民放労連 第123回定期大会 決議3「憲法「改正」に反対し、立憲主義を守るために不断の努力を宣言する決議」

憲法「改正」に反対し、立憲主義を守るために不断の努力を宣言する決議

                          【提案 労連本部】

 七月一〇日に行われた参院選で、自民党・公明党ほか「改憲勢力」が三分の二を超える議席を占め、自公連立で三分の二を確保している衆院と合わせ、憲法改正の発議が可能となった。安倍晋三首相は投票日翌日、「いかにわが党の案をベースに三分の二を構築していくか。これがまさに政治の技術だ」と発言し、あたかも改憲が既定路線であるかのような姿勢を示した。

言うまでもなく、今回の参院選は憲法を争点としたものになってはいない。安倍首相自身、選挙期間中は憲法にほとんど触れず、「(改憲を)争点とする必要はない」とまで語っていた。にもかかわらず、衆参両院で3分の2を得た途端に、改憲が国民の信任を得たかのような発言をし、しかもそれが「政治の技術」などと述べることは、卑怯かつ、姑息な、ありとあらゆる非難に値する行為だ。

より憂慮すべきなのは、自民党の憲法「改正」が、立憲主義の原則自体を変える方向にある点である。二〇一二年に発表された自民党の憲法改正草案は、国民が権力を拘束するという立憲主義の本義からはずれ、国家が国民を拘束し、国家に奉仕させんとする意図が明白なものとなっている。一例が、現憲法の「公共の福祉」に代えて「公益及び公の秩序」という用語を多用し、国民の自由および権利の範囲を恣意的にいくらでも制限できるようになっている点だ。

昨年九月、自民党政権は、世論の過半数が反対し、憲法学者の圧倒的多数が「憲法に違反する」と声を上げるのを無視し、集団的自衛権を行使して海外の戦争に日本が荷担することを可能にする「戦争法(安保関連法)」を、強行採決によって成立させた。安倍首相らが企図する改憲の真の狙いは、このような暴挙にお墨付きを与えるよう、憲法上の制約を取り払うことである。

私たち民放労連は、立憲主義を否定する改憲の方向性に、深い憂慮と警戒感を表明する。国家のために個人の権利や表現の自由を制限し、多数派の一存で国の根幹を変えられるような社会になってはならない。また、真の狙いを隠蔽し、蟻の一穴を狙うかのような「お試し改憲」にも、断固反対する。災害への緊急対応などを理由に政府や自民党が導入に前向きとされる「緊急事態条項」も、人権を制限し、権力の独裁につながりかねないため、決して許してはならない。

憲法十二条は、私たちが手にする自由及び権利は、「国民の不断の努力によって、これを保持しなければならない」と定め、自由と平和を守るための努力を要請している。この精神を活かそう。現憲法を尊重維持し、それを活かして行くために運動を続けることを、私たちはここに宣言する。

右、議決する。

二〇一六年七月三一日

日本民間放送労働組合連合会 第一二三回定期大会