1999年に発表した民放労連の見解・声明

「平和への道〜人間 池田大作」についての見解(1999.10.7)

省庁記者クラブでの「日の丸」設置について(1999.9.8)

盗聴法成立についての委員長談話(1999.8.11

第89回定期大会アピール(1999.7.25)

「青少年と放送に関する専門家会合」取りまとめに対する見解(1999.6.22)

テレビ朝日ダイオキシン報道への郵政省厳重注意に抗議する声明(1999.6.22)

住民基本台帳法改正案に反対する声明(1999.6.22)

日の丸・君が代法案に反対する民放労連声明(1999.6.16)

盗聴法案衆議院可決に抗議する委員長談話(1999.6.1)

静岡第一テレビCM不正事件「最終調査報告書」についての見解(1999.5.14)

CM不正問題についての民放連への公開質問状(1999.4.21)

CM不正問題についての民放連への要求書(1999.4.7)

民放労連99春闘闘争宣言(1999.3.19)

静岡第一テレビのCM間引き問題について(1999.3.12)

テレビ朝日社長らの国会参考人招致に反対し、政府・自民党の不当な圧力に抗議する
 (1999.3.10)

   

「平和への道〜人間 池田大作」についての見解

      1999年10月7日
民放労連中央執行委員会

 創価学会名誉会長・池田大作氏のこれまでの活動をたどり、同氏と創価学会を讃えることに終始するテレビ番組『平和への道〜人間 池田大作』が、8月下旬から全国各地で放送されている。民放労連の調査によれば、この番組が放送されたのは14局(10月5日現在)で、いずれも県域ローカル局である。
 池田氏が創価学会の「頂点に立つ」人物であり、「公明党の創立者」であることは番組の中でも触れられている。また、番組では随所に、池田氏と世界各国の政治家との会見の模様が映し出され、政治的な影響力を行使したことも語られている。宗教団体の代表とはいえ、特定政党と密接な関係にある人物を一方的に礼讚し、ひいては特定宗教・特定政党の賛美につながるこの番組は「池田氏PR番組」であり、その「売名目的」で作られた番組と言わざるを得ない。
 一般的に特定の人物に焦点を当て、陰の部分を含め多角的にその人物の半生や生涯をたどる番組を放送局の責任において制作することはよくあることである。しかし、『人間 池田大作』は放送局が編集にタッチしない、いわゆる「持ち込み」番組であり、しかも「全編CM」といえる内容である。また、8月中旬から9月にかけては、自民党総裁選挙を控え、公明党が連立政権に加わることの是非が自民党内でも論じられ、自自公連立に対する国民の批判が高まっていた時期でもある。そうしたタイミングにあわせてローカル局に一斉に持ち込まれたところに、この番組の問題点が凝縮されている。
 放送法は「放送の不偏不党、真実及び自立を保障することによって、放送による表現の自由を確保すること」を謳い(第1条)、それを受けて「放送番組編集の自由」を明記し(第3条)、番組の編集にあたっては、「政治的に公平であること」や「意見が対立している問題についてはできるだけ多くの角度から論点を明らかにすること」などを求めている(第3条の2)。また、同法の精神に基づいて設けられた民放共通の自主的な倫理基準である『放送番組基準』でも、「政治に関しては公正な立場を守り、一党一派に偏らないように注意する」「社会・公共の問題で対立しているものについては、できるだけ多くの角度から論じなければならない」とし、また、その広告においては「個人的な売名を目的とした」ものは取り扱わないことを明らかにしている。
 こうした基準に照らせば、『人間 池田大作』は、その内容においても、放送局が編集責任を負えないという意味においても、放送のタイミングにおいても、問題点が山積しており、極めて慎重な判断が求められていたはずである。実際に10月3日、この番組を放送した秋田放送では、社内の考査委員会で「放送することには問題あり」という方向で意見がまとまったにもかかわらず、局長会で「経営上の判断」から放送を決めたという。無条件に尊重されるべき考査上の判断がこのように簡単に覆されるようであれば、そもそも放送局に考査部門を設置する意味はなく、単に営業収入に結びつくことを理由に考査判断を覆すのなら、放送局に対する視聴者の信頼はますます地に堕ちるであろう。
 この番組を放送したすべての放送局は、視聴者・市民に対して考査の経緯を明らかにし、放送したことの説明責任を明らかにする必要がある。また、この番組への「反論機会の提供」の用意があることを直ち内外に表明する必要がある。今後、放送局がこうした多くの問題をはらむ持ち込み番組を、安易に放送することのないよう強く要求する。

