2000年の民放労連の声明・見解

個人情報保護基本法制に関する大綱についての民放労連見解(2000.10.13)

日本弁護士連合会への「人権機関設置提案」に関する申し入れ(2000.10.4)

テレビ大阪ディレクター「暴走族取材事件」起訴猶予決定についての委員長談話(2000.8.25)

民放労連第91回定期大会アピール(2000.7.30)

テレビ大阪ディレクターの書類送検について(2000.6.8)

電波法の一部改正案に関する参議院交通・情報通信委員会への要望書(2000.5.9)

大阪府警のテレビ大阪ディレクターに対する行き過ぎた事情聴取と未編集テープ提出要求に抗議する声明(2000.4.28)

放送免許承継に関わる電波法改正案の慎重審議を求める要請書(2000.4.18)

民放連会長の「警察刷新会議」座長就任についての民放労連見解(2000.4.7)

青少年と放送に関する委員会に現職国家公安委員が就任することについての民放連・NHKへの申し入れ(2000.3.30)

1999年の民放労連声明・見解

1998年以前の民放労連声明・見解
   

個人情報保護基本法制に関する大綱についての民放労連見解

2000年10月13日
日本民間放送労働組合連合会(民放労連)
中 央 執 行 委 員 会

 政府の個人情報保護法制化専門委員会は、11日「個人情報保護基本法制に関する大綱」を決定した。
 発表された「大綱」によると、焦点となっていた報道分野の取り扱いについて義務規定からは適用除外としたものの、目的と基本原則は適用の対象となった。新聞協会やNHK、民放連などが再三にわたって基本法の対象外とすることを要望し、意見表明を重ねてきたにもかかわらず、専門委員会が最終段階まで「報道の自由」にかかわる問題を十分に議論をつくすことなく、このようなかたちで拙速に「大綱」がまとめあげられたことに重大な疑念を抱かざるを得ない。
 そもそも今回の法制化は、昨年与党が国民の不安を無視して強引に成立させた「改正住民基本台帳法」の成立をきっかけに、行政機関や自治体が保有・管理する個人情報に対して、「個人の権利保護」を目的とした法整備の必要性から求められた経緯がある。しかし、「大綱」は政府、行政の個人情報保護にかかわる具体的措置には「別途の措置が必要」としてほとんど具体的に言及せず、民間分野への規制ばかりが目立つ内容となっている。
 また、ひとしく個人情報といえども、公人と私人については当然異なる取り扱いがなされるべきであろうが、そのような議論が委員会で重ねられた形跡を「大綱」に見ることはできない。
 また「大綱」は、「基本原則は、公益上必要な活動や正当な活動を制限するものではな」く、「報道分野における取材活動」も「同様である」としている。報道を通常の企業活動と同列に扱うことによって、結果的に報道機関の独立性の担保が薄められかねないことも大いに懸念されるうえに、「報道分野における取材活動」ときわめて限定的な表現で規定されることによって、「報道分野」以外の番組の取材活動に規制が及ぶ危険も予想される。

 たびかさなるメディアによる人権侵害や報道被害に対する世論の批判にはきわめて厳しいものがあることは、私たちも十分に承知している。民放労連もメディアの側の自主的な努力の不足を指摘し、自律の強化の必要性を機会あるごとに訴えてきた。個人情報の保護についても早急に自らガイドラインを策定して一般の批判を仰ぐとともに、自主的処理機関の設置が緊急に必要であると考える。
 しかしながら、公権力の監視を使命とするジャーナリズムにとって、公権力からの独立は絶対条件であり、公権力の規制の網がかかることは、いかなる形であろうと受け入れることはできない。個人情報の収集は国民の知る権利に奉仕するべきメディアにとって不可欠の行為であり、たとえ基本原則にとどまるとはいえ、メディアがその対象となることによってもたらされる萎縮効果は決して小さくない。今後策定されるとされる「基本方針」や具体的な法制度、措置のなかで、常に報道機関の取り扱いが論議の俎上に上り、執拗に規制の対象とされる可能性も強い。
 基本法制の成文化作業にあたっては、憲法の保障する表現の自由が脅かされることのないよう、十分な審議をつくすとともに、報道・取材などメディアの「表現の自由」にかかわる活動のすべてを明確に基本法の対象外とすることを強く求めたい。

