構成する調査委員会をただちに発足させ、真実をすべて明らかにして視聴者に対する説明責任をまっとうするべきである。NHKの経営委員会は、本来国民、視聴者を代表する立場に立つべき最高決定機関である。責任をもって調査委員会を一刻も早く発足させてもらいたい。
私たち民放労連は、同じジャーナリズム、放送に携わる一員として、真実の究明を何よりも強く求めたい。

もとより、放送の公共性、放送の独立性はひとりNHKにのみ求められるものではなく、民間放送にも同様に求められている。私たち民間放送の労働者は、民主主義の根幹をなす報道の自由と独立を守るため、NHKの仲間と連帯してたたかい抜く決意である。

以 上

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民放の「指定公共機関」決定に抗議する委員長談話

                           2004年9月7日
                           日本民間放送労働組合連合会
                                中央執行委員長 碓氷 和哉

 政府は、本日の国民保護法制整備本部で指定公共機関として、電気、ガス、交通、放送などの事業者160社を指定した。放送事業者では、NHKのほか、東名阪のキイ・準キイのテレビ局、中波・短波ラジオ局あわせて19の民間放送局が指定されている。

 私たち民放労連は、国民を有事体制に巻き込む「有事法制」の制定に反対し、とりわけ放送局を指定公共機関とすることに強く反対してきた。有事体制に放送局が組み込まれることによって、国家権力からの独立、自律が最大の前提である言論・表現の自由が脅かされ、「真実」が国民の目から覆い隠される事態を何よりも懸念したためであり、国民保護法など関連法の成立から「指定公共機関」選定に至る経緯は、私たちのこうした懸念を解消するどころか、ますます強める結果となっている。

 今回、政府の一方的な決定によって放送局が指定公共機関に指定されたことに強く抗議するとともに、有事法制を発動させないために、思いを同じくする労働組合・諸団体と連携して取り組みを進めていく決意である。

以 上

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テレビ朝日に対する総務省による「厳重注意」についての見解

                           2004年7月7日
                           日本民間放送労働組合連合会
                                中央執行委員長 碓氷 和哉

 総務省は6月22日、テレビ朝日の二つの番組、「ビートたけしのTVタックル」、「ニュースステーション」について、放送番組の編集にあたりそれぞれ「注意義務を怠った重大な過失があった」、「適正な編集を図る上で遺漏があった」として、テレビ朝日に対し「厳重に注意する」とともに、「再発防止に必要な措置」を求めたとの発表を行った。
 放送内容に踏み込んで、放送の所管官庁である総務省がこのような行政指導を発することは、公権力によるメディアへの不当な介入というしかなく、到底看過することはできない。

 「TVタックル」では、昨年9月15日の放送で、藤井孝男衆議院議員(自民党)の予算委員会(97年2月3日)での実際とは違う場面での不規則発言(やじ)を「横田めぐみさん拉致問題」の直後に編集して放送したことにより、藤井議員が拉致問題に消極的であるとの印象を与えたとして、同議員がテレビ朝日に抗議し、その後BRC(放送と人権等権利に関する委員会)に申し立てを行った。テレビ朝日は、10月6日放送の「TVタックル」で編集上の誤りを認めてお詫び放送を行い、また9月19日放送の「ニュースステーション」に出演した同議員に意見表明の機会を提供している。さらに今年3月7日放送の「はい!テレビ朝日です」においても、チェック体制が不十分であったことなどを認め、誤った編集のまま放送に至った経緯を説明した上で謝罪するなどの対応をとった。
 BRCではこれらの経緯を踏まえ、6月4日に「名誉回復措置はとられている」が、「放送番組の編集における重大な過失責任がある」ことを認め、「改善措置として必要な社内体制の整備を図り、正確な放送に努めるよう」勧告を出した。
今回の総務省の厳重注意処分は、こうした放送局自らが行った訂正放送や謝罪放送による自主的措置、第三者機関であるBRCの勧告を軽視したものである。ましてやBRCの勧告が出された事案についての処分は前例がなく、まったく無用・不当な処分であると言わざるをえない。

