民放労連第132回臨時大会アピール(2021年1月31日)

 新型コロナウイルスの感染拡大が止まらない。私たちは再び緊急避難として、民放労連第132回臨時大会をリモート形式で開催せざるを得なかった。それでも、大会ではおよそ20年ぶりに規模別分散会も実施し、来るべき2021春闘に向けて、たたかう決意を確認した。

 コロナ禍に加え、広告収入の減少も続き、放送業界に危機感が広がっている。民放経営者は今こそ、私たちの努力で積み上げてきた企業の内部留保を、放送の現在と将来のために使うべきではないか。労使の徹底した対話の積み重ねで、一丸となって難局を乗り切る春闘にしよう。
 長崎放送では、労働条件改悪の新賃金制度が一方的に導入されたが、労組が法廷闘争も辞さない覚悟を見せたところ、白紙撤回させることができた。働く者が団結を示すことで、活路が開ける。その背景に、民放労連に集う全国の仲間がいることが、経営者への大きなプレッシャーになっているはずだ。コロナ禍で厳しい闘いを強いられている中、京都放送労組は過去最高年収を獲得したほか、派遣社員の休業補償を確約させた。バップ労組などではテレワークに関する手当を獲得している。そしてフジテレビ労組は、社内で勉強会を開催して若手の組合加入を増やし、組織拡大に成果を上げている。また大会では、統一闘争のあり方をめぐって、真剣な議論も行われた。

 朝日放送ラジオ・スタッフユニオン争議は、大阪府労委での労働者側勝利命令から中労委に移り、会社側がようやく和解の姿勢を見せ始めたが、予断を許さない。よみうりテレビサービスで強行された不当解雇問題では、元役員が組合員を刑事告訴するという理不尽な対応をはねのけて、全国の仲間の支援で解決を勝ち取りたい。

 パワハラ被害を訴える労働相談が、民放労連に相次いでいる。安心して働ける放送業界にするために、各種ハラスメントの根絶が必要だ。経営や制作部門のトップに女性がいないという放送業界の現実は、若い視聴者から放送が見放されることにもつながる。
 有期雇用労働者への待遇差別の解消を目的とした「パートタイム・有期雇用労働法」が、今年4月から中小企業にも適用される。労働組合が議論をリードして、職場の不当な差別を一掃するチャンスと捉えよう。

 米軍基地から派生する問題と隣合わせの日常を強いられている沖縄では、貴重な自然を破壊する新基地建設を含め、負担軽減とは名ばかりの基地機能強化が進められている。アメリカで新政権が誕生した今、政府には改めて沖縄の民意に真摯に向き合うことを求める。
 
 産業構造が大きな曲がり角にさしかかっている今、私たちの放送産業も、優良なコンテンツを人々に届ける力のある産業として新しい世代に引き継がれなければならない。そのためにも経営者たちに、働く者の賃金・労働条件の向上は放送の未来への先行投資であることを認識させよう。コロナ禍の中でも「いのちと健康」「雇用と生活」を守って、より魅力ある放送を創り出そう!

2021年1月31日
日本民間放送労働組合連合会 第132回臨時大会