                                                                         以  上

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日本弁護士連合会への「人権機関設置提案」に関する申し入れ

2000年10月4日

日本弁護士連合会会長・久保井一匡 殿
日弁連人権擁護委員会委員長・加藤良夫 殿
日弁連人権擁護大会シンポジウム第一分科会実行委員長・井上重俊 殿

日本民間放送労働組合連合会(民放労連)
中央執行委員長 碓氷 和哉

 貴連合会は、10月5日から開く人権擁護大会で、法定による独立人権機関の設置を提案しようとしています。
 この提案内容は、「政府から独立した調査権限のある人権機関の設置を求める宣言(案)」、「提案理由」や「要綱試案」などからなっていますが、それらによるとこの「人権機関」は、「政府から強い独立性を保障された行政委員会」で、あらゆる人権侵害を対象としています。そして、@刑罰に裏付けされた強制調査を行う、A調査継続中でも侵害の除去や予防を求める仮救済決定を下す、B侵害の除去、予防、回復等を求める措置の決定を下す、C決定に応諾しない場合や、決定を実施しない場合、氏名や事実を公表する、などの権限をもつとされています。
 「宣言(案)」では、「法務省人権擁護委員制度は、人権擁護委員に調査方針や最終処理の決定権がなく、加害者が国や自治体の場合はほとんど役立っていない」としています。「提案理由」では、「マスコミによるプライバシーの侵害や名誉侵害もあとをたたない」という認識のもとで、報道機関の人権侵害も対象とし、国や自治体の人権侵害と同列に置いています。さらに、「要綱試案」では、「表現の自由」などについて「憲法で保障された基本的人権の重要性を認識し、これらを最大限尊重する」と条文規定をしながらも、その解説では、「表現の自由などにかかわる人権侵害についても申立ての対象となる」と明言しています。また、仮救済制度についても、「但し、検閲にあたる内容であってはならない」と付しているだけで、メディアを検閲対象から除外していません。
日弁連の提案には、メディアにとって重大な問題があり、表現・報道の自由の観点からみると次のような疑義が生じます。
@ 刑罰に裏付けされた強制調査権を報道機関やジャーナリストに行使することは、取材・報道の自由を著しく侵害し、たとえ独立機関であっても許されるものではないこと。
A 仮救済制度は、行政機関による表現の差し止めとなり、憲法21条の禁止する検閲にあたる可能性があること。
B 氏名の公表などは報道の自由を制約し、萎縮させる恐れがあること。
C 一連の規制措置は、情報の自由な流通を阻害し、国民の知る権利を狭める結果を招くものになること。
 さらにこの提案は、政府自民党により現在進められつつある人権や青少年保護を名目とした表現や報道への介入と規制強化の風潮を促進助長し、そうした動きを推進する勢力に恣意的に利用される危険性があります。
 放送による人権侵害救済については、公権力を排して市民も参画したメディアの自主的、自律的な取り組みによって解決されるべきであり、すでに活動している「放送と人権等権利に関する委員会(BRC)」の機能の強化をはかることが重要だと考えます。
 日弁連は、99年の人権大会で報道被害の救済と報道の自由を護り、権力による干渉を防ぐために、報道機関による自主的な報道被害救済組織である「報道評議会」の設置を提言しましたが、今回の提案は、この精神に真っ向から反するものです。
 私たちは、公権力のメディアへの介入強化について強い危惧を抱くものであり、貴連合会に対して次のことを申し入れます。
@ この提案について拙速な決定を行わず、日弁連がこれまで掲げてきた自主、自律の制度による救済の原則に立ち戻り、慎重な論議を行うこと。
A 報道・取材の自由、表現の自由などにかかわる人権侵害は、公権力を排した自主的な救済機関にまかされるべきであり、対象から除外すべきことを明記すること。

