民放労連 第123回定期大会 大会アピール

大会アピール

平和憲法の改悪が現実味を帯びてきた。七月一○日に行われた参議院選挙で、非改選議席を合わせた「改憲勢力」が三分の二を超える事態となった。衆参両院で「改憲勢力」が三分の二を超えたのは戦後初。安倍政権が「戦争できる国づくり」を加速させようとしているこの夏、私たちは、立憲主義に基づく平和を堅持し表現の自由と放送労働者の生活を守るため、二五年間をかけて昨年、再建を達成した京都放送労組の地元、京都に結集した。

生活が少しも楽にならない。厚生労働省が七月一二日に発表した二〇一五年の国民生活基礎調査で、生活が「苦しい」と回答した世帯が60・3パーセントに上り、高止まりが続いている。そのような中でも、民放労連の16春闘でベアを獲得した組合は二六組合三支部一分会となり、ベア春闘の流れは確実に成果を上げている。また、構内スタッフへの要求組合は過去最多となり、回答も三九組合一支部。要求に団結した成果だ。私たちは生活を再建し放送を守るため、新年度も組合員のベースアップと年収増、それに構内で働くすべての人たちの労働条件を改善していくため、たたかいをいっそう強化して行くことを決めた。

会社更生法から二一年、再建を果たした京都放送労組は、この間も組織拡大と労働者の仕事と生活を守り続け、今また佐藤典子組合員の直用化を求める新たなたたかいの中で、労働組合の役割をさらに発展させている。組織を拡大することこそが経営者との力関係を優位にし、要求を実現する原動力であることを、ここ京都で再確認した。

今大会で私たちは、放送局構内で働くすべての仲間の賃金・労働条件を向上させるために取り組んでいる「構内労働者プロジェクトⅡ」を核に、再び「一万人の民放労連」をめざすことをあらためて決意した。企業内組合からの脱皮を図りながら、成果を広げつつある構内労働者の待遇改善や慰労金支給の取り組みを強め、労働組合への結集を呼びかけていく。また、企業内最賃協定の締結を、春闘・年末闘争を問わず、すべての単組で要求していくことをめざす。

安倍政権は、数の力を背景に経営側の意に沿い、労働時間・休日などを労働基準法の枠外に置く「高度プロフェッショナル制度」や「企画業務型裁量労働制」に営業職を入れることなどを画策している。長時間労働によって、過労死やうつになっても「自己責任だ」と言わんばかりの悪法の成立を、絶対に許してはならない。

今回の参院選で私たちは改憲勢力の拡大を止められなかった。憲法改正をめぐる議論が徹底的に参院選の争点から隠され、「テレビはなぜ、選挙期間中に争点をもっと報道しないのか」と視聴者から批判を受けた。安倍政権によるマスコミへの介入と懐柔がさらに進んだと見られているのではないか。
公職選挙法一四八条は、「選挙運動の制限に関する規定は、報道及び評論の自由を妨げるものではない」と規定している。放送局経営者は、自粛・萎縮したと批判を受けるような報道姿勢を率直に反省すべきだ。私たちは今こそ国民の知る権利に応え、放送への信頼を取り戻さなければならない。すべての放送労働者の団結で、平和な社会と放送の未来を創り出そう!

二〇一六年七月三一日
日本民間放送労働組合連合会 第一二三回定期大会