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省庁記者クラブでの「日の丸」設置について

      1999年9月8日
      民放労連中央執行委員会

 記者クラブでの「日の丸」設置をめぐって当局と記者クラブ間でトラブルが発生している。 表面化したのは2日、農水省会見室での設置強行にクラブ側が反発したものだ。クラブ側は当局の「日の丸設置の方針」について、31日「一方的な設置通告」に抗議、「慎重な判断」を求めていた。
 「日の丸」を法律で国旗とすることについては、戦前の侵略の象徴として多くの国民から法制化に反対の声が上がったが、国会で十分な論議もなく採決が強行された経緯がある。 記者クラブは、国民の「知る権利」の代弁者としての記者が自主的に運営していくものであり、行政にチェックを入れるためにこそある。記者会見は「国家行事」ではなく、クラブ側に主催権があることは言うまでもない。どのような会見の運営をしていくかは、クラブの判断に任せられるべきものである。
 政府は法制化によって「強制をするものではない」としながら、テレビで報道されることの多い記者会見の場に持ち込むことで、既成事実を積み重ね、「日の丸」の「日常化」に努めているように思われる。学校などでの「強制」による「不幸な事態」も危惧される。 先の国会で強行採決された「盗聴法」や「国旗・国歌法」などが、国民主権と人権を脅かし、国家主義的方向を強めようとしていることに私たちは、しばしば強い危惧の念を表明してきた。
 記者クラブでの「日の丸設置」を直ちに取りやめ、政府が「日の丸掲揚、君が代斉唱」を国民に強制しないよう、あらためて求める。

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盗聴法成立についての民放労連委員長談話

 8月11日、国会は多くの国民の反対を押し切って「盗聴法」(通信傍受法)を成立させた。 9日の「日の丸君が代法」採決強行に続く暴挙と言わざるを得ない。
 「ガイドライン関連法」で平和主義を捨て、「日の丸君が代法」で国民主権を侵し、「盗聴法」「住民基本台帳法」で基本的人権を狭めようとする政府側のねらいは、憲法の実質的な改悪にあることは明らかだ。
 国会での「報道機関の傍受はしない」との答弁を保障する根拠はなく、「盗聴しない」保障は全くない。報道機関の「取材源の秘匿」は不可能となり、報道の自由は著しく制限される。国民のプライバシーを侵害し、労働組合や市民運動に対する干渉に利用される可能性も否定できない。民主主義の伸びやかな発展をめざすわたしたちにとって、法案可決の暴挙を許すことはできない。悪法を次々に成立させる政治手法とその背景にある政党の不明朗な連合を強く批判し、民主主義を愛する多くの国民とともに法の廃棄をめざしてたたかっていく。

   1999年8月11日
                                                    

日本民間放送労働組合連合会(民放労連)
中央執行委員長   柴 田 吉 彦

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第89回定期大会アピール

広島に、今年も熱い夏がきた。あの日から数えて、55回目の8月6日がまもなくやって来る。

ちちをかえせ
ははをかえせ

くずれぬへいわを
へいわをかえせ

という魂の叫びが発せられた、この広島の地。

私たちは、平和な安全な社会を、放送を通じてさらに確かなものにしようとする願いを込め、第89回定期大会をこの地で開催した。

私たちは、テクノマックス労働組合、長野朝日放送労働組合、テレビ新潟労働組合を新たに仲間として迎え、放送業界を取り巻くさまざまな問題について議論を重ねた。

デジタル化を口実とした「ベアゼロ」回答や、定昇さえもカットしようとする民放資本の動きは断固として許してはならない。それとともに、私たち自身も、これからの賃金闘争の課題を改めて考えていかなければならない。
ここ数年、激増している「能力」主義・「成果」主義の導入に対処し、放送を支えるすべての労働者との連帯の絆を強めていくため、民放の賃金のあり方、そして賃金闘争のあり方について、春闘に向け新しい方針をまとめることを確認した。

静岡第一テレビで発覚したCM不正事件では、報道機関として厳しい倫理が求められる放送局自身が、みずからの不正を隠蔽していたことが明らかになった。こうしたCM不正が、三たび明らかになったことで、放送局に対する視聴者の信頼は今にも崩れ去ろうとしている。私たちは、この問題を民放業界全体の問題として捉え、徹底した再調査と再発防止策を各局に求めていくことを決めた。