                                                                         以  上

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テレビ大阪ディレクターの「暴走族取材事件」
起訴猶予決定についての委員長談話


日本民間放送労働組合連合会(民放労連)
中央執行委員長 碓氷 和哉

 大阪地方検察庁は本日、大阪府警が送検していたテレビ大阪ディレクターの「暴走族取材事件」を起訴猶予とする決定を発表した。
 本件はそもそも番組取材活動そのものを、犯罪行為とみなして立件しようというものである。本件が刑事訴追の対象となれば、取材・報道の自由を著しく脅かすこととなり、大阪地検が今回起訴するに至らなかったのは当然といわなければならない。
 もっとも大阪地検は送検の直接の事由となった道交法違反「教唆」については「認定するに足る証拠はない」としているものの、同法違反(共同危険行為)「幇助」にはあたるとしている。暴走の現場にカメラを向け、マイクを突き出すことが直接犯罪を幇助したことになるとすれば、暴動・騒乱など、事件の現場に直接カメラを向けること自体が犯罪とされかねず、大阪地検のこの認定は報道の自由を制約する危険があると言わざるを得ない。
 またテレビ大阪が社内処分を予定していることが起訴猶予となった理由のひとつとされているようである。社内調査委員会の調査結果として先に「懸念されるような事実はなかった」としながら、今さら処分がおこなわれるとすれば、社内処分を条件に起訴猶予にする取引が検察との間にあったことすら想像される。検察・警察の圧力に屈して「処分」を強行すれば報道機関としての自律性を危うくするものとなろう。テレビ大阪に対しては、ただちに処分を撤回することを強く求める。
 最後に長期間にわたり強引に捜査を推し進め、送検にまで突き進んだ大阪府警に、改めて猛省を促したい。

      2000年8月25日
                                                                         以  上

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民放労連第91回定期大会アピール

 二〇世紀最後の大会を、私たちは九州・沖縄サミットの直後、その九州、福岡の地で開催した。
 世紀の終焉を迎えるにあたり、私たちの社会はいま、大きく揺らいでいる。多発する少年犯罪、原発関連施設の事故、警察や大企業が引き起こす不祥事の数々。「神の国」「三国人」など、戦後半世紀余の民主主義の歩みを根底から覆すような政治リーダーたちの発言。私たちが、長い歳月、大切にしてきたもの、信じてきたもの、当たり前としてきたものが、大きく変えられようとしている。

 BSデジタルの本格的スタートを目前に控え、時代の激変の波は、放送界をもまた大きく飲み込もうとしている。「規制緩和」「市場原理」の大合唱の中、各省庁には六つにのぼる放送に関わる懇談会や研究会が設置され、政・官・財が、こぞってそれぞれの身に都合のいい放送のイメージを、視聴者、国民に押し付けようとしている。けれども今、声高に主張されるのは産業論、技術論ばかりであり、放送の中身やジャーナリズムのあり方についての議論は置き去りにされたままだ。
 一方で、「個人情報保護基本法案」「青少年有害環境対策基本法案」などメディアに対する規制の動きだけが、いよいよ強まっている。報道被害や過激な性・暴力表現など、放送に寄せられる批判の声に、民放経営者が真剣に向き合わないまま自律を放棄してきたツケが、テレビ大阪「暴走族取材事件」の大阪府警による送検に象徴されるように、報道の自由、表現の自由という、私たちが最後まで手放してはならない、もっとも大切なものを脅かそうとしている。
 私たちは、私たち自身の手で、これからの放送のビジョンを確かなものにするために、「プロジェクト・放送21」を立ち上げることを決めた。