 一方、「ニュースステーション」問題は、総選挙前の昨年11月4日の放送で、民主党が発表した「菅内閣閣僚名簿」を約30分にわたって紹介したことに対して、自民党が「不公平だ」と抗議し、同党幹部が9日夜放送の選挙報道番組をはじめ、テレビ朝日の番組への出演を拒否したことに端を発している。
 テレビ朝日では当初、「紹介は報道の当然の役割」としていたが、同月25日には広瀬社長が遺憾の意を表明、今年2月には「誤った編集や配慮に欠けた構成があった」として、役員ら7人に対し処分を行った。
 自民党が、「テレビ朝日の姿勢を糺すために、やむなく我が党所属の国会議員の番組出演を自粛する」と公言し、放送局に圧力をかけようとしたことは見逃せない大きな問題であるが、直接の監督権限をもつ総務省が、「放送番組の適正な編集を図る上で遺漏があった」と断じて「厳重注意」とするなら、政権与党の説明責任放棄とも言うべき自民党の出演拒否を総務省自ら追認する措置と受け取られてもしかたがない。

 言論・表現の自由、放送番組編集の自由は、憲法・放送法で保障された権利である。一方で放送局は電波という国民共有の財産を利用する権利を付託されており、放送を通じて表現の自由の確保、民主主義の発展に貢献する義務を負っている。政治的公平や不偏不党の原則は権力との関係ではなく、視聴者・市民との関係で判断されなければならない。
改めて今回の総務省による「厳重注意処分」に抗議し、メディアへの権力の不当な介入に反対するとともに、放送事業者の自主・自律的な活動の充実を求めるものである。

以 上

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日本テレビの北朝鮮報道をめぐる首相官邸の暴挙に断固抗議する声明

                           2004年5月20日
                           日本民間放送労働組合連合会
                                中央執行委員長 碓氷 和哉

 信じがたい暴挙というしかない。
 首相官邸の飯島勲政務秘書官は、日本テレビが16日放送の「真相報道バンキシャ!」で北朝鮮への支援について「25万トンのコメ支援で最終調整」と報じたところ、同秘書官が日本テレビに「日朝交渉を妨害するために報道したのではないか」と抗議し、取り消さなければ首相の北朝鮮訪問への同行取材を拒否すると脅したと伝えられる。現実に同行記者団から日本テレビを排除する動きが進められ、同秘書官はさらに、情報源を明かせば同行取材を認めてもいいと報道機関の守るべき「取材源の秘匿」という最低限の倫理の放棄まで迫ったとされる。

 いやしくも民主主義を標榜する国家であるならば、報道・表現の自由は最大限に保障されなければならない。国家権力を批判する自由こそが報道の自由の核心であって、いかなる権力をもってしても報道内容が規制されないということが民主主義の不可欠の前提である。総理大臣の政策に強い影響力を持つ主席秘書官という立場にある人物が、今回のような行動をとるということは民主主義の根幹を自ら否定することにほかならない。

 同行拒否は撤回されたとはいえ、政府サイドから今回の経緯について真剣に反省する声は聞こえてこない。昨年の総選挙報道をめぐり自民党幹部がテレビ朝日の選挙特番への出演を拒否したり、自衛隊のイラク派遣問題の取材で政府が情報統制を強めるなど、この間の政府・自民党によるメディアへの対応には、自らに不都合な報道を取材拒否をちらつかせてまでも恫喝的に封殺しようとする傾向が強まっている。こうした政府の強権的な姿勢が端無くも露呈されたのが、今回の事件の本質と言うべきであろう。
 小泉総理は飯島秘書官をただちに解任するとともに、今回の事件の経緯を明らかにして説明責任を果たし、国民に謝罪すべきである。

 当然のこととはいえ、日本テレビが取材源の開示を断固として拒否し、政府に強く抗議したことは高く評価される。報道各社は今回の事件を日本テレビ一社の問題としてとらえることなく、報道の自由が脅かされた重大な事態と認識し、政府に強い抗議の声をあげることを求めたい。

以 上

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イラクからの自衛隊即時撤退を求める委員長談話

                           2004年4月9日
                           日本民間放送労働組合連合会
                                中央執行委員長 碓氷 和哉