東北美術、朝日放送、ラジオ日本、九州朝日放送の争議、大阪東通の再建闘争についても、労組の取り組みを力強く支援していくことを決議で申し合わせた。
テレビ新潟の小林さん労災認定闘争や、福井放送の昇進差別をめぐる争議が解決したのも、こうした全力での支援が実を結んだものだ。

これからの激変の荒波を受ける民放の青年労働者については、ともに学び、言うべきことを言う力をつけ、21世紀の放送を担うビジョンを発信すべく、青年協議会に結集することを決議した。

女子保護規定の撤廃を理由とした女性への深夜労働の押し付けなど、労働条件を一方的に改悪しようとする動きには、断固阻止するたたかいを進めていくことを決めた。
また、中央労働委員会の労働者委員が連合によって独占されているという不当な事態を改善し、中労委の民主化を実現するため、民放労連顧問の磯崎弘幸さんを労働者委員に任命させる取り組みをさらに強めていくことも確認した。

長引く不況と、デジタル化という未知の世界は今、濃い霧のようになって、私たちの進むべき道を閉ざしている。行く手にあるのは、大きな苦難の連続かもしれない。しかし、こうしたときこそ、140に増えた組合の仲間と手を携えていくことで、必ず道は開けていくと確信する。

労働運動の原点に立ち返りながら、視聴者とともに新しい時代の放送を力強く創りあげていこう!

  1999年7月25日
                                        日本民間放送労働組合連合会
                                                第89回定期大会

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「青少年と放送に関する専門家会合」取りまとめに対する見解

1999年6月22日
日本民間放送労働組合連合会
  中央執行委員会


 郵政省・NHK・民放連が共同で開催した「青少年と放送に関する専門家会合」が、6月16日に「取りまとめ」を発表し、3者それぞれが今後の取り組みの方針を明らかにした。
その中には、メディア・リテラシーの向上やテレビが子どもに与える影響の継続的な調査などが盛り込まれ、民放連としては、「児童・青少年が好んで視聴する番組の中で、知識や理解力を高め、情操を豊かにする番組を少なくとも週3時間放送する」「青少年に配慮する時間帯を17時から21時に設定する」などの取り組みを表明した。
 私たちも、放送が青少年に与える影響の大きさを考えれば、今の放送内容を少しでも良くすることが必要だと考える。しかし、言論・表現の自由にかかわる放送の内容や表現に関する問題は、あくまで放送局と視聴者・市民の間で議論され、放送局が主体的に取り組むべきものであり、行政が放送のあり方について直接介入することは容認できない。従って私たちはこの「専門家会合」の設置そのものに反対の意思を表明してきた。今回の「取りまとめ」は、3者それぞれの自主的な取り組み方針をまとめたものだが、それならば最初からそれぞれが自主的に対策を講じ、実施していけば十分で、郵政省が方向付けをするような形で方針をまとめるのは放送の自立の観点から重大な問題があると考える。
 民放連がまとめた取り組み方針は、一見新しい内容のように見えるが、「週3時間放送する」番組には既存の番組をあてはめようとする意図が明らかであり、青少年に配慮する放送時間帯も日中を除外するなど、現下の事業活動にほとんど影響を及ぼさない対策と言わざるを得ない。このような、青少年と放送の関係を考える上では実効性の乏しい対策では、視聴者・市民からの厳しい批判に到底耐えられない。
 17時から21時という時間帯に子どもたちがテレビを見ていることが多い、という民放連の調査結果に従うなら、その時間帯にこそ児童・青少年向けの良質の番組を新たに制作して積極的に放送すべきである。また、自ら定めた放送基準・番組基準にのっとって、早朝から夜に至る大半の放送時間帯で青少年の視聴に配慮した番組を放送すべきではないか。そして、青少年向けの番組の質を保持するためには、とりわけ十分な制作予算を確保すべきであろう。
 私たちは、放送事業者が今後も青少年と放送の問題を真摯に考え、視聴者・市民から本当の理解と支持を得られるよう、放送労働者も含めて放送のあり方の抜本的な刷新に向けた議論を起こすことを求める。

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テレビ朝日ダイオキシン報道への郵政省厳重注意に抗議する声明