 効率論、コスト削減論のみを民放経営者が追い求める中、私たちの職場はいっそう、その歪みを大きくしている。裁量労働や年俸制の導入の動きに、いっそう拍車がかけられることは疑いない。特別加給金をみんなで返上したテレビ東京労組の闘いは、団結という労働組合の原点が、今もなお、充分に有効だということをはっきりと示してくれた。

 株主代表訴訟という新たな戦術を駆使して経営陣の乱脈を糾した北陸放送労組もまた、私たち労働組合が経営の領域にも決して無力ではないことを教えた。少数組合であっても、二度にわたる裁判をたたかいぬき、定年延長が企業の社会的責務であることを訴え続けたラジオ日本労組の闘いは、敗訴に終わったとは言え、、同じ問題に端を発する九州朝日放送争議の解決にも、大きな力となるに違いない。

 本来民放経営者自らが負うべき負担を、企業の外に合理化することで犠牲を強いられた、東北美術争議、大阪東通再建闘争、八峯テレビなどのたたかいは、これからの民放労働運動のゆくえを左右する大きな試金石だ。この大会で、この福岡の地で、新たにKBC映像の仲間を得たことの意味は大きい。全国にはいまだ何万の労働組合を持たぬ人たちが、同様の劣悪なはたらきかたを余儀なくされている。企業の枠を超えた結集を展望しながら、新たな運動を創造しなければ、もはや民放の労働運動に未来はない。

 人類が地球を飛び出すまでの文明を手にした二〇世紀も、いよいよその最後の日のカウントダウンに入った。いかなる文明も、その担い手は人間である。新たな世紀を迎え、放送の果たすべき役割はますます大きい。放送に寄せられる市民からの期待に応え、私たち民放労連こそが、その役割を先頭に立って担おう。
 次なる世紀を後退や不毛の世紀としてはならない。
 視聴率至上主義から、視聴者至上主義へ。
 視聴者、市民と連帯し、二一世紀へ放送の未来をきりひらこう!

     二〇〇〇年七月三〇日
                      日本民間放送労働組合連合会
                           第九一回定期大会

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テレビ大阪ディレクターの書類送検についての声明

      2000年6月8日
日本民間放送労働組合連合会(民放労連)
中 央 執 行 委 員 会

 5月29日に大阪府警が、危険な暴走行為をそそのかしたとして、テレビ大阪のディレクター1名を書類送検した件に対して、私たちは強い懸念を表明する。今回の警察の送検は、報道番組の取材活動を犯罪と見なすもので、番組制作に携わる私たちとしては到底受け入れることはできない。
 送検の対象とされたテレビ大阪の報道特別番組『少年少女が危ないU』(99年9月25日放送)は、テレビ大阪社内調査委員会によれば、「少年少女の実態に迫り、あらためて社会に問題提起する」ことを目的に制作されたもので、その第1部で暴走族の少年たちを取材対象として取り上げた。その際、ディレクターは主として少年たちのインタビュー取材をするため、旧知の元暴走族のリーダーに取材の仲介を依頼、少年たちが集まる日時を事前に聞き出して取材に当たった。当該ディレクターは仲介者に「暴走してほしいとはくれぐれも言わないでほしい」と念を押しており、警察の事情聴取に対しても、繰り返しその旨の供述を行なっている。しかし、大阪府警は「数回にわたって取材依頼を行なったことが、暴走のそそのかし(教唆)に当たる」とし、さらには取材用にチャーターしたタクシーが少年たちを追跡して密着取材したことも「暴走のそそのかし」であると判断した。
 事情聴取の中でディレクターは「取材用のタクシーが信号無視したこと、また、取材した少年たちがその後逮捕されたことについて、反省している」と述べている。取材の中で信号無視などの行き過ぎがあったとすれば、その責任が問われるのは当然である。しかしながら、取材依頼や密着取材という手法そのものが「教唆=犯罪行為」に当たるとする警察の判断は、取材活動そのものを全般にわたって、そそのかしと見なすもので、取材倫理の問題を半ば強引に刑事訴追の対象と捉え、取材・報道活動を著しく制約するものというほかはない。
 少年非行や少年犯罪をめぐっては、年々社会の関心が高まってきており、放送局には社会の要請に応えうるような報道活動が求められている。そうした取材においては、少年たちの心情を深く取材することが必要であり、時には非行の現場などに立ち入って取材することが必要な場合が考えられる。取材者は高い倫理観で取材に当たることが重要であり、私たちも放送ジャーナリズムのあり方について改めて見つめなおさなければならない。
 しかしながら、今回の書類送検は、放送局の取材活動に対する権力の不当な介入といわざるを得ない。警察の動きに対し、強く抗議するとともに、検察庁が直ちに不起訴を決定することを要求する。