 昨日、イラクで3名の日本人が「イスラム戦士軍団」を名乗る武装グループに拘束され、「日本軍が3日以内に撤退しなければ3名を殺害する」と解放の条件を伝えていることが明らかになった。

 何ら罪のない民間人を拉致、人質にして脅迫する犯人グループの行為は決して許されるものではない。しかしながら今回の事件は、日本政府が大多数の国民の反対の声を無視して自衛隊のイラク派兵を強行したことによって引き起こされた事態であることには疑いがない。
 アメリカのブッシュ政権によるイラク政策は、アメリカ国民からもいま急速に支持を失いつつある。アメリカの占領政策に対するイラク国民の怒りの声がとうてい抑えきれないほどに強くなっていることは、ここ数日の各地での武力衝突事態を見れば明らかだ。米政権に追随することのみにここにいたってもこだわり続け、生命の危機に陥れられている3名の生命をないがしろにするようなことだけは絶対にあってはならない。

 イラクは今、誰が見ても戦場である。戦地に自衛隊がこれ以上とどまることが許されるはずもない。政府が3名の人命を最優先に、ただちにイラクからの自衛隊撤退を実施することを強く求める。

以 上

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第98回臨時大会アピール

 昨年末、私たち民放の歴史に「地上デジタル放送の開始」という、新たな一ページが書き加えられた。しかし、半世紀前の街頭テレビのような、かつてない興奮や希望を与えるものではなく、国民に混乱をもたらし、放送業界には再編の嵐を呼ぶ暗い時代への序章となりつつある。
民放労連第九八回臨時大会は、「視聴者・市民の中へ、新たな一歩を!」のスローガンのもと、東京・両国で開催された。

 今なお傷跡が残る過去の戦争の反省に立ち、同じ過ちを繰り返さないと私たちは誓った。その象徴こそ、戦争放棄を謳う平和憲法であり、その第九条である。しかし憲法を踏みにじり、国民との十分な議論もなく、政府は戦後初めてイラクの戦闘地域に強力な火器とともに自衛隊を派兵した。さらにこの自衛隊の派兵に関する報道を、「大本営発表」の如く規制しようとする動きがある。この暴挙がきっかけとなり、再びあの悲惨な時代に戻らぬよう、日本が「戦争をする国」となることにストップをかけることは、私たちメディアの重要な責務である。

 しかし、社会に対し重い責任を担うメディアの間で、日本テレビ視聴率不正操作問題をはじめとする、市民・視聴者からの信頼を損なうような不祥事が続発している。社会の不正を追及する立場である私たちは、より厳しい倫理によって自らを律しなければならない。
 メディアにはびこる問題の裏には、当たり前のように横行している長時間労働や、労働者を分断し個人的な利益追求に走らせる「成果」主義賃金制度がある。私たちの命と健康を守るため、劣悪な職場環境や制度を改めさせ、安易に賃金抑制で問題を乗り切ろうとする経営者の姿勢を質し、責任を明確にさせる必要がある。

  放送現場の主役であるプロダクション・関連労働者に攻撃が集中している。KBC映像の不当解雇・東北美術争議・朝日放送SE争議・長崎ビジョン不当労働行為事件・北陸東通経営問題など、優越的な地位の濫用は、賃金を一方的に抑制するのみならず、ついに首切りまでに突き進ませており、一刻も早くこの状況を改善させなければならない。私たちは同じ放送文化の担い手として共闘し、徐々に拡がりつつある、構内で働く労働者の「最低賃金制度の獲得」の運動も進めていくことを決意した。

  問題を先送りにし、見切り発車で始まった地上デジタル放送は、本来の目的であるはずの視聴者・市民への真の利益を置き去りにしたまま一方的に進められている。また、地域社会の発展を使命としてきた地方局へも、デジタル化計画を強行するためだけに、集中排除原則を緩和してリストラをはかり、地域情報を発信する機能を低下させようとしている。私たちは、半世紀培った放送文化そのものを崩壊させるこの計画の見直しを訴え、放送の未来を視聴者・市民と共に切り開かねばならない。

 これらすべての問題や争議の解決に寄与する重要な労働者の運動こそ「春闘」である。企業別に組織された日本型労働組合が、横断的な幅広い団結をつくり上げ、障壁を乗り越えられる「力」の源が「春闘」であることを、私たちは決して忘れてはならない。
 私たちは今こそ、労働組合の存在意義を見つめ直し、自らを変えていくような新しい労働運動のうねりを作り出す時に来ているのではないだろうか。
 信頼され魅力のある明日の放送文化を築き上げるために、視聴者・市民の中へ、新たな一歩を踏み出そう!
 