1999年6月22日
日本民間放送労働組合連合会
  中央執行委員会

 テレビ朝日「ニュースステーション」が2月に放送した埼玉県所沢市のダイオキシン報道について、野田聖子郵政相はテレビ朝日の伊藤邦男社長を郵政省に呼び、文書を手渡して厳重注意処分を行った。
報道によると、郵政省は文書の中で、@ダイオキシン濃度最高値の3.8ピコグラムの表示を「せん茶」でなく「野菜」と表現したこと、Aダイオキシン濃度の高い野菜を「ホウレンソウをメインとする」と表現し、ホウレンソウが高濃度と受け取られない表現を行ったことの2点を指摘し、「農業生産者に迷惑をかけ、視聴者に混乱を生じさせた不正確な表現があったのは遺憾」としている。
 近年、放送の内容をめぐって、何か問題が起こるたびに政府や自民党の介入が繰り返されてきた。こうした動きは、メディアの萎縮効果を狙ったもので、言論・表現の自由を封殺することにつながる危険をはらんでいる。確かに、テレビ朝日のダイオキシン報道は、表現方法などをめぐって誤解を招いたり、報道被害を生む状況を生じさせたことは否定できず、真摯な反省が必要である。しかし、この問題は一義的には被害を受けた当事者や視聴者と報道機関の間で解決されるべき問題であって、政府が個別の報道内容にまで立ち入ってその是非を判断し、報道機関に圧力をかけようとするのは明らかに行き過ぎである。
 私たちは今回の郵政省の厳重注意処分に抗議する。同時に、放送局には、自局の放送を通じて事の次第を視聴者・市民に情報公開するとともに、政府の圧力に屈しない毅然とした対応を求める。

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住民基本台帳法改正案に反対する声明

1999年6月22日
日本民間放送労働組合連合会
  中央執行委員会

今、コンピューターによるネットワーク社会が急速に形成されて行く中で、巷では個人情報がさまざまな形で売買の対象になり、プライバシーの侵害が深刻な社会問題となっている。こうした現状を見れば、政府がまず着手すべきは国民のプライバシーの保護であるはずだ。
ところが、今回の改正案では、逆に個人の情報をデータベース化して一元管理しようとするもので、安易なデータ化は情報流出の危険を増大させるだけである。そこには個人の権利を守ろうとする姿勢は毛頭感じられず、国があらゆる個人情報を収集・管理し、国民を監視する国民総背番号制に直結する危険性が強い。
 政府は一方で、民間人の戦争協力を義務付けるガイドライン関連法を成立させ、盗聴捜査を合法化する「通信傍受法=盗聴法」も、国民的合意もなく強引に成立させようとしている。住民基本台帳法の改正もそれらと一体を成したもので、個人情報をデータベース化して国が一元管理することは、国家による国民の管理統制を強めることになり、到底容認できない。
わたしたちは今回の住民基本台帳法の改正に反対し、政府には包括的な個人情報保護対策の早期検討を求める。

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なぜ、今法制化しなければならないのか

日の丸・君が代法案に反対する民放労連声明

1999年6月16日
日本民間放送労働組合連合会
  中央執行委員会

政府は6月11日、日の丸を国旗、君が代を国歌と定める「国旗及び国歌に関する法案」を閣議決定し、国会に提出した。自民党は、難色を示していた公明党が法案に賛成することを見込んで、今国会での成立を期している。
 そもそも、国旗・国歌を法律で定めなければならない理由は何なのか。戦前の日本も日の丸・君が代を正式に国旗・国歌として法制化していなかった。世界各国を見ても、法制化しているところは必ずしも多くなく、法制化していたとしても、複数の案を提示して国民投票にかけるなど、民主的な手続きを経て行っているところもある。今回の政府のやり方は、国民に何の説明もなく、法律で定めることを背景に国旗・国歌への忠誠を国民に強制しようとするもので、思想・信条の自由を侵す暴挙と言わざるを得ない。
 日の丸・君が代が象徴する日本に反感を抱く人も多い。戦争で肉親を失ったり、自身が死の危険に遭遇するなど、いまだに心に深い傷を負っている人がいる。また、近隣のアジア諸国の人々からも、侵略のシンボルとして根強い反発がある。
 今、政府・自民党は、周辺事態法案や盗聴法案など、国民に対する統制管理を強め、時代錯誤の国家総動員体制を作り上げようとしている。一方で情報公開法を成立させ、行政の国民に対する説明責任を口にしながら、他方で国民の良心の自由にかかわる重大な法案を、なんの説明もなく、国会内の議席数の数合わせで通そうとすることは国民に対する背信行為に他ならない。
 わたしたちは「日の丸・君が代法案」に強く反対する。この問題は、法律で定めるべきかどうかという問題を含めて、時間をかけて幅広い議論を行っていくべき課題であると考える。