                                                                          以  上

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電波法の一部改正案に関する要望書

参議院 交通・情報通信委員会
             委員 各位

      2000年5月9日
日本民間放送労働組合連合会(民放労連)
中央執行委員長 柴田 吉彦


 3月31日に閣議決定された「電波法の一部を改正する法律案」が国会に上程され、4月19日の衆議院逓信委員会で、わずか1時間半の審議で可決されました。同改正案は20日に衆議院を通過、参議院交通・情報通信委員会では5月中旬から審議が始まると聞いています。
 今回の法改正の目的について、郵政省は「周波数の割当てにおける透明性の向上を図るとともに、免許申請者の利便の向上及び電波の有効利用の促進のため」と説明しています。しかし、電波法第20条の改正案には、「免許申請者の利便の向上」だけではすまない問題があると私たちは考えます。

(1) 電波法第20条の改正について、提案理由は「企業組織の再編成の円滑な実施に資するため、現在、無線局の免許人の地位の承継ができるとされている相続、合併等の場合に加えて、事業譲渡の場合においても、郵政大臣の許可を受けて、免許人の地位の承継ができることとする」と説明しています。そのことは、これまで相続、合併に限っていた「免許人の地位の承継」を事業譲渡や企業の分社・分割にまで拡げて認めようとするもので、免許人の地位そのものが新たな売買の対象になることを意味しています。
 たしかにそうなれば、「企業組織の再編成の円滑な実施に資する」ことになるであろうことは、容易に推察できます。
(2) しかし、国民共有の財産である電波の独占的利用が認められている無線局の免許人には、一般の企業組織を上回るより高い公共的役割が求められてもいるはずです。とりわけ放送事業者には、放送文化の担い手としての役割を果たすことで「健全な民主主義の発達に資する」(放送法第1条)ことが求められてきました。「放送による表現の自由ができるだけ多くの者によって享有される」ように、計画的な普及と健全な発達を図るための一連の措置が講じられてきたのも(放送法第2条の2)、その役割を推進するためであったと私たちは理解しています。
(3) ところが放送事業者、とりわけ民間放送事業者は、近年、利潤追求一辺倒の経営姿勢を一段と強め、放送現場に向かっては視聴率至上主義を煽りたてています。やらせ事件やCM間引き事件などの不祥事が後を絶たない背景にそのような経営姿勢があることは、放送関係者の多くが指摘しているところです。
 また、ラジオ・テレビ兼営局においては、売上げの低迷がつづくラジオを経営の“お荷物"扱いし、その社会的役割に目をつぶり、これを切り離す言動が目立ってきています。すでにラジオ分離の動きは、TBSをはじめ、西日本放送、琉球放送などでも始まっています。
 こうした時期に、上記のような電波法第20条の改正がおこなわれることになれば、火がついたラジオ分離(実際には切り棄て)の動きに油を注ぐことになるのは明らかです。「企業組織の再編成」は円滑にすすむかもしれませんが、50年かけて創りあげてきた民放ラジオ文化の継承はいったいどうなるのでしょうか。災害時のラジオの役割がますます強調されていながら、その弱体化を促すというのでは本末転倒です。
 放送局が健全な経営に努めることは大事なことですが、儲けのためなら放送内容は問わないというのでは、その社会的役割が問われます。報道機関としての役割と放送文化の担い手としての役割を厳しく問う基準が「企業組織の再編成」にあたっても必要であると私たちは考えます。
(4) 放送免許は5年以内の有効期限を定めた「期間限定」の免許であって、その制度からも、本来、事業譲渡といった売買には馴染まないものです。そのために、放送局の売買が盛んなアメリカにおいても、*売買する予定の放送局は、その許可申請をFCC(連邦通信委員会)に対しておこなったことを地元紙上で告知するとともに、自らの放送を通じても告知することが義務づけられており、*FCCが売買の許可申請を受理した時は、その旨を告知し、30日以内であれば関係者は誰でも当該申請に反対する訴えを起こすことができる−といった参加手続きがとられることになっています。
 ところが今回の第20条の改正案にはこうした参加手続きは一切なく、「郵政大臣の許可」ひとつで免許人の地位の承継ができることになっています。これでは全く不透明であり、裁量行政の極みといえます。欧米諸国と違って放送通信行政を独立行政機関に委ねることなく、郵政省が一手に掌握する日本の制度のもとにおいては、なによりもまず「審査基準」と「参加手続き」を明文化することが必要不可欠であると考えます。