 2004年1月25日
                                    日本民間放送労働組合連合会 第九八回臨時大会

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イラクへの自衛隊派兵「基本計画」決定に強く抗議する声明

                           2003年12月10日
                           日本民間放送労働組合連合会
                                中央執行委員長 碓氷 和哉

 昨日、大多数の国民の反対を押し切って、小泉内閣がイラクへの自衛隊派兵「基本計画」を決定したことに対し、私たちは強い怒りをもって抗議する。
 「基本計画」はそもそも総選挙の論点となることを避けるため、その策定を選挙後に先送りし、国会での十分な議論も意図的に回避したあげく、日本人外交官が殺害されるという衝撃が拭えぬ中、八割が反対とされる国民の声を聞くことなくなされたものであって、まさに国民を愚弄するものというしかない。

 イラク戦争は米英軍が国連や国際社会の支持もないまま、一方的な先制攻撃によって始めた戦争である。しかもその後アメリカが主張し続けた大量破壊兵器の存在も、フセイン政権とテロリストとの関係も立証できていない。イラク国民にとってアメリカ軍は占領軍でしかなく、しかもイラク現地の状況は日々悪化するばかりで、米政府自体も戦争状態の継続と認めざるを得ないほど危険なものだ。
 こうしたイラクに自衛隊を送ることは、日本がこの占領軍に参加することに他ならない。小泉総理は派兵を人道支援のためと強弁するが、伝えられている無反動砲ほかの重火器の携行が、どうして人道支援のために必要なのか。占領軍のための物資輸送に自衛隊があたりながら、どうしてイラク国民や国際社会から、人道支援のための行動との理解と支持を得られるだろうか。
 戦争状態のイラクに、正義への確信ももてないまま無理やり送り込まれようとしている自衛隊員やその家族の不安や哀しみは想像するにあまりある。今、日本政府に緊急に求められているのは、アメリカのイラク占領に自ら進んで加担するのではなく、ブッシュ政権のこれまでの政策と日本政府の支持表明の誤りを勇気をもってただし、国際社会の協調でイラクに一刻も早く平和を取り戻す枠組みを築くための努力ではないか。
 小泉総理は昨日の会見で、派兵は憲法の言う「国際社会において名誉ある地位を占め」るためのものとうそぶいた。しかしながらこの派兵決定は、まさに日本国憲法が表明した「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しよう」との決意を真っ向から裏切るものである。小泉政権の真の狙いは、日本国憲法第九条で放棄した「国の交戦権」を既成事実によって認知させることであり、改憲への道をこじあけることにある。国民を騙し、民主主義を否定する暴挙というしかない。

 民放労連は「基本計画」の撤回を強く求めるとともに、自衛隊のイラク派兵を阻止するために平和を愛し、平和を求めるすべての人たちと連帯してたたかうことを表明する。

                                                                 以 上

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日本テレビ視聴率不正問題についての民放労連見解

                           2003年10月29日
                           日本民間放送労働組合連合会
                                中央執行委員会

 日本テレビで社員プロデューサーが視聴率調査世帯に対して金品を渡し、自らの担当番組を視聴するように依頼していたという、放送局にとっておよそあってはならない事件が発覚した。
 私たち民放労連は、かねてから民放業界における視聴率至上主義の高まりに強い危惧の念を表明してきた。この事件の背景には視聴率という数字を絶対視し、あたかも万能のバロメーターであるかのごとく評価する民放各局の姿勢が存在することは否定できない。
 視聴率は本来よりよい番組をいかにつくっていくのか、どういう層にむけて番組を訴求していくのかなど、放送局からすれば編成、制作上の参考データであったはずである。しかるに今や視聴率の高い番組をどうつくるかということ自体が自己目的化し、CMの広告取引においてもGRPと呼ばれる獲得視聴率の総和を取引上の唯一の尺度とする営業方法が常態化してしまっている。ニュース、報道番組などにも視聴率が求められ、社会性の強い番組やドキュメンタリー番組が深夜に追いやられている。