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「組織犯罪対策法」(盗聴法)可決に抗議する委員長談話

1999年6月1日
日本民間放送労働組合連合会
  中央執行委員長 岩崎 貞明


 衆議院はきょう、「組織犯罪対策法」(盗聴法)を自民党、自由党、公明党の3党の賛成によって可決した。 この法律は警察による盗聴を合法化するものであり、憲法で保障されている「通信の秘密」を侵すものである。 また、この法律は「取材源の秘匿」など取材・報道活動に大きな支障を引き起こし、新聞や放送にはたらく者のプライバシーや、労働組合・市民団体の活動に深刻な影響を及ぼすものである。
 かつての暗黒社会の再来を招く「盗聴法」が、言論界、法曹界、労働界など広範な国民の反対を押し切って、十分な審議を行わないまま可決されたことに強い怒りをもって抗議する。 私たちは日本の民主主義破壊を憂えるすべての人たちと手を携えて、参議院での廃案を求ていくものである。

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静岡第一テレビCM不正事件「最終調査報告書」についての見解

1999年5月14日
日本民間放送労働組合連合会
  中央執行委員会


 5月13日、静岡第一テレビCM未放送問題調査委員会は「最終調査報告書」を発表した。「報告書」で明らかになったことは、 1993年4月から1998年3月までの間に、広告主212社の合計5,142本のテレビスポットが「欠落」していたこと、 不正が行われていたことを多くの役員・従業員が知りながら、これを明らかにすることなく今日に至ったこと、 97年6月に福岡放送と北陸放送で不正が発覚した際、CM枠の増枠など不正を糊塗する工作を行い、民放連に対する虚偽の報告をしていたこと、 今年3月の発覚後も、役員を中心にすべての真実をなおも明らかにしないための隠蔽工作が行われていたこと、などである。
 民放労連は事件の発覚直後から、静岡第一テレビ労組と協力し、会社から独立した調査委員会の設置、事件の真相解明のための提言をしてきた。3月12日に発表した「静岡第一テレビのCM間引き問題について」の見解では、「東京支社長の責任」を強調する岩淵社長(当時)発言について「このような組織的なCM間引きが支社長の独断でやれるものではない」こと、「経営の責任以外の何物でもない」ことを指摘した。
 「最終調査報告書」では、前社長など役員の無責任極まりない実態が明らかにされている。また一方で、自らの意志に反して、「不正」行為を続けざるを得なかった現場労働者の悲痛な声が記されている。私たちが「中間報告」発表の段階で指摘した「ペナルティ」や「サービス」に関する取引の仕組みと放送の詳細については明快な説明はなく、事件の全貌を明らかにするために欠かせないデータが廃棄された経緯も不明なままではあるが、単に間引きの本数を明らかにするにとどまらず、不正を生み出した企業内の構造的な原因にまで踏み込んだ分析がなされており、短期間に精力的な作業をすすめた調査委員会の労は多としたい。
 4月7日、民放労連は民放連氏家会長あてに、97年7月に民放連が加盟社に対して行ったアンケート調査の内容を明らかにすることなど三点の要求を提出した。報道機関の内部で不正が発覚している以上、視聴者・市民に積極的に情報を開示することが強く求められていると考えたからである。しかし、民放連が回答を拒否したため、民放労連は4月21日にあらためて「公開質問状」を提出、視聴者・市民にかわってアンケート調査の内容を公表できない理由などを明らかにするよう求めた。民放連は、日本広告主協会や日本広告業協会に対しては詳細な調査結果をそっくり提出する一方で、視聴者・市民に対しては「アンケート調査の結果を発表できる組織ではない」として、公開質問状についても答えることを拒否した。静岡第一テレビCM未放送問題調査委の報告書で、97年7月のアンケートに虚偽の事実が記載されていたことが明らかになったにもかかわらずである。このような民放連の対応は、視聴者・市民を愚弄するものであり、放送への信頼回復の努力を放棄するものである。民放連が一日も早く、真実究明の立場に立つことをあらためて要求する。
  私たちが再三指摘してきた通り、国民共有の財産である電波を利用している放送局には市民の「知る権利」に応え、社会の不正を追及する役割を果たすことが求められている。それゆえに放送局は自らに厳しい倫理を課すことが求められている存在である。今回の事件で明らかになったことは、放送局の内部にこうした企業倫理が全く確立されていないことである。すべての放送局が再度、厳正な調査を行い、視聴者の信頼回復に努めることを要求する。
  また、調査委員会からの「報告書」を受けた静岡第一テレビに対しては、社としての責任を明らかにするとともに、放送を通じて事件の真相を視聴者に説明すること、経営陣の刷新を含め、再びこうした不祥事を起こさない社内体制の確立と、不正を許さない「風土」を作り上げることを強く求める。