 以上のような私たちの「要望」が参議院交通・情報通信委員会で検討され、審議を尽くして必要な措置がとられるよう重ねて要望します
B
                                                                          以  上

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大阪府警のテレビ大阪ディレクターに対する行き過ぎた事情聴取と
未編集テープの提出要求に抗議する声

      2000年4月28
日本民間放送労働組合連合会(民放労連)
中 央 執 行 委 員 


 テレビ大阪が昨年9月25日に放送した報道特別番組『少年少女が危ないU』の取材過程で、同社のディレクター2人が暴走族グループに暴走行為をさせた疑いがあるとして、大阪府警は4月24日からディレクター2人の事情聴取をつづけるとともに、暴走族グループを撮影した取材当日の未編集テープを任意提出するよう同社に求めていることが、新聞報道等で伝えられている。
 これに対し、テレビ大阪は4月24日記者会見をおこない、同番組の取材対象者が取材当日の道路交通法違反(共同危険行為)容疑で逮捕されたのを受け、社内調査委員会を設けて昨年暮れから取材方法との関連について調査してきたことを明らかにするとともに、認定した事実への専門家の意見も聞いて、「取材依頼および現場取材にあたっては、懸念されるような事実はなかった」との判断に達したと発表した。同番組の制作に携わった関係者へのヒアリングでは、@「もし走るという情報があれば撮りたいが、彼らに走れと言うと大問題になるので絶対に走れとは言わないでくれ」と取材の仲介を依頼した暴走族OBに2、3回念を押したこと、Aディレクターには警察取材の経験があり、こちらから暴走を頼んだ場合、教唆に当たることは十分認識していたこと−−なども明らかにしている。 テレビ大阪がこうした具体的な調査内容まで明らかにして、「容疑となるような事実はなかった」と発表しているにもかかわらず、大阪府警がきょうまで5日間にわたって連日2人のディレクターを呼び、終日拘束して事情聴取をしているのは異常である。事情聴取をうけているディレクターの一人は、12時間におよんだ2日目の聴取で体調を崩したりもしているという。こうした警察のやり方は明らかに行き過ぎであり、相次ぐ警察不祥事を厳しく報道してきたマスメディアへの報復的な取り調べの様相を濃くしている。
 また、大阪府警が未編集の取材テープの提出を求めていることにも、われわれは強く反対する。報道機関としての放送局に取材の自由が広く確保されてきたのは、取材した結果を報道目的以外に使わないという信念で活動してきたからであり、そのことへの視聴者・市民の信頼があったからである。これは報道機関にとって譲ることのできない基本原則であり、未編集テープの提出要求は、この原則を堅持することで培ってきた報道機関と視聴者・読者・市民との間の信頼関係を台なしにするものというほかない。
 われわれは、今回の大阪府警の一連の対応に強く抗議するとともに、言論・表現の自由、報道の自由を脅かす行き過ぎた取り調べを改めるよう強く要求する。
                                                                          以  上