 さらに懸念される問題は、最近放送局にも急速に拡大しつつある成果主義の問題である。とりわけ日本テレビは民放業界において成果主義の導入・拡大に常に先導役をつとめてきた。放送というきわめて公共性の高い職業に従事するものの「成果」を、何によってどう評価するのかという基軸も確立されないままに、競争至上主義の人事制度版である成果主義が放送の職場に導入され、強化されている。今や視聴率が絶対の価値となってしまっている民放産業の中で、成果主義によって視聴率至上主義にいっそうの拍車がかかってしまうこともまた、当然のことといわなければならない。成果主義制度の「目標管理」において、「担当番組の何パーセントアップ」というような「目標」が番組の質や内容を抜きにして目的化していることはないのか、放送に携わる私たちはもう一度冷静に点検してみなければならない。

 今回の事件では、元制作会社社長夫妻が不正に関与させられていたことが明らかになっている。しばしば指摘される制作会社等への放送局の優越的地位の濫用がまかりとおっている中、放送局プロデューサーの依頼を、制作会社サイドが到底断りえなかったであろうとも容易に推測できる。優越的地位の「濫用」を「濫用」といっこうに自覚しない放送局のモラルの危機と、不正によってまで視聴率をあげたいというモラルの崩壊に、共通するところはないのだろうか。問われているのは放送局のモラルである。
 社会の不正を追求することを使命とする報道機関である放送局には、自らに最も厳しい倫理を課すことが求められる。事件を引き起こした日本テレビには、問題を担当者個人の資質に解消してしまうのではなく、事件がひきおこされた背景や原因を冷静に分析、解明して、放送局の倫理確立とこれからの放送のありように問題提起となるよう、慎重な調査と結果の開示を求めたい。また今回の事件に関して、総務省が日本テレビから報告を求めるとしているが、放送局の不祥事を口実に公権力が放送に介入するきっかけとすることを許してはならない。
 最後に、ひとり日本テレビに限らず、民間放送に携わる者すべてが今一度放送の原点に立ち返り、自分たち自身の問題として今回の事件を真剣にとらえ返す必要を提起したい。

                                                                 以 上

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民放労連第97回定期大会アピール

                           2003年7月27日
                           日本民間放送労働組合連合会
                                第97回定期大会

  「文化産業労働者の英知と良識をもって、あらゆる困難・障害を撃砕し邁進する」と、大会宣言で誓った結成大会から五〇年。民放労連は今、闘いの歴史を重ね、幾多の争議を乗り越えて半世紀を迎えることができた。
   しかし、結成当時の希望に満ちた熱き「誓い」を、次の半世紀の民放労連運動へ継承するために、運動のあり方やメディアの役割について、改めて見つめ直す時期にさしかかっている。

 民放労連第九七回定期大会は、「新しい半世紀へー言論・表現の自由を、平和を!輝く民放労連運動を!」の大会スローガンのもと、東京・新宿の新都心で開催された。
 戦争放棄を掲げる平和憲法を持つ日本に、国民のすべてが戦争への協力を強制される有事法制。イラク戦争や北朝鮮拉致問題に乗じて、充分な国民との議論もなく「イラク特措法」など、戦争へ参加する環境づくりがあいついでいる。今こそメディアは、国民の置かれている危機を明確にする役割を果たすべきだ。私たちは、決して政府による「戦争推進」勢力の一員となってはならない。そして、個人情報保護法など表現の自由を奪う悪法と闘い、ジャーナリズムとしての機能を発揮する放送を確立し、問題の本質を国民に伝えていかなければならない。

