パラボラ(7月)

  閉ざされた組織の中では、世の中で非常識とされていることが、常識として堂々と通用してしまう。その異常さに誰も気がつかない上に、もしそれを批判する人が出てくれば、まるで異端者のように扱われたりする▼「企業戦士」とか「社畜」といわれた企業のありようは改善に向かっているのだろうか。とりわけ放送という私たちの働いている産業は、どういう方向に向かっているのだろうか。視聴者の常識と私たちの常識は、かけ離れてはいないだろうか▼このところ、放送労働者の過労死がめだち始めた。しかも発生年齢が昔よりも若い年代にシフトしつつある。テレビ新潟で今年二月に過労死された報道デスクの小林剛さんは、自分の出退勤時間を正確に出勤簿に記録していなかった。実際には午前零時以前に退社することはなかったと同僚たちは証言しているが、死亡直前の出勤簿では、連日十時ごろまで退社したことになっている。そのために死亡直前の労働実態把握は大変困難なものになっている。こういう申告のしかたが常識であっていいのだろうか。▼小林さんの死という、大きすぎる代償を払って発せられた警告に、なんとしても応えていきたいと思う。私たちの常識をほんとうの常識に近づけていきたいと思う。小林さんの労災認定を勝ち取る会が発足する。


テレビ新潟労組、労連加盟方針決める

 労連未加盟のテレビ新潟労組は、来年四月一日を期して民放労連に加盟するという執行部提案を、全委員投票の結果、高率で可決した。 テレビ新潟は一九八一年に、新潟県三番目の民放テレビ局として開局した日本テレビ系列のUHF局。最近は地元ではTENY(テニー)の愛称で親しまれている。 労働組合は開局後、比較的早い時期に結成されていたが、労連には未加盟のまま。多チャンネル・デジタル放送時代を迎えて、全国の民放労働組合との情報交換と連帯が不可欠であること、また今年二月二七日に無念の過労死をされた故・小林剛さんの労災認定闘争を民放労連とともに進めていくことなどから、執行部が加盟方針を決断、七月三日の定期大会で提案した。 一週間の無記名投票の結果、組合員五四名のうち投票総数四九票、賛成三七票の七五%を超える高率で加盟方針は可決された。新結成の組合を除けば、未加盟組合の労連加盟は九六年三月の大阪東通労組以来のこととなる。 テレビ新潟労組は、来年四月に向けて組合員対象の民放労連説明会など実施、さらに労連に対する理解を深めていく予定。同労組の坂上明和委員長は「今後は先発局との年収格差を是正していくとともに、全国のみなさんの支援で小林君の労災認定を勝ち取りたい」と抱負を語っている。


第24回アナウンス研修会(7月4日〜6日)

 第二四回アナウンス研修会は七月四日〜六日、東京池袋のサンシャインシティでおこなわれ、参院選直前という悪条件にもかかわらず、全国から三三名が参加した。 一日目は全員の自己紹介から始まり、さすがにアナウンサーだけあってそれぞれ特徴をうまくまとめ、たちまち和やかな雰囲気となる。つづいて元ラジオ日本のアナウンサーで、現在外国人向けの日本語教師として活躍中の小林利逸さんが、みずからの体験を元に各国の文化の違いから改めて知る「日本語再発見」をレクチャー。 このあとは「ニュース」のキャスター筑紫哲也氏の記念講演。予定時間をはるかにオーバーして、参加者からの質問にもひとつひとつていねいに回答。週末はまず東京にいないという筑紫さんだが、参院選が一週早まる場合を想定してこの日は空けてあったとのこと。おかげで参加者は筑紫さんの肉声にたっぷりと触れる幸運に恵まれることになった。(別項参照) 二日目は各班に分かれての分化研修会。「基礎ニュース」は文化放送の高橋民夫さんと元FM東京の森田都さんの二班に別れ、ニュースの読み方をじっくり指導を受ける。「朗読」はこの研修会ではおなじみ、劇団新人会の三木弘子さんが川端康成の掌編小説をテキストに、一語一語指導。 それ以外の班は会場を飛び出して、それぞれが実習。「スタジオ生ワイド」はフジテレビの製作技術研修会に合流して、音楽番組の司会をWOWOWの柄沢晃弘さんの指導で。「スポーツ実況」は東京ドームのブースで日本ハム戦を、文化放送の月岡逸弥さん、テレビ東京の藤吉次郎さんが指導。「ENGレポート」班はテレビ朝日の寺崎貴司さん、TBSの岡崎潤司さんの指導で、お台場周辺のレポート実習した。このあとは、全員が再びサンシャインシティの交流会場に合流。 三日目は各分科研修会の成果のほどを、それぞれが発表。最後に本部の井戸副委員長が「単なる技術の習熟を超えて、ひとりひとりかどのようなプロフェッショナルをめざすのかを考えながら、仕事に取り組んでほしい」と激励し、全員に修了証を手渡して三日間の日程を終えた。