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放送免許継承に関わる電波法改正案の慎重審議を求める要請

衆議院逓信委員会
   委員 各

      2000年4月18
日本民間放送労働組合連合会(民放労連)
中央執行委員長 柴田 吉

F


 「電波法の一部を改正する法律案」が3月31日に閣議決定され、国会に上程されています。この法案が、19日の衆議院逓信委員会で審議され、たった1回の審議で委員会採決されようとしていると聞きました。 
 私たちは、この「電波法の一部を改正する法律案」のうち、電波法第20条の改正案については重大な問題があると認識しています。改正案の提案理由では、「企業組織の再編成の円滑な実施に資するため、現在、無線局の免許人の地位の承継ができるとされている相続、合併等の場合に加えて、事業譲渡の場合においても、郵政大臣の許可を受けて、免許人の地位の承継ができることとする」と説明されています。
 このことは、これまで相続、合併に限っていた「放送免許の承継」を事業譲渡や「分社、分割」にまで広げようとするものですが、いまの放送業界、とりわけ民放業界の現状を考えると放送文化の発展に資する改正になるとはとても思えません。
 民放業界では、1959年にラジオとテレビの売上高が逆転して以来、双方の売上の格差は広がる一方で、ラジオ・テレビ兼営局においては、経営を圧迫する“お荷物”としてラジオを扱い、ラジオを軽視し、テレビ偏重の経営をめざす傾向がますます顕著になってきています。ラジオ分離論が繰り返し民放業界で浮上して物議を醸してきたのはそのためです。
 すでにラジオ分離の動きは、TBSをはじめ、札幌テレビ、西日本放送、琉球放送などローカル局でも起こっていますが、こうした時期に上記のような20条の改正が行われれば、ラジオ切り捨てに拍車をかけるのは火を見るより明らかです。確かに「企業組織の再編成」は円滑になるかも知れませんが、50年かけて作り上げてきた民放ラジオ文化はどう継承される保障があるのでしょうか。災害報道など放送の公共的役割を第一に考え、放送文化の継承・発展を考えた議論を切望します。
 私たちは、こうした重大問題を抱える電波法20条の改正について、わずか2時間足らずの審議で委員会採決を行うことを容認することはできません。国民の有限、希少な電波に関わる法改正については、少なくとも放送事業者や、放送労働者、視聴者、聴取者、国民を交えて広く論議を起こして慎重に審議すべきだと考えます。
 以上のことから、私たちは逓信委員会の委員各位に対して下記の通り要請致します。

L  「電波法の一部を改正する法律案」について、4月19日の衆議院逓信委員会での拙速な採決をやめ、広く意見を求め、慎重に審議を尽くすこと。
                                    以 上

