ABCが府労委命令を守り事態の早期解決に取り組むよう求める決議(2020年7月25日)

「ABCは団交に応じよ」という大阪府労働委員会の公明正大な命令が今年2月に出た。ラジオニュース班の派遣スタッフ五人が理由もなく一方的に解雇されたのは2018年春。ようやくABC事件は大きな区切りを迎えた。
 しかし、ABCは府労委命令に不服を唱え、すぐさま中央労働委員会に再審査を申し立てた。府労委において会社側は証人を出すことなく、書面には事実誤認が多数みられた。なのに「命令が間違っている」との主張は、組合員のみならず行政をも愚弄する不誠実極まりない行為といえよう。
 中央労働委員会での調査が6月から始まった。公益委員は労使双方に、いきなり和解への意思確認がされた。組合が望むのは、話し合いによる早期解決。その実現のためなら手段や形式にこだわらない考えをその場で表明した。一方、会社側の意向は明らかになっていない。
 こうした中、今年3月末にABCが契約社員を一方的に解雇し、争議に発展していた事実が判明した。契約社員が所属する労組によると、これまでに四度団交を開いたが解決に至っていないという。明らかな組合差別で、許せない行為である。この契約社員には新型コロナウイルスに対する緊急事態宣言発令中にもかかわらず、借り上げた社宅から退去せよと迫ったというではないか。
 本案件と直接関連がないとはいえ、組合員五人を支援する民放労連の仲間は、報道に携わる者の使命として、ABCの一連の行為を看過できない。ABCには社会的立場からも、団交開催をめぐる組合差別の真意を説明してもらおう。行政の命令を無視しておきながら、片方では本件と同じ団交事案で団交を開いていた事実は重い。
 きょう第131回定期大会に結集した我らは、ABCに対して、今度こそ府労委命令に従って潔く団交を開催し、争議の一日も早い解決に努力するよう強く要求する。

右、決議する。

2020年7月25日
日本民間放送労働組合連合会 第131回定期大会

朝日放送グループホールディングス 代表取締役社長 沖中進 殿
朝日放送ラジオ 代表取締役社長 岩田潤 殿