 平和に対する不安と同様に、生活への不安もより一層増大する方向に向かっている。財界の主張そのままに労働法制の改悪が強行され、目標管理制度・「成果」主義賃金制度の提案も横行している。それらは、「集団的創造労働」の破壊を招き、労働組合の交渉能力や団結力そのもの、そして「気力」をも奪おうとしている。視聴率競争をはじめとした競争原理のみが、至上のモラルになるような放送産業に、放送の明るい未来は見えない。視聴者・聴取者から信頼されるメディアであり続ける為に、私たちは「成果」主義的イデオロギーに決して屈することなく、確信を持って反対の運動を貫き通す決意を固めた。

 地上放送のデジタル化でもメディアの役割が問われている。放送局の実情や視聴者のニーズを無視し、官民が一体となり景気浮揚を図るかのごとくデジタル化計画を推し進めている。さらに破綻した計画を取り繕うためだけに「集中排除原則」を緩和することは、放送の原理原則の一つである「地域性」を失い、視聴者が多大な不利益を被ることは明白である。私たちはこの無謀な計画の暴走をくいとめるために主体性を持って視聴者に訴えていく運動を強化しなければならない。

 今や放送産業の現場で主力を担うプロダクション・関連企業の労働者が抱える問題は、構内で働く労働者が一体となり、労働環境改善への道をめざすことが不可欠である。「優越的地位の濫用」に象徴される放送局の「負の構造」を正し、民放で働くすべての労働者が共通の課題として取り組む必要を確認した。
 東北美術争議、朝日放送効果職場争議をはじめ、すべての争議を解決するためにも、組織強化・拡大の取り組みは急務である。そのためにも人材育成や活動の継承、強固な執行部体制の確立をはかり、すべての組合がこぞって運動を具体化することが重要である。これまでの半世紀に培った経験をもって労働組合の原点に立ち返り、これからの半世紀を担う魅力ある民放労連を創りあげていこう!
 そして、「一人はみんなのために・みんなは一人のために」、輝く民放労連運動を築こう!
                                                                 以 上

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有事法制の衆議院可決に抗議し、廃案を求める声明

                           2003年5月15日
                           日本民間放送労働組合連合会
                                中央執行委員会

 5月15日、衆議院本会議は有事法制3法案を賛成多数で可決した。13日の自民党と民主党党首の「修正合意」から、わずか2日目のことである。
 昨年の法案提出以来、民主党などは、政府の恣意により日本が武力紛争に巻き込まれる恐れがあること、アメリカが起こす戦争に日本が参戦することを問題としてきた。しかし、「修正」によっても法案の構造は変わっておらず、国民への説明は不十分なままである。
 また、法案は国民の生命、財産、自由と権利に関わる重要法案であるにも拘わらず、「修正合意」に続く委員会と本会議での矢継ぎ早の採決は、国会審議の手続き上も異例であり、不可解であると言わざるを得ない。一連の経過は、法案の危険性を国民の目から隠蔽し、反対運動の盛り上がりを避けようとする意図さえ感じられる。

 昨年春の国会上程以来、私たちは、この法律によって直接的に生命の危険にさらされる航空・運輸労働者をはじめとする多くの労働者・国民とともに法案の廃案を求めてきた。また、個人情報保護法の問題点などとともに、メディアが国家権力の統制下に置かれることの危険性を訴えてきた。
 イラク戦争中のアメリカでは、戦争を批判し、戦争に反対する市民やジャーナリストの声が攻撃にさらされた。バグダッドでは多くの市民とともに、戦争の実相を伝えようとしたジャーナリストがアメリカ軍の標的となって殺された。日本では広範な市民が参加する反戦運動が「利敵行為」として、政府与党によって批判された。
 有事法制は憲法を蹂躙し、日本を「戦争ができる国」に変えるとともに、言論、表現、報道の自由を奪い、集会や結社の自由を侵すものである。法案では民放をはじめとする報道機関が指定公共機関とすることは排除されていない。権力・国家権力からいかなる規制も受けないことが報道の自由を保障する絶対条件である。この悪法が成立すれば、メディアに対しては、権力批判を許さず、「言わせない、書かせない、撮(録)らせない」の圧力が強まり、社会の息苦しさは一層増すであろう。

 国民の「知る権利」が奪われ、真実が隠された社会がどんな結果を招いたか。半世紀前の教訓を私たちは忘れない。メディアに働くすべての人たちに、あらためて「有事法案の実相」を視聴者・読者に伝えることを呼びかけるとともに、法案の廃案をめざしてたたかうことを表明する。