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民放連会長の「警察刷新会議」座長についての民放労連見解

      2000年4月7
日本民間放送労働組合連合会(民放労連)
中 央 執 行 委 員 

(1) 一連の警察不祥事を受けて3月に発足した「警察刷新会議」の座長に、日本民間放送連盟会長の氏家齊一郎氏(日本テレビ社長)が就任した。同刷新会議は、国家公安委員会や警察庁への提言機関として発足したもので、3ヵ月かけて議論をおこない、6月末から7月初旬にかけて警察改革のための提言をまとめ、国家公安委員会に提出することになっている。
 近年、各地で続発している警察の不祥事は、警察組織の構造的な問題を露呈したものであり、警察の閉鎖性と秘密性が問題を隠蔽し、改革の芽を摘んできたことはあきらかである。それだけに、警察改革は喫緊の問題であり、しかるべき場で開かれた議論がおこなわれ、刷新の方向が示される必要があると考える。
(2) しかし、そうした政府の諮問・提言機関にマスメディアの代表者が参加することに は、われわれは反対である。
 報道機関を標榜する組織にとって何よりも重要なことは、権力から独立して権力をチェックし、その実態と視点を視聴者・読者・市民に提供することである。あらゆる権力からの独立は、ジャーナリズムの原点であり、欧米のメディアでは「政府のいかなる仕事にもついてはならない」ことを報道に携わる者の厳守すべき「基準」として明記しているところも少なくない。
 ところが日本では、マスメディアのトップが自ら政府の政策決定過程に参画し、ときには審議会や諮問機関の代表(座長)まで務める、といったことが繰り返されている。マスメディアの代表者8人が参加した第8次選挙制度審議会が小選挙区比例代表並立制の導入を答申し、その実現のためにマスメディアが大きな影響力を発揮して以降は、政府の側が政策決定過程にマスメディアの代表を加える傾向を一段と強めている。
(3) それだけに、民放連の会長が「警察刷新会議」に参加し、その座長まで務めること になった今回の民放界の対応は、報道機関としての自覚と責任に欠けるものであり、唖然とするほかない。とりわけテレビは、いまや最大の影響力をもつ報道機関である。人々の知る権利の代行者として、「権力からの独立」を明確にして権力監視機能を存分に発揮することが強く期待されていることを忘れてはならないと考える。
                                                                      以  上

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「青少年と放送に関する委員会」に現職国家公安委員が就任することについての民放連・NHKへの申し入れ

      2000年3月30
日本民間放送労働組合連合会(民放労連)
中央執行委員長   柴 田 吉 

F

  日本民間放送連盟(民放連)とNHKは、共同で「青少年と放送に関する委員会」を設置することを決め、2000年4月にスタートする同委員会の7人のメンバーを発表しました。発表文書によれば、この委員会は「放送番組向上協議会」のもとに置き、「放送と青少年に関する視聴者からの意見を審議し、審議結果や放送事業者の対応などを公表すること、及び、青少年が視聴する番組の向上に資する意見交換や調査研究を通して、視聴者と放送事業者を結ぶ『回路』として機能する機関とする」としています。
ところで、この委員会を構成する委員7人の1人として、現職の国家公安委員であり、また、郵政省・電波監理審議会の委員でもある岩男寿美子氏が選任されています。
そもそも「青少年と放送に関する委員会」は、昨年6月16日に公表された「青少年と放送に関する専門家会合」による「取りまとめ」で、設立の方向が打ち出されたものです。
民放連は「取りまとめ」の「取り組み方針(第三者機関等の活用)」の中で、「この機関(青少年と放送に関する委員会)は、民放連とNHKが力を合わせて作る放送事業者の自主機関であることが絶対条件です」と述べ、NHKもこの委員会を「放送事業者の自主的な機関」として設置するとしています。「第三者機関」のあり方として、こう主張したのは、この機関が放送内容の審議をとおして言論・表現の自由と放送倫理に関わる判断を示す立場にあるからであり、放送番組編集の自由が国家機関から侵害されることのないよう考慮した結果であると私たちは理解しています。そうであるならば、警察機構の運営に大きな責任を負う国家公安委員会の現職の委員であり、放送行政にも大きな発言力をもつ電波監理審議会の委員でもある岩男氏の委員就任は、公権力からの自律を徹底して追求すべき放送局のあり方からいっても、極めて不適切と言わざるを得ません。
「青少年と放送」の問題は、国家権力や警察による「取り締まり」の問題とは明確に区別して論議すべきであり、また、放送行政とも一線を画した自主的な判断が必要不可欠であると考えるからです。「青少年と放送に関する委員会」が権力から独立した放送界の自主的な機関として、青少年番組の質的向上やメディアリテラシーの普及に寄与することを強く望む立場から、あえて岩男氏の委員就任要請を撤回されるよう申し入れます。
        以 上

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