第17回制作技術研修会(7月4日〜6日)

 第十七回目を迎えた民放労連制作技術研修会は、七月四日から六日までの三日間、最新のデジタル機器が設備されたフジテレビの台場スタジオを中心に開催された。今回の参加者は、北は北海道放送から沖縄テレビまで全国から十七名。 第一日目はテレビ朝日で「ミュージックステーション」のプロデューサーを十二年間つとめる山本たかお氏が「制作サイドから見た制作技術」と題して講演。  「音楽番組では音声のミスは絶対許されない」「カメラマンには制作マンのセンスが必要」など技術各セクションへの制作側からの要望を述べた。講演の後、各班に分かれてフジテレビのスタジオ最新機器を見学実習。 二日目早朝から、フジのV3スタジオ全体に緊張感の漂う中、歌番組「ラブ・ラブ・ミュージックフェア―」収録作業が動き出す。アナウンス研修会の研修生三名も合流。在京キイ局の講師が研修生にマンツーマンで、わが子のように技術の手ほどきをしている姿は民放労連の研修会ならではだ。 いよいよ本番一分前、ADを担当する実行委員の「カメラマン、ふんどし締めていけよ」の掛け声に研修生が「よろしくお願いします」と答えて、緊張感の中にも和やかな雰囲気が生まれ、事故なくこの日の収録作業を終えた。 この日の夜はお待ちかねの交流会。講師、実行委員、研修生が本音で今日の実習の成果、反省点を語り合った。 三日目はTBSのセミナー室に会場を移し、各班や講師陣による模範収録のプレビューを実施、各講師から講評がおこなわれた。「基本サイズの違い、各ショットの意図、相手カメラの構図、スタジオの見切れ、セットの利用の仕方をさらに突っ込んで考えてほしい」「VEは本番に入るまでの作業が中心になるが、デジタル化でカメラ調整も進歩していく」「音声は音づくりのイメージを持って、自分がどう作るのかを先に決めることが大事」など、細部にわたって指摘があった。 最後に本部の岩崎委員長が「多チャンネル化の中で、制作費の大幅な切り下げが進行し、番組の質や内容に関係なく、映っていさえすればいいという傾向も出てきている。私たちは番組とは何かを改めて考え直し、番組づくりのあり方を一人一人が追求していかなければならない」と述べたあと、十七名の研修生全員に終了証を手渡し、三日間の日程を無事に終了した。


労働法制改悪阻止緊急学習会

 MIC(日本マスコミ文化情報労組会議)と純中立労組懇談会が共同で設置している労働法制対策特別委員会は、七月十三日、東京で労働基準法改悪案についての緊急学習会を開催、各単産の組合員五十名が参加した。 この学習会は労基法改悪案が国会で継続審議となっている状況の中、選挙明けの臨時国会で修正案で一挙に可決される可能性もあるため、修正案の内容についての正確な理解と運動の体制を再構築しようという趣旨で開かれたもの。 講師には改悪阻止の闘いに常に先頭に立って奮闘している自由法曹団の坂本修弁護士が担当。「ストップ・ザ・労働基準法改悪案」と題して、概略以下のように報告した。 今回の改悪案は「労基法の一部改正案」といいながら、労基法の中身を根本から悪法にすりかえようというのが本質だ。 通常国会終盤にでてきた修正案は、役にもたたない薬を加えて猛毒といっしょに飲ませようとするものだ。裁量労働の導入には本人同意が必要と「修正」してきているが、まわりがすべて裁量労働になっていて、自分だけいやだといえるか。 家族的責任のある女性の時間外は上限一五〇時間をうたうというが、罰則付きでなければ守ろうする経営者はいないだろう。 坂本弁護士は以上のように改悪案の狙いとその修正案なるものの中身を明快に説明。あらためて廃案に持ち込む運動の強化を訴えた。 さらに、この法案に反対する運動は、労働戦線が一致してたたかえるものであり、労働運動が巨大な力を取り戻すきっかけとなる可能性がある。MICこそ、その結節点になってほしいと激励した。