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CM不正問題についての民放連への公開質問状

1999年4月21日
日本民間放送連盟
 会長 氏家 齋一郎 殿
日本民間放送労働組合連合会  中央執行委員会
 中央執行委員長 岩崎 貞明


 CM間引き問題をめぐって、先般私たちが4月7日付で貴連盟に提出した3項目の要求に対して、回答を拒否されました。この要求は、労働者が使用者に解決を迫るものというよりも、社会に対する貴連盟としての説明責任を果たすことを目的としたものです。その趣旨がご理解いただけなかったことは誠に残念です。
 貴連盟は4月15日付で日本広告主協会からの要望に対する回答を提出されたとのことですが、私たちは、広告主と並んで視聴者・市民に対する誠意ある説明が喫緊の課題だと感じています。そのことは、民放連報道指針で自ら定めた「民間放送は報道機関として市民に対して透明性をもち、可能な限りの情報公開を自ら行っていく」ことの当然の実践でもあります。ところが、貴連盟の対応を見る限り、こと市民に対しては、失われた社会的信用を回復する努力が払われているようには見受けられません。
 国民共有の財産である電波を利用している放送局は、市民の「知る権利」に応えるため、行政や企業・団体などに情報開示を迫り、社会の不正を追及する役割を果たすことが期待されている存在です。その放送局が自ら起こした不祥事についての真実を明らかにできないとなれば、放送への市民の信頼は根底から崩れてしまいます。問われているのは報道機関としての基本姿勢であることを今一度認識して、以下の各項目に誠意ある回答をされるようお願いします。
1.私たちは貴連盟が97年7月に加盟社に対して行ったアンケート調査について、その内容を公表することを求めました。日本広告業協会もこの調査結果の公表を求めています。同調査に虚偽の事実が記載されていることが明らかになった以上、当然の要求だと思いますが、公表できない理由とは何でしょうか。
2.4月15日付で日本広告主協会に出された回答には、「各社の取り引きの実態を直接的に調査できる立場にない」との見解が示されています。だとすれば97年7月に行われたアンケート調査は、何のために実施されたのでしょうか。この調査結果をもって「他に不祥事は無い」と潔白宣言するための形式的な調査であったとすれば、これほど市民を愚弄する行為はありません。貴連盟の威信にかけて、前回調査のどこが不十分であったかを明らかにするとともに、再度アンケート調査を実施するのが道理だと思いますが、貴連盟の考えを示してください。
3.貴連盟は4月16日付で加盟社に対して「CM取引の信頼回復に向けての『再確認』と『情報開示』等のお願い」を出しましたが、そこには「再確認」する内容が98年1月に実施された「CM取引の信頼回復に向けてのアンケート」と同じ内容である旨説明されています。それならば、98年1月のアンケートの内容をまず速やかに公表すべきだと考えますが、いかがでしょうか。公表できないのであれば、その理由をお答えください
以上の項目について、5月6日(木)までに文書で回答してください。また、回答できない場合には、その理由を文書でお答えください。