                                                                 以 上

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緊急アピール〜あらためて個人情報保護法案を廃案にすることを求める

                           2003年4月21日
                           日本民間放送労働組合連合会
                                中央執行委員会

 政府与党は、昨年の臨時国会で一旦廃案となった個人情報保護法案の「修正」法案を今通常国会に提出、新たに個人情報保護特別委員会を設置して、一気呵成に法案の強行成立をはかろうとしている。
 「修正」された法案は原案から「基本原則」を削除し、代わって万人に適用される「基本理念」を加えた。また、主務大臣が報道機関に情報提供をした人間に対して権限を行使できないことにし、義務規定の適用除外となる「報道機関」に個人も含まれることを明記するとともに、「著述を業として行う者」が加えられた。これらの一見改善と見られる修正は、マスメディアの反対を押さえ込み、この危険な法案をなんとしても成立させようとする、極めて詐欺的な作為に過ぎず、民間の情報を国家の統制に置こうとする法案の基本的な構造になんら変化はない。
 現に「修正」法案は、個人情報の保護が強く求められている分野ごとに個別の法律で対処すべきとの、各方面から寄せられている意見を無視したままの包括的な法案であり、市民による自己情報コントロール権も明示されていないままである。「修正」法案は今年8月の住基ネット本格稼動を強行するのに、なんとしても間に合わせようとする意図が余りにも露骨である。

 「修正」法案では、義務規定の適用除外規定の基準となる「報道」が、「不特定かつ多数の者に対して客観的事実を事実として知らせること(これに基づいて意見又は見解を述べることを含む)」と、極めて狭く定義されている。そもそも報道とは何たるかを国家によって定義しようというのは、今日ではほぼ常識とされる、報道の自由とは自然法によって保障された普遍的な権利であるという考え方に対する不遜な挑戦といわなければならない。
 そのうえ、この定義によれば、事実として定着したものを除き、取材過程・調査過程にある情報は「報道」と見なされず、適用対象となる可能性が強い。日本雑誌協会が現在発売中の各誌に掲載している「緊急アピール」で、「誰も気づかない、隠された事件の真相や政治家の汚職、不正、道徳的堕落などを取材して記事にすることがメディアとしての使命」であり、「『予備取材』、『先行取材』の段階で『報道』の概念を適用されると主務大臣のストップがかけられ」るとして、強く批判しているのも当然である。

 また、労働組合や諸団体の機関紙などは「特定」の読者を対象にしているとして「報道ではない」と判断することもできる。さらに、インターネットなどを使って情報の伝達や表現を行う市民が増えているなか、これらの市民の行為も同様に規制を受けることが危惧される。昨今、言論・表現手段としての可能性を拡大しつつあるウェブ上のメディアには保障されず、既存のマスメディアにだけ保障される「表現の自由」など、そもそも成立するはずがない。

 民放労連は、憲法で保障された「表現の自由」が将来にわたって侵害されることがないよう、「修正」法案の審議強行に断固として反対し、法案を廃案とすることをあらためて強く求めるものである。

                                                                 以 上

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放送政策研究会最終報告書〜マスメディア集中排除原則緩和についての見解

                           2003年3月27日
                           日本民間放送労働組合連合会
                                中央執行委員会

 総務省情報通信政策局長の私的研究会である「放送政策研究会」は2月末、マスメディア集中排除原則(以下、集中排除原則)の見直しを中心とした最終報告書(以下「報告書」)を発表した。「報告書」の内容は、地方民放ローカル局の再編を促し、集中排除原則が本来意図している、ローカル局が担うべき「地域性」や、「多様性」、「多元性」を損なうものになっており、深い憂慮を表明する。