女性協議会拡大常任委員会(7月4日〜5日)

 七月四、五日の両日、東京で二一名の出席のもと、女性協の拡大常任委員会が開かれました。冒頭、本部の岩崎委員長からデジタル放送の開始やVチップの導入に関する問題など、現在の放送をめぐる動きについての話を聞き、予想される放送の変化を考える機会を得ることができました。 依然残る「派遣・契約」問題  各地連からの報告では、昨今、様々な業界で問題が指摘されている派遣・契約社員制度は、民放でも依然として改善がなされていないようです。各単組の抱える問題や、春夏闘の要求の中にも派遣・契約社員制度に関するものが挙げられています。  しかし、制度の見直しがはかられるどころか、派遣法で定められている「専門職を一定期間に限って派遣する」との原則が守られていないのが現状です。しかもそうした形態で雇用されるのは女性ばかり。「専門職以外にも派遣社員が導入されている」「同じ条件で採用されたはずが、男性だけが正社員になった」「女性の採用が少い一方で、派遣・契約社員は増えている」といった声があがり、平等性を欠いた雇用形態が依然として続いていることが改めて指摘されました。 このほか産休、育休に関しては、産休がまだ無給の単組がみられます。育児中の組合員の声に対応するため、育児時短や育児休職、またベビーシッター補助について要求した単組もありますが、ベビーシッター補助については成果があったようです(ベビーシッター補助については別項参照)。 全単組の参加で大会を成功させよう  今年の定期大会は十月三、四日を予定、全単組からの出席を呼びかけています。しかし東京での大会に遠方からの単組からは交通、宿泊等の費用もかかって出席しにくい、との声も出ました。すべての単組が同様の負担をすべき、との考えから「プール金制度」の導入案もあがっています。今後、負担金については検討を進めていきます。 「昇進・昇格差別調査」にご協力を  本部女性協から、各地連の代表者に「昇進・昇格差別」の実態調査の協力を要請しました。本部女性協ではもっとも見えにくい部分の男女差別である「昇進・昇格差別」について取り組みを始めています。会社ごとに役職名や昇格年齢等が違うため調査は簡単ではありませんが、本部女性協から調査表のヒナ型を提示しますので、各単組ごとに社の状況を記載して下さい。 不明な点は各地連の責任者、あるいは本部女性協までご連絡下さい。より巧妙化する男女差別をなくしていくために、ご協力をお願いします。  来年の「女性の集い」は長崎に決まりました。成功に向けて盛り上げていきましょう。


デジタル検討委員会21、最終報告まとめる

 六月二七日、デジタル放送検討委員会の第三回全体委員会が東京の全共連ビルで開催され、検討結果の最終報告案をまとめた。 昨年十一月の第一回から、委員会は常任委員の分科会を中心に精力的な検討を進めてきた。三月には、BS問題を中心にした中間報告をまとめ、その後は地上波デジタル化問題を中心に検討してきた。 おりしも六月十七日に、郵政省の地上デジタル懇が中間報告を発表。この報告書で、批判のまととなっていた「二〇〇〇年以前の地上波デジタル化開始」というスケジュールを遅らせることを、ようやく公式にうちだしたばかり。 二七日の全体会議では、一ヶ月前に不慮の死を遂げられた検討委員のひとり、メディア総研の柳澤健さんのご冥福をお祈りしたあと、「事業性」「視聴者」「職場」「法制度」「技術」の各分科会からそれぞれ報告、現在郵政省の進めるデジタル化のさまざまな問題点があらためて浮き彫りにされた。 この最終報告は、宮城県松島で開催される八七回定期大会で特別報告「デジタル放送時代への民放労連の視座」として提起される。