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CM不正問題についての民放連への要求書

1999年4月7日
日本民間放送連盟
 会長 氏家 齋一郎 殿
日本民間放送労働組合連合会  中央執行委員会
 中央執行委員長 岩崎 貞明


 先頃発覚した静岡第一テレビのCM間引き問題では、貴連盟も重大な事件と受けとめ、さまざまな対応に尽力されていることと存じます。
 私たち民放労連も、今回の事態が民間放送業界の存立を危うくしかねない深刻な問題だと受けとめています。
 しかし、これまでの静岡第一テレビ及び貴連盟の対応を見る限りでは、残念ながら失われた社会的信用を回復するにはほど遠いものがあると感じざるを得ません。いうまでもなく、放送局は、国民共有の財産である電波を利用した報道機関としての社会的使命を帯びています。国民の「知る権利」に応えるため、放送局は行政などに情報公開を迫り、知り得た情報をもとに社会の不正を追及する役割を果たすことが社会から期待されている存在です。
 その放送局が、自ら不正を働いたうえ、その事実をも覆い隠そうとするなら、放送局の存在理由そのものが失われ、日本の民主主義社会の健全な発展にも大きな障害となるでしょう。
 この非常事態を迎え、今すぐにでも実行できることとして、貴連盟に以下の項目について要求いたします。
1.貴連盟が97年7月に加盟社に対して行ったアンケート調査について、その詳細な内 容をすべて公表すること。
2.加盟社に対し、放送データなどの具体的資料に基づいた再調査を実施し、その調査結 果を直ちに公表するよう指示すること。
3.97年8月に貴連盟が「即刻実施する対応策」として決めた「放送確認書及び元デー タの最低10年間の保存」の、加盟社の実施状況を調査し、その調査結果を公表すること。
  以上の項目について、4月20日(火)までに文書で回答していただきたくお願いいたします。もし回答できない場合には、その理由を文書でお答えいただきたいと存じます。
 ご多忙の折とは存じますが、趣旨をご理解の上よろしくお願いいたします。
 

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民放労連 99春闘 闘争宣言

1999年3月19日
日本民間放送労働組合連合会  中央執行委員会


 民放労連は、この99春闘では3月17日を回答指定日としてたたかいを進めてきた。18日までに、全国の33組合に賃金回答が示された。その回答はキイ局をはじめ22組合でベアゼロ、すべてが昨年実績を下回るという、民放業界始まって以来最低・最悪の回答であった。昨年の年末回答では、乗率の引き下げ回答が相次ぎ、民放労連では「歴史的なたたかい」と位置づけて、力強い取り組みで低額回答の打破を呼びかけた。明けてこの99春闘では、民放経営者はさらに衝撃的な回答をもってわれわれ労働者に挑戦状をつきつけた。
 不況のあおりを受けているとはいえ、放送局はキイ局をはじめほとんどの局が少なからぬ利益をなお確保する見込みだ。それからみれば、私たちの要求を一切無視することを申し合わせたかのような今回の回答は、「史上最低の春闘」に悪乗りして人件費抑制を一挙に実現しようとする、明らかに意図的なものだ。日ごろは「労使協調」を唱えて「良好な労使関係」を強調する経営者が、今回は自らその信頼関係を打ち砕く行動に出たことに強い怒りを禁じ得ない。
 先の見えない不況やデジタル化の脅威の中で、あらゆる職場で人員の削減が横行し、仕事の量やストレス・緊張は飛躍的に増大している。こうした中、一方で一層の労働強化を求める経営者の答えが今回の回答ならば、私たちは徹底的にたたかうしかない。
民放資本は、放送ビッグバンによって分割・開放される市場の中でも従来なみの利益を確保しようと、人件費・制作費の極限までの切りつめを画策している。しかし、多チャンネル時代こそ、放送がその質と内容で選択される時代であり、すべての放送局はより価値の高い、視聴者の要求に応えられる番組を供給していくことを求められている。折しも、度重なる報道被害やCM間引き問題などで、視聴者の放送局に対する信頼は地に堕ちようとしている。
 放送の質を高め視聴者の信頼を得ながら、デジタル化時代に放送のあるべき姿を示していくのは、本来放送局経営者の責任だ。その責任をあいまいにし、売り上げの低下をすべて労働者へのしわよせでやり過ごそうとすることは断じて許されない。今こそ、私たちは経営の責任を明確にし、人と番組を大切にする姿勢を声を大にして強く求めていく。同時に、21世紀の放送や放送局のあり方についての提言づくりを、労働組合自身としてもみんなの議論を通じて絶え間なく追求していくことも忘れてはならない。BR>  労働組合に結集する私たちのこの春闘でのたたかいは、これからの放送界の未来を左右するマイルストーンとなるだろう。役職者や派遣・フリーなど未結集の仲間にも理解を求め、ともにたたかうことをよびかけよう。そして、全国の放送職場で大きくストライキに結集し、満腔の怒りを持って民放経営の最悪回答を打ち砕こう!

