第124回日本民間放送労働組合連合会臨時大会 決議3「憲法「改正」に反対し、立憲主義と平和を守る決議」

憲法「改正」に反対し、立憲主義と平和を守る決議

 

今年は憲法施行七〇年の節目の年となる。しかし今、多くの人命が犠牲となったアジア太平洋戦争の敗戦から学んで作り上げた憲法が、かつてない危機に直面している。

戦争が終結して七〇年目の一昨年には、一一本もの安保関連法案が政権与党の数の力を背景として一括して強行採決され、戦争ができる国づくりの一歩が踏み出された。さらに昨年九月に戦闘状態が続く南スーダンに派遣された自衛隊のPKO部隊は、「駆けつけ警護」という武器使用を可能とした新たな任務が付与され、要請があれば他国部隊救援や救出のために戦闘行為が行われている場所、すなわち「戦場」に出動し、「撃たれるから撃つ」「殺されるから殺す」という凄惨な場面にさらされることになる。

 

安倍首相は年頭の会見で「新しい時代にふさわしい憲法論議を」と述べ、さらに国会の施政方針演説でも「憲法審査会で具体的な議論を深めよう」と発言し、改憲への意気込みを露わにした。

自民党が党是として掲げる憲法改正の草案は、現行憲法の主旨を否定するものと言わざるを得ず、国民が権力を拘束するという立憲主義の本義から外れ、国家が国民を拘束し、国家に奉仕させんとする意図が明白なものだ。その一例として現憲法の「公共の福祉」に代えて「公益及び公の秩序」という用語を多用し、国民の自由および権利の範囲を恣意的にいくらでも制限できるようにしようとしている。

 

私たち民放労連は、立憲主義を否定する改憲の方向性に、深い憂慮と警戒感を表明する。国家のために個人の権利や表現の自由を制限し、時の政権与党の一存で国の根幹を変えられるような社会にさせてはならない。災害への緊急対応などを理由に、時の為政者に権力を集中させる「緊急事態条項」も、人権の制限と権力の独裁につながりかねないため、決して許してはならない。さらに、思想・信条の制限につながるとして過去三度も廃案となった「共謀罪」の名称を変えただけの「テロ等準備罪」の成立を阻止しよう。

憲法一二条は、私たちが手にする自由及び権利は、「国民の不断の努力によって、これを保持しなければならない」と定め、自由と平和を守るための努力を要請している。この要請に応えて現憲法を尊重・維持し、それを活かして行くために運動を続けることを、私たちはここに宣言する。

 

右、決議する。

 

二〇一七年一月二九日

日本民間放送労働組合連合会 第一二四回臨時大会