 「報告書」の地上放送に関する見直し策は、「地上デジタル放送計画」によって起こりうるローカル局経営の支援・救済という、経営的な視点のみでつくられている。地上放送のデジタル化計画は技術的な諸問題を始め数々の難題を抱え、未だ市民・視聴者に充分な告知や説明もなされないまま「初めに計画ありき」で押し進められている。問題山積のデジタル化を強行するために、ローカル放送の衰退につながる道筋をつくることは、国民不在で地域社会軽視の方策であると言わざるを得ない。
 仮に集中排除原則の緩和により複数のローカル局を再編・統合しても、経営基盤の強化とコンテンツの充実に繋がるかどうかはきわめて疑わしい。逆に統合によって、大幅な人員削減や自社制作番組の縮小など、様々な面での合理化は不可避となる。「報告書」が「地域性」を損なわない為の措置として示す「隣接した放送対象地域」を条件としたものであっても、合理化と、「地域性」の確保や地域情報の拡充を両立させることは自ずと困難となろう。
またキイ局のローカル局への出資規制についても「報告書」はあいまいながら経営困難時の大幅緩和を含め、緩和の方向を打ち出している。キイ局の出資緩和は天下り人事をいっそう促進し、ローカル局独自の編成を縮小させて、キイ局によるネットワーク支配の強化、ローカル局の中継局化が進められることになろう。

 さらに「報告書」は、衛星放送(BSデジタル放送)に関しても、さらなる出資上限の緩和策を打ち出している。地上放送との一体経営による兼営は不適当としているものの、完全子会社化への一歩手前である「2分の1以下」にまで出資比率を緩和することを提言した。こぞって経営危機が伝えられるBSデジタル放送の現状に、カンフル注射の如く彌縫的に延命をはかる方策ではなく、地上波、CSなどのメディアとの共存、棲み分けを示した上で、今後のBSデジタル放送の役割・あり方を具体的に提言していくべきであろう。

 これまで総務省(旧郵政省)は置局政策を始めとする様々な放送行政上の失政を、法の改廃によらず、「省令」という弾力性ある規定にたより、場当たり的に取り繕ってきた。今回も国策として強行されようとしている「地上放送のデジタル化計画」のために再びその弾力性に依拠し、計画の破綻を集中排除原則の緩和によって乗り切ろうとしている。
マスメディア集中排除原則によって本来追求すべきは、多元的な放送主体による、多様な情報を通じた、地域性豊かなメディアの育成である。地域社会の発展に寄与するというローカル局本来の使命を危うくするような安易な緩和策はただちに再考されるべきである。あわせて視聴者、放送事業者がともに確信を持ってデジタル化に向かうことのできない現時点での「地上放送のデジタル化計画」中止を強く求める。

                                                                 以 上

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アメリカのイラク戦争即時停止を求める緊急声明

                           2003年3月20日
                           日本民間放送労働組合連合会
                                中央執行委員長 碓氷 和哉

 アメリカのブッシュ政権は、日本時間の本日正午前、イラクへの戦争を一方的に開始した。国際平和を願う世界の圧倒的多数の声を無視して始められたこの戦争に、私たちは強く反対し、ただちに中止することを求める。

 この戦争には正義のかけらもない。国連安保理では国際協調によってイラクに大量破壊兵器を廃棄させ、戦争を回避しようとする最終的な努力が続けられてきた。武力行使を容認する決議が得られそうにないと見るやこの協議を無視し、一方的に戦争を始めたアメリカ・ブッシュ政権とそれに追随する一部諸国政府の行動は、平和維持のための国連の基本的機能を危機的状況に陥れるものである。国際法上もなんらの根拠のないこの戦争は、歴史上の大きな汚点として、長く人々に記憶されることになろう。

 あろうことか、小泉総理はブッシュ政権の武力行使をただちに支持することを表明した。国際紛争を解決する手段として、武力の行使を永久に放棄することを宣言した平和憲法を持つ日本は、今こそアメリカに戦争を中止させるために最大限の努力を払うべきではないのか。

 この戦争には道理のかけらもない。爆撃や地上の戦闘行為によって、イラクの罪なき市民、子どもたち、女性、老人の多くの血が流されることを避けることはできない。フセインの圧政が事実としても、フセイン排除を理由に落とされる他国の爆弾の犠牲にイラク国民がならなければならない理由はなにひとつない。

 私たちは、平和を求める全世界の市民と連帯して、アメリカにイラクへの戦争を即時中止させ、日本政府に戦争支援をやめさせるために総力をあげることを表明する。
                                                                   以 上

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