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静岡第一テレビのCM間引き問題について

1999年3月12日
日本民間放送労働組合連合会  中央執行委員会


 静岡県の日本テレビ系列のテレビ局、静岡第一テレビで、CMの一部を放送せずに、あたかも放送したように偽って料金を請求して支払いを受けていた、いわゆる「CM間引き」が明らかになった。静岡第一テレビは3月11日の記者会見で、96年4月から97年6月にかけて取り扱ったCMのうち、広告主から指摘を受けた5社分の計7132本を調べ、711本が未放送だったことを公表した。
 CM間引き問題は、97年6月、福岡県の福岡放送と石川県の北陸放送で相次いで発覚し、民放連加盟社は各々社内調査を行って、「他には間引きの事実はない」と表明していただけに、私たちも強い衝撃を受けている。
 私たち民放労連が過去にも指摘したように、放送局は「社会の不正を暴き人々の知る権利に応える報道機関として、最高に厳しい倫理を自らに課している」(97年6月11日労連見解)からこそ、視聴者の信頼を得て、広告媒体としての役割も果たすことができる。このような倫理にもとる行為があれば、自ら調査を行って、速やかに放送を通じて事実関係を視聴者に明らかにすることは報道機関として当然の責任である。しかも、静岡第一テレビ自身、2年前の社内調査で「未放送のCMはない」と公言していただけに、その社会的責任はとりわけ重大だと言わざるを得ない。
 静岡第一テレビの岩渕社長は記者会見で、「東京支社長(当時)の説明から、間引きはないと確信していた」などと説明して、東京支社長の責任を強調しているが、このような組織的なCM間引きが支社長の独断でやれるものでないことは、福岡放送や北陸放送の調査報告が明確に示している。不正行為を放置し、当時自ら行った社内調査で事実を確認できず、このほど広告主からの指摘で再調査したことなど、経営の責任以外の何物でもない。また、社内の調査委員会による調査を続行するとしているが、調査の公正や透明性を確保するためにも、福岡放送や北陸放送のケースと同じように、社外の有識者を加えた新たな調査委員会に委ねるべきである。
 今回の事件で、放送局に対する社会的信頼は地に墜ちたと言っても過言ではない。私たちは、すべての放送局が、2年前に行ったCMに関する社内調査について、その対象や経過などの詳細を直ちに情報公開するよう強く求める。

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テレビ朝日社長らの国会参考人招致に反対し、
報道・放送内容に対する政府・自民党の不当な圧力に抗議する

1999年3月10日
日本民間放送労働組合連合会  中央執行委員会


 テレビ朝日の所沢ダイオキシン報道をめぐって、衆議院逓信委員会は11日にテレビ朝日の社長・報道局長らを参考人として招致する。この問題で農水省や郵政省は、テレビ朝日に対し再三にわたって質問書を送付し、回答を求めた。自民党は、通信部会で2月1日放送の「ニュースステーション」のビデオテープの提出を求めることにしたほか、政務調査会を中心に放送法改正も念頭に検討する方針だと伝えられている。この他、自民党総務会では先ごろ行われた脳死者からの臓器移植に関する報道についても取り上げ、「報道が行き過ぎだ」として規制を求めている。
 確かに、ダイオキシンや臓器移植の報道では、表現の仕方や取材手法をめぐって誤解を招いたり、報道被害を生む状況が生じたことは否定できず、真摯な点検と反省が必要である。しかし、この問題は、一義的には被害を受けた当事者や視聴者と報道機関の間で解決されるべき問題であって、公権力が個別の放送内容にまで立ち入って事情を聞いたり、その是非を判断するのは明らかに行き過ぎである。
 近年、放送の内容をめぐっては、問題が起こるたびに政府・自民党の介入が行われ、郵政省による「厳重注意」などの処分と、放送関係者の国会参考人招致および証人喚問が繰り返されてきた。そのうえ自民党は昨年、マスコミの報道内容を監視する全国2000人の「報道モニター制度」まで立ち上げている。しかし、政府・政権党によるこうしたマスコミへの介入と監視は、メディアの萎縮効果を狙ったものであり、自由な言論・表現活動の封殺につながりかねない危険をはらんでいる。とりわけ、放送法の「改正」まで持ち出してビデオテープの提出を迫ったり、放送局の代表者を呼びつけて番組内容に介入する今回のやり方は、異常というほかない。統一地方選を目前にしたこの時期に、公権力によるこのような露骨な介入が繰り返されることにも、深く憂慮せずにはいられない。
 私たちは、個別の放送内容を問題にする今回の国会参考人招致に反対し、政府・自民党の放送への不当な介入に強く抗議する。
 同時に、放送局に対しては、自局の放送を通じて可能な限りの情報を視聴者・市民に公開して説明するとともに、圧力に萎縮しない毅然とした自立的・自律的対応を